横浜マタタビバージョンのFUNI WORLD

おバカショート劇場。

FUNI WORLD (28)


第、893話 ドヲえもんの最終回 (2016.08.13)
ストーリーテラー「1872年に漂流中のメアリー・セレスト号が発見される。
船の中には誰も見当たらず、救命ボートの綱を解いた形跡は無かった。
だが、テーブルの上の朝食は暖かく、調理室では火にかけたままの
鍋が煮立っていた。洗面所には今まで誰かがヒゲを剃っていた形跡もあった。
しかし、この話の殆どは、実は、事実の歪曲、後世の脚色であり、
実話を利用したこのような嘘は、世の中に溢れかえっているのです」
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四次元ポシェットから出す多種多様なひみつ道具で
少年期の寝比ねび太を助けていたネコ型ロボット、
ドヲえもんは、成人後にアパートで一人暮らしを始めた
寝比ねび太にとって口やかましいママのような存在と化した。
昼頃からドヲえもんの妹、ドヲミまで加わり日が沈むまで説教三昧。
今や、ジャイランは暴力事件などを繰り返し絶えず刑務所暮らし。
しずなちゃんは金に目が眩み一時フネ夫と交際したのだが、
フネ夫の浮気とDVに苦しみ破局。提訴し慰謝料を沢山せしめて
贅沢三昧。最早、寝比ねび太にとってしらけた存在であった。
その夜、寝比ねび太は、寝ていたドヲえもんを粉々に破壊した。
それを海に放棄した後、最上段の引き出しが時空間に繋がる机を
ノコギリで解体。深夜、四次元ポシェットと一緒に、少年期に
通った、廃校と化した小学校の校庭に残された焼却炉で燃やした。
アパートの部屋に戻ると、隅に転がっていたドヲえもんの破片が一つ。
寝比ねび太はその破片を手にドヲえもんに助けられた日々を回想した。
その後の1週間、寝比ねび太は毎日眠れない夜を過ごした。そして突然、
寝比ねび太は跳ね起きアパートの部屋を出て酒帯び運転の車に轢かれ即死。
その頃、無闇に使われぬようにドヲえもんがアパートの部屋の押し入れに
隠していたスペアポシェットから、ドヲえもんの妹、ドヲミが顔を出す。
「ねび太さんとお兄ちゃんはどこ?1週間前に此処から未来に帰り、四次元から
顔を出すとタイムパラドックスの発生で、未来のねび太さんも孫のセワツさんも、
みんな消えてしまったのよ。慌ててこの時代に戻ってきたら、机も無くなって
しまっているし、何があったの?取り敢えず1週間前の夜頃に戻ってみようかしら」
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ストーリーテラー「タイムパラドックスとは過去の改変が未来に与える影響に伴う矛盾。
例えば百歩譲って過去の人物が死ぬ事により未来のその人物の子孫が消滅したとしても、
その後更に過去に引き返し死ぬはずの人物を救っても消滅した子孫は救えるのでしょうか。
『有』は『無』に繋がろうと、『無』が以前の『有』に戻ることは可能な事でしょうか。
人の未来への進路はタイムパラドックスによる巨大なエネルギーの影響を強く受けて、
再び同じ人生を歩む保証はない。ならば、未来の全ては変わってしまうかも知れませんね」


第、892話 酷暑だ!怪談だ!マタタビの、『空き部屋』 (2016.08.06)
8月6日
コップに立て掛けられた赤い歯ブラシ。
いけない!彼女の歯ブラシを忘れていた。
数時間前に俺が首を絞めて殺した女だ。
彼女は時々俺の部屋にやってきた。
今、彼女は俺の住むアパートの、隣の部屋の床下。
隣はずっと空き部屋で都合良く鍵も掛けられていなかった。
この赤い歯ブラシも一応処分しなくてはいけない。
赤い歯ブラシを握り締めた時、頭の中を、彼女と
この部屋でふたり笑い合った日々が駆け巡った。
8月7日
彼女の歯ブラシを捨てられないでいる。
彼女は余り自分のことを教えてはくれなかった。
逢えることは幸せだったのに信じてあげられなかった。
歯痒かったけれど殺すことはなかったんだ。
8月8日
彼女は不意にこんな事を俺に告白した。
「私、昔ね、隣の部屋に何度も訪ねて来たことがあったんだ」
よく説明して貰えば良かったんだよね。
ただ無性にカッとなってしまって・・・・・・。
結局その一言が引き金になった。
殺すことはなかったんだ。殺すことはなかったんだ。
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新米刑事「・・8月8日まで記された、
このような内容の日記が残されてました。
先輩、もう僕には判らないことだらけです」
冤罪警部「どうした?交番勤務の警察官から
憧れていた刑事に昇格したって喜んでいただろ」
新米刑事「現在の所轄に配属され初めて扱った事件です。
アパートの部屋から異臭がするとの連絡を受けた地域課の警察官が
現場に駆け付けてみたら風呂場で手首を切った自殺者。
日記に女を殺して隣の部屋の床下に埋めたと
記されていたので掘ったら確かに埋められてました。ただ・・」
冤罪警部「何か問題でもあるのか?」
新米刑事「自殺者の死亡推定時刻は8月6日の夜なんです」
冤罪警部「第三者が両者を殺して日記を捏造したとか?」
新米刑事「いえ、自殺者の執筆に間違いないようです」
冤罪警部「だったらその自殺者が自ら日記を捏造して・・?
いや、自殺する以後の日記を捏造する意味が判らないよなぁ」
新米刑事「それだけではないんです。
自殺者が握り締めていた赤い歯ブラシは未使用品だったんです。
その歯ブラシからは自殺者の指紋しか検出されていません。
自殺者の部屋には女性の髪の毛一本すら落ちてはいなかった。
急遽掃除されたような形跡はない散らかった部屋なのにですよ。
隣の部屋だって以前からきちんと鍵が掛けられていたようです。
無理矢理こじ開けられた形跡もなく確かに鍵は掛けられてました。
兎に角、この案件は単なる自殺で処理されてしまうらしいのです」
冤罪警部「ちょっと待て!殺人と死体遺棄の捜査は???」
新米刑事「それは、別件なんです。床下に埋められていた女性の
遺体は白骨化していて既に死後二十年は経過していたんです」


第、891話 ペケモンGO (2016.07.30)
A「これから出現するペケモンをゲットしに行こう!
日常生活の有りと有らゆる場所でペケモンをゲットできる。
深夜の公園は騒いで補導されるペケモンの生息地と化している」
B「スマホのバッテリーを万引して捕まっているペケモンをゲット! /■\ΘεΘ)カシャ」
C「プレイ中に自転車同士で衝突するペケモンをダブルゲット! /■\ω ̄)カシャ」
A「移動するため自転車を盗んだペケモンをゲット! /■\^∇^)カシャ」
B「ネットで収集された全国ペケモン情報を確認しよう」
C「広島では平和記念公園で不謹慎ペケモンが大量ゲットされている」
A「北海道では大学敷地内のペケモン対策で大学がアクセス
ポイントの削除を要請したからと、『大学やめたい』と
残念がる本末転倒ペケモンがウザイほど溢れかえっている」
B「同じく北海道で、山林でヒグマと遭遇するレアペケモン」
C「『ながら運転』での事故ペケモンも全国展開してるぞ」
A「しかしながら熱しやすく冷めやすい日本人。『ペケモン』出現率は、
『ペケ日本人』出現率へとあっという間に移り変わっていくことだろう」
B「まあ、元に戻るって事だね」
C「程度の低さはそのままにね」


