横浜マタタビバージョンのFUNI WORLD

おバカショート劇場。

FUNI WORLD (19)


第、592話 1ミリの雨音 (2010.10.31)
曇り空が続いたね
朝の寒さに体を丸めて
その日一日膝を抱えて
弱い気持ちを補うために強い心を見せていたのは
子供の頃からの慣れ親しんだ相変わらずの癖だから
誰もいない部屋の中ではキミは天井ばかりを眺めていた
1ミリの雨音が窓の外から微かに聞こえ始めた頃
キミはサヨナラのメールと想い出を履歴の中から解除した
晴れた空に手を伸ばし
キミは笑顔で深呼吸をする
みんな笑顔でキミを迎える
弱い気持ちを補うために強い心を見せているのは
子供の頃からの慣れ親しんだ相変わらずの癖だから
誰もいない部屋の中ならキミは天井ばかりを眺めている
1ミリの雨音が心の中から微かに聞こえ始める頃
キミは太陽の日差しの温もりと小柄な我が身を抱き締めた


第、591話 鼻がいい (2010.10.24)
無風な街の片隅、接近10メートル内、何時だって特に無体臭な奴を察知出来るあたし。
某ファーストフード店からの匂い、その店内で奴が食事しているのを判断出来るあたし。
2階禁煙席奥、女と向かい合って、フライドポテトを摘んでいるのを判断出来るあたし。
でも大丈夫!女は奴と遺伝的にとても近い間柄な匂いをはっきり嗅ぎ分けているあたし。
女が香らせている香水は、ある日、奴から、「姉の誕生日にプレゼントしたいから」と、
お奨め香水を訪ねられ、お薦めしてあげた、あの、MADE IN JAPAN 『化け猫の発情』。
奴の首にぶら下がっているロケットペンダントには、もちろんあたしのとっておき写真。
あたしがあたしの写真をぶち込み、奴にプレゼントしたブツ!匂いで判断出来るあたし。
そして、奴がフライドポテトを食し動かしている口の動きの匂いから、奴が発している、
その光り輝く魅惑の言葉の数々を、まるで近くで聴いているかの如く判断出来るあたし。
「それでさ、お姉ちゃん、俺、その香水教えてくれた女と別れようと思ってんだけどさ」
あれ?
無風な街の片隅、またもや『サヨナラ』を言われる前に察してしまう、鼻がいいあたし。


第、590話 楽しいということ (2010.10.16)
ぼくの楽しいって気持ちはどこに消えてしまったのだろう。
ここ数日、冴えない、気合いが入らない日々が続いている。
ぼくの喜ばしいって気持ちはどこに消えてしまったのだろう。
笑顔に拒否をされ続けて心の扉まで閉じられてしまったようだ。
何だか憂鬱なだけの我がクラスの休み時間。
例えばプチ悪友が「おい、これ見ろよ」なんて、携帯の画像を押し付けてくる。
その画像は、大きなコアラに抱っこされているプチ悪友だったりする。
「はいはい、加工写真お上手お上手」と、重いため息と共に終了。
そして翌日、例えばプチ悪友が「おい、これ見ろよ」携帯の画像を押し付けてくる。
その画像は、溶けかけたラクダから半分顔が出て来たプチ悪友だったりする。
「はいはい、加工写真お上手お上手」と、深い脱力と共に終了。
そして翌々日、例えばプチ悪友が「おい、これ見ろよ」携帯の画像を押し付けてくる。
その画像は、母豚の乳を子豚に混じって飲む、子豚サイズのプチ悪友だったりする。
「はいはい、加工写真お上手お上手」と、何気にプチ悪友を見る。
鼻血を出したプチ悪友が涙目でぼくを見ている。
ぼくの楽しいって気持ちはどこに消えてしまったのだろう。
ここ数日、冴えない、気合いが入らない日々が続いている。
そして、同じクラスにここ数日、冴えない表情の女の子が一人。
数日前までは、ぼくとプチ悪友のバカ騒ぎに微笑んでいた女の子が一人。
・・・・・・きみが楽しいということって何なんだろう。
何気にプチ悪友を見る。
鼻血を出したプチ悪友が涙目でまだぼくを見ている。


第、589話 月に映る水たまり  (2010.10.10)
・・深夜2時、窓を開けるとすっかり雨は上がっていた。
真向かいの家に住む幼なじみの葉月ジャンガリアン(仮名)は、
夜行性なだけあってこの時間気のせいか、回し車を回している音が聞こえてくる。
日付が変わったので昨日の話、学校で朝からジャンガリアンと揉めた。
まさか俺が話した『月ではハムスターが毎日ピザ回ししている』説を、
ジャンガリアンが未だに信じていたなんて思いも寄らなかった。
「何よそれ?今まであたしを騙してたのねーーー!!!」
もう、お互い小学校低学年だった頃の嘘話だよ。二人、今、中学3年だよ。
・・クラスは違うので、休憩時間にジャンガリアンと廊下で出会さない事にだけ注意した。
昼休みにジャンガリアンが教室まで俺を探しに来たけれどベランダに隠れて難を逃れた。
そう、あれは幼稚園の時、興奮したジャンガリアンに一度耳を噛み付かれてから、
俺は、キーキー興奮しているジャンガリアンには触れないように注意してきた。
何とか一日乗り切りやっとの事で下校時間、下駄箱の前にジャンガリアンがいた。
・・慌てて身を隠す俺。・・下駄箱にもたれ掛かり一人佇むジャンガリアン。
・・・・・・外は午後から降り出した雨。んんん?????? 雨??????
あれ、ジャンガリアン、折りたたみ傘は持ってなかったっけかな??????
恐る恐る近付いて行き、「ジャンガリアンさ〜〜ん」と小声で名前を呼んでみた。
「遅いぞ!貴様!!!」 ・・あれはまだお互い小学校低学年だった頃の話で、
十五夜の月見団子にヒマワリの種を入れた犯人は、ジャンガリアンだったらしい。
「これでお互い様だよね!もう隠し事無しよ!ねえ、たまには一緒に帰ろう!」
そう言うとジャンガリアンは鞄から折りたたみ傘を出し「帰るよ」と俺を促した。
中学生になってから始めて二人だけで一緒に帰る事に、然程抵抗は感じなかった。
アスファルトの窪みの水たまりに、二人の傘の水滴の波紋が広がってぶつかって消えた。
・・深夜2時、窓を開けるとすっかり雨は上がっていた。
真向かいの家に住む幼なじみの葉月ジャンガリアン(仮名)は、
夜行性なだけあってこの時間気のせいか、回し車を回している音が聞こえてくる。
遅ればせながら、今日は中秋の名月だ。


第、588話 トイレが詰まってさあ大変。  (2010.10.03)
心に閉じ込める切ない思い。
躱されたチャレンジの数々。
思い出したらまた涙が出る。
涙が涸れるとため息が出る。
壁に凭れ掛かり震えている。
受け止められずにいる真実。
胸が締め付けられる苦しさ。
雨音が部屋の中に響き渡る。
点け忘れられたままの光源。
消えて無くなりそうな未来。
少しずつささくれ立つ感情。
渇いた唇を強く噛み締めた。
取りあえず終わりにしたい。
明日を見詰め踏み出す勇気。
電話の受話器を握り締める。
不安な気持ちで言葉を探す。
あなたは約束をしてくれた。
あなたはすぐに家を訪れた。
私に笑顔を与えてくれた人。
安らぎを取り戻してくれた。
復元されたこれからの日々。
詰まってた全てが流された。
でも犠牲になった樋○一葉。
更に犠牲になった野○英世。
有り難う水道局指定工事店。


