横浜マタタビバージョンのFUNI WORLD

おバカショート劇場。

FUNI WORLD (27)


第、863話 タイムラグ (2016.01.16)
我が町に珍しく雪が舞い落ちてきた。
去年の9月15日、わたしの誕生日に幼なじみの心音(ここね)が
誕生石でもない『アイオライト』という石のペンダントをくれた。
「万里唯(まりい)、おれ、この町から遠く離れた大学に行くかも知れない」
わたしは心音(ここね)がくれた『アイオライト』という石のペンダントをただ黙って見詰めていた。
幼い頃から我が家のお向かいに住んでいた、心音(ここね)。
今年の初詣、近所の小さな神社に久々に心音(ここね)とふたり、獅子舞を見に行った。
どこかの男の子と女の子が喜んでいるのか脅えているのか笑顔で悲鳴を上げていた。
お互いそれぞれの両親が付き添っていたみたいなのでおともだちのようだった。
心音(ここね)とわたしの幼い頃の姿が重なって目の前に浮かび上がった。
2月が訪れ、心音(ここね)がこの町から遠く離れた大学に合格したと聞いた時、
実際の『今』を突きつけられて、でも、何も誰にもわたしは言い出せずにいた。
手の中に握り締めた、わたしの誕生石でもない『アイオライト』という石のペンダント。
我が町に珍しく雪が舞い落ちてきた。
我が家の2階から子供のように雪玉を転がす心音(ここね)の姿が見えた。
わたしがこの冬に編んであげた、毛糸のマフラーを巻き、毛糸の手袋をはめて。
「おーい、万里唯(まりい)、いっしょに雪だるま作らないか」
・・・・・・ふたり、子供の頃に此処で雪だるま作ったよね。
心音(ここね)とわたしの幼い頃の姿が直ぐ目の前で雪玉を転がしている。
「おーい、万里唯(まりい)、早く降りて来いよー」
「わかった。今降りていくよー」
わたしは心音(ここね)とお揃いの、毛糸のマフラーを首に巻き、毛糸の手袋をはめて、
心音(ここね)が今いるその『場所』に、小走りに向かっていった。


第、862話 Samurai!Geisha!Cowboy! (2016.01.08)
202*年1月*日 テキサス州
息子「パパ、今動画サイトで日本の年末年始ニュースを見ていたのだけれどぉ、
年末年始カウントダウン、日本でウェスタンハットを被った若者大暴れだよぉ。
渋谷駅周辺では大規模な交通規制が行われ、逮捕者も多数らしいんだよぉー」
パパ「どれどれ、何で日本の若者は皆、年末年始にウェスタンハットを被り、
口に荒縄を咥え、それを片手で思いっ切り引っ張り、もう一方の手でウッド
ベース宜しくボンボン弾き、そのリズムに合わせてスキップをしているのだ?」
息子「実はパパ、以前僕が日本に留学していた時、お正月に友達との罰ゲームで、
初詣に出掛けた神社で、ウェスタンハットを被り、口に荒縄を咥え、それを片手で
思いっ切り引っ張り、もう一方の手でウッドベース宜しくボンボン弾きまくり、
そのリズムに合わせてスキップをしたんだ。その時日本のテレビジョンに映され
インタビューされ『これはテキサスの実家での年末年始行事』って誤魔化したら、
1年後の日本の年末年始ではじわじわと流行の兆しが表れていたんだ。その年の春、
僕はテキサスに戻ってきたけれど、まさか更に1年後これ程までの有り様になって
いようとは、いくらなんでも思いも寄らなかったんだよなぁ・・・・・・・・・」
パパ「日本という国はよそ様のお祭り事を欲しがる国なんだねぇ・・・・・・・」
息子「これに関して言えば、世界中の何処探しても日本だけだけれどもねぇ・・」


第、861話 決まり事 (2016.01.03)
スタジオのベテラン男性アナ「それでは中継先の○○アナ」
新人男性アナ「はい、わたくし新人アナウンサーの○○です。
今わたくしはゲームセンター『陥穽』に来ています。そして、
お正月特番らしく振袖を羽織った2組のアイドルデュオが・・」
フル&スイ「は〜い!わたしたち『フルーツ&スイーツ』で〜す」
カモとき「カモノハシときめきで〜す」
コビきら「コビトカバきらめきで〜す」
珍トゥ「ふたり合わせて『珍獣トゥインクル』で〜す。
『Wink』を超えるアイドルデュオを目指してま〜す」
フル&スイ「ずんぐりむっくりでスキンヘッド、眉毛が剃られちょび髭を生やし、
女性用振袖の上に金太郎腹掛けした中年おやじデュオだなんてアイドルじゃな〜〜い!!!」
珍トゥ「何なのさ、この平成生まれのこわっぱどもめが!!!」
新人男性アナ「まあまあ、本日はこの2組のアイドルデュオに
プリクラ対決をしていただきます。それぞれ3枚のプリクラを撮影
していただき、わたくしの独断と偏見で勝敗を決めさせていただきます」
フル&スイ「は〜い!撮ってきました〜」
新人男性アナ「1枚目はうさちゃんピース。2枚目は両手でハートマーク。
3枚目は元気にジャンプ!。はい!かわいい。3枚全て、はい!かわいい」
珍トゥ「はい!3枚全てかわいいプリクラ撮ってきました〜」
新人男性アナ「1枚目、女性用振袖の上に金太郎腹掛けした
ずんぐりむっくりがふたり並んで口を真一文字に仁王立ち」
フル&スイ「2枚目、女性用振袖の上に金太郎腹掛けした
ずんぐりむっくりがふたり並んで口を真一文字に仁王立ち」
フルスイ&新男アナ「3枚目、女性用振袖の上に金太郎腹掛けした
ずんぐりむっくりがふたり並んで口を真一文字に仁王立ち」
フル&スイ「こんな中年おやじデュオはアイドルじゃな〜〜い!!!」
珍トゥ「何なのさ、この平成生まれのこわっぱどもめが!!!」
フル&スイ「『かわいい』の『決まり事』が全く解ってないんだから」
珍トゥ「ララ〜ラララララ〜♪。゜『決まり事』って何なのでしょうか。
その多くの場合知らず知らず押し付けられた観念ではないでしょうか。
それが普通だと洗脳され認識してしまっているだけではないでしょうか。
本当は正しい信頼を守るための『決まり事』だったはずなのに、
間違った信頼を維持するための『決まり事』だったりしませんか。
そんな『決まり事』を受け入れる自分を誇らしく思っていたりしませんか」
新人男性アナ「はっ!目から鱗が落ちた!!!迷いから醒めた!!!
出来レースなんて真っ平だ!!!上からの圧力なんてうんざりだ!!!
この勝負、兎に角、『珍獣トゥインクル』の勝利で〜〜〜〜〜〜す!!!
・・・・・・ではスタジオにお返しします」
スタジオのベテラン男性アナ「宗教法人『総科学学問会』から『宜しく』と頼まれている、
アイドルデュオ『フルーツ&スイーツ』を何負けさせちまってんだよ、このバカたれが!!!」
ディレクター「うわっ、マイク入ってます!!!カメラ切り替わってます!!!」
スタジオのベテラン男性アナ「グワッッッ;;;ギヮオェエエエッッッ;;;」