第、890話 平成ツチノコ隊所属事務所社長インタビュー (2016.07.23)
-第、884話 参照-
平成ツチノコ隊は、原則、マスメディア拒否のプログレッシブ・アイドルグループ。
主な活動は、運営サイトからネット配信される動画による番組とblog。
運営主催イベント・ライブとインディーズでリリースされるCDとビデオ。
平成ツチノコ隊、メンバー。
中村千春 ー 幼き頃から山を幾つも越え分校に通い続けた強い足腰が自慢。
大谷幸恵 ー 世界に生息する昆虫をほぼ全て把握している。
岩永麻理奈 ー 6歳の頃、総合格闘家の父の関節を決めギブアップを奪った事がある。
菅原真美子 ー 悪の組織に改造されかけ脱走。右腕に数々のアタッチメントを装着できる。
二階堂幸恵 ー 学んだ記憶がないヒエログリフを流暢に読み書きできる。
渋谷忍 ー 象使いの両親の間に生まれ、子象と戯れながら育った。
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とある町の、小さなCDショップで配付されている無広告フリーペーパーに、
平成ツチノコ隊所属事務所の社長のインタビューが掲載された。
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――平成ツチノコ隊は、原則、マスメディア拒否のアイドルグループですね。
(社長)そうです。なので、他の企業に汚染されることがないのです。
他のアイドルグループblogだと、他の企業とのしがらみイベントがあると、
複数のメンバーによるテンプレblog記事が一斉に掲載されたりします。
全てのメンバーのblog記事を読み返すことで強制既視感にどっぷり浸れます。
また、新作映画などのステルスマーケティングのような記事も見受けられます。
まるで、ニュースサイトにニュース記事の振りをした広告があるように。
平成ツチノコ隊メンバーのblogを読んでいただけたら判ると思いますが、
平成ツチノコ隊blogは、他の企業に汚染されてはいないので、
例えば数日前の埼玉で行われたイベントの記事から抜粋すると、
中村千春は、『埼玉のイベント楽しかった。同じ関東だから
神奈川から歩いていったよ!もちろん帰りも歩いて帰ったよ!』
大谷幸恵は、『埼玉のイベント中、飛び交う昆虫に歓迎されたような気分だった』
岩永麻理奈は、『埼玉、良い感じの山があるじゃん。山籠もりして技極めたいなぁー』
菅原真美子は、『右腕のアタッチメント、サインボール砲を特注。遠くまで飛んだでしょ』
二階堂幸恵は、便箋に記したヒエログリフを画像でアップしていてさっぱり判りませんが、
ファンは毎回ヒエログリフの五十音図を手に二階堂のblogを解読するのが楽しいようです。
渋谷忍は、『埼玉のイベントではバックダンサーに赤ちゃん象に踊ってもらったよ!』
どうです。一人ひとり個性的で誰一人記事の内容は被っていません。
――た、確かにそうですね;;誰一人記事の内容は被っていません。
そう言えば平成ツチノコ隊はまだファンクラブがありませんよね。今後作る予定は?
(社長)平成ツチノコ隊情報は希望者に無料でメールマガジンを配信しています。
それで十分です。ファンクラブは所詮、会員費で利益を得るための企業の手段ですから。
ファンクラブを作ってファンクラブとそうでない人達との境目に高い壁を拵えたくはないのです。
――3stアルバム、『小さいおじさんのポケットから更に小さいおじさん』の発売も控え、
話題が絶えない平成ツチノコ隊所属の事務所から事務所の社長さんにお越しいただきました。
本日はありがとうございました。また機会があれば是非お話を伺えればと思っております。


第、889話 ずっと昔から (2016.07.16)
奴は小学2年生の時に何処からか転校してきて
それ以来私とは常にクラスメイトである。
因みに現在私も奴も中学3年生である。
クラス替えもこれまでに何度かあった。
にも拘らず奴は私とは常にクラスメイトである。
小学3年生の時、校庭に佇んでいた私に向かってミツバチが飛んできた。
奴は飛んできたミツバチを指で的確に摘みミツバチから毒針を引き抜いた。
私が、「そんなことしたらミツバチは死んじゃうんだよ」と言うと、
奴は慌てて抜いた毒針をミツバチに埋め込もうとしていたが時既に遅し。
小学5年生の時、極悪非道の教師の命令で、宿題を忘れた奴と私は
教室の後ろに水入りバケツを頭の上に持ち上げた状態で立たされたが、
奴が己のバケツと私のバケツをお手玉宜しく空中で水を一切零さず
大回転の秘技をおっ始め、そりゃ生徒も教師も割れんばかりの拍手喝采。
中学1年生の時、奴は昼休み、生まれつき地毛が少し茶色がかった
私を頻繁に目の敵にしてきた生活指導の教師と間違えて
指浣腸した相手が中学校に侵入してきた何処ぞの変態おやじだった。
翌日の朝礼で奴は変態おやじを撃退した英雄として祭り上げられた。
数日前のこと、校庭に佇んでいた私に向かってミツバチが飛んできた。
奴はミツバチを指で的確に摘みミツバチから毒針を引き抜こうとしたのだが、
私の顔をチラッと見て、毒針を抜かずその場から一気に50メートルほどダッシュ。
ミツバチを手元から空高く放った奴から、「痛ぁーーー!」と言う悲鳴。
そんな奴は授業中ウトウトしていたところを教師にチョークを投げつけられたが、
飛んできたチョークが頭に当たる既の所でチョークを
指で的確に摘み生徒も教師も割れんばかりの拍手喝采。
まあそれは定期的にお目に掛かれる光景ではあるけれど。
奴は小学2年生の時に何処からか転校してきて
それ以来私とは常にクラスメイトである。
因みに現在私も奴も中学3年生である。
本日、ホームルームにて、
『中学生最後の夏休みの過ごし方』
そんな言葉が担任の口から発せられた。


第、888話 認識 (2016.07.09)
とある繁華街で通り魔が行き交う人々を襲った。
犯人は取り押さえられ、大量の緊急車両が駆けつけた。
大騒ぎをしている、黒山の人集りの中から、
脳・神経科学に、ロボット工学を融合させた
医療技術の研究開発の活動を行っている科学者が、
通り魔に刺され虫の息の妻を抱えて乗用車に乗せ、
我が家に辿り着くなり妻の緊急手術を開始した。
脳を取り出しその脳を培養液で満たした水槽に入れる。
脳とコンピューターの間を配線で繋いで電源を入れる。
「どうやら間に合ったようだ」
辛うじて妻の脳だけは死を免れた。
科学者は手の温もりを伝える端末装置を握り締め妻に語りかけた。
だが科学者の言葉に反応しない。重度の昏睡状態と思われる。
科学者は妻との思い出の写真をコンピューターに取り込み、
その写真のデータを妻の脳へ次々と転送した。
思い出の写真事にその思い出話を妻の脳に語り続けた。
一週間が過ぎた。
慌ただしくチャイムが鳴らされた。
「警察です。あなたが事件現場から血に塗れた女性を
抱き抱えて現場から立ち去った映像が繁華街の防犯カメラ
に記録されていましてね。いやぁ、捜しましたよ、ご主人」
「待ってくれ、今、妻は重度の昏睡状態なんだ」
その時、妻の脳と繋がれたコンピューターがアラームを鳴らした。
コンピューターディスプレイには記号が打ち込まれていた。
『¨¨〃〇〇◆◆◆>>>』
「おい、分かるかい?目覚めたのか?」
科学者は手の温もりを伝える端末装置を握り締め妻に語りかけた。
コンピューターディスプレイに文字が打ち込まれていった。
『・・・・・・・あ・・な・・た・・』
科学者はコンピューターディスプレイを抱きしめ涙を流した。
数人の刑事が泣き叫ぶ科学者をコンピューターディスプレイ
から引き剥がし、建前上任意同行として署に連れて行った。
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その後、科学者の妻の脳は焼却され、
それを知った科学者は拘置所で自殺。
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どのマスコミもそれを怪奇事件として大々的に報じた。
ネットでは逮捕された科学者は精神異常者として扱われ、
それを題材にホラー小説やその小説を元に映画化もされた。
だが数年もするとそんな事件も人々の記憶の深い所に
押し込められ遠い遠い過去の出来事に変わっていった。


第、887話 忍者尻丸 (2016.07.02)
時は西暦1500年代、血で血を洗う戦国時代の物語。
『姫』に似ているという理由で両親から引き離され、
『姫』の影武者にされた娘が敵陣に囚われた。
忍者尻丸は「影武者など放っておけ」との大名家からの言い付けを
守らず、単独で敵陣に乗り込み、見事娘を救い出した。
尻丸「追っ手を上手く撒いたでござる」
娘「尻丸、先ほどの術は何じゃ」
尻丸「火遁の術でござる。
火薬玉を爆発させて煙とともに・・」
娘「ライブハウスの特殊効果か?」
尻丸「うぅ、、、、でござる;;」
娘「尻に似た顔じゃな」
尻丸「・・・・・・・・・・;;」
しかし、追っ手は何処とも無く現れる。
尻丸「追っ手を何とか撒いたでござる」
娘「尻丸、先ほどの術は何じゃ」
尻丸「隠れ身の術でござる。
布を使って周辺に溶け込み・・」
娘「山の中ではパンダのイラストが描かれた布か?」
尻丸「うぅ、、、、でござる;;」
娘「尻に似た顔じゃな」
尻丸「・・・・・・・・・・;;」
しかし、追っ手は次から次へと現れる。
尻丸「追っ手を漸く撒いたでござる」
娘「尻丸、先ほどの術は何じゃ」
尻丸「水遁の術でござる。
呼吸用の竹筒を口に咥え・・」
娘「トロピカルドリンクを2本の竹筒で飲む、二人は恋人同士か?」
尻丸「拙者、恥ずかしいでござる;;」
娘「尻に似た顔じゃな」
尻丸「・・・・・・・・・・;;」
何とか追っ手を撒いて両親に娘を引き渡した忍者尻丸。
しかし、山道で大名家からの武者が尻丸に襲いかかった。
一瞬仲間と油断した尻丸は刀で水平に両目を斬られた。
そして多数から次々と斬られ絶命した。
指揮する者が叫んだ。
「尻丸が大名家からの言い付けを守らず救い出した娘を見付け出し引っ捕まえろ。
再び『姫』の影武者として利用出来るとの大名家からの命令じゃー」
時は西暦1500年代、血で血を洗う戦国時代の物語。