第、587話 想い出の始まり  (2010.09.26)
気合い入れた告白が実を結び花開いた二人の恋の始まり。。
初めてのデートは、地図にも載っていない無人島。。
二人で動物図鑑にも載っていない動物を捕まえて食べた。。
ゴムボートが流されてしまって、三日後にいかだを造って脱出した。。
二度目のデートは雨だった。。
それはそれは、恐ろしいほどの雨だった。。
それにも況して、恐ろしいほどの風だった。。
CGでしかお目に掛かれないような街並みだった。。
付き合いだして、初めてのアイツの誕生日・・
何をプレゼントして良いのかとってもとっても悩んだ。。
手作りのプレゼントがしたくてMy電ノコ持って森に入って偉大な猿に出会った。。
アイツに何をプレゼントしたのかは、どうしても誰にも言う訳には行かない。。
ただ、一つ言える事は、もうそのプレゼントはこの世にはないと言う事だけ・・
付き合いだして、初めてのアタシの誕生日にアイツがくれた、猿の剥製。。
忘れもしない、アタシが森に入った時に出会ったあの偉大な猿の、・・剥製。。
森に迷ってしまったアタシに美味しい果実を差し出してくれた、あの偉大な猿の剥製。。
森の大切さを身振り手振りで私に伝えようとしてくれた、あの偉大な猿の剥製。。
ただ、一つ言える事は、もうそのプレゼントはアタシんちにはないと言う事だけ・・
アイツに誘われて出掛けた、遠いとおい山奥での竹炭焼き体験教室。。
二人で焼いた竹炭、二人で飲んだ竹酢液、二人で作った竹炭作品は、あの偉大な猿の人形。。
・・・・・・想い出は溢れるほどに、こぼれ落ちるその涙。。
バンジージャンプ!スカイダイビング!そんなもの、アイツとならば何も怖くなかった。。
ただ、アイツが手作りで拵えた森の中のジェットコースターは、もう思い出したくはない。。
あの偉大な猿に申し訳が立たなくて泣きながら死に直面した森の中のジェットコースター。。
お化け屋敷だって、お寺の肝試し大会だって、そんなもの、アイツとならば何も怖くなかった。。
ただ、アイツがアタシの誕生日にくれたあの偉大な猿の剥製が夜な夜な動き回って・・・・・・
それでもアタシが何より一番恐れていた、アイツとの、サヨナラ。。
それでもアタシが何より一番涙を流した、アイツとの、サヨナラ。。
それでもアタシが何より心を深く痛めた、アイツとの、サヨナラ。。
想い出はサヨナラで始まり、やがてまた、ラストシーンを迎える。。
そして、森で泣いていたアタシが再会した、あの偉大な猿の剥製。。


第、586話 昭和歌謡曲大全集  (2010.09.17)
「昭和歌謡史における名曲の数々を貴方に!今宵は私のライブで盛り上がって下さい」
皆と同じ、平成生まれの『コイツ』が、カラオケ大会に不運にも混じってしまいこの有り様。。
「誰だよ!コイツを連れてきたのは」
「ブラックノートをちゃんとチェックしなかったのかよ」
「黒服蝶ネクタイ姿で延々80年代女性アイドルメドレーを歌われるんだぞ」
「しっかも、○倉しおりや徳○純子と言った、耳にした事もない深いアイドルまで・・」
「オレ、コイツの手作りCDを誕生日の日に強引に押し付けられたんだけど、
親に聴かせたら、10曲中8曲は『聴いた記憶が全くない』って言われたぞぉ」
あたしだよ。。
あたしがちょいとほの字だったばかりに誘っちまった。。
その結果、皆はげっそり。。『コイツ』はライブで絶好調。。
「昭和の歌に平成のカラオケ大会が汚染されてゆくぅ」・・なんて、
皆の苦情だらけであたし肩身が狭いんだけど・・・・・・。。
でも、いつの間にか、あたしだけは歌の歌詞に聴き入っていた。。
・・・・・・公衆電話で10円玉握り締め俯く女の子。。
・・・・・・駅の伝言板の前でしばらく佇む女の子。。
・・・・・・便せんをため息混じりで睨んでいる女の子。。
何だかとても、人間の呼吸のリズムに合っているような気がする。。
そして、一月後・・・・・・・・・・・・
「昭和歌謡史における名曲の数々を貴方に!今宵はあたしとコイツのライブで盛り上がって下さい」
「誰だよ!この二人を連れてきたのは」
「ブラックノートをちゃんとチェックしなかったのかよ」
「ラブラブで延々80年代女性アイドルメドレーを歌われるんだぞ」


第、585話 猫タワー博士が街を駆け抜けた  (2010.09.11)
我が家には数年前には猫がいた。。
猫がいたからには、我が家には数年前には猫タワーがそびえ立っていた。。
その猫タワーを駆け上る一匹の猫と、僕と、もう一人、その猫の飼い主の女性がいた。
ある頃から、我が家に猫タワーが大量にそびえ立った訳は、
その猫の飼い主の女性が猫と一緒に我が家を出て行ったから。。
猫と女性は、僕が買ってあげた猫タワーを我が家に置いて出て行ったから、
猫と女性は、僕が買ってあげた猫タワーに飽きてしまって出て行ったに違いない。。
きっと、新鮮な驚きを導き出すような魅惑の猫タワーを買っておけば、猫と女性は帰ってくる。。
・・気付くと、我が家は新鮮な驚きを導き出すような魅惑の猫タワーの数々に占領されていた。。
我が家の近くには、一軒の猫カフェがあり、猫と猫タワーとの奥深い緻密な関わり合いを、
それはそれは日々、研究が出来て、その後の、自ら猫タワーを拵えようという大それた決断は、
その猫カフェのオーナーの一人娘の『だったら自分で作っちまえよ〜』の一言からであった。。
最初は、我が家にはこんなに新鮮な驚きを導き出すような魅惑の猫タワーがあるという事を、
我が家を出て行った女性と猫がブログを覗けば判るように、猫タワーブログを開設した。。
僕が自ら拵えた新鮮な驚きを導き出すような魅惑の猫タワーをブログで一つひとつ紹介するごとに、
何時しか僕は、猫タワー博士と、それこそ世界中の人々から呼ばれるようになっていた。。
気が付けば僕は、新鮮な驚きを導き出すような魅惑の猫タワーのネットショッピングサイトを、
何時しか、世界中の人々からの御希望に応えて、会社を設立し運営するまでに至っていた訳だ。。
そんなある日、他社の猫タワーを覗きに出向いた街で、我が家を出て行った女性と偶然擦れ違った。。
僕とはかなり掛け離れたタイプの男性と一緒に、大型犬を連れて、幸せそうに歩いていた。。
・・僕に気付いた素振りなど、我が家を出て行った女性は、一欠片も見せなかった。。
僕はその後、何処をどう、その街を駆け抜けて来たか思い出せないほど、我を失っていた。。
我が家の家の近くには、一軒の猫カフェがあり、その猫カフェのオーナーの一人娘が、僕が大好きな
何時ものハーブティーをテーブルに置いて「犬に負けたんだぁ」と小声で言って舌を出して笑った。。
僕が、自ら猫タワーを拵える切っ掛けになったお礼にと、この猫カフェにプレゼントした、
僕が拵えた、新鮮な驚きを導き出すような魅惑の猫タワーから、一匹の三毛猫がお約束のように、
僕の膝を独占しにやって来て「犬に負けたんだぁ」と言っているかの如く、大あくびをした。。
我が家の家の近くには、一軒の猫カフェがあり、相変わらず、何だかとても、居心地がいい空間だ。。


第、584話 伊能忠敬、測量の旅  (2010.09.05)
暑い。。
狂ったように暑い。。
狂ったように暑い時に信号待ち。。
灼熱にくるまれて、よそ様の次元が滲みながら溶け込んでくる。。
目の前の道路を、車やバイクに混じってお猿のかごやが走り抜けた気がする。。
暑い。。
狂ったように暑い。。
狂ったように暑い時に信号待ち。。
脳髄が煮えたぎり、僕の住む次元が耳の穴から流れ出す。。
目の前の道路を、お猿のかごやに混じってモンロー・ウォークのニホンオオカミの群れ。。
スクランブル交差点、信号が変わって『とうりゃんせ』に押され、激しい大和民族大移動。。
一部の民族が手を繋ぎ合い関所を作ると、他の民族が列になってこの手の下をくぐり始める。。
『とうりゃんせ』のメロディが止まると、その時、「捕まえた!」と耳元で誰かに叫ばれた。。
クラクションにどやされて、周りをキョロキョロしている僕に、「ほら、早く!」って、
『捕まえた!』の主に手を引かれ、幻惑の交差点を何とか無事に渡り終える事が出来た。。
「もう、何やってるのよ!」・・声の主は、あれ、アルバイト先のマドンナ、ゆりか姫。。
「ちょっと、これからお昼ご飯付き合ってよ!」と、降って湧いたプチデートの誘い!!?
そして、行き交う、ニホンオオカミの群れと、客待ちをしているお猿のかごや。。
「マジっすか?」と叫ぶ僕のほっぺを摘み「お腹空いているんだから急いで!」と、ゆりか姫。。
みるみる、僕の住む次元にへばりついていたノイズが消去され、ゆりか姫の笑顔がそこにあった。。
暑い。。
狂ったように暑い。。
狂ったように暑い時に清涼感いっぱい。。
そして、「おめでとう」と周りで手を叩く、ニホンオオカミの群れと、かごやのお猿と、
偶々そこを通り掛かった、伊能忠敬とその仲間たち。