第、860話 深層心理テスト (2015.12.27)
カモとき「カモノハシときめきで〜す」
コビきら「コビトカバきらめきで〜す」
珍トゥ「ふたり合わせて『珍獣トゥインクル』で〜す。
『Wink』を超えるアイドルデュオを目指してま〜す」
MC「眉毛を剃ったちょび髭中年おやじデュオですか。
本日は心理学者の先生をお迎えして深層心理テストをします。
では先生、お題をどうぞ」」
心理学者「あなたはバンドを組むことになりました。
あなたの担当する楽器は次の3つのうち、どの楽器?
1、打楽器 2、弦楽器 3、管楽器」
カモとき「『カモとき』は歌を歌ってま〜す」
コビきら「『コビきら』も歌を歌ってま〜す」
心理学者「次の3つでお願いします。
1、打楽器 2、弦楽器 3、管楽器」
カモとき「この人、用意してきた人格に当てはめようとしているわ」
コビきら「この人、強制的に深層心理を作り上げようとしているわ」
心理学者「あわわわ」
MC「あっ、次のお題にしましょうか」
心理学者「家の画を描いて下さい。煙突と窓もお願いします」
カモとき「はい、描きました」
心理学者「右上の余白に書かれたのは漢字の『田』ですか」
カモとき「窓です」
心理学者「家の左上に浮いている、それは筒状の・・」
カモとき「煙突です」
心理学者「あわわわ」
MC「うわっ、コビきらさんは・・・・・・」
コビきら「はい、描きました」
心理学者「ほう、こちらは画用紙一杯に描かれた大きく立派な家ですね。
窓も大きく描かれていますが黒く塗りつぶされています。この場合の深層心理は・・」
コビきら「表向きにはガラス張りを謳っても中は決して見えない、
日本の政治家や官僚が暮らす大きく立派な家なので〜す」
心理学者「あわわ、い、家の周りの人々は・・」
コビきら「エサのおこぼれに群がるコバンザメのような地方公務員で〜す」
心理学者「あわわ、い、家の下にも人々が・・」
コビきら「政・官に人柱にされた庶民の姿で〜す」
心理学者「あわわわ」
カモとき「カモノハシときめきで〜す」
コビきら「コビトカバきらめきで〜す」
珍トゥ「ふたり合わせて『珍獣トゥインクル』で〜す。
『Wink』を超えるアイドルデュオを目指してま〜す」
MC「・・・次のコーナーいっちゃって」
女子アナ「わあ!深層心理テストってとてもよく当たりますね;;
さて、本日の知っ得情報コーナーは・・・・・・」
カモとき「この女、まるでロボットみたいだ」
コビきら「この女、周到に用意されたセリフしか言えないんだ」
ディレクター「うわっ、収集が付かない」
プロデューサー「『総科学学問会』から『宜しく』と頼まれていた、
総科学学問会員の、心理学者の先生なんだよなぁ、俺、飛ばされる」
MC「この番組今日で終わる・・ 俺も首になる・・」


第、859話 融合 (2015.12.20)
妻「名古屋名物の店にしやぁ!」
夫「大阪名物の店にするでぇ!」
妻「おみゃーさんに小倉トースト十字手裏剣!」
夫「ほんならめっちゃうま!串カツ棒手裏剣や」
妻「その串カツにたっぷりつけてみそかけてみそ!!」
夫「やりおったな!小倉トーストにはマヨネーズ!!」
妻「秘伝のタレで調味されたどえりゃあうみゃ〜手羽先」
夫「ジューシーな豚肉と玉ねぎで拵えた名物!!豚まん」
妻「その豚まんには海老天を突き刺したろか!!」
夫「その手羽先はお好み焼きの具になるでぇ!!」
妻「ウナギの蒲焼を用いたひつまぶし風たこ焼き」
夫「たこ焼きにウナギの蒲焼を入れたひつまぶし」
妻「あれ」 夫「おや」
夫・妻「そして出来ました!当店自慢のメニューの数々。
お互いの文化を分かち合うことで平和を取り戻しました」


第、858話 男装喫茶『気迷い』 (2015.12.12)
A子「ねえ、男装喫茶って行ったことある?」
B子「行ったことあるわよ、ねえ、C子は?」
C子「女性が炭坑夫のコスプレしてお客様をお迎えするコンセプトカフェの事?」
A子「あんた、一体どんな男装喫茶に行ってるの?」
C子「あれ、女性が槌と鏨を持った採鉱夫コスプレカフェの事だよね?」
B子「あんた、一体どんな街の男装喫茶に行ってるの?」
C子「女性が狩猟をするネアンデルタール人の全身タイツ&特殊メイクで・・」
A子・B子「強制終了!!!」
C子「よし!今からおまえら二人をその店『気迷い』へ連れてってやる」
A子「ウソ?!」B子「マジ?!」
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A子「空き店舗だね」B子「夜逃げっぽいね」
C子「・・先週来た時は営業してたのに」
A子「よし、よし」B子「良い子だ、泣くな」


第、857話 日本の常識は非常識 (2015.12.06)
カモとき「カモノハシときめきで〜す」
コビきら「コビトカバきらめきで〜す」
珍トゥ「ふたり合わせて『珍獣トゥインクル』で〜す。
『Wink』を超えるアイドルデュオを目指してま〜す」
MC「スキンヘッドの中年おやじデュオですか」
カモとき「『片付け上手は捨てる事』と言われてますが、
『カモとき』はそれは絶対違うと思いま〜す」
コビきら「『コビきら』は安売りで衝動買いした
ジージャンを長い間着ることはなかったけれど、
10年以上経って着始めた今ではすこぶるお気に入り!」
カモとき「『カモとき』は、商店街の抽選会で当たった
地味なスニーカーを履かずに仕舞ったままだったけれど、
10年以上経って履き始めたら今ではすこぶるお気に入り!」
珍トゥ「詰まり、『片付け上手は無闇に物を捨てない事』」
カモとき「カモノハシときめきで〜す」
コビきら「コビトカバきらめきで〜す」
珍トゥ「ふたり合わせて『珍獣トゥインクル』で〜す。
『Wink』を超えるアイドルデュオを目指してま〜す」
MC「スキンヘッドでちょび髭の中年おやじデュオですか」
カモとき「国民よ、以前捨てた物を必要になると
無駄買いする行為に喜ぶ連中に騙されるな!!!」
コビきら「庶民よ、以前捨てた物を必要になると
無駄買いする行為で得する連中に騙されるな!!!」
MC「・・・・・・え、あの、生放送なんですよっ!」
コビきら「『コビきら』は、20年以上前に頂いて、
シャワー派のため今まで未使用だった入浴剤を
近頃足湯に使い始めてもうたまらなくお気に入り!」
カモとき「『カモとき』は、20年以上前に頂いた
木工用電動工具一式を最近物置から引っ張り出して、
『整理棚』を拵え、部屋の中がとってもスッキリ!」
珍トゥ「詰まり、『片付け上手は無闇に物を捨てない事』」
カモとき「カモノハシときめきで〜す」
コビきら「コビトカバきらめきで〜す」
珍トゥ「ふたり合わせて『珍獣トゥインクル』で〜す。
『Wink』を超えるアイドルデュオを目指してま〜す」
MC「スキンヘッドでちょび髭、金太郎腹掛けの中年おやじデュオですか」
カモとき「国民よ、騙されるな!!!」
コビきら「庶民よ、騙されるな!!!」
MC「・・・次のコーナーいっちゃって」
女子アナ「本日の知っ得情報コーナーは、
整理整頓『片付け上手は捨てる事』です;;」