第、886話 ハイブリッド女優 (2016.06.25)
わたしは七味唐辛子売りであり女優でもある。
それぞれの材料を客のお好みで調合販売。
容器はもちろん、昔ながらの『ひょうたん』。
キャストオーディションではどんな配役であれ、
配役と七味唐辛子売りがセットであることがわたしからの条件。
女医役のオーディションでは、
「病院の待合室で七味唐辛子売りをする女医などおらん」
と、なじられ・・・・・・・・・・。
警察犬の指導士役のオーディションでは、
「事件現場で警察犬と七味唐辛子売りをする指導士などおらん」
と、バカにされ・・・・・・・・・・。
ヘレ○・ケラー役のオーディションでは、
即座に追い返され・・・・・・・・・・・。
女優としてのわたしの居場所が見当たらない。
そこで一人芝居の舞台を自らプロデュース。
七味唐辛子を売るファッションモデルを演じるわたし。
七味唐辛子の口上を述べながらお天気お姉さんなわたし。
マリ○ン・モンローに扮し七味唐辛子を調合するわたし。
わたしは一人芝居で輝いた!七味唐辛子も売れた!
海外からも仕事が舞い込んだ。ハリウッドデビューも果たした。
わたしは七味唐辛子売り女優。ハイブリッドな女優である。


第、885話 鉄人27.5号 (2016.06.18)
戦後に活躍した、犯罪者や怪ロボットから
人々の平和を守った巨大ロボット、鉄人27.5号。
平成の現在、戦争法案が可決し、国家が人工知能で
動く軍事用機動兵器を開発したのを切っ掛けに、
既に60年近く専用倉庫で眠り続けている、今や
レトロな技術の廃物ロボットと化した鉄人27.5号は、
直ちに保存を終了し、リサイクル工場にてスクラップに
するべきと言う話が行政組織内で盛んに交わされていた。
しかし、当時少年探偵として鉄人27.5号を小型操縦器で
操り活躍した、老人、金口正三郎を筆頭に、鉄人27.5号を
『重要文化財』に指定すべきとの意見も多数挙がっていた。
その頃、最新の軍事用機動兵器の極秘設計図が関係者により
裏で取引され、最新の軍事用機動兵器同等の怪ロボットが出現。
国家も軍事用機動兵器を出動させたが、軍事用機動兵器には
粗悪なCPUが使われ、浮いた金額を横領されていた事が発覚。
国家の機動兵器は最新CPUで作られた怪ロボットに破れる。
老人、金口正三郎は支援者と共に政府に鉄人27.5号の出動を
願い、町が破壊され続けている現状に於いて渋々許可される。
寂れた専用倉庫の扉が開けられると、懐中電灯に照らされて、
蜘蛛の巣だらけの『鉄人27.5号』が目の前に浮かび上がった。
次々にビルを破壊する怪ロボット。そこに鉄人27.5号が現れた。
あの頃のように小型操縦器で鉄人27.5号を操る老人、金口正三郎。
だが古びた鉄人27.5号の制御が効かないのか?
突然全力で阿波踊りを踊り出す、鉄人27.5号。
敵が目の前で阿波踊りを踊る予期しない行為に対してのデーターが
皆無な怪ロボットは暴走し鉄人27.5号と一緒に阿波踊りを踊り始めた。
新型爆弾を投下しようと戦闘機がロボットの頭上を旋回している。
だが、阿波踊りに夢中のロボットは激しく動き回り狙いが定まらない。
「止めろ!鉄人27.5号ごと爆破するつもりか!!!」
老人、金口正三郎が叫んだその時、鉄人27.5号が怪ロボットを
背後からしっかり両手で抱え込んで戦闘機に向かって持ち上げた。
足をばたつかせる怪ロボット。戦闘機から新型爆弾が投下された。
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老人、金口正三郎は病院のベットの上で目が覚めた。
テレビや新聞は、『日本軍の戦闘機の活躍で日本が救われた』
週刊誌では、『奇跡か?喜劇か?同じロボなら踊らにゃ損々』
ネットでは、『これにてがらくたのスクラップ終了ww』
老人、金口正三郎を見舞う、親族や支援者達。
政府の人間は誰一人として訪れはしなかった。
床頭台に置かれた、鉄人27.5号の小型操縦器。
そして、破壊された鉄人27.5号の欠片が一つ。


第、884話 平成ツチノコ隊チャンネル配信 (2016.06.11)
-第、878話 参照-
平成ツチノコ隊は、原則、マスメディア拒否のプログレッシブ・アイドルグループ。
主な活動は、運営サイトからネット配信される動画による番組とblog。
運営主催イベント・ライブとインディーズでリリースされるCDとビデオ。
平成ツチノコ隊、メンバー。
中村千春 ー 幼き頃から山を幾つも越え分校に通い続けた強い足腰が自慢。
大谷幸恵 ー 世界に生息する昆虫をほぼ全て把握している。
岩永麻理奈 ー 6歳の頃、総合格闘家の父の関節を決めギブアップを奪った事がある。
菅原真美子 ー 悪の組織に改造されかけ脱走。右腕に数々のアタッチメントを装着できる。
二階堂幸恵 ー 学んだ記憶がないヒエログリフを流暢に読み書きできる。
渋谷忍 ー 象使いの両親の間に生まれ、子象と戯れながら育った。
マネージャー「はい、本日は第***回平成ツチノコ隊チャンネル配信です。
先ほどまで『スマホ向け、平成ツチノコ隊によるアプリゲームを我が社に作らせて下さい』
とのくどい電話に四苦八苦していた、平成ツチノコ隊マネージャーの『ボヨヨ〜ン』です。
先ずは、『UMA隊(平成ツチノコ隊ファン)』にたっぷりと感謝を込めて、
2stアルバムスタジアムライブ大成功!!!ありがとうございます!!!」
メンバー「ありがとうございます!!!」
マネージャー「そして、スタジアムライブで発表されましたね!
3stシングル、28分に及ぶプログレッシブ・歌謡、
『スカイフィッシュフライのタルタルソースがけ』発売決定!」
メンバー「やったーー!!!」
マネージャー「またこの楽曲もパントマイムを主体とした演劇仕立ての
振り付けになるでしょう。そしてメンバーにここで重大発表があります」
メンバー「・・・・・・・・・・???」
マネージャー「3stシングル発売記念全国ホールツアー、
『スカイフィッシュは美味だった』開催決定!!!」
メンバー「わーーーい!!!」
マネージャー「全国でのライブ後のお食事、楽しみですね」
メンバー「あたり前田の抹茶サブレ!!!」
マネージャー「本日、ライブ後のメンバーのお食事が決定します」
メンバー「・・・・・・・・・・おいおいおい;;」
マネージャー「メンバーにゲームを3ラウンドしていただきます。
3ラウンド成功で、現地の郷土料理をお薦め店で。
2ラウンド成功で、現地の郷土料理をお弁当で。
1ラウンド成功で、コンビニのおにぎりとゆでたまご。
では最初のラウンド、小豆を箸で皿から皿に移し替えて!!!
菅原、数々のアタッチメントを装着できる右腕使用禁止な」
菅原真美子「小豆を箸でつかむためのアタッチメントなんて無いよ!」
マネージャー「ではスタート」メンバー「全員成功!!!」
マネージャー「お見事でした!、ではボヨヨ〜ンがお片付け。あっ!」
メンバー「ボヨヨ〜ン、皿から小豆散らかさないでよ」
マネージャー「皿から小豆が飛び散ったと言うことで、1ラウンド失敗」
メンバー「えぇぇえええーーー???・・・・・・・・・・」
マネージャー「では2ラウンド、だるま落としスタート!
菅原、アタッチメントを装着できる右腕使用禁止だぞ」
菅原真美子「だるま落としのためのアタッチメントなんて無いよ!」
マネージャー「ではスタート」メンバー「全員成功!!!」
マネージャー「ではボヨヨ〜ンがお片付け。あっ!」
メンバー「・・・・・・・・・・おいおいおい;;」
「一番上のダルマが落ちてしまったので、2ラウンドも失敗」
メンバー「なんじゃそりゃ???・・・・・・・・・・」
マネージャー「では3ラウンド、粉の中のホイッスルを
手を使わずに咥えメンバー全員吹き鳴らす事が出来るかな。
菅原、呉々もアタッチメントは禁止だぞ」
菅原真美子「『手を使わずに』って今テメーが言っただろうが!!!」
マネージャー「菅原、本当に改造されているのは右腕だけか?」
菅原真美子「椰子の実を難無く握り潰す事が出来るアタッチメントならあるんだぞ」
マネージャー「;;;はい、3ラウンド、スタート!」メンバー「全員成功!!!」
マネージャー「1ラウンドのみ成功で、コンビニのおにぎりとゆでたまご」
メンバー「ボヨヨ〜ン、泣きのもう1ラウンドで現地の郷土料理をお薦め店で、はどう?」
マネージャー「そんな糞バラエティー番組のお約束なんてやらないよ〜。
おい、二階堂、ヒエログリフで何かを伝えてくるの、好い加減止めろって;;」
菅原真美子「瓶の底を軽く弾いて難無く穴を開けるアタッチメントならあるんだぞ」
マネージャー「;;;はい、急遽泣きのもう1ラウンド、尻文字!」
渋谷忍「このエロおやじ、象の群れに囲まれたいのか?!!」
岩永麻理奈「一度、膝十字固め食らってみるか」
大谷幸恵「世界中には猛毒を持った昆虫が・・・・・・・・」
中村千春「股間に蹴りでも入れられたいのか」
二階堂幸恵 (ヒエログリフ)
瓶を手にした菅原真美子 (パキッ)
マネージャー「『みんなで現地の郷土料理をお薦め店で』決定!」
メンバー「わーーーい!!!」
マネージャー「以上で、第***回平成ツチノコ隊チャンネル終了です;;;」