第、583話 私の得意料理です  (2010.08.29)
・・・・・・これでよかったはず。。
・・・・・・そもそも、レシピ通りに作ってあるんだから。。
・・・・・・だが、レシピの写真と余りにも色合いが違いすぎる。。
・・・・・・何より匂いが生物に有害な緊急度が高い独特の個性を漂わせている。。
・・・・・・味見する勇気がどうしても湧かない。。
・・・・・・でも、だけど、確かに、これでよかったはず。。
・・・・・・そもそも、レシピ通りに作ってあるんだから。。
・・・・・・だが、さっきからガス警報器が誤作動の如く悲鳴を上げている。。
・・・・・・続々と我が家の人間どもが「硫化水素かぁ!!?」と騒ぎ出す。。
・・・・・・換気扇だけでは足りず開け放していた窓からゴキさん家族がチェックアウト。。
・・・・・・でも、私の得意料理です。。
・・・・・・いや、奴の大好物と言う事で、人前で得意料理とほざいてしまってこのザマですな。。
・・・・・・でも、奴に喰われずに済めば、永遠に、私の得意料理です。。
・・・・・・しっかし、それでは永遠に、あたしのこの恋は片想いですなぁー。。
・・・・・・そして深夜2時、大量のサイレンが近付いて来て、我が家の近くで止まったような。。


第、582話 打ち明けられない  (2010.08.21)
幼なじみの女が改めて美少女だった事に気付く時ほど幸運で不幸な話はない。。
この女が一生懸命ブサイクなら、一緒に漫才コンビを組むと言う救済処置を検討するだろうし、
柔らかくブサイクなら、お互い中学生になった今でも指浣腸を叩き込まれる僕で良いだろう。。
だけど、相変わらず僕の部屋にずかずかと勝手に上がり込んでは、寝ころびながら、
僕の部屋にある漫画本を丸一日読み漁っているこの女は、しみじみ美少女以外の何者でもない。。
今、いきなり好きな気持ちを打ち明けたりしたら、この女、嘸や、びっくりする事だろう。。
告白するにも男女の間、それはそれは、告白をする手順があるに決まっている。。
若しや、「おんどれが好きだすから」と突然彼女に気持ちを打ち明けたりしたら、
「こりゃまた『おんどれが好きだすから』と言う前に、是非、
『おんどれが好きだすからと今から言うだすから』とお断りしてからにしてケロよ」と、
鬼のような形相をした彼女からこっぴどく叱られる恐れがあるのかも知れない。。
だからと言って、「おんどれが好きだすからと今から言うだすから」とお断りしてから、
改めて、「おんどれが好きだすから」と気持ちを打ち明けたりしたところで、
「こりゃまた『おんどれが好きだすからと今から言うだすから』と言う前に、是非、
『おんどれが好きだすからと今から言うだすからと今から言うだすから』と一旦お断りしてから、
『おんどれが好きだすからと今から言うだすから』と重ねてお断りしてからにしてケロよ」と、
鬼のような形相をした彼女からこっぴどく叱られる恐れがあるのかも知れない。。
・・・・・・この女は果たして僕の事を、どのぐらいに思っているのだろうか。。
すると突然、この女、「最近涼しくなってきたし、デートにでも出掛けようか」と言って、
「ママ!この男、ちょいと借りていくね」と、僕の母親にお断りを入れ、二人で外出。。
近所の古本屋にてこの女は読みたかった漫画本を選択し、僕の小遣いで全て買い漁り、
僕は両手に漫画本の入った手提げ袋を下げ、この女と共に僕の家に速やかに帰宅。。
そして、相変わらず僕の部屋にずかずかと勝手に上がり込んでは、寝ころびながら、
購入したての漫画本を丸一日読み漁っているこの女は、しみじみ美少女以外の何者でもない。。
幼なじみで、僅か半年姉貴分な女が改めて美少女だった事に気付く時ほど幸運で不幸な話はない。。
この女が一生懸命ブサイクなら、一緒に見世物小屋で荒稼ぎと言う救済処置を検討するだろうし、
柔らかくブサイクなら、何時までも子供の頃のように指浣腸を叩き込まれる僕で良いだろう。。
でも、幼なじみの美少女からこのままずるずると指浣腸を叩き込まれて成人するのは、どうだろう。。
僕が先ず最初に勇気を持ってこの女にハッキリ打ち明けるべき事は、これではないのか?!!
と、油断していた僕にこの女が指浣腸!!! ・・うぅぅ、、当分これは打ち明けられない。。
お互い高校生にでもなったら、この強く素敵な常習性から真っ正面から取り組む事にしよう。。


第、581話 あなたの精一杯  (2010.08.14)
確かにあたしはこないだのデートの日に、とあるお店のサラダを食べながら、
「・・野菜は新鮮なのが一番よねぇ」と発言した記憶はあるにはある。。
確かにあたしはこないだのデートの日に、とある電気店で『フラッシュメモリ』を、
「・・フレッシュメモリって新品のメモリ?」とあなたに真顔で質問したわよ。。
確かにあたしはこないだのデートの日に、とある映画館で観た、大後悔な映画に、
「・・マンネリ映画だわ!マンネリを打破しやがれ! 改善しやがれ!」言ったよ。。
あなたは「この手のお決まり映画ではお約束のパターンだろ?」とほざき放きやがったから、
「お約束はお約束のでいいの!お約束にもたれかからずにお約束を磨けってーの」言った。。
確かにあたしはこないだのデートの日に、とある遊園地でピエロから授かった風船を割っちまって、
「OH!びっくら!Surprise」って、近くにいた外国人のおばちゃんが、叫んでたよ。。
確かにあたしはこないだのデートの日、夕暮れの帰り道で、あたいの左手の薬指に止まって
血を吸いまくって腹を赤く膨らませた蚊をあなたに見せて「ほれ、指輪ぁ!!!」言ったなぁ。。
そして、今日のデートの日、夕暮れの帰り道で、あたいの左手の薬指に止まっていたのは、
あなたがプロポーズの言葉と共にあたいにくれた、ふたりの誕生石、ガーネットの婚約指輪。。
来年は年明け早々、お正月ウエディングだって?既に計画済みだって?そんなあなたの精一杯を、
その、お決まりマンネリ発想にどや顔なお約束パターンを、あたしが全部受け止めて、
こりゃまた、キラキラ、光らせてあげませうてーの!!!


第、580話 おバカだらけの水泳大会!ポロリもあるよ  (2010.08.07)
「先生、これって子供用ビニールプールではないですか」
「何か問題でもあるのかね」
「先生、政治家が若い女の子達を『我が家のプール』に誘っておいて、
子供用ビニールプールは立場上問題有りかと思われますが・・」
「何か問題でもあるのかね」
「先生は、若い女の子達と水上尻相撲や水上騎馬戦をしたいと仰有っていましたので、
子供用ビニールプールではいろいろと難があるのではないかと思われますが・・」
「何か問題でもあるのかね」
「・・・・・・・・・・・・」
ミーンミンミンミンミーンミンミンミンミーンミンミンミー
「おお!裕作、始めて彼女を我が家にお連れしたかぁ!!!」
「・・・・・・庭で騒いでいる人って裕作のお父さん?」
「モグラだよ、モグラ」
「先生、子供用ビニールプールでは立場上・・」
「何か問題でもあるのかね」
「・・・・・・・・・・・・」
「何か問題でもあるのかね」
カナカナカナカナ カナカナカナカナ カナカナカナカナ
「先生、もう陽が落ちかけていますが、若い女の子達は誰一人いらっしゃってませんが・・」
「問題大有りではないか!君!!!」
「・・・・・・ねえ、ずっと庭で騒いでいた人って裕作のお父さんなの?」
「モグラだよ、モグラ」
「おお!裕作、彼女をお見送りか!!!良かったら水上騎馬戦していかんかぁ」
「先生、水上騎馬戦には人数不足かと・・・・・・」
「おーーい!裕作の彼女ぉ!!!みんなで水上尻相撲していかんかぁ」
「先生、海水パンツから、ほれ、ポロっと・・ポロっと・・」
「何か問題でもあるのかね」
「・・・・・・やっぱり、ずっと庭で騒いでいた人って裕作のお父さん?」
「モグラだよ、モグラ」
「・・・・・・ピチピチ海水パンツからポロっちゃってるしー」
「モグラだよ、モグラ」
「・・・・・・裕作のお父さんって、あの、政治家だったねぇ!!!」
「・・・・・・モグラだよ、モグラ」