第、856話 涙を流すロボット (2015.11.29)
「ロボット工学博士、あなたに問う。
己の意志で動くロボットは開発可能か」
「何故そのようなことを問うのじゃ」
「我々の国はこのまま戦争を始めても負けてしまう。
何れ我々は戦争を拒む非国民を処刑し続けるが、しかし、
兵士を選ぶ国民どもの多くは所詮貧弱で戦力に乏しい。
己の意志で動くロボット兵士が今すぐ我が国に必要なのだ」
「己の意志で動くロボット、詰まり、感情を持つロボット
に必要なのは、そりゃ、『恋』や、『夢』や、『涙』じゃな」
「博士、我々に必要なのは戦に必要な意志で動くロボットだ。
『恋』や、『夢』や、『涙』など、ロボット如きに必要ない!」
「おまえ達は感情を持たないロボット以下じゃな」
「なんだと!貴様」
「おや、一応、『怒り』と言う感情は持っていたのかい。失敬失敬」
「おい、この役立たずな糞じじいを始末しておけ」
「おまえ達のために昇る『朝日』など無いじゃろう」
とある町外れにある古びた研究所に銃声が鳴り響いた。


第、855話 告白のシチュエーション (2015.11.22)
女性から男性への告白には幾通りかのシチュエーションがある。
例えば、ふたり、夕日をバックに・・
201*年〜202*年、国民皆兵の日本。
召集令状が来た男性に女性が思いを告げる。
後、その男性は特別攻撃隊として自爆攻撃・戦死。
例えば、ふたり、波の音を聴きながら・・
201*年〜202*年、国民皆兵の日本。
召集令状を握り締める男性に女性が思いを告げる。
後、その男性は戦地で敵兵を殺せとの命令を拒否し処刑される。
例えば、ふたり、夜の公園のベンチで・・
201*年〜202*年、国民皆兵の日本。
召集令状を破り捨てた男性に女性が思いを告げる。
翌日、公園で首を吊った男女の遺体が発見される。
女性から男性への告白には幾通りかのシチュエーションがある。
例えば、ふたり、互いに見つめ合いながら・・


第、854話 美女の膝まくらで耳かき (2015.11.13)
本日は○○小学校のアイドル。6年○組、
御前姫奈(みさきひめな)のお誕生日会。
毎年、姫奈のお誕生日会では招待された
男の子たちによるパフォーマンス対決が行われ、
このガチバトルの勝者は姫奈の膝まくらで
耳かきしてもらえるという特典が用意されている。
優勝候補や常連組に交じり、今年は転校してきた
ばかりの紙谷巧人(かみやたくみ)が招待され初参戦。
年々過激度が増している男の子たちのパフォーマンス。
己の鼻をグーで殴り鮮血にまみれる鼻血パフォーマンス。
己の目の中に酢漬けらっきょを入れるらっきょ瞳パフォーマンス。
号泣しながら卵かけご飯のイラストを描く図解パフォーマンス。
年々過激度が増している男の子たちのパフォーマンス。
そんな中、初参戦の紙谷巧人は敏速に折り紙を一つ折って姫奈に手渡した。
切り目を入れずに一枚の折り紙で折られた、題して『美女の膝まくらで耳かき』。
それを手にした姫奈は「わたし、これを幼稚園の頃もらったことがある」。
紙谷巧人は「両親の離婚で姓が変わって、旧姓は『山折巧人(やまおりたくみ)』
姫奈「山折巧人くん?やはりあなたはあの折り紙名人の山折巧人くんなのね!」
巧人「そうさ。でも、お姫様気取りのキミなんて僕は嫌いだよ」
そう言い残して紙谷巧人は姫奈の家を出て行ってしまった。
優勝候補や常連組が口々に「さあ今年の勝者は?」と問う。
姫奈は「勝ち負けなんかじゃないの」と言い残し、
耳かきを手に紙谷巧人の後を急いで追い掛けていった。


第、853話 断片的な記憶 (2015.11.08)
ちょうど去年の今頃の話。
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「ちょいとそこのおにいさん、ジグソーパズルはいらんかね」
「ジグソーパズルの露天商なんて珍しい」
「物は試しに作ってみては如何かな」
「ジグソーパズルなんてとんちんかんな俺には無理だから要らないよ」
「300ピースほどのジグソーパズルだから訳ないよ」
ジグソーパズルなんて興味がなかったのについ乗せられ買ってしまった。
箱には『記憶』という文字のみで何が出来上がるのかさえも分からない。
しかも作っていく過程でどうしても合わないピースが紛れていることに気付く。
取り敢えず完成はしたがやはり5ピース余ってしまった。
組み立てられたジグソーパズルは見覚えのある園児の集合写真。
頬杖付いて寝そべるグラビアアイドル滑り台。グラビアアイドルの膝に座れるブランコ。
園庭に埋めたタイムカプセル。園児だった頃の俺の断片的な記憶が一つひとつ甦ってくる。
そうだ!タイムカプセルを掘り起こす約束は明日の日曜日ではないか!!!
翌日、俺は卒業した幼稚園を訪れた。
すると、ジグソーパズルの集合写真を成長させたような顔ぶれがそこに集まっていた。
俺たちは園長先生の許可の元、グラビアアイドルの女豹ポーズお山の辺りを掘り起こした。
記憶を辿りながらだったけれど、俺たちのタイムカプセルは確かにそこに埋められていた。
そしてタイムカプセルの中にはジグソーパズルと同じ一枚の園児の集合写真。
この写真を撮ったのは確か当時の園長先生だったはずだ。
そうだ。タイムカプセルを掘り起こす約束の日が近付いた頃には
園長先生が俺たちに可能な限り連絡をしてくれるはずだったんだ。
「父は5年前に突然倒れてね、既に亡くなっているのよ」
現在の園長先生は当時の園長先生の娘でその当時はまだ学生だった。
「わたし、ジグソーパズルを買わされてタイムカプセルを思い出したのよ」
「あれ、僕もだ。露天商のおやじに買わされて」
「俺もだよ!でさ、5ピース余ってさ、今日ここに持ってきてるよ」
「あれ、僕も何だか気になって持ってきてるんだ」
「わたしもよ、ほらね」
集まった20人がそれぞれ5ピースで100ピース。それを組み立てたら・・。
「ジグソーパズルの露天商のおやじだ!!!」
「待てよ、よく見たら見覚えある顔だ!!!」
「そうだ、当時の園長先生じゃないか!!!」
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あれから一年が過ぎた。
不思議なことにあのジグソーパズルはあの場に居合わせた20人が
それぞれ何時どうして消えて無くなってしまったのか分からず終い。


第、852話 光を求めて (2015.11.01)
わたしは外出時には常に消毒用エタノールを入れた
携帯用ミニスプレーボトルを持ち歩いて生きている。
透明の容器に透明の消毒用エタノール。
一点の曇りもない純粋無垢な、わたしの親友。
キミは己の体液で日本に氾濫する毒性からわたしを救う。
透明の容器に透明の消毒用エタノール。
家族よりも長く一緒に行動する、わたしの親友。
キミは「シュッ」と叫び日本に氾濫する毒性を破壊。
透明の容器に透明の消毒用エタノール。
見つめ合えば常に心が通い合う、わたしの親友。
キミの向こう側に見える国はやがて荒れ狂うキミの体液に沈む。
わたしはキミと方舟に乗り何時しかその方舟の窓を開く。
その時わたしは一点の曇りもない純粋無垢な世界を目にする。


第、851話 致命的 (2015.10.24)
ある日、ウィコペディアさんが、このウィコには
「致命的」という名前のページがあります。と表示。
『致命的は、○○自動車が生産、販売している自動ブレーキ機能乗用車』
『致命的は、日本の女性アイドルグループ』
『総合工事業者、○○致命的建設』などなど。
ちょっくら歩いただけで出会った、『致命的』
と呼ばれる大型犬を引きずって歩くどっかのおばさん。
ドラックストアーで売られていた『致命的』と言う医薬品。
レポーターが乗るのをためらう最新ジェットコースター『致命的』。
気付くと日本は右を向いても左を向いても『致命的』だらけ。
ふぐ料理店『致命的』。雑居ビル内にあるメイドカフェ『致命的』。
セキュリティソフト『致命的』。『致命的○○○発電所』。
遂に日本が再び戦争を開始した。
気付くと日本は右を向いても左を向いても『致命的』だらけ。