第、883話 シュビドゥバァーの落とし穴 (2016.06.04)
ー私立探偵・元大工の能八シリーズ4 シリーズ3は、第、807話 ー
「こんにちは、あっしは、
鋸(のこぎり)で木材を切断加工するように、
鉋(かんな)で木材の表面を平らに削るように、
金槌(かなづち)で釘などを打ち込むように、
探索をこなす私立探偵・元大工の能八です」
「能八さん、今回の『電動シュビドゥバァー殺人
事件』でもまたまた貴方のお世話になってしまった」
「冤罪警部、あっしは『偶然』ってやつが信じられない。
今回の『電動シュビドゥバァー殺人事件』から『偶然』
を全て取り除いたら簡単にパズルが組み立てられた。
大工は設計図通りに家を建てる。適当に木を削り、
組み立てて、『偶然家が完成しました』なんて有り得ない。
『電動シュビドゥバァー殺人事件』は、『偶然』と言う言葉が
散乱してた。それではパズルは永遠に完成しませんよ、警部」
「能八さん、自分はシュビドゥバァーの落とし穴に嵌ってしまった」
「その落とし穴を掘ったのも、冤罪警部、結局貴方自身なんですよ」


第、882話 晴れた空の下 (2016.05.28)
ぼくの通う小学校は本日土曜日半ドン。
家族連れが行き交う土曜日の商店街。
晴れた空の下、ランドセルを背負い、
商店街を歩きながら口ずさむ歌。
CDショップから聞こえてくるミニライブのメロディ。
売り出し中のアイドルグループの発売記念イベント。
幼い女の子が店の前で曲に合わせ飛び跳ねている。
その女の子の母親がぼくに気付き直ぐに
子供を抱き抱えて逃げ去ってしまった。
高校生ぐらいのお姉さん達の一人が悲鳴を上げて、
周りの誰もがぼくに気付き、ぼく自身も窓ガラスに
映った自分の姿を見てその姿に気付いてしまった。
シャツに飛び散った血。鉄パイプを握り締めた手。
少し前の出来事なのにぼくは忘れてしまっていたようだ。
建設現場でタバコを咥えた茶髪の作業員にからかわれた。
他の作業員が『おい止めとけ』と笑いながら注意していた。
茶髪の作業員は『オラオラ』と鉄パイプで泣いているぼくを何度も小突いた。
茶髪の作業員が何かの拍子によろけて地面に膝を突いた時、
ぼくは思わず茶髪の作業員から鉄パイプを奪い、
膝を突いた茶髪の作業員の側頭部目掛け鉄パイプを力一杯振った。
茶髪の作業員は血を流しながら倒れて動かなくなった。
他の作業員の慌てふためいた声が次第に遠退いていった。
ぼくは窓ガラスに映った自分の姿を暫くはただ見ていた。
おまわりさんが走ってきた。ぼくは捕まっちゃうんだ。
「きみ、その鉄パイプどうしたんだい!」
おまわりさんのその声の後ろからもう一つの叫び声。
「クソガキ!ぶっ殺してやる!!!」
茶髪の作業員が他の作業員の制止を鉄パイプで蹴散らし走ってくる。
振り向いたおまわりさんが茶髪の作業員に突き飛ばされた次の瞬間、
晴れた空の下、茶髪の作業員が手にした鉄パイプがぼくの頭目掛けて、
今、思いっ切り振り下ろされた。


第、881話 あの歌が街に流れるとき (2016.05.21)
過去に発売されながら鳴かず飛ばずだった曲が、
映画『青春のかさぶた剥がし』の主題歌に選ばれ、
またその映画の大ヒットにより一躍脚光を浴びている、
アイドル時代の中瀬鈴子さんのサードシングル、『犬のお面』。
現在、中瀬鈴子さんは、フリーランスで老人ホームを
訪問しながらジャズテイストな昭和歌謡を歌い聴かせる、
(876話 平成ブギウギ 参照)
海外のテレビ局から取材されたことを切っ掛けに今や
世界的にも有名なシンガーですが、『犬のお面』のヒット
で全シングルが再発売されるも、本人は以前所属していた
事務所からの復帰の誘いを未だ頑なに断り続けています。
それではCCCラジオ『お昼のケツバット』今週の推薦曲。
中瀬鈴子さんで『犬のお面』です。どうぞ!!!
---------------------------------
♪犬のお面をあなたにあげる
数あるなかから好きなの選んでね
全てチワワでどれもがいっしょ
遮二無二むにむに 一つを選ぶのよ
だってアヒル口してるあなたの顔は
どこからどう見たってカラス天狗だわ
犬のお面でそのツラ隠して
我武者羅しゃらしゃら 必死に選んでね
だってベロ出し画像のあなたの顔は
ベロを出しっぱなしの年老いた猫よ
犬のお面でそのツラ隠して
遮二無二むにむに 必ず選んでね♪
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中瀬鈴子さんで『犬のお面』でした!


第、880話 うどんペディア (2016.05.14)
「日本を代表する食文化と言えば『うどん』だよな」
「日本全国にその地域特有の『うどん』があるよな」
「秋田県の細麺『稲庭うどん』とか」
「栃木県の『耳うどん』とか」
「群馬県の『しのうどん』とか」
「長野県の『おしぼりうどん』とか」
「東京都・埼玉県に伝わる『武蔵野うどん』とか」
「山梨県の『ほうとう』とか」
「富山県の『氷見うどん』とか」
「愛知県の『きしめん』とか」
「岡山県倉敷市の『ぶっかけうどん』とか」
「京都の『京うどん』とか」
「福岡県の『博多うどん』とか」
「長崎県の『あごだしうどん』とか」
「例えば、千葉県が他県を差し置いて『醤油県』と名乗る訳がないし」
「そんなみっともない話は聞いたことないよな」
「例えば、茨城県が他県を差し置いて『納豆県』と名乗る訳がないし」
「そんな恥ずかしい話は聞いたことないよな」
「『うどん』は日本を代表する食文化の一つだよな」
「日本全国にその地域特有の『うどん』があるからな」
「では、『カレーうどん』でも喰らうか」
「俺は、『うどんカルボナーラ』を頂く」