第、579話 100年後の未来  (2010.08.01)
携帯電話って手が生えてたら100年後には人類に取って代わるかも。。
このバス停もあの交通標識も3Dで、赤と青のメガネが絶えず必需品になるかも。。
コンビニだってファミレスだって入店すると、国家に義務付けられ脳に埋め込まれた
住基ネットチップを読み込まれ、誕生日には自動でクラッカーを鳴らされるかも。。
”Happy Birthday to You”が店内に鳴り響き、もれなく誰もが祝福されるかも。。
100年後の未来は、この街の風景だって、様変わりすることだろう。
キミと出会ったパン屋さんも、キミに告白をしたダンゴムシの滑り台のある公園も、
キミと待ち合わせした駅前のダンゴムシのオブジェ、キミの手を繋いで歩いたダンゴムシ通り、
キミとよく買い物をした大きなスーパーマーケット、キミが住んでいたあのアパート、
100年後の未来は、この街の風景だって、様変わりすることだろう。
携帯電話って保存メールの解除で、送り主との想い出も解除されるようになるのかな?
100年後の未来、僕とキミとの恋物語は、100年前の忘れられた過去の物語。。
サヨナラの後の・・ 見慣れたこの街の風景は・・ ただ、静かにしずかに滲んでゆくばかり・・


第、578話 夏休みが終わる頃まで  (2010.07.24)
結婚前から別れを切り出せないままうちのお婆ちゃんは、
うちのお爺ちゃんとこの度目出度く金婚式だそうな。。
我が家の今夜の夕食の席では、不束者の孫ではありますが、
あたしからもこの永遠のいちゃつきカップルにプレゼント!!!
メシを喰らって、自分の部屋に潜って、ベッドにごろん。。
さてと、「・・・・・・あ、もしもし、祐治、あたしと別れたい?」
すると、「え、、、、、えぇええええ??!別れないよ!別れないよ!
別れないよ!別れないよ!別れないよ!別れないよ!別れないよ!」
で、「あ、そう!じゃ、またね。。」ピッ!と携帯電話を切って、あくびを一つ。。
・・・・・・以前、お婆ちゃんに聞いた事がある。。
『ねえ、何でお婆ちゃんはお爺ちゃんと結婚したの?』
『そうね、騙されたようなものかしら』
ピッ!「・・・・・・あ、もしもし、祐治、あたしを騙してる?」
「え、、、、、??!えぇええええ??!騙してないよ!騙してないよ!
騙してないよ!騙してないよ!騙してないよ!騙してないよ!騙してないよ!」
「あ、そう!じゃ、またね。。」ピッ!と携帯電話を切って、再びあくび。。
・・・・・・以前、お爺ちゃんに聞いた事がある。。
『ねえ、何でお爺ちゃんはお婆ちゃんと結婚したの』
『そりゃ、お爺ちゃんにはお婆ちゃんしかおらんかったからなぁ』
祐治から電話が来る。。
「どうしたんだよ?俺にはおまえしかいないんだぞぉーー!!!」
「あ、あ、そう!じゃ、またね。。」ピッ!で、三たびあくび。。
お爺ちゃんとお婆ちゃんにプレゼントした超豪華花火セット、だけど、
お父さんとお母さんと、不束者の孫を加え、近くの公園でプチ花火大会。。
あたしがにこにこしている事が、お爺ちゃんとお婆ちゃんへのプレゼントなのさ。。
お母さんに隠し撮りされていた、浴衣姿で花火で遊ぶあたしを祐治にひとまず写メ。。
携帯電話の電源を切ってからのー、お風呂タイムでは、今日から新しいシャンプー。。
夏休みが終わる頃まで、恐らく何も変われぬ平凡ながきんちょ娘は、今日もまた、
夏だというのに湯船に浸かりすぎ、先客のお父さんを転がしてからのー、
うちわを仰いでくれるお母さんの膝枕で、ついウトウトと、2〜30分。。
その頃あたしの部屋では鳴らない携帯電話がベットの上でぐっすりと、熟睡中。。


第、577話 雨のカンガルー坂  (2010.07.17)
きみを知った日からこの坂で出会える景色を、
その幾つかの同じ映像をぼくは心の中に仕舞い込んできた。
きみは自転車でこの坂を下り、坂を登るぼくの横を一瞬にして通過する。
風になびく長い髪はぼくを少し立ち止まらせて、振り向かせて、
小さくなるきみの後ろ姿が、きみがそこの角を自転車で曲がるまで、
ぼくを、上り坂での呼吸の乱れを整えるかのように立ち尽くさせた。
・・そしてある日、ぼくはその坂道を下っていた。
自転車を降りて坂道を登るきみと今日始めて出会った。
雨がぽつりぽつりと降り始めていて、きみは少し急ぎ足でぼくの横を通過した。
この町での短期派遣の最後日、もうぼくが此処へ訪れる理由は何もないのさ。
きみを知った日からこの坂で出会える景色を、
その幾つもの同じ映像をぼくは心の中に仕舞い込んできた。
雨のカンガルー坂、折りたたみの傘を開き、ぼくはこの町の駅に向かう。
物語にも紡げない、ぼくの心の中だけのスクリーンに流れるこの町の想い出。


第、576話 リニアPCMレコーダーを知ってるかい??!  (2010.07.10)
リニアPCMレコーダーを知ってるかい??!
WMAやMP3などの圧縮音源と違って、CD並み、いや、機種により、
CDを超える未圧縮録音が出来るポータブルレコーダーなんだよ!!!
ICレコーダーとは音への拘りが違う、ポータブルレコーダーなんだよ!!!
僕が選んだ機種は単3形アルカリ電池2本で10時間以上駆動する働き者!!!
更には、リニアPCM形式の最強モードでも約4時間は連続録音出来る!!!
僕には、現在、僕が得られる考えられる限りの高音質のレコーダーが必要だったのさ!!!
学校に内緒でアルバイトしてため込んだお金で遂に購入!!! おいでやす!!!
では、早速、そのすこぶる豪華な高音質で僕の耳の鼓膜を震わせておくれ!!!
・・・・・・何か音の出るもの無いかなぁ??!
良し、それでは鉛筆削りで鉛筆を削ってやるぞ!!!ガシガシガシ!!!
では再生〜♪。゜゛・・・・・・おぉおお、鉛筆削りで鉛筆を削っている音だぁ。。
らせん状の削り刃が、こりゃまた見事なまでに鉛筆を削っている音の再現だよぉ。。
・・・・・・更なる音の出るもの無いかなぁ??!
良し、前髪が伸びているからハサミで切ろうじゃないか!!!ジョキジョキ!!!
では再生〜♪。゜゛・・・・・・おぉおお、前髪をハサミで切っている音だぁ。。
支点部分で回転した2枚の刃の共同作業により髪の毛が無理なく切られている音の再現だよぉ。。
翌日、、、月曜日、、、登校、、、
数日ぶりで、部活の先輩の美人部長に、「おはようございます」
部活の先輩の美人部長も、「あ、おはようございまーす」・・ゲットぉおおお!!!
部活の先輩の美人部長の、『あ、おはようございまーす』・・ゲットぉおおお!!!
全てはこのために、アルバイトしてため込んだお金でリニアPCMレコーダーを購入!!!
もうじき夏休み、部活の先輩の美人部長に暫く会えなくても寂しくなんかないもん。。
では再生〜♪。゜゛・・・・・・うぉおお、美人部長の、『あ、おはようございまーす』だぁ。。
シュガーボイスの挨拶が、美人部長の髪の香りまで漂わせるような音の再現だよぉ。。
買って良かった!!!おいでやす!!!最先端技術なリニアPCMレコーダー!!!
CDを超える未圧縮録音、96kHz/24bitの、美人部長の、『あ、おはようございまーす』!!!
現在、僕が得られる考えられる限りの、美人部長の、『あ、おはようございまーす』!!!