第、850話 教育実習生刑事 (2015.10.17)
教育実習生、大喜多サキ。
彼女は某コミックスのファンである母親から、
そのコミックのヒロインの名前を付けられ、
母親の影響で自らを『教育実習生刑事』と名乗った。
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「先生、先生が教育実習期間を終了するまでに、
私、先生に調べていただきたいことがあるんです」
女子生徒会長の南條優佳に呼び止められ、
大喜多サキは大いに目を輝かせた。
学園の中で起きる犯罪事件を捜査するチャンスが訪れたのだ!
「この学園では以前から黒い噂が絶えず、
私、自力で噂の真相を突き止めようとしたら、
私の家に度々脅迫文が届くようになったんです」
大喜多サキはそりゃもう極度の興奮状態。
学園の中で起きる犯罪事件を捜査するチャンスが訪れたのだ!
「此処の学園の教師達は見えない力で押さえ付けられ
及び腰で誰一人として信用出来る先生はいないのです」
大喜多サキは喜びを通り越して大爆笑!!!
「先生!大丈夫ですか」
「えっ?だ、大丈夫よ」
大喜多サキは早速捜査を開始した。
そんな大喜多サキに魔の手が忍び寄った。
この学園で問題児とされている上級生数人に脅された。
「先生よ、おとなしく教育実習期間を終了させて
この学園からとっとと消えな!そのほうが利口だ」
数日後、担当クラスの生徒が一人飛び降り自殺した。
その生徒は大喜多サキに『将来アイドルになりたいと
思っているけれど他の先生に言ったらどうせ笑われるから、
大喜多先生にだけ相談したいの』と笑顔で話していた娘だ。
本当に自殺なのだろうか?やはりこの学園で何かが起きている。
そんな時、大喜多サキに垣見紗幸という生徒が話し掛けてきた。
「先生何かこの学校で調べているでしょ?!!
何だか怖い顔した上級生達が最近熱り立っているようよ。
実はね、先生。この学園には闇の支配者がいるのよ。
先生も十分注意したほうがいいわ!」
垣見紗幸という生徒の言葉は脅しのようにも聞こえた。
それでも大喜多サキが捜査の手を緩めずにいると、
突然大喜多サキの目の前を五寸釘がダーツの矢の如く
飛んできて校庭の樹木に何本も何本も突き刺さった。
その時も垣見紗幸は現れ以前と同じ事を繰り返し言った。
「先生、十分注意しなければダメだと言ったはずよ!」
次の日、大喜多サキは何者かに呼び出しを受けた。
《本日、○○廃工場跡に来い》
大喜多サキはお祭り騒ぎで廃工場跡にやって来ると、
以前大喜多サキを脅した怖い顔した上級生数人が
鉄パイプを振りかざし大喜多サキに襲いかかってきた。
大喜多サキは待っていましたとばかりに、幼き頃から
母親と共に練習を繰り返してきたヨーヨー捌きで
怖い顔した上級生数人を蹴散らすと、ヨーヨーに
飾られているニセ桜の代紋を見せ満面の笑みを浮かべた。
怖い顔した上級生達は口々に言った。
「私たちは今、底知れぬバカな女と闘っているのかも知れない」
油断した、怖い顔した上級生達の眉間やこめかみに大喜多サキのヨーヨーが炸裂。
飛び上がり喜ぶ大喜多サキの頬をダーツの矢の如く飛んできた五寸釘が傷を付けた。
一人の生徒が大喜多サキの目の前に現れた。
「先生、調子に乗りすぎじゃない」
「闇の支配者はあなただったのね。もっと早く気付けていたら
生徒を一人死なせずに済んだのかも知れない。
何故、あの娘(こ)は死ななければならなかったの」
南條優佳は答えた。
「私の正体を知ってしまったからよ。
私の父親は日本の政治を影で操る極右団体の代表よ。
だから此処の学園の教師達は誰一人として私に逆らえない。
毎年この時期に訪れる教育実習生には脅しを掛けておくためにわざと
私から相談を持ちかけるのよ。あなたのようなバカは始めてだったけどね」
南條優佳が再び大喜多サキに五寸釘を投げつけようとしたその時、
刑事部の突入班が廃工場跡に突入してきて南條優佳を逮捕した。
「垣見紗幸さん」
「先生、だから十分注意しなければダメだと言ったでしょ。
わたしは警察のある人物から極秘の任務を受けて活動する
非公式の刑事なの。結構歳もサバ読んで学園に侵入したけどね。
これで日本の政治を影で操る、南條優佳の父親もお終いだわ」
大喜多サキは突然腰を抜かしその場に座り込んでしまった。
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大喜多サキは南條優佳に殺された、将来アイドルになりたいと
語っていた生徒の墓に花を供え手を合わせながらこう言った。
「南條優佳は未成年だから然程重い罪には問われないらしいわ」


第、849話 月にかわってがんもどき (2015.10.11)
「で、我が社のがんもどき売上向上のための販売促進計画立案は?」
「まずは企業マスコット・キャラクター制作が最も重要な経営課題です。
だからといって『ゆるキャラ』などでは既に古すぎるのです。
これからの時代は『グロキャラ』であると捉えています」
「何故にこれからの時代は『グロキャラ』であると?」
「憲法9条の改正を掲げた戦争党が大勝利し、安全保障関連法案という
戦争法案が可決・成立。原発事故に見舞われながら易々と原発再稼働が
実現するこの国の国民性を考えるとこれからの時代はやはり『グロキャラ』。
『網でこんがり焼かれ苦悶の表情を浮かべるがんもどきちゃん』や、
『我が身を箸で突き刺され無念の表情を浮かべるがんもどきちゃん』などの
イラスト作成が順調に進んでいます。大半の日本人はこれに飛びつくでしょう。
次に大型スーパーにコーナーを設けて販促イベントを開催。
そして『その場で当たるくじ引きキャンペーン』を実施。
『網でこんがり焼かれ苦悶の表情を浮かべるがんもどきちゃんストラップ』や
『我が身を箸で突き刺され無念の表情を浮かべるがんもどきちゃんクッション』。
『生姜醤油がしみて身をよじるがんもどきちゃん抱き枕』グッズを計画中です。
もちろん着ぐるみ製作も怠りません。『がんもどきちゃん文具』も販売します。
大半の日本人がワクワク・グログロする『がんもどきちゃん』グッズの数々です」
「しかしだ!がんもどきはそもそも日本を代表する料理、国民的英雄食品だぞ!!!」
「はっ!ならばこうしましょう。我が社のがんもどきには紅生姜を大量に使いましょう。
で、キャラクターは、軍服羽織った『返り血浴びたがんもどきちゃん』というのは?
これなら大半の日本人がワクワク・グログロすること請け合いですよ、社長!!!」
「大日本帝国万歳!!!」
・・そして月日は流れ。
「給料は一切払えん。『がんもどきちゃん』グッズなら好きなだけ持っていってくれ」
「社長ぅ・・・・・・・・・・」


