Specially
第、253話 空気みたい (2004.05.09) 雨の中の教室。 風がちょっと強くて、窓から流れ落ちゆく雫。 こんな昼休みだから、この中はとても会話の嵐。 恵梨華が翔クンに彼氏の自慢とか、している。 翔クンも彼女へのプレゼントだか、恵梨華に相談をしているかな。 五時限目が始まるまでにはまだ少し時間が空いている。 後ろに座っている男子どもの会話がさっきからうるさいんだもの。 なんとなく翔クンと恵梨華が立ち話している窓際のほうへ移動。 だって、窓にぶつかっている雨音のほうが男子どもより静かなんだから。 ちょっと隙間風でクシャミが出そうになるもガマンガマン。 窓と窓の間の壁に一人寄り掛かりながら唇を甘噛みしていた。 私、翔クンの彼女、たぶん見た事あるんだ。 ホントに偶然、街の中でなんだけれど・・ 仲良さそうだったもの。 とても・・ あの時だって、擦れ違っちゃったけれど、翔クン、私に気付かなかったみたい。 今だって、翔クンのとてもすぐ近く・・ 空気みたい。 雨の中の教室。 五時限目のチャイムが鳴り響く。 (>.)ゞ くしゅん |