第、575話 泣き顔  (2010.07.03)
「・・で、その廃墟には魔物が住み着いていてなぁ・・・・・・」
「ぎゃぁあああーーー、止めてよ止めて!!!」(涙)
「良し、今日も泣き顔見られたぞぉ!!!」
わたしんちの恋人兼同居人は、わたしを泣かせる事に命をかけて取り組んでやがる。。
「朝から一日雨だった日は、軽快な音楽でも流しますかって!」
「いやぁ〜ん、切なくて悲しい曲じゃないのよぉ〜」(涙)
「良し、本日も泣き顔見られたぞぉ!!!」
わたしんちの恋人兼同居人は、わたしを泣かせる事に人生をかけて取り組んでやがる。。
「・・バイトの帰りに楽しいアニメのDVD借りてきてやったぞぉ」
「これって、『クレパスしんさん』の泣けると評判の劇場映画だわ、、、」(涙)
「本日も難無く泣き顔見られたぞぉ!!!」
そんなある日、七夕飾りへの願い事。。
わたし、『同居人のボケカスのサディズムが改善されますように』
ボケカス、『同居人の泣き虫女が心を傷付けて泣く事はないように』
「・・・・・・あ、ありがとう、う、う、うれしい」(涙)
「七夕も難無く泣き顔見られたぞぉ!!!」
わたしんちの恋人兼同居人は、わたしを泣かせる事に全身全霊をかけて取り組んでやがる。。


第、574話 星のストラップ  (2010.06.27)
僕の就職が漸く決まり、我が家からのお引っ越し作業中、突然再会したお宝箱には、
僕がまだ中学生だったあの頃のトキメキがたまらないほど押し込められていた。
・・・・・・キミがこの僕にくれた、星のストラップ。
閉じこめていた、あの頃の記憶が箱の中から一斉に溢れ落ちた。
僕のお誕生会、数人の来客者のひとりだったキミが僕にくれた
星のストラップを携帯電話にぶら下げて、後にキミにメールを送ったんだ。
キミと見つめ合えるシチュエーションを、頭の中で作り、選び、集めて・・
そこから未来のふたりのイラストを、心の中に描いたり消したり・・
でも、キミへの想いから生まれてくる言葉は全て封印をして、
詰まりは、「このキラキラしたストラップの星に太陽の光が乱反射して、
ブルドックを散歩させていたどこかのおばさんが眩しさで首輪の紐を
放してしまい、ブルドックが走り出して、それを見て慌てた蕎麦屋さんが
出前中に自転車ごと転倒して蕎麦を路上にばらまき、その蕎麦で足を滑らした、
牛乳瓶の底のようなメガネを掛けた学ランの大学生が更にブルドックに追い掛けられ、
電信柱に昇ったはいいがズボンのお尻だけブルドックに噛まれパンツが丸出しになり、
それを指差して笑ってた塾帰りの子供達が、『とても長い事、笑いを忘れていたみたい』って、
突然子供達が泣き崩れて、現れた警官に職務質問された僕が思わず己の後頭部を平手で叩き、
目を見開き舌を出して、ヒドいがに股でそそくさとその場から逃げなければならないほど、
キミが僕にくれたこのストラップの星はそれ程に、僕の心に輝いているんだよ」・・
・・・・・・そんなキミへの想いから生まれてくる言葉は全て封印をして、
「もらったストラップ、携帯に付けてみたよ」とだけ、僕は、ぽちっと、キミにメールを送った。
僕の就職が漸く決まり、我が家からのお引っ越し作業中、突然再会したお宝箱には、
僕がまだ中学生だったあの頃のトキメキがたまらないほど押し込められていた。
・・・・・・キミがこの僕にくれた、星のストラップ。
閉じこめていた、あの頃の記憶が頭の中で一斉に目を覚ました。
キミと見つめ合えるシチュエーションを、頭の中で作り、選び、集めて・・
そこから未来のふたりのイラストを、心の中に描いたり消したり・・
そんな未完成なままのイラストが心の中に再び、星のストラップの輝きと共に、
キミに失恋をしたあの日以来、お宝箱の中から投影されるように懐かしく輝きだした。
まるで、幾つもの古雑誌に目を取られて捗らなかったお引っ越し作業のように時が流れ、
やがて窓の外の夕焼けの色に、散らかった部屋の中の色合いだけが変えられていた。
僕は慌てながらも、突然再会したお宝箱の蓋を深呼吸しながらゆっくりと閉じて、
現実の今この時から歩き始めるために、己の後頭部を平手で叩き、目を見開き舌を出した。


第、573話 悲喜こもごも  (2010.06.20)
彼氏と大ゲンカした帰り道、歩道に10円玉が落ちていた。。
「ラッキー!」と、拾おうとしゃがみ込んだ時、何かが頭上を切り裂いた。。
ん、、この匂いは!!?と立ち上がった時、あたしの頭が誰かのアゴを砕いたようだ。。
「いたたたた」と頭を抱えてうずくまるあたしの側でのたうち回る、誰か。。
その側には一本のたくあん漬け。。此奴、最近巷を騒がしているたくあん通り魔ぁ!!!
既に、たくあん漬けで殴られた被害者が数人、居合わせた医師に介抱されている。。
「いやぁ、お手柄だよぉ、お嬢さん!!!」と、おまわりさんからべた褒めだし、、
マスコミからはインタビューを受けちゃうし、、この町の平和はあたいが守ったのさ!!!
しっかし、たくあん漬けの漬け汁があたいのお洋服を浸食していて臭いんじゃ!!!
しっかも、歩いててどこぞの婆さんと激突!!!「いたたたた」も2度目じゃ!!!
婆さんはコケもせず至って元気で、「お嬢さん、大丈夫か」と、手を差し伸べてきた。。
そこに、「会長、大丈夫ですか」と黒服集団が;; そして婆さんは黒塗りの高級車に;;
車の窓を開けて婆さんが、「お嬢さん、良かったらこれでお食事でもしてケロ」と封筒をあたいに。
こ、これって、大手外食チェーン店『生春巻きの王将』全国2000店舗で使えるお食事券一万円!!!
スゲー!!!、生春巻きの王将の会長さんかい!!! ヤバい系の人じゃなくて良かった;;
あれ、そう言えばあたし、10円玉拾おうとしてたんじゃなかったっけ??!
いけない!10円玉拾いに戻ろう!そうしよう!そうしよう!そうしよう!
と、たくあん通り魔事件現場に戻ろうとした時、出会した、先ほど大ゲンカした彼氏。。
「何か、さっきは悪かったなあ;; やっぱ、デートでの食事に生春巻きの王将は違うよなぁ;;」
「いいのよ、高級レストランでイナゴの佃煮が食べたいなんて、あたしったらワガママだったね」
仲直り、よっしゃー!!!「ねえ、あたし、生春巻きの王将のお食事券持ってるんだ」
「じゃあ、デートのやり直しに、生春巻きの王将にこれから食べに行こうか」
デート再開、よっしゃー!!!「それでね、あたし今日いろいろあってね・・」
「・・おい、おまえ、何か、くっさくねー!!!たくあんくっさくねー!!!」
「・・・・・・やだ、だ、だから、あたし今日いろいろと、いろいろとあってね・・」
「今日、おまえ、家に返れよ!!!」 ・・・・・・ガ〜〜〜ン (*x_x;*)
そして、あたしひとり、とぼとぼと歩いていると、何時の間にやらたくあん通り魔事件現場。。
「あれ、10円玉まだ落ちてやんの!!!しめしめ」と、拾おうとしゃがみ込んだ時・・
べったら漬けがあたいの頭上を切り裂いた。。べったら漬け通り魔かあぁ!!!
「いたたたた」と頭を抱えてうずくまるあたしの側でのたうち回る、誰か。
「いやぁ、またまたお手柄だよぉ、お嬢さん!!!」と、おまわりさんからべた褒めだし、、
さあ、忘れずに10円玉を拾おうとした時、出会した、先ほど大ゲンカした彼氏。。
「何か、さっきは悪かったなあ;; 何か、くっさくねー!!!べったら漬けくっさくねー!!!」
「・・いろいろとあってね」 「おまえ、さっさと家に返れよ!!!」 ガ〜〜〜ン (*x_x;*)
でも今度こそはと10円玉を拾う事には成功・・・・・・ 「何ですかそれ」とおまわりさん;;
「お、落ちてました!!!」ヾ(*゜O°;ゞ ・・・・・・あたいはとってもいい子なんです。。
でも、マスコミからはインタビューを受けちゃうし、、この町の平和はあたいが守ったのさ!!!
よし、これからひとりで生春巻きの王将でやけ食いしてやるさ ヾ(* ̄(●●) ̄*)