第、879話 進化 (2016.05.07)
「映画は良いよなぁ」
悪友のDがそう言い放った。
「映画の良さはやっぱVFX技術とサラウンドだよな」
悪友のDにそう言い放った。
「そうか?昭和の古い映画の方が良いけどな」
悪友のDがそう言い放った。
「モノラルで白黒か。何処が良い?」
悪友のDにそう言い放った。
「近頃の映画は子供騙しのオモチャだよ」
悪友のDがそう言い放った。
「で、洗濯機壊れたとか言ってたのどうなった?」
悪友のDにそう言い放った。
「二層式洗濯機買おうか悩んでる」
悪友のDがそう言い放った。
「二層式?手動かよ。多機能な全自動買えよ」
悪友のDにそう言い放った。
「全自動と違い洗濯槽で脱水をしないので、
二層式の洗濯槽は四角形。複雑な水流を起こすから
汚れ落ちが良いんだ。それに機能が単純で丈夫。
全自動は二層式の利点を失い且つ高価格化した洗濯機さ」
悪友のDがそう言い放った。
「新しくなきゃつまらん」
悪友のDにそう言い放った。
「人間が作る進化は実は退化ばかり」
悪友のDがそう言い放った。
「だったら野生動物になれば?服も着ないから洗濯機も要らない」
悪友のDにそう言い放った。
「それだ!そうする」
悪友のDがそう言い放って姿を消してから早5年。
今頃悪友のDは人里離れた山奥で野生化している事だろう。
オレは全国の4D映画館巡りにお金と時間を費やしている。
我が家のホームシアターシステムは最新の4Kに対応している。
4K対応ディスプレイに買い替え。4Kのブルーレイソフトに買い替え。
なので万年金欠病。それを思うと頭が痛い。
そう言えば我が家の最新だったドラム式洗濯機。保証期限切れを迎え、
誤作動が激しく洗濯機から目が離せない状態でどこが全自動洗濯機だ!
修理にせよ買い替えるにせよ、万年金欠病。それを思うと頭が痛い。
取り敢えず繋ぎで二層式洗濯機でも買ってみるか。
・・・・・・悪友のDは今幸せに暮らしているのだろうか。
たまには昭和の古い映画のソフトでも取り寄せてみるか。


第、878話 平成ツチノコ隊 (2016.04.29)
平成ツチノコ隊は、原則、マスメディアを拒否した日本の6人組女性アイドルグループ。
主な活動は、運営サイトからネット配信される動画による番組とblog。
運営主催イベント・ライブとインディーズでリリースされるCDとビデオ。
●年●月●日、オーディションを開催、6人の少女が選ばれた。
中村千春 ー 幼き頃から山を幾つも越え分校に通い続けた強い足腰が自慢。
大谷幸恵 ー 世界に生息する昆虫をほぼ全て把握している。
岩永麻理奈 ー 6歳の頃、総合格闘家の父の関節を決めギブアップを奪った事がある。
菅原真美子 ー 悪の組織に改造されかけ脱走。右腕に数々のアタッチメントを装着できる。
二階堂幸恵 ー 学んだ記憶がないヒエログリフを流暢に読み書きできる。
渋谷忍 ー 象使いの両親の間に生まれ、子象と戯れながら育った。
1stシングルは、日本のロックシーンに於いて伝説と化した
プログレバンド、『六人能楽』のカバー曲、『転がるなツチノコ』。
このシングル曲はオリジナルのスタジオ盤18分以上と同等の長さを誇り、
この楽曲1曲のみが1stシングルに収められた。
パントマイムを取り入れた18分以上のライブパフォーマンスが話題となる。
1stアルバム『UMAが大好き』は全てオリジナル曲が収録された。
1.アイダハルって知っている?
2.ヒバゴンはずんぐりむっくり
3.モスマンとハエ叩き
4.フライング・ヒューマノイド
5.イエティが学んだこと
6.タキタロウと泳ぎたい
7.河童ですが、何か?
8.UMAと踊ろう
この1stアルバムを引っ提げ5大都市ツアーを開催。
その年、公式サイトやblogにて原則、マスメディア拒否を訴えているにも関わらず、
フゾテレビに、動画のアーカイブから5大都市ツアーの一部を無断使用され訴訟騒ぎに発展。
翌年の春、2stシングル『チュパカブラはお見通し』をリリース。
この2stシングルは空前の大ヒットを記録し、その年の冬、1万人動員ライブを成功させた。
その1万人動員ライブでは、2stアルバム発売とスタジアムライブが発表され、
今一番波に乗っている、原則、マスメディア拒否女性アイドルグループである。


第、877話 聞き間違い (2016.04.23)
ママが高校の演劇部の同窓会から帰宅。
何やら、同窓会に集まった演劇部OGで、
母校の体育館ステージに上がり、演劇部
30周年記念の劇を披露することになったらしい。
『うぺぱたご』という食べ物の名を耳にした青年が、
それを全国くまなく探し回った結果、それは『ゆでたまご』のことで、
結局は己の聞き間違いだったという劇らしい。なんじゃそりゃ。
児童の学芸会か?!そして、喜劇か?!
何かとそそかしいママは現役時代は無難で目立たない
裏方の作業にばかり回されていたとのこと。
だがしかし、今回ママは役をいただいた。
ママ曰く、役名、『洗濯機』。なんじゃそりゃ。
児童の学芸会か?!そして、喜劇か?!
みんなパートで忙しく、今回の劇はぶっつけ本番。
「それでもこの程度ならあなたにでも簡単に出来るでしょ」と言われ、
「ならば主役を食ってやるほどの『洗濯機』を演じてみせる」と、
目を輝かせながらママは張り切っている。
まず最初にママは洗濯をする洗濯機とにらめっこ。
次にママは洗濯をする洗濯機と同じ動作を真似し始めるようになった。
それを毎日続けた結果、ママは洗濯機と同化した。
そして本番当日。
娘である私は客席で、『扇風機』を演じるママを目撃した。
「ぶ〜〜ん ぶ〜〜ん」と唸りながら首を左右に回している。
なんじゃそりゃ。児童の学芸会か?!そして、喜劇か?!
私は急いで「●●の娘です」と言って舞台演出の人に会い、
「お願いですから劇のどこかでママに洗濯機を演じさせてあげて下さい」と頼み込んだ。
舞台演出の人は果たして私の無理な願いを聞き入れてくれた。
娘である私は客席で、『洗濯機』を演じるママを目撃した。
潤んだ私の瞳からは、ママの瞳も潤んでいるように見えた。


第、876話 平成ブギウギ (2016.04.16)
アイドル、中瀬鈴子は、崖っ縁に立たされていた。
事務所の社長「ファーストシングルも、セカンドシングルも、ヒットせず。
そこで最後のチャンスだぞ!サードシングルは数字を稼げる動物シリーズ。
表題曲『犬のお面』に、カップリング曲の『良い意味でハムスター』、
『ヒグマが何かを知っている』を含む全3曲でどうだ!!!」
結局、サードシングルも鳴かず飛ばずだった中瀬鈴子は事務所から契約を切られ、
フリーになった中瀬鈴子は路上ライブに挑戦するも誰もが素通りしていった。
ある日、動画サイトで見付けた、笠原シヅ江の『ラッパとお嬢』に魅了される。
「戦前から戦後、ぶったまげるほどかっこいいジャズテイストなシンガーがいたものだ」
中瀬鈴子は路上ライブでこの『ラッパとお嬢』を歌ってみた。
「誰もが好きなこの歌を ドデジズ エジドダー♪」
そこを黒人男性が声を掛けてきた。
「ヘイ!グットグット」
中瀬鈴子は涙ぐみながら「サンクス ありがとう」とお礼を言うと、
黒人男性は、「ガンバレェ!ガンバレェ!」と言って投げ銭をくれた。
翌日、路上ライブで『ラッパとお嬢』を歌っていると、
女性介護士さんと車いすに乗ったおばあさんが拍手してくれた。
女性介護士さんから「うちの老人ホームで披露して下さいませんか」
と誘われ、中瀬鈴子は約束の日にその老人ホームを訪れた。
老人達の前で『ラッパとお嬢』や『お江戸ブギウギ』を歌うと、
中瀬鈴子は大変感謝され盛大な拍手と花束まで頂いた。
中瀬鈴子は最後に「私はずっと歌う場所を探してきました。
アイドルをしていたこともあります。路上でも歌いました。
でも私は気付きました。私が探していた場所は、此処です」
以後、中瀬鈴子は各老人ホームを訪問し歌を披露するようになった。
そんなある日、海外のテレビ局から取材の申し込みをされた。
そのテレビプロデューサーは、路上ライブで「ガンバレェ!ガンバレェ!」
と、投げ銭をして励ましてくれた、あの時の黒人男性であった。