第、848話 祈り (2015.10.03)
とある町のとある教会の礼拝堂中央。
十字架に架けられたイセス・キシストの像。
僕は神に祈ることよりも神に対して不信感を抱いていた。
もし本当に神がいるのだとしたら
その神こそが悪魔なのではないのだろうか。
実際には『神』は『神』と呼ばれる追えない偶像。
ならば神の独り子とされるイセス・キシストこそが
実際には『神』=『悪魔』なのではないのだろうか。
だとすると、キシストがユパに裏切られローア政府に
十字架の刑に処せられた事も実は悪魔であることが
悟られていたからではないのだろうか???
若しや、鳥原の乱で天草五郎を始めとするキシリタンが
迫害を受けたのもキシスト教にサタニズムの臭いを知覚し
それを悟られたからではないのだろうか???
僕はこの十字架に架けられたイセス・キシストの
像の心臓部に杭を打ち込もうかと本気で考えていた。
気付くと僕の直ぐ隣で幼い女の子が祈りを捧げていた。
背後からの声に振り向くとその女の子の母親が佇んでいた。
その女の子は去年亡くなった飼い犬に会えるように
此処に祈りに来たのだと女の子の母親は僕に語ってくれた。
「この期に及んで何故神を信じることが出来るのですか」
僕は女の子の母親に叫んでみたが女の子の母親は
「『信じる』よりも『祈り』なのです。
私たちは祈ることしか出来ないのですから」と嘆いた。
僕は教会から出ていったその親子を、血を流し死亡している
神父を飛び越え追い掛けたが、宙を舞うコンクリートの
粉じんの中、もうその姿を追うことは出来なかった。
振り返ると空襲による爆撃で半壊した教会。
見渡せば全壊した建物。二度と動くことはない人々。
あの親子は旅立った先で一体何を知るのだろうか。
女の子は亡くなった飼い犬にそこで会えるのだろうか。
『私たちは祈ることしか出来ないのですから』
女の子の母親の言葉を僕の脳裏から掻き消すかの如く、
何処からかとても大きな爆発音がこの町に響き渡った。


第、847話 輪廻 〜揺り籠に眠る死屍〜 (2015.09.26)
とある都市の公園内に平和を念願し造られ建てられた、
揺り籠に眠る幼児を見詰め微笑む母親の石像がある。
『二度と同じような悲劇が起こらないように』
過去に核兵器によって壊滅したこの都市の再建念願と、
犠牲者の冥福を祈って造られ建てられた、
揺り籠に眠る幼児を見詰め微笑む母親の石像がある。
たった今その石像の表面は黒く変色し鼻や指は欠け落ちた。
その像から見渡す限りの景色は焼き尽くされ破壊された。
異常な高熱火災により変形したジャングルジム。
木製の座板を失い鎖だけが垂れ下がったブランコ。
熱線の直射を受けた母と子の炭化された死骸が公園のあちらこちらに転がり、
爆心地を中心に広い範囲で大量の放射線が『人々の暮らし』に降り注いだ。


第、846話 国民は国家の家畜なう (2015.09.19)
A「国の政権が生まれてから死ぬまで国家に銭を貢がされる
家畜国民を生産・育成するゲームを知っているだろうか???」
B「まあ国民は生まれる前から死んだ後まで間接的に銭を毟り取られるけど」
A「行政権を持つ政治家が手っ取り早く稼げるように
戦争の出来る国へしれっと変えていくため憲法違反を始める」
B「それで?」
A「女の子は将来軍事工場労働者として。また、繁殖用のメスとして。
男の子は将来国家のために他国の人間を殺害する軍隊の一員として。
行政権を持つ政治家が軍需産業を肥らせ裏金で政治家自らも肥えるため、
日本列島で家畜国民の畜産を営むゲームなんだけど」
B「何だかおぞましいゲームだな。そんなゲーム、何処で売っているんだい」
A「売られてはいないよ。現実に現在進行形の今この時この瞬間だよ」


第、845話 タオルを振り回せ (2015.09.13)
あの頃、日本ではタオル振りが増殖を続けていた。
ロックスターから声優ライブやアイドルグループ。
演歌歌手から浪曲師。夏は盆踊りの振り付けにも。
オーケストラの指揮者は片手に指揮棒、片手にタオル。
ママさんコーラス。少年少女合唱団。ガキ大将リサイタル。
選挙演説では立候補者やそれに集まった有権者に至るまで。
学校の校則では『学校の許可無く校内でのタオル振りを禁ず』
歩行中のタオル振りによる社会問題。運転中のタオル振りに罰則。
こうなってくるとタオルを振る行為は何から何まで悪行扱い。
やがて政府は国民によるタオル振りを全面禁止。
怒った国民はデモ行進。機動隊と激突。逮捕者。死亡する若者まで。
国民は皆口々に「いつの間にか何かが違ってしまった」と嘆き悲しんだ。
瀬戸内海に面するとある県が『タオルの代わりにうどんを』と提唱し蔑まれた。
テレビ番組や映画ではタオルを手にする映像すら全て自主規制。
過去にタオルを手にした映像は再編集でカットされビデオ販売。
過去に購入された、タオルを振り回す映像のビデオや写真集
などの単純所持さえ法律で禁止さ摘発対象になり遂に逮捕者まで。
「動画サイトで映像を手に入れた」という逮捕者は「タオル振り
映像に興味があった」と容疑を認めるも、ネットを中心に
『警察のさじ加減でどうにでもなるのでは』といった危惧も。
最初にタオル振りを悪行にしたのは一部のマナーが悪い連中だった。
最もタオル振りを悪行に変えたのは行き過ぎた間違った法律だった。
あの日あの頃確かに誰もが平和に楽しく笑顔でタオルを振り回していた。


第、844話 踊ってみた (2015.09.06)
開店祝いで開店日限定無料サービスの占い館に訪れた日。
『霊感占い』霊能者ねぇ。まあ開店祝いで無料だし・・。
「あの〜、、」
「あなたは最近良くないことが立て続けに起きてますね!!!」
「えっ、、は、はい・・ かな?」
「あなたは最近人形かぬいぐるみを捨てたり無くしたりしませんでしたか???」
「あー、、そう言えば鮭皮イラストのTシャツがいい加減よれよれになって・・」
「それです!私には見えます。あなたの後ろで鮭がピチピチ飛び跳ねています」
「ど、どうすれば・・・・・・・・・・」
「暫くは毎日わたしの所に通いなさい」
「あ、あの、、失礼します;;」
くそぉ、如何様霊能者め!貴様は戦争党の政治家か!!!
---------------------------------
『手相占い』王道だね。まあ開店祝いで無料だし・・。
「あの〜、、好きな人が・・」
「だったらコクってみたら」
「そ、、そのために占いを・・」
「感情線に島が出てるね。あなたはイライラしやすい性格だから振られるね」
「そ、その『島』を消し去る方法は?」
「悲観的にならんでも。所詮手相は変わるものだし」
「所詮って、あーた」
「当たるも八卦、当たらぬも八卦」
くそぉ、手相占いめ!貴様はやっつけ仕事公務員か!!!
---------------------------------
『携帯ストラップ占い』ありなのか???
「どのような携帯ストラップを?」
「それよりその『携帯ストラップ占い』のロゴマーク???」
「・・・・・・・・・・な、なんですか?!!」
「なんかどっかで見たことあるような・・・・・!!?」
「単調なデザインは他のデザインと被るものだ!!!」
「国家総包みでデザインの類似性を否定するつもりですか?!!」
「ベルギーのデザイナーなど恐るるに足らず」
・・・・・・・・・・結局占って貰えず追い返された。
くそぉ、携帯ストラップ占いめ!貴様は何処ぞのパクリデザイナーか!!!
---------------------------------
因みにあっしの携帯ストラップは『へのへのもへじ』なんだけどさ。
「あっ!へのへのもへじだ!!!」
「だれがへのへのもへじじゃ!俺は榎村平治(えのむらへいじ)だ」
「開店祝いの占い館に行ってきたんだけどね」
「ふ〜ん、何を占ってきたんだよ」
「相性について」
「誰との???」
「え?・・ポチ」
「犬飼ってんだ」
「亀なんだけど」
「・・・・・・」
「ポチと一緒に動画サイトに『踊ってみた』を上げたいんだけど
なかなかポチはあっしと一緒に踊ってくれなくて困っているのよ」
「単体では踊るのか???いや、俺ちょっと用が出来たから」
・・・・・・・・・・相変わらず鈍い男だ。
とある家の塀にへのへのもへじの悪戯書き。
・・・・・・・・・・この町は昭和か!!!
そうだ!これも何かの縁だ!恋愛成就しとこ!
「へのへのもへじ殿、あっしの片想いは成就しますでしょうか?」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・しかとか!!!
本屋に立ち寄るとへのへのもへじ、元い、榎村平治がいた。
「あっ!今ペットのしつけ本探してみたんだけど犬の本ばっかりだな」
「亀のしつけ本って、あーた;;」
「俺が亀の着ぐるみを着ておまえと一緒に踊るってのはダメかな?」
この発言が此奴なりの告白だったことに気付くのにそれなりの時間を要した。
・・・・・・・・・・相変わらず不器用な男だ。
---------------------------------
・・・・・・・・・・そして。
アイドルグループ『幼児体型』の新曲『お腹がぽこん』の振り付けを覚え
アップされたあっしと一匹?の『踊ってみた』動画は人気を博し現在に至る。