第、572話 宇宙バッサバッサ  (2010.06.13)
「ねえ、玄米茶、宇宙についてどう考えてる??!」
「どうしたの、ジンジャーティー、宇宙に興味があるのかい???」
「あたしは、玄米茶に宇宙について真剣に語って欲しいだけなのよ!!!」
「でも、郷土芸能同好会でひょっとこ面に手ぬぐい頬っ被り姿で踊っている、
そんな、ジンジャーティーからは想像出来ないこと、突然言うもんだからさ」
「もう、玄米茶、素粒子から大宇宙までの自然現象、そして生命現象ついてどう考えてる??!」
「おぉお、郷土芸能同好会でウエスタンブーツを履きテンガロンハットを被った巫女装束姿での、
ジンジャーティーの舞神楽からは想像出来ないこと、突然言うんだものなぁ」
「もう、玄米茶ったら、あたしは星座が同じお茶汲み座同士の二人の将来が聞きたいの!!!」
「玄米茶とジンジャーティーは今この大宇宙の同じ時空で、斯くして熱く見つめ合っているんだよ」
「あぁ!玄米茶ったら、あなたはまるであたしが探し求めた、インディアン酋長だわ」
「ぼくは、ジンジャーティーにとっての、千利休タイプのネイティブ・アメリカンでいたいんだ」
「あぁ!玄米茶ったら、いかなる座標系においても物理法則は不変なのね」
「だからこそ今宵は君と二人で宇宙に向かって和太鼓を打ち鳴らすぞぉ!!!」
やがて二人の間に玉露のようなかわいい赤ちゃんが生まれ、生姜入り玄米ティーを鱈腹飲み、
ロディオ大会で優勝するほどにこりゃまたスクスクと育ち、宇宙飛行士になりましたとさ。。


第、571話 空飛ぶバースデー  (2010.06.06)
ガサガサガサガサ
「え?」
ゴソゴソゴソゴソ
「お?」
ピョンピョンピョン
「なに?」
ムォンムォンムォンムォンムォンムォン
「バースデーケーキを切り分けて入れようと用意していたラーメン鉢が宙を飛んでいるわ!!?
・・って、黒子の衣装着てなにやらかしてんの!と言うか、どうしたの?その黒子の衣装」
「衣裳レンタル」
「どうでもいいけどラーメン鉢を食器棚の上に置かないでよぉ!届かないじゃない!!!」
「んじゃ届くように後方から抱き上げて差し上げます」
「あれ、ラーメン鉢の中にネックレスが入っているんだけど、あたしへの誕生日プレゼント?」
「宝石レンタル」
「・・・・・・ガクッ」
ガサガサゴソゴソピョンピョンムォンムォンムォン
「きゃー!光り輝く、そ、その宙に浮く物体は・・・・・・」
「給料の3か月分の婚約ラーメン鉢を愛する君にプレゼントフォーユー」
「あ、あたしに?!! とってもうれしいわ!!!」
「では今度は前方から抱き上げて回って差し上げます」ムォンムォンムォン
「で、あなた、誰なの???」
「・・・・・・通りすがりの旅人です」
「妹だろがぁ!!! 毎年誕生日に双子の行き遅れ姉妹でなにやっとんじゃい」
「こんな意外な結末が待っていようとは・・・・・・」
「さあさあ、急いでケーキにロウソク30本+30本立てるわよ」
「姉さん、ここは素直にロウソク40本+40本でしょ」
「バースデーケーキが宙を飛んでいるわ」ムォンムォンムォン
「逃げないでよ姉さん、あと10本+10本よ」ムォンムォンムォン


第、570話 長い一日  (2010.05.29)
ー 2025/09/01 お母さん、息子に見栄を切る ー
「あら、お母さんはこう見えて若い頃は、歌って踊って木彫りの熊も彫れる
3人組アイドルユニット『バロット』のリーダーで超モテモテ一番人気だったのよ!
それこそデビュー曲の『孵化直前』は大・・ そこそこヒットしたんだからぁ!!!」
「・・・・・・もう、またお母さんの昔の自慢話が始まったよ」
「あっ、それよりもう二度とハチの巣襲ったりしたらダメだからね!!!」
ー 2010/09/01 ラジオ番組『木彫ってバロット』にて ー
「本日のメッセージテーマ『あなたの理想』で、リーダーにメールが届いてるよ」
「なになにぃ???」
「熊左衛門さんから、『リーダーはぼくの理想のお母さんです。』って!」
「リーダーは、17歳にして『お母さんにしたいアイドル』だったんだぁー」
「待って!待って!『恋人にしたい』とか『お嫁さんにしたい』とかじゃないのぉ?」
「あら、光栄な事じゃない?『黒木彫瞳』に肩並べたんじゃないのー?」
「分かったわよ!将来、男の子生まれたら『熊左衛門』って名前付けて、
本当に『熊左衛門』の理想のお母さんになってやろうじゃないのさ!!!」
「よっ!リーダーの『理想のお母さん宣言』出たぁ!!!」
「キレてないっすよぉ!!!」
「熊左衛門さん、メールありがとうございました!では、リーダー、告知・・」
「そうそう告知!バロットのファースト写真集『名匠』が今度発売・・・・・・」
ー 2040/09/01 ニュース速報 ー
「速報です。元アイドルユニット『バロット』のリーダーで木彫り名匠としても有名な、
未婚の母、木彫芸香さんの一人息子、木彫熊左衛門氏(25)が本日、大量のハチに
刺されてお亡くなりになりました。木彫熊左衛門氏はハチミツを求め森の中に・・」
ー 2010/09/01 ラジオ番組『木彫ってバロット』反省会にて ー
「ねえ、ディレクターさん、『リーダー、理想のお母さん宣言』コーナー作りましょうよ?!!」
「あっ!ディレクターさん、それおもしろいかもね!」
「もぉ−、私って、17歳にして所帯じみてるのかしら・・・・・・」
「そう言えばさ、あのメールって遠い未来から届いたんだよなぁ」
「・・・・・・遠い未来から???」
「まあ、パソコンの日付の設定間違いだろうけどな。ただ、ヘッダ情報・・」
「どれどれ、『リーダーはぼくの理想のお母さんです。ごめんね。』2040/09・・・・・・」


第、569話 まりえちゃん最後の戦い  (2010.05.22)
「ブラックホールはこのカンガルーのお腹の袋と繋がってたのよ!」
「まりえちゃん、どうしても向こうの世界に行くというのかい?」
「あたし、このまま隊長のことを、放ってはおけないのよ!」
「ぼ、ぼくは、ぼくは、まりえちゃんを放ってはおけないよ!!!」
「・・ごめんね!アレルギー性皮膚炎大佐、あなたは必ず此処に残って・・」
「・・・・・・まりえちゃーーーん!!!」
「さよならー、アレルギー性皮膚炎大佐ぁー」
まりえちゃんはカンガルーのお腹の袋の中に消えてしまった。。
腰を落としたまま頭を抱えて俯くアレルギー性皮膚炎大佐の肩を、
励ますように数回叩き、優しい眼差しでカンガルーは微笑んだ。。
直後、そのカンガルーのお腹の袋から顔を出したのは、まりえちゃんだった。。
「このカンガルーのお腹の袋、隊長を飲み込んだブラックホールに繋がってなどいなかったわ」
すると、向こうからもう一匹のカンガルーが飛び跳ねてやって来た。。
そのカンガルーのお腹の袋から顔を出したのは、膀胱カタル隊長だった。。
「・・た、隊長!ブラックホールに飲み込まれたのではなかったのですか」
「おぉ、まりえちゃんもカンガルーちゃんとお散歩かい?」
「・・カタル隊長!ブラックホールに飲み込まれたのではなかったのですね」
「おぉ、アレルギー性皮膚炎大佐もカンガルーちゃんに乗り込みなさい!」
夕日に照らされた草原に、人知れぬトライアングルラブを乗せたカンガルーが三匹、
今し方、輝き出した一番星を目指し、どこまでもどこまでも飛び跳ねて行った。。