第、875話 人の夢 (2016.04.09)
・・このような夢を見た。
日本舞踊部に所属している私の友人は、
日本舞踊養成ギブスを日常的に着用し、
今朝も早朝練習に励んでいる動画を送ってきた。
その頑張っている動画を見て私は思わず微笑んだ。
私はパソコンを立ち上げニュースサイトを見た。
遂に戦争政党が動き始めた。
《 日本国は、○国の休日を狙い、(現地時間●月×日早朝)
○国海軍の艦隊と基地に対し攻撃に踏み切ったと発表した。》
これではまるで真珠湾攻撃の再来ではないか。
その後攻撃された国が戦闘機による日本への空襲を開始。
日本国民は戦争の災禍に飲み込まれた。
友人は大丈夫だろうか?
私は焼け野原を彷徨い、友達の家と思われる場所に着く。
瓦礫の下に閉じこめられ身動きが取れなかったのだろう。
友人は、(恐らくは)家族と共にそこにいた。
焼け焦げた日本舞踊養成ギブスに身を包み。
・・私はそこで目が覚めた。
日本舞踊部に所属している私の友人は、
日本舞踊養成ギブスを日常的に着用し、
今朝も早朝練習に励んでいる動画を送ってきた。
その元気そうな動画を見て私は胸を撫で下ろした。
私はパソコンを立ち上げニュースサイトを見た。
遂に戦争政党が動き始めた。
《 日本国は、○国の休日を狙い、(現地時間●月×日早朝)
○国海軍の艦隊と基地に対し攻撃に踏み切ったと発表した。》


第、874話 いっせいのせ (2016.04.02)
『告白』それは『妄想』からの脱出。究極のガチ三次元。現実への体当たり。
舞い散る、桜の花びらの下。
本日『奴』からの『ブサイク』という一言で、
私の一年半越しの片想いは一瞬で砕け散った。
この失恋から立ち直るべき私が取るべき行動は?
因みに我が家の女性陣の記録によると・・。
お婆ちゃん「半年、山に籠もり毎日蒸かし芋のやけ食い」
お母さん「半年、山に籠もり失恋ソングを歌いながら号泣」
お姉ちゃん「山籠もりで片眉を剃り落とし続けた半年間」
見た目はお姉ちゃんだけど実はお兄ちゃん「半年間の山籠もりでムダ毛を気が済むまで生やした」
何故みんな山に籠もった? 何故みんな半年間? 最早それはレジャー?修行?
総括すると・・・・・・、、
半年間は山に籠もりむだ毛処理を放棄。だが片眉は剃り落とし、
蒸かし芋をやけ食いしながらも日々失恋ソングを歌い号泣。
因みに我が家の女性陣はそれでなくても生まれながらに毛深い。
夏山でそんな私と出会した人類は果たして私を同じ種族だと判断してくれるのだろうか?
そもそも私は『奴』曰く『ブサイク』なのだ。そんな山籠もりは是非避けたい。
失恋からの半年に及ぶ山籠もりを避けるべく私が取るべき判断は?
そう!今この瞬間に失恋からとっとと立ち直る!!!
「いくよ、私。いっせいのせ」
翌日の帰り道、『ブサイク』という一言で、
私の一年半越しの片想いを破壊した『奴』が、私に、
「昨日は照れ隠しであんな事言っちゃったけど本当は俺;;」
私は奴に「サヨナラ」と一言言い放つと、
山籠もりを逃避出来た自分を誇らしげに、
目の前の最寄り駅まで『いっせいのせ』とダッシュした。


第、873話 老人と女王様 (2016.03.26)
明治時代にリバーシというゲームが日本に伝わり『源平碁』の名で売り出された。
赤白の石を使い、相手の石を挟み、その挟んだ石をひっくり返し勝敗を争うゲーム。
『源平碁』が、違いがわかる老人のためのゴールドリバーシとして平成の世に甦った。
ゴールドの石の片側にキャベツのイラスト。もう一方の片側にレタスのイラスト。
また、別バージョンでは、石の片側にダンゴムシ。もう一方にタマヤスデ。
また、別バージョンでは、石の片側に○川淳二。もう一方にB○ゴロー。
そして『平成源平碁』を売り出したしがない玩具メーカーが
シニアビジネスの波に乗りまくり、今や新規上場企業に名を連ねた。
そんなある日、とあるSMクラブ『甘辛と竹串』に一人の老人が来店した。
老人「わしと『平成源平碁』で遊んでくれんかね」
女王様「なんで?鞭は?蝋燭は?裸体に餌を塗し無数のニワトリに突かれるのは?」
老人「良いのじゃ。『平成源平碁』で遊んでくれんかね」
女王様「まあ、貰えるもん貰えりゃね」
女王様はその老人と『平成源平碁』で争うも、毎回僅差で負けてしまった。
数日後、またその老人が訪れた。
老人「わしとまた『平成源平碁』で遊んでくれんかね」
女王様「なんで?鼻フックは?餌を塗し逆さ吊りにされニワトリに突かれるのは?」
女王様はその老人と『平成源平碁』で争うも、又もや僅差で負けてしまった。
数日後、またその老人が訪れた。
女王様「『平成源平碁』でしょ。アタイ、ネットで打ち方と戦術を学んだよ」
だが、女王様は又もや僅差で負け続けてしまった。
数日後、またその老人が訪れた。
最初の頃よりは遙かに上達した女王様は老人の巧みな打ち方にやっと気付いた。
女王様「お爺ちゃん、わざと手を抜いているでしょ」
老人「でなきゃお互いつまらんじゃろ。ハハハ」
女王様「お爺ちゃん、意外と『S』だよね」
数ヶ月後、何故か予約した日にその老人は来なかった。
そしてネットのニュースでその老人が『平成源平碁』を販売する
玩具メーカーの会長で、先日突然亡くなったことを女王様は知った。
お葬式に出向くと老人の家族から冷たくあしらわれた。
次期会長の妻「亡くなった会長がSMクラブに出入りしてたと知られちゃ困るのよ!
どうせ金銭目当てか何かで葬儀に来たんでしょ!あなたみたいな仕事をする
輩が来る所じゃないわよ!わかったらとっとと帰って!誰か塩持って来て」
女王様「お爺ちゃんが何故お店に来てアタイと『平成源平碁』をしていたか
わかったわ。自分の家にいるより居心地良かったんだ。家族が嫌いだったんだ。
兎に角、店に置きっぱなしだったこの『平成源平碁DX』をお返しします」
次期会長の妻「要らないわよ汚らしい。ちょいと、次期会長になる主人に
ちゃっかり名刺と店の割引券手渡してんじゃないわよ!!!」ビリビリビリ!
次期会長「あ〜〜〜ぁあ;;」
女王様「ならばこの『平成源平碁DX』は形見に貰っておくわ」
それから一年後。
女王様が建てた小さな無料の平成源平碁道場はいつも老人で溢れかえっていた。
爺A「おっ、女王様、久々に来たね。早速お相手してくれよ」
女王様「ごめんね、でもどうせアタイに勝てないくせに」
爺A「いや毎回僅差じゃないか。今度こそ勝てるさ」
婆B「その次はオラな」
爺C「その次はオレだぞ」
女王様「はいはい、じゃあアタイは○ンリンのイラスト側。爺Aはラン○ンのイラスト側ね」


第、872話 きまぐれ水洗トイレ (2016.03.19)
武田信玄も使っていたとされる水洗トイレ。
マチュピチュ遺跡から発見された王様の水洗トイレ。
そして現代、今俺が直面しているかつてない危機。
事の起こりは彼女の家にお呼ばれしたのだが、
彼女の母上に出されたお茶を頂いていたら便意を催してしまい、
「おトイレはどちらでしょう」と然りげなく訊ね、
トイレのドアを締めるや否や、まるでお小水をして
きたかの如く光速に戻るために瞬時に用を済ませいざ水を
流そうと洗浄レバーを回すと水ではなく場内アナウンスが流れた。
『ピンポンパンポン♪きまぐれ水洗トイレはそのきまぐれにより
少しの間水を流すことを放棄いたします!ピンポンパンポン♪』
(なんでだよ!)
トイレから出るに出られず。1分が15分ぐらいに感じる時の流れ。
脂汗を流しながら水洗トイレに手を合わせ拝むこと???分。
『おめでとう』のアナウンスと共に豪快に流れる水の音。
一夜にして白髪頭になるなんて話を今なら信じられるような気持ちで
足腰をガクガク奮わせながらトイレのドアを開けるとその目の前には、
彼女と彼女の母上に、更に帰宅していた自由業の、彼女の父上。
母上「大した玉じゃないわね」
父上「娘の彼氏不合格だな」
彼女「ごめんね、お茶に下剤を入れてたの」
屋内に水路を引き入れた飛鳥時代の水洗トイレ。
上下水道が完備されていた古代ローマの水洗トイレ。
そして現代、俺が直面した彼女宅のきまぐれ水洗トイレ。
いや、もう既に彼氏失格の烙印を押された今となっては
俺は単なる他所様の糞人間以外の、何者でもない訳だ。
(元)彼女の家を出ると今まで見たことがないような
鮮やかな夕日とどこからか春を呼ぶような花の香りに
包まれ思わずその場にうずくまり号泣してしまった。