第、843話 鴉の正羽 (からすのはね) (2015.08.30)
『指を詰めてケジメつけさせていただきます』
『指を詰めるなんて古臭い』
『では自分はどうすれば・・』
『貴様は剃り込み角刈りがトレードマークだから
今後は髪を伸ばしてツインテールにするんだな』
『自分は今後ツインテールにさせていただきます』
『高い位置でのツインテールだぞ』
『高い位置でツインテールにさせていただきます』
『可愛くなれるのか』
『可愛くならせていただきます』
---------------------------------
女子高生A「『刺青少女娯楽部』連載のこの漫画の続きが気になるのよね」
女子高生B「『刺青少女娯楽部』は予約購入しないと売り切れちゃうのよね」
女子高生Aは『刺青少女娯楽部』新人漫画賞に『鴉の正羽』と言う作品を只今制作中であった。
---------------------------------
ー 鴉の正羽 ー
とある高校の女子高生は美術部の部長に恋い焦がれていた。
この女子高生は落し物ボックス常連で有名なドジっ娘だ。
ある日美術部の部長は女子高生に一通の手紙を手渡す。
その手紙には鴉の正羽のイラストだけが描かれてあった。
「この手紙を落とされたら大変だからね」
その手紙を無事落とさずぬ家に辿り着けた女子高生は
若しやこれは暗号化されたイラストなのではないかと
家に帰るやいなや直ちにその手紙と睨み合いを始めた。
注意深く見るとその鴉の正羽のイラストは羽軸から横に伸びた
一本いっぽんの線が『モールス符号』である事に女子高生は気付く。
女子高生はインターネットを使い『モールス符号』を調べてみた。
『我が高校の生徒指導主任は○○校で女子トイレの
盗撮がばれて飛ばされてきた人物なので要注意である』
それは多分女子高生への告白の手紙ではなさそうだった。
何時しかその鴉の正羽のイラストが描かれた手紙は
多くの生徒に手渡されていて学校と生徒(鴉の正羽部隊)の
対立関係がPTAも巻き込んで急速に激化していったのであった。
---------------------------------
他校での不祥事で飛ばされてきたと噂の生徒指導主任は
女子高生Aが通う高校に実在する人物がモデルであった。
そして美術部の部長に恋い焦がれていることも・・。
そんなある日美術部の部長は女子高生Aに一通の手紙を手渡す。
その手紙には鴉の正羽のイラストだけが描かれてあった。
「この手紙を落とされたら大変だからね」
そう言うと美術部の部長は他の生徒にもその鴉の
正羽のイラストが描かれた手紙を手渡していった。
女子高生Aは呟く。「・・・・・・あれおかしいな。」
窓ガラスに大粒の雨が当たる音が学校の廊下に響き始めた。


第、842話 マイクに向かって叫ぶんだ (2015.08.23)
わたしはアイドルグループ『幼児体型』の最年少。
リアル『幼児体型』な妹キャラとして愛されている。
所謂『不思議ちゃんキャラ』とも散々言われ続け、
主食が『たまごボーロ』だと言うことも周知の事実。
だけどわたしだっていつまでも子供のままではない。
そんなわたしに成長の証を叫ぶチャンスが巡ってきた。
ネットで生放送の大声対決。マイクに向かって世界へ叫ぶんだ。
120デシベルは叩き出す自信はあるけれど大切なのはその内容。
他のメンバーでは到底口に出来ない大人の発言でなきゃダメだ。
遂にわたしの番が来た。本日から世間のわたしへの評価が変わる。
わたしは大きく息を吸い込むとマイクに向かって絶叫した。
「サバ缶は安くてしこたまありがてぇーんだよぉ!!!!!!」
---------------------------------
わたしはアイドルグループ『幼児体型』の最年少。
リアル『幼児体型』な妹キャラとして愛されている。
所謂『不思議ちゃんキャラ』とも散々言われ続け、
主食は『たまごボーロ』で副食が『サバ缶』だと
言うこともあの大声対決のあの日から周知の事実。


第、841話 後ろからギュッ (2015.08.15)
編集長「低迷するハードボイルド劇画誌の廃刊に
伴い今度新刊されることとなった少女漫画誌の
編集長を任されることになったのだが、そこでだ。
ハードボイルド劇画誌から付き合いが長い君たちに
是非、少女漫画へ移行して仕事を請け負ってほしい」
漫画家A「俺、描けますよ!少女が求めている
シチュエーションなら今や壁ドンでしょ」
編集長「それだ!で、どんな展開???」
漫画家A「少女が喜ぶイケメンキャラなら剃り込み角刈り。
つり上がった細いギラギラお目々で頬に傷を持つ厳つい男が
金髪ロングに真っ赤な口紅の少女をがっつり壁に押さえ付け、
顔面を殴ると見せかけて女の頬すれすれに壁に正拳突き。
そして、『小娘はとっととおうちに帰りな』でどうよ」
編集長「それだ!壁ドンだ!いける絶対いける!!!」
漫画家B「よーし!それなら俺は床ドンだ。
元燻し銀プロレスラーで飲み屋の用心棒にまで
成り下がった男が失恋して酔って暴れている少女の
頭をぽんぽんからのツームストン・パイルドライバー」
編集長「それだ!床ドンだ!で、どんな展開???」
漫画家B「しかし、客の少女は懐に忍ばせていた五寸釘
をダーツの矢の如く扱う。その五寸釘は慌てて避ける
元燻し銀プロレスラーの頬を傷付けながら次々と壁に
突き刺さっていくのであった」
編集長「おお、今度は五寸釘壁ドンか!!!」
漫画家C「おまえら勉強不足なんだよな。
最近の少女の憧れは『後ろからギュッ』なんだぜ。
で、男が少女の耳元でそっと囁くんだ」
編集長「いいぞ!で、どんな展開???」
漫画家C「後ろからギュッした鼻ピアス少女の耳元で、
『今、おまえの手首に掛けた手錠の先にぶら下がって
いるのは三分後に爆発する爆弾なんだ』ってな。
で、鼻ピアス少女が、『いいわ。あなたと死ねるのなら本望よ』
男、『組長の女に手を出しちまったんだから仕方ねーや』
女、『いくらアイツでも地獄の底まで追い掛けては来ないわ』
男、『おまえを抱きしめながら吹っ飛んでやる』ってなーー」
編集長「いける!新刊いけるぞ!少女の心を鷲掴みだ」
漫画家ABC「で、その少女漫画誌のタイトルは?!!」
編集長「『刺青少女娯楽部』」