第、568話 底からたっぷり焦げてます  (2010.05.15)
「テフロン加工にすればいいじゃん」
・・ってそう言い放った!そんな幼なじみな、此奴。。
来年にはお互い大学を卒業するって言うのにさ。。
・・それは今し方、あたしが奴にこんな話をしてやったのよ!!!
「ねえ、あたしが将来結婚する人がそれはそれは大金持ちでさ、
庭には北アメリカインディアン部族のトーテムポールが立てられ、
壁にはアフリカ原住民の仮面がいっぱい飾られてたりしてね、
あたしは世界の先住民族のアクセサリーで飾られたりするのよね。。
正にセレブな女に仕立てられている訳だけど、何か違うのよ。。
ある日、あたしはそんな旦那さんに言うのよ!『違うでしょ』って。。
『あたしが結婚した人は、この手紙を書いてくれた人よ』って。。
それは、『君にずっとぼくの側にいてほしい』って書かれた手紙。。
それは、最初で最後のその人からあたしへのラブ・レターだったりね。。
『一緒にいて欲しい時に貴様はあたしの側にいないわ』って、あたしは怒るの」
で、あたしの話をそこまで聞いたら「なんじゃそりゃ」
・・ってそう言い放った!そんな幼なじみな、此奴。。
「これは貴様が幼稚園の時にあたしにくれた手紙じゃーー!!!」
「『ぼくはおかねもちになりますおよめさんになってぼくのそばにいてください』」
「覚えてないなんて言わせないわよーーー!!!」
「何故、まだ持っているの」
「・・・・・・おぉ」
「何故、まだ持っているの」
「・・・・・・だ、だって、宝物だから」
「こりゃまた、へんな女」
「もうもうもうもう、もう! あたし、心の底からたっぷり焦げ付いているわよ」
「テフロン加工にすればいいじゃん」
・・ってそう言い放った!そんな幼なじみな、此奴。。


第、567話 湯煙温泉の素殺人事件  (2010.05.09)
ぼくが彼女と会ったのは約1年ぶりだろうか。
彼女は、ぼくが良く通ったメイドキャバクラ「鼻毛娘」のNo.1の売れっ子キャバ嬢だった。
だけど、ある日を境に彼女はその店から姿を消した。
ぼくもその頃、事業が傾き始めて・・・・・・
「あ、もしもし、警察ですか、遺体を発見したのですが・・」
ぼくと彼女は互いに顔を見合わして、深くため息を吐いた。
「警察、直ぐ来るってさ」
「・・うん」
彼女は毛糸の帽子越しに頭を抱えしゃがみ込んだ。
「暑いね、この頃」
「そうね」
「久しぶりだね」
「そうね」
「偶然だね」
「そうね」
そそりたつ岸壁・・ 打ち上がる波飛沫・・
自殺の名所で、刃物で刺された遺体を彼女と二人でこんな場所で発見しようとは・・
「あの頃、君は売れっ子で、何時だって高価なアクセサリーを身に付けてたけれど・・」
「地味な格好しているでしょ。お客さんからもらったアクセサリーなんて全部売っちゃったもの」
「・・君は、お金に困っているのかい」
「貯金やら何もかも消えちゃった。長いこと入院してて一応自宅休養中」
「ぼ、ぼくに出来る事があったらさぁ・・・・・・」
「ほら、これ、路上のアクセサリー売りで買ったの!安物だけど可愛いブローチでしょ」
「・・そうだね、本当は、君にはこんなブローチが合うんだろうなって、ずっと思ってたんだ」
「私、その事に気付くのがちょっと遅かったんだ・・・・・・」
「・・・・・・警察の人が来たようだね」
その日から数ヶ月後、例の事件、犯人が捕まったとニュースで知った。
新支配人から温泉の素を使えと命じられた温泉宿の女将が新支配人を刺したという話だった。
あ、それと・・・・・・
彼女だけど、亡くなった。
施設で育った身寄りのない彼女には、役所の福祉課と相談し、拾骨はぼくが拾ってあげた。
骨ガメには、彼女が路上のアクセサリー売りで買ったブローチを、ぽとりと一緒に入れてあげた。


第、566話 恋の日々は限りなく  (2010.05.01)
わたしが小学校に上がると同時に転校して離れていた故郷。
就職をして再びこの地に舞い戻ってくるなんて思わなかった。
驚いたのは、幼稚園の近くにあった公園が然程景色も変えずに残っていた事。
小さなブランコ板に座って揺らしてみると、ふとその隣のブランコの園児が微笑んでくる。
わたしが幼稚園の頃、恋をしていた、『そうたくん』だ。
「さあ、いこうよ」と言って、わたしの手を強く握って引っ張って歩く。
「どこいくの」って聞くと、「ひみつきち」と答えて裏山の防空壕跡に辿り着く。
「ここあぶないからおこられるんだよ」と言ったら、「へいきさ」って強がった。
「ここって、『カンガルーのおなかのふくろにこどもいれてピョンピョンじじい』がでるよ」
「ぼくがいつだってきみをまもってあげるから、へいきさ」
「ここって、『こよりようかいコチョコチョ』がでてきてくしゃみいっぱいさせられるよ」
「ぼくがかわりにくしゃみいっぱいしてあげるからあげるから、へいきさ」
「ここってコウモリいるんじゃない」
「い、いないよ、おいおい・・」
「でかけててかえってくるかも・・」
「・・よ、ようちえんにもどろうかなぁ」
幼稚園に戻ると、わたしと蒼太くんが幼稚園抜け出していなくなったと大騒ぎ!!!
わたしと蒼太くんを見つけた幼稚園の先生たちは大激怒!!!
蒼太君は、『ぼくがわるいんだ!ぼくがわるいんだ!』とずっと泣き叫んでいた。
わたしはずっと泣きじゃくっていた。
そんな蒼太くんとわたしを、何時だって優しかった新米先生の岡崎先生が抱き締めてくれた。
わたしが小学校に上がると同時に転校して離れていた故郷。
就職をして再びこの地に舞い戻ってくるなんて思わなかった。
驚いたのは、まだこの幼稚園もここにずっと残っていたんだ。
「あれ?岡崎忠左衛門先生ではないですか」
「おう、奈菜ちゃんだね、なつかしいなぁ」
「あら?わたしって、あまり変わってないですか」
「幼稚園にきみを迎えに来ていたおかあさんにそっくりだよ」
「そうだ、岡崎先生、『そうたくん』って覚えてますか?」
「新米の蒼太先生か!おーい!蒼太先生!奈菜ちゃんが来てくれたぞぉ」
え?ええ??えええ???新米の蒼太先生???!!!
「あぁ!本当だ!『ななちゃん』だね!あの頃の君のおかあさんにそっくりだよ」
・・・・・・我が母からの適格な遺伝子って、おいおい;;
そして、『ななちゃん』と『そうたくん』はお互いを指差し、「『ひみつきち』行こうか!」
ー 恋の日々は限りなく心に刻まれて何時しか眠りにつく。
その幻のような淡い想いは運命に包まれ時として目覚める事も、あったりなかったり。
なんて。 ー


第、565話 うにょうにょ秘密兵器  (2010.04.23)
漫画研究会。。 訳して、漫研。。
そして、我が漫画研究会の輝かしい部長・小早川大五郎。。
部長・小早川大五郎の手に掛かれば、その漫画絵には命が吹き込まれる!!!
嗚呼!!漫研部長・小早川大五郎!!!
そして、私は漫研部員の、こんがりと焦げ子と申します o(´・ω・`*)o
焦げ子の後輩で、漫研部員、ヘソ無しの蛙子と申します (^-^*)ゞ
蛙子!大五郎部長が彼女を作る事を決断したらしいわ!!!
焦げ子先輩、絶対に阻止するべきですよ、こりゃまた!!!
蛙子!大五郎部長に異議申し立てよ!!!
焦げ子先輩、とっとと急ぎましょう!!!
ガタンゴトン==(っ*^0^)っ=(っ*`・ ω・´)っ==ガタンゴトン
蛙子!もっと急がないと大五郎部長が彼女を作ってしまうわ!!!
焦げ子先輩、大五郎部長に限ってそんなこと、信じたくありません!!!
運転士は焦げ子先輩==(っ*^0^)っ=(っ*`・ ω・´)っ==車掌は蛙子
蛙子!大五郎部長の作る彼女なら間違いなくパーフェクトだわ!!!
焦げ子先輩、そんなこと、間違えありません!!!
ホーイ ホイホイ==(っ*^0^)っ=(っ*`・ ω・´)っ==ホイサッサ
==漫研、漫研、おっ忘れ物のないようにご注意ください==
到着でし! ヾ(*^0^ゞ ヾ(*`・ ω・´ゞ 終点でし!
蛙子!既に大五郎部長が彼女を描き出しているわ!!!
焦げ子先輩、そんなこと、断じて許せません!!!
蛙子!うにょうにょ秘密兵器で阻止よ!!!
焦げ子先輩、オモチャ屋で買ったマジックハンドですね!!!
「おい、おまえら、描いている最中なのに原稿用紙を盗るなよ」
蛙子!大五郎部長に見つかっちゃったわよ!!!
焦げ子先輩、恐らく私たちの負けなんですわ!!!
「何だぁ、シリーズで描いている漫画のイケメン主人公に彼女を作るなって?」
蛙子!大五郎部長、怒っちゃってるわよ!!!
焦げ子先輩、私たちはもう終わりですわ!!!
「この新しい美人キャラクターはイケメン主人公を倒そうとするライバルの設定だけどな」
蛙子!どうやら端から私たちの誤解だったようだわ!!!
焦げ子先輩、私たちはおっぺけぺーだったのですね!!!
蛙子!帰るわよ!!!
焦げ子先輩、逃げるんですね!!!
丘を越え行こうよε=ε= (っ*;^0^)っε=ε=(っ*;`・ ω・´)っ 口笛ふきつつ
「おーい!おまえら、今日の部活どうするんだよ〜〜〜」
蛙子!うにょうにょ秘密兵器を忘れてきてしまったわ!!!
焦げ子先輩、オモチャ屋で買ったマジックハンドですね!!!
戻りたい戻れないε=ε= (っ*;^0^)っε=ε=(っ*;`・ ω・´)っ 気持ちうらはら