第、871話 アルディ (2016.03.12)
春から高校一年生。
私は十中八九、高校を卒業するまで、
『背中リバーシブル』というニックネームで
呼ばれることとなるだろう。
なぜならば、中三の夏頃からこの私に、
『背中リバーシブル』というニックネームをお与え
下さりやがった張本人が私と同じ高校に入学するからだ。
私がその呪縛から解放される可能性があるとするならば、
出来る限り早い段階で、この宇宙を創造された神から、
後ればせながら胸のふくらみを授かる以外に道はないだろう。
だがしかし、母上からもらった実に忠実な遺伝子は、
宇宙膨張の歴史の中から生まれた人類の、その最古のDNAに
辿り着けるほどの情報が記録されている事は、それは、
動かし難い事実だと、『アルディピテクス・ラミダス』が私に問いかける。
春から高校一年生。
多くの生物が休眠から覚め、新しい生命が息吹く季節。
過去は過ぎ去り未来が訪れる。だから『未来に背を向けていたらダメよ』
と、『背中リバーシブル』というニックネームをお与え下さりやがった
張本人が真顔で私に言い放った。さあ、未来に向かって二足歩行を始めるか。
さあスタートだ!私の瞳は今、どきどきわくわくの未来に向いている。


第、870話 百合 続編 (2016.03.05)
- 前作『百合』は、867話 -
♪犬の視線の綻びに 付け入る隙を見付けたわ
犬の視線を浴びながら 一旦笑って、フラフープ
そんな時代のワンワン子守歌ぁー♪
司会「セカンドシングル『そんな時代の子守歌』も空前の大ヒット!
そして次期シングルはエイペッコスからのメジャーデビューが決まりましたね」
会場のファンの声 A「選りに選ってエイペッコスかよ」
会場のファンの声 B「でも、総科学学問会縛りの日本レコーズ大賞で新人賞取れるかも」
会場のファンの声 C「だが、出来レースの新人賞なんか有り難くもないだろう」
会場のファンの声 D「そもそも、有名な『賞』ほど出来レースだろ」
アイドルになった元マネージャー「皆さん聞いて下さい。
私はエイペッコスからのメジャーデビューは断じてお断り申し上げます」
ー 舞台袖 ー
社長「どういうことなんだ!おーい」
エイペッコス「貴様等、ただではすまさんぞ」
アイドルになり損ねた新人見習いマネージャー「お姉様はわたくしめがお守りいたします」
アイドルになった元マネージャー「ありがとうね、いつも側にいてくれて」
アイドルになり損ねた新人見習いマネージャー「お姉様ぁー(地の底まで落ちてしまえ)」
---------------------------------
編集長「『ゆりたぬきそば』今や大ヒットだよ。
思い切って読み切り掲載を連載化して良かった。
おかげで『刺青少女娯楽部』に肩を並べられた」
漫画家「『犬の視線の綻び』ですよ」


第、869話 ファシズム (2016.02.27)
統制「旭目旗模様の熊を彫るか、木彫りの旭目旗を拵えるか、好きな方を選べ」
木彫り熊職人「わしは木彫り熊職人だからどちらも作らん」
小学生が、大好きな木彫り熊職人連続一位に選ばれ嬉しそうに笑った、木彫り熊職人。
何時しかネットを中心に『非国民』のレッテルを貼られ世の中から忘れ去られた。
『原子力木彫り熊製造所』反対グループのリーダーだった、木彫り熊職人。
統制「旭目旗模様の虎を作るか、張子で旭目旗を拵えるか、好きな方を選べ」
張子の虎職人「わしは張子の虎職人だから両方とも断る」
女学生に人気の張子の虎職人年間一位に選ばれ照れながら頭を掻いた、張子の虎職人。
何時しかネットを中心に『非国民』のレッテルを貼られ世の中から忘れ去られた。
『張子の虎総理の醜い戦争玩具』の著者だった、張子の虎職人。


第、868話 小学生キャラ弁ブルース (2016.02.20)
小学生のある日のこと、
給食にハエが混入。
給食センターが休止。
そんな訳で各自お弁当持参。
奴がキャラ弁を喰らい、
貴様もキャラ弁を頬張る。
翌日にはコイツまでキャラ弁。
帰宅。
わたし「ママ、明日からキャラ弁にして」
ママ「合点承知之助!!!」
その翌日の昼、学校でお弁当箱のふたを開けると・・
奴「あれ、たい焼き持ってきたの?」
貴様「おやつかよ」
コイツ「へんなの!」
わたし「・・・・・・」
帰宅。
わたし「ママ、たい焼きはもういいよ」
ママ「あら、たい焼き嫌いだったかしら?」
パパ「明日は板前のパパがキャラ弁作ってやる」
その翌日の昼。
パパ「へい!お待ち。キャラ弁今すぐ作るよ」
奴「スゲー!伊勢エビの活け作りだ」
貴様「キャラ弁?」
コイツ「ケータリング?」
わたし「・・・・・・」
帰宅。
年の離れた芸大の姉「ではお姉ちゃんに任せなさい」
その翌日の昼、学校でお弁当箱のふたを開けると・・
奴「うわっ、リアル!!!」
貴様「ぐわっ、キモ弁!!!」
コイツ「見事なほど『脱皮するダイオウグソクムシ』だ」
わたし「・・・・・・」
帰宅。
年の離れた芸大の姉「次回は等身大の『リュウグウノツカイ』」
わたし「もういいよ。全て終わったよ」
その翌日から給食センターが調理を再開。
あれからわたしはみんなから『水族館』と呼ばれるようになった。


第、867話 百合 (2016.02.13)
編集長「知っての通り、我が社は、ハードボイルド劇画誌
から逸早く抜け出した『刺青少女娯楽部』に推されっぱなし。
- 841話、843話、参照 -
嘗てはライバル誌だった、ハードボイルド劇画誌の
編集長だった男が編集長を務めている少女漫画誌だ。
そこでだ!
我が社も少女漫画誌を新たに刊行する事となった。
そして俺さまが編集長を任されることになった。
『刺青少女娯楽部』と圧倒的差別化を図るために、
我が社の少女漫画誌のテーマは『百合』だ!そこでだ。
ハードボイルド劇画誌から付き合いが長い君に
是非、少女漫画へ移行して仕事を請け負ってほしい」
漫画家「『ゆりかもめ』???」
編集長「『かもめ』は余計だ」
漫画家「余計なんて、かもめがかわいぴょすぎる。
『うみねこ』ならいいんですかいな???」
編集長「『ゆりうみねこ』ってなんだよ」
漫画家「『奈良の鹿』なら納得ですか!」
編集長「『百合』だよ!ガールズラブの『百合』!」
漫画家「これで最後、『たぬきそば』でどうだ」
編集長「おまえふざけているだろう」
漫画家「そりゃもう」
編集長「とっとと、『百合』をテーマに描いてこい」
---------------------------------
漫画家「これでどうですか」
編集長「どれどれ」
ー お姉さま ー
社長「大物プロデューサーXさん、こちらウチの事務所の、新人の女の子です」
X「ん、この子は赤ちゃんか」
新人「失礼ね、超童顔だけど高校生よ」
X「ほ〜〜ら、高い高い」
社長「「な、何をしているのでしょうか」
X「いや、流石に女子高生に『高い高い』は何なので、
『エア・高い高い』をしてみたんだよなぁ、これが」
新人「き、キモイ」
X「おやおや、おむつを取り替えましょうねぇ」
新人「さ、最低!!!」
社長「こ、こら、大物プロデューサーXさんに向かって」
X「決まった!この子はカバー曲でデビューさせる」
社長「で、どのような曲で・・・・・・」
X「『むすんでひらいて』」
新人「いや!!!絶対にいや!!!」
マネージャー「あのぉ、この子がいやならば私に歌わせて下さい。
私、アイドルになりたくて上京してきたのにマネージャーを
やらされて早十年。社長、お願いします。薹が立ってしまいます」
社長「バカを言うな、おまえは童顔か?女子高生か?赤ちゃんか?」
X「いや、彼女で行こう!お姉様キャラが歌う『むすんでひらいて』」
社長「素晴らしい!流石ですねぇ、大物プロデューサーXさん」
・・・・・・そして数ヶ月後。
司会「空前の大ヒット曲!『むすんでひらいて』でした」
社長「さあ、ケツカッチンだ、急げ!!!」
元マネージャー「はい、社長」
新人「お姉様、今日もとっても素敵でしたよ」
社長「おい、新人見習いマネージャー、とろとろすんな」
元マネージャー「きゃ、ゴキブリ」
新人「ジェット噴射!!!」
元マネージャー「ありがとうね、いつも側にいてくれて」
新人「お姉様に手を汚すような真似はさせられません。
『殺し』は全てこの新人のわたくしめが・・・・・・」
元マネージャー「これは、『愛』なの???」
新人「わたくしのお姉様ぁー(今に見てろよ)」〔完〕
編集長「なんか、ちがくねー、これ」
漫画家「『ゆりたぬきそば』ですよ」