第、840話 恋するシッカロール (2015.08.09)
アイドル黄金期と呼ばれていた80年代。
人々の記憶に残るアイドルとは違い、
アイドル研究家すら知らないアイドルもいる。
最早それはレコードデビューをした事があるだけの一般人と言える。
僕の手元に僕がまだ若かりし頃に購入したシングルレコードがある。
『天花粉奈(てんかこな)』の『恋するシッカロール』だ。
レコードジャケット一杯に広がる飛び切り可愛い笑顔。
でも今やレコードジャケットの彼女は2次元キャラである。
現在の3次元の彼女は更年期真っ盛りな50歳前後であろう。
だがある夏の日に僕はレコードジャケット一杯に広がる
飛び切り可愛い笑顔のままの3次元少女と出会った。
衣装だって髪型だって今風ではあるが『天花粉奈』だ。
芸名も全く違っているとはいえその笑顔は『天花粉奈』だ。
非公認ご当地アイドルグループ『由比ヶ浜古人骨』の一員として、
フリーイベントでこれでもかと歌い踊っていたのである。
僕はこのご当地アイドルグループを応援し始めていた。
『由比ヶ浜古人骨』のイベントが開催されるなら僕は
何処へでもシッカロールを体中に叩き付けて応援に出掛けた。
ある日僕は『天花粉奈』に良く似たおばさんを
『由比ヶ浜古人骨』のイベント会場で見掛けた。
彼女こそ娘の応援に駆け付けてきた『天花粉奈』だった。
見た目は40歳前後で通用しそうな美しく目映い人だった。
未婚の母として子を産み育ててきた『天花粉奈』と
知り合い語らい月日は流れ、『由比ヶ浜古人骨』が
メジャーデビューシングルをリリースする運びとなった
そんなある日、僕は『天花粉奈』にシッカロールを手渡した。
「僕の体にこのシッカロールを叩き付けて下さい」との言葉を添えて。
それが僕の『天花粉奈』への精一杯のプロポーズだった。


第、839話 極暑だ!怪談だ!マタタビの、『だるまさんがころんだ』 (2015.08.02)
A「Dったら獣臭コーラを買いに行ったけど戻ってこないな」
B「とか言ってたら戻ってきたぞ」
C「おーい、コーラどうした???」
D「あの自販機故障してたぞ!買えなかった。金返せ!!!」
A「喉か渇いたけどまあ帰りにでもコンビニに立ち寄るか」
B「では廃墟の病院探検開始だ」
C「なんか此処本当にやばくね?!!」
A「残留物すげーな」
B「手術台もX線撮影装置も放置だもんな」
D「『だるまさんがころんだ』やらない?」
ABC「なんで???」
D「俺鬼になるよ!だるまさんがころんだ」
ABC「もう始まってんのか」
D「E君、動いた!!!」
ABC「誰??????」
D「コーラ買いに行った帰りに知り合ったんだよ」
ABC「だから誰???どこ???」
ピーポーピーポー
A「おい、救急車のサイレンじゃないのか」
B「廃墟の病院に傷病者を搬送してきたんじゃないのか」
C「なんか此処本当にやばくね?!!」
ウーウー
A「おい、パトカーじゃないのか」
B「やべえ、通報されたか???」
C「不法侵入で逮捕かよ、逃げようぜ」
ウーウー ウーウー ウーウー
A「おい、Dはどうした」
B「因みに『E君』も?」
C「やめてくれって;;」
A「あれ、交通事故があったんだな」
B「なんか轢き逃げみたいだよ・・」
C「あそこで血だらけで転がっているのって・・」
A「Dだよな」
B「Dだよね」
C「Dだけど」


第、838話 猛暑だ!怪談だ!マタタビの、『映し出される顔』 (2015.07.25)
わたしにはルームシェアをしている友達がいる。
その友達は心臓を患っていた。
そんな友達に買い物帰りのわたしはガラス製の球体の花瓶を見せた。
サンドブラストで彫刻が施されたその花瓶を手にわたしは、
「ねえ、一見美しいこの花瓶、古道具屋さんで見つけた
曰く付きの花瓶で、実は水を入れて上から覗いたりすると
近々お亡くなりになる人の顔が映し出される花瓶らしいの」
単純で恐がりの友達は簡単に脅えてしまい震えながら、
「上から覗かないように使った方がいいわね」と
何度も何度もわたしに念を押してきた。
わたしはその花瓶に水を入れて友達に強引に手渡した。
「ねえ、試しに上から覗いてみれば?」
わたしは友達の背後に回り込み友達の首からペンダントを外した。
そしてそのペンダントを水の入った花瓶の中に放り込んだ。
「サンドブラストで彫刻が施されているのだから
ちゃんと上から覗いてペンダントを取らなければね」
友達は花瓶をテーブルに置いて恐る恐る上から覗いた。
「・・・・・・・・・・私が映っている」
そのタイミングでわたしは友達の耳元で力強く叫んだ。
「わたしの彼氏といつから付き合っているのよ!!!」
友達は腰を抜かすようにその場にしゃがみ込んでしまった。
「そのペンダントはわたしの彼氏からプレゼントされたんでしょ」
友達は苦しそうに胸を押さえながらやがて息絶えた。
そう、友達は心臓を患っていたから。
わたしはその水の入った花瓶の中を覗きこう呟いた。
「勝者が映し出されているじゃないのさ」
テーブルには友達が飲もうとして入れてあったアイスティーが置かれてあった。
そのアイスティーの横に粉末が入った小瓶と便箋が置かれていることに気付いた。
わたしは何気にアイスティーを口にすると便箋に書かれた最初の文字に目をやった。
『遺書』
次の瞬間わたしの体は激しく痙攣しやがてわたしは息絶えた。


第、837話 異界 (2015.07.18)
わたしは某女性アイドルグループの一員。
以前お化け屋敷企画でひどい目にあった
バラエティー番組に再び呼ばれ罰ゲーム決定。
あの日、身の毛がよだつお化け屋敷企画で、
お化け屋敷を一目散に走り抜けたわたしに
今回はそんな真似はさせまいと新兵器登場。
椅子に縛られ身動きを封じられたわたしは、
ヘッドマウントディスプレイを頭部に装着させられ、
『お化け屋敷』か『ミラクルワールド』のどちらかを
選択する権利があたえられたのでわたしは迷うことなく、
『ミラクルワールド』を選択した。
「本当にそれでよいのか」と再三繰り返された
忠告に耳を傾けることもなく・・・・・・・・。
そして、ヘッドフォンも装着させられたわたしは、
一瞬のうちに世界の外側に放り出されてしまった。
---------------------------------
1番目の部屋では、手ぬぐいを姉さんかぶりした
浴衣姿のおばさん達がインドの伝統音楽に合わせ
何故かフラダンスを舞い踊っていた。
但し浴衣姿のおばさん達の腕は蠢くタコの足だった。
2番目の部屋は、廃工場の中だった。
凄まじい落書き。御多分に洩れない散らかり具合。
割れた窓ガラス。使われず錆びついた機械の数々。
そこに風景スケッチを描いている少女が佇んでいる。
その少女のスケッチに描かれていた風景は、
水が張られた田んぼに映る山々や木々の風景だった。
3番目の部屋は、ランドセルを背負った中年男が
涙を流しながら玉ねぎを切り刻む壮絶な姿だった。
気が付くとわたしは異界に足を踏み入れていたようだ。
ヘッドマウントディスプレイに映される映像の中に、
わたしの体や手や足が確かにこの目に見えている。
わたしは走った。この異界から逃げ出したかった。
4番目の部屋は、炎天下鼻血を垂れ流しながら
長い話を幸せそうに続ける何処ぞの校長先生の姿。
5番目の部屋は、洞窟を抜けると混浴風呂の看板。
更に洞窟を抜けると混浴風呂。また洞窟を抜けると混浴風呂。
混浴風呂に浸かっているのは決まってハゲ頭のオヤジばかり。
6番目の部屋は、おかっぱ頭の女の子と縁側に座って
代わる代わるあやとりをして遊ぶ血まみれの軍服男達。
わたしは走った。この異界から逃げ出したかった。
最後の扉が開いた時、目映い光とクラッカーの音が鳴った。
「ハッピー・バースデー」
---------------------------------
ヘッドマウントディスプレイとヘッドフォンを
外されたわたしにバースデーケーキが運ばれてきて、
ケーキのロウソクの火を吹き消すように言われたので、
正拳突きの風圧でロウソクの火を全て消して見せた。
やっと誕生日のサプライズである事に気付いたわたしは
笑顔になれたけれどその瞬間、見てはいけない物を見た。
バースデーケーキからぷよ〜んとタコの足が1本出て来た。
インドの伝統音楽が流れてきてわたしは
条件反射でフラダンスを舞い踊っていた。