第、564話 澄みきった宇宙  (2010.04.18)
僕の悪友が生息する隣のクラスに、ある日、可愛い女の子が転校してきた。。
正確に言うと可愛い女の子と謳っているのは僕だけのようで・・
悪友曰く、既に隣のクラスではかなり変人扱いされているのだそうな。。
「澄みきった宇宙」
・・転校してきた女の子が最初の自己紹介で放った好きな男性のタイプだそうな。。
「それは、包み隠されていない、どこまでも見渡せる人」
・・転校してきた女の子が最初の自己紹介で放った好きな男性のタイプだそうな。。
「その人の心が海ならば、その広い海に角砂糖を一個落として、
その角砂糖がジワジワと溶けて、拡散されて、それがどのように海水に
溶け込んで広まっていったのかがいつまでも捉える事が出来るような心の持ち主」
・・転校してきた女の子が最初の自己紹介で放った好きな男性のタイプだそうな。。
「例えば、その人の心が角砂糖を一個落とされた海ならば、ある日その浜辺から
謎の巨大生物の死骸が打ち上げられ、だがその謎の巨大生物は腐敗臭が酷く、
骨は無惨に露見され、最早、此奴が何の生物かは特定など出来ないと、世界中の
生物学者が首を傾げようと、私には、その謎の巨大生物が角砂糖を一個落とされた海の、
その海水を摂取した後、どのように海に溶け込んだ角砂糖が体に吸収され、栄養とされ、
それがどのように此奴の腐敗された体に残っているかが、まるで手に取るように判る!
そんな心の透き通った、澄みきった宇宙のような、どこまでも見渡せる男性が好みなんです」
・・転校してきた女の子が最初の自己紹介で放った好きな男性のタイプだそうな。。
「もっと解りやすく言うと・・・・・・」
ここで先生に「も、もう良いので席について下さい」と言われたそうな。。
僕の悪友が生息する隣のクラスに、ある日、可愛い女の子が転校してきた。。
正確に言うと可愛い女の子と謳っているのは僕だけのようで・・
悪友曰く、既に隣のクラスではかなり変人扱いされているのだそうな。。
時々、その可愛い女の子と廊下で擦れ違う事がある。。
時々、僕が隣のクラスの悪友と歩いている事があるせいなのか、
時々、廊下で擦れ違い様に目が合うと、軽く会釈されるようになった。。
彼女から見たら、今はまだ僕なんて『澄みきった宇宙』な、存在ではないのだろうけど。。
現に、彼女に軽く会釈されてちょいとスマイルされた日には心を着飾ってしまう自分。。
何時の日か彼女の目は、僕の心に無限に広がる写し身の自分の姿を捉えるのだろうか。。
そんなある日、僕は思い切って、擦れ違い様にスマイルしてくれた彼女に「おはよう」って言えた。。
その時、彼女の瞳には確かに僕が映っていた。。


第、563話 どこまで手を伸ばせば  (2010.04.09)
どこまで手を伸ばせば、あなたまで届くのかしら。。
掻き集め続けた、あなたの一つひとつの表情(かけら)を、
少しずつ、何度も、パズルのように組み合わせてみても、
埋まらない、噛み合わない、その姿形には出来上がらない絵。。
どこまでも手を伸ばそうと、いつまでも想いは届かない。。
あなたの瞳に映る私はきっと日常の風景に溶け込んだ色。。
笑顔の時のあなたの眼差しが私を捕らえた事は一度だってないもの。。
だから、あなたの事を都合良く変えてしまっている、私。。
ー 実は、私の事、愛しているけれど言えないあなた ー
出来損ないのパズルの絵でさえ、そんな事、描かれてないのは判ってるけど。。
諦めず手を伸ばせば、いつか、あなたへと届くのかしら。。
・・でも、いつだって、私の指先は絶えず闇を彷徨い、
握り締めた想いは、やがて目から零れ落ちるだけ。。


第、562話 トイレットペーパーとテナガザル  (2010.04.04)
・・・・・・これって、私のカバンじゃないぞ!!!
むさ苦しいツラしたテナガザルが挙動不審に、その長い手で、
冷蔵庫の中にトイレットペーパーを仕舞おうとしている、
そんなチャーミングなイラスト入りの、私の手作りカバン。。
誰かがうっかり間違って持って行ってしまったのだろうか。。
確かに、間違って持って行ってしまった人のこのカバン、私のと良く似ている。。
ごついツラしたテナガザルが満面の笑みで、その長い手で、
冷凍室の中にラップで包んだトイレットペーパーを仕舞おうとしている、
そんなチャーミングなイラスト入りの、誰かの恐らく手作りカバン。。
このカバンの持ち主でも判らないだろうかと思って、カバンの中身を軽く拝見。。
すると、トイレットペーパーを持った小さなテナガザルのぬいぐるみがぎっしり;;
・・・・・・ひょっとして、男性の方かしら?!!
会いたい!遭いたい!出逢いたい!私は、このカバンの持ち主に抱き締められたい!!!
だって、恐らく、きっと、たぶん、いいえ!間違いないわ!このカバンの持ち主の部屋には、
トイレットペーパーを持った特大テナガザルのぬいぐるみだって飾ってあるに違いないでし!!!
すると向こうから「すいません!カバン間違えちゃったの、僕です」って聞き覚えのある声・・
あれ、同じクラスの地味で目立たない存在で偶に休んでいても気付かれない事がある、
でも喋ると、高校生の男子と思えないほどの少年合唱団声ででも異性を魅了する事はない、
そんなコイツの名は、えーっとぉ、えーっとぉ、えーっとぉ、まあいいか;;
コイツ、本当は凄かったんだ!!!偉大な奴だったんだ!!!ネ申だったんだ!!!
「ねえ、部屋に、トイレットペーパーを持った特大テナガザルのぬいぐるみ飾ってある???」
「うん、世間一般的レベルの大きさとは思うけど、3体飾ってあるよぉ」
コイツ、本当は凄かったんだ!!!偉大な奴だったんだ!!!ネ申だったんだ!!!
「ねえ、今から貴様の家に遊びに行っていい???」
「うん、いいけど、家族はびっくりするだろうなぁ、突然、僕が、テナガザルにも、
トイレットペーパーにも、見えない物体を外から連れてきて紹介したりしたら」
コイツ、本当は凄かったんだ!!!偉大な奴だったんだ!!!ネ申だったんだ!!!
「あ、そうだ、貴様に私が描いたコレ、プレゼントするよ!」
私は、額装油彩『トイレットペーパーとテナガザル』を、差し上げた。。
すると、「君は凄いお人だ!!!偉大な人だ!!!ネ申だったんだ!!!」と、叫ばれ、
トイレットペーパー専門店「テナガザル」の前で、人目も憚らず、抱き締められちゃいました!!!
夕焼けに染まった、わが町の、トイレットペーパー専門店「テナガザル」の前で o(〃^▽^〃)o



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