第、866話 『私』 (2016.02.06)
学校に行けない。
身体が不調を訴えてくる。
クラスの友達に嘘を吐かれた。
それは些細な嘘だったと分かっている。
でもそれ以後友達が怖い。
元々が学校も人間も苦手だったんだ。
今はただ人の目が怖くてどうにもならない。
家に閉じこもっている。
自分の部屋に閉じこもっている。
私は幼い頃に良く読んでいた少女漫画の単行本を本棚から引っ張り出した。
明るい主人公の少女(当時は私よりおねえさん)『エミリン』が大好きだった。
その漫画の単行本第一巻はこのように始まる。
(春は桜の花びらが舞い、夏にはセミが大合唱。
秋は鈴虫に癒やされて、冬は雪だるまが夜な夜な歩く。
そして一年中明るい女の子が、この物語の主人公、エミリン)
私はずっとエミリンになりたかった。
明るい主人公の少女、エミリンになりたかった。
何時しか、エミリンは少女漫画の単行本から抜けだし、
私が生息する世界にひょっこり顔を出すようになった。
「あたしの名前はエミリンよ。こんにちは皆さん」
「ねえねえ、こんな楽しいことがあったのよ、聞いて!」
「素敵な雑貨屋を見付けたの!今度一緒に行きましょ」
『エミリン』を名乗る女の子は既にみんなの人気者だ。
私とは大違い。『太陽』と『土壌動物』の差はある。
携帯に届くメールは『エミリン』宛てばかり。
「ねえ、エミリン、我が家のカレーパーティーにおいで」
「エミリン、近所に新しくできた猫カフェに連れてってあげるよ」
「エミリン、深夜に雪だるまが歩いている動画を一緒に観よう」
そんなある日、放課後、エミリンは、不意に肩を捕まれ数回揺さぶられた。
以前私に些細な嘘を吐いた、それまでは仲は良かった、友達だった女の子だ。
「絵深(えみ)、お願い聞いて!あなたは『エミリン』じゃないよ!『絵深』だよ。
ずっと仲直りしたかったの。『絵深』にだよ。『エミリン』にではないよ」
『私』はぽかんとその友達を暫くはただ見ていた。
でもその友達に強く抱きしめられた時、こぼれ落ちる涙を止めることは不可能だった。
「だって、『エミリン』でなければ学校に来られなかったんだ。町を歩けなかったんだ」
放課後、その友達は時間の許す限り私のことを強く抱きしめ続けてくれた。
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翌日から私、絵深は、『絵深』として学校に通うようになった。
以前からの『絵深』の友達も、『エミリン』から仲良くなった友達も、
私が笑うと誰もが嬉しそうに笑顔を返してくれた。
私はそんなみんなを信用してみたいと思う。
そして『エミリン』を名乗り、『私』を家から外に連れ出してくれた、
深層心理に潜んでいたもう一人の『私』に手が届く場所へ、
焦らずとも前を向いて一歩一歩確実に歩いていきたい。


第、865話 オリジナルソング (2016.01.30)
店員「いらっしゃいませ!」
カモとき「カモノハシときめきで〜す」
コビきら「コビトカバきらめきで〜す」
珍トゥ「ふたり合わせて『珍獣トゥインクル』で〜す。
『Wink』を超えるアイドルデュオを目指してま〜す。
このガラケーのバッテリー取り扱っていませんか?」
店員「お客様、こちらのスマートフォンなど如何でしょうか」
カモとき「コイツ、まるでロボットみたいだ」
コビきら「コイツ、マニュアル通りの応対しかできないんだ」
店員「い、、いえ、今時はスマートフォンが常識かと;;」
カモとき「おまえらの都合による『今時』なんて知るかいな」
コビきら「おまえらの都合による『常識』なんて知るかいな」
珍トゥ「例えばそのアンドコロイド搭載スマートフォンを騙されて購入したとする。
店員「だ、騙されて;;」
珍トゥ「例えば説明書によると『新機能』とあるがそれってなんじゃらほい?
見るとスマートフォンの中心に穴がある。スマートフォンの裏側には溝がある。
ターンテーブルに乗せる。ターンテーブルを回転させ溝に針を落とす。
聞き覚えのある恥ずかしい音楽が流れてくる。これは幼き頃のぼくの声わたしの声」
店員「それは、発想として、MP3ではダメなのか??!」
珍トゥ「聴きたくもない振り返りたくもない初めてのオリジナルソング。
『肛門から飛び出した♪世界の平和を守るため♪うんきょマスクが宙を舞う♪』
何故、購入したばかりのスマートフォンからこの恥ずかしい歌が???
考えられるのは、幼き頃の友達のXくんに昔この鼻唄を盗聴され録音されていた。
最近Sくんはこの鼻唄をMP3に変換しアンドコロイド搭載スマートフォンに保存。
メール内容も、通話内容も、保存された画像も、ネットショッピングでの買い物情報も、
位置情報も、あれもこれもアンドコロイドに抜き取られ紐つけされ、その個人情報を
ユーザーに断りなく広告に反映させられたり情報処理を他社や個人に委託される御時世。
友達のXくんがMP3に変換し保存した幼き頃のぼくの鼻唄も、わたしの鼻唄も、
このようにしてスマートフォンの裏側に刻まれたかと思うとそれなりに合点がいく」
店員「お、おれの幼き頃の恥ずかしい鼻唄もか・・・・・・」
珍トゥ「残念ながらね。さあ時を超えて今歌ってご覧なさい」
店員「池から無数の人の手が♪脅えて震えて良く見ると♪ご覧よ一本ネコの手だ♪」
珍トゥ「にゃにゃにゃん♪にゃにゃにゃん♪にゃにゃにゃん♪にゃん♪」
店員「にゃにゃにゃん♪にゃにゃにゃん♪にゃにゃにゃん♪にゃん♪」
珍トゥ「そんな訳でこのガラケーのバッテリー取り扱っていませんか?」
店員「只今直ぐ調べて参ります」


第、864話 寒波だ!怪談だ!マタタビの、『悪夢』 (2016.01.23)
人は時として忘れ去りたい記憶を
自ら無意識に消し去ってしまっているものだ。
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夢を見た。また夢を見た。
三十年ほど前、まだおれが幼かった頃、
廃棄された冷蔵庫に閉じ込められた友達が
窒息死する『事故』があった。
今はまだ深夜二時。
再び眠りたくはなかったが結局眠気に負けてしまった。
それと同時に悪夢がまたおれに襲いかかってきた。
「久し振りだよね。まだきみが幼かった頃、
一緒に隠れんぼをしていた時、きみは、
上向きに捨てられたドアパッキンが外されていない
廃棄された冷蔵庫を見付け『おまえはここに隠れていろよ』
って、僕をそこに閉じ込めていなくなってしまった。
冷蔵庫のドアは幼い僕の力では中から開けることが出来なかったよ」
・・そうなのだ。おれはその友達の事を忘れ他の連中とそこを離れた。
翌日、友達は両親に捜索願を出されたがおれは恐ろしくて隠し続けた。
数日後、発見された友達は既に息絶えていて事故として片付けられた。
おれは夢の中、気付くと此処は家からそう離れていない山道。
不法投棄で以前から問題になっている場所。
不法投棄禁止の傾いた看板まで最早ゴミに見えてくる。
友達は大人に成長したおれにじわじわと近付いてくる。
『ごめんなさい』の言葉など最後まで言えなかった。
だってこれは夢ではないか。目が覚めればリセットではないか。
後ずさったおれの足が何かに突き当たりよろけた。
ドアが開いた廃棄冷蔵庫の中に倒れ込んだ。
ドアパッキンが外されていない廃棄冷蔵庫のドアが閉まり、
慌てふためき廃棄冷蔵庫の中でガタガタと藻掻いた結果、
廃棄冷蔵庫は前方に倒れ、おれはそこに閉じ込められた。
数日後、パジャマ姿で発見された、絶命した『おれ』は、
事件性を疑われつつも最終的には事故として片付けられた。
廃棄冷蔵庫の中にはおれがその日飲み干したウイスキーの
空き瓶が転がっていたし、おれが近頃アル中だったって事は、
別居中の妻子だって、町工場の連中だって、交番のポリ公だって、
誰もが口を揃えて証言したからに他ならないからだ。



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