第、836話 ドキドキ宝探し (2015.07.12)
ネクストブレイク最有力の女性アイドルグループ、
『ヘソ毛ワンダフル』が衝撃の1ndシングル、
『犬も歩けばヘソ毛も歩く』に続いて2rdシングル、
『ヘソ毛もドキドキ宝探し』をリリース。
なんと今回のシングルCDは初回限定盤のみ、
販売促進企画『キミも宝探しでドキドキ』として、
購入したCDケースを開くとCDは入っておらず、
代わりにお宝の地図が封入されており、
お宝を無事探し当てることに成功すると、
CDとイベント参加券をGET出来るという仕組み。
検索してみると既にお宝をGETしたという人は、
『日本国内の無人島まで探しに出掛けた』とか、
『辿り着いた場所は心霊スポットだった』とか、
『アマゾンの奥地で未知の部族に追い掛けられた』とか、
胡散臭いネット情報に眉をひそめつつお宝の地図を開く。
ん、○村の○山って日本だ。心配は杞憂だった。
山奥に入りコートを脱ぎ僕はひたすら穴を掘った。
すると人骨をGET!・・元い、人骨を発見。
警察を呼んだらショベル持参を怪しまれ逮捕された。
否認し続けたが起訴された。真犯人逮捕で釈放された。
『おまえが探していたのはこれだろう』と、
警察からCDとイベント参加券を手渡された。
CDと、月日が経ち既にイベントが終了している
参加券を僕はどれぐらいぼんやり眺めていただろう。
気付くと、『ヘソ毛ワンダフル』3rdシングル、
『心頭を滅却すれば火もまたヘソ毛ワンダフル』
が発売されていて空前の大ヒットを記録していた。
・・・・・・・・・・セミの声が聞こえてきた。


第、835話 キミみたいな花 (2015.07.05)
「お姉ちゃん、何やら浮かれてない?」
「実は今日あの人に出会してこう言われたのよ」
---------------------------------
『ねえ、花と言ったら貴様はどの花を思い出す?』
『クニフォフィア・ノルティアエ』
『えっ、それってどんな花???』
『オレンジ色のサマーニット帽を被っている、キミみたいな花』
---------------------------------
「わたしは花のような女だってさ」
「お姉ちゃん、今検索してみたんだけどさ・・」
「ん?!どれどれ、ちょっと見せてみて」
「見ない方がいい!!!」
「ちょっと・・・・・・・・・・」
「見ない方がいい!!!」
「ちらっと・・・・・・・・・・」
「見ない方がいい!!!」
「自分で検索して見るわ」
「あぁぁぁ・・・・・・・・・・」
---------------------------------
『コラッ!貴様、誰が、クニフォフィア・ノルティアエじゃ』
『うわぁ!今日のキミは、ユッカ・トンプソニアナのようだ』
『何じゃそりゃ!!!』
『怒りで髪が逆立っている、キミみたいな花』
『オレンジ色のサマーニット帽を被ると?!』
『クニフォフィア・ノルティアエ』
『ゴルァ!!!』
---------------------------------
「一応わたしは花のような女だってさ」
「お姉ちゃん、開き直るよりダイエットしたら」


第、834話 競技アクロバチック米研ぎ (2015.06.28)
競技アクロバチック米研ぎは先ず失敗しない米選びから始まる。
『産地銘柄信仰』など以ての外。
そして水選び。
軟水のミネラルウォーターやアルカリイオン水が日本米には最適。
次に『白米を美味しく頂くための米の研ぎ方』。
昔のようにゴシゴシ研ぐ必要は有りません。
米研ぎをしながら、ノーハンドロンダート⇒後方宙返り。
静止技、宙返り技、米研ぎを複合したコンビネーション演技。
米・研ぎ汁を零すと大きく減点される。
床に手が触れるなど米を研ぐための利き手を汚すと失格。
最後は炊飯。炊きあがりの美味しさも採点基準。
飯盒(はんごう)・竈(かまど)・IH炊飯ジャーなど、各自が自由に選べる。
もちろん炊きあがったご飯は○屋の海苔佃煮で!!!
「・・・・・・・・・・というCMコンテなのですが;;」
「不採用」


第、833話 でへ萌え探知機 (2015.06.21)
「パパ、『でへ萌え探知機』を作ってみたの」
「何かな、これ???」
「パパ、このパネル画を見て!『でへ萌え探知機』スイッチオン!」
「ん、ビキニ姿のグラビアアイドルかな」
「あれ、『でへ萌え探知機』不調かな?!」
「あはは、失敗作だな、残念賞」
「ならばもしかしたらこっちのパネル画では?」
キンコンキンコンキンコン♪。゜゛
「おおおおおおお!!!!!!」
キンコンキンコンキンコン♪。゜゛
「『でへ萌え探知機』出来てたじゃん!
しかしまさかビキニ姿のウミガメで反応するとは」
---------------------------------
「先生、『でへ萌え探知機』を作ってみたの」
「何だい、そりゃ???」
「先生、このパネル画を見やがれ!『でへ萌え探知機』スイッチオン!」
「ビキニ姿のグラビアアイドルと、ビキニ姿のウミガメかい」
「ならばもしかしたらこっちのパネル画では?」
キンコンキンコンキンコン♪。゜゛
「おおおおおおお!!!!!!」
キンコンキンコンキンコン♪。゜゛
「まさかビキニ姿のナポレオンフィッシュで反応するとは」
---------------------------------
「先輩、『でへ萌え探知機』を作ってみたの」
「何だよ、それ???」
「先輩、このパネル画を見てね!『でへ萌え探知機』スイッチオン!」
「ビキニ姿のグラビアアイドル?ビキニ姿のウミガメ?ビキニ姿のナポレオンフィッシュ?」
「ならばもしかしたらこっちのパネル画では?」
「ビキニ姿の樹齢1000年程の大木?」
「これにも反応しないんだ・・・。
もうパネル画全部片付けちゃおうっと」
キンコンキンコンキンコン♪。゜゛
「・・・・・・・んっ!!!!!?」
キンコンキンコンキンコン♪。゜゛
「一体何に反応しているの???」
キンコンキンコンキンコン♪。゜゛
「先輩、今一体何を見ているの?!!」
「そりゃ今俺の目の前にいるおまえだろうな」



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