横浜マタタビバージョンのFUNI WORLD
★おバカショート劇場。★
FUNI WORLD (20)
第、623話 雨の日は雨音を聞いて過ごす
(2011.06.05)
雨の日は家の中で和太鼓を打て!!!
和太鼓格闘術、総裁、雨音どんつくです。
雨の日といえど、外出しなければならない事態が起こりえてしまうのが人間の悲しい性です。
だがしかし、雨の日の外出といえど、山を歩けば山賊に、海を渡れば海賊に、
街を歩けば警官から不当な職質と、日夜危険が隣り合わせであることを忘れてはなりません。
でも安心して下さい!雨の日に和太鼓を打たせたら、和太鼓格闘術は人類最強なのですよ。
でもそれは普段からの努力の賜物であって、幸運から得られるなどの甘い考えは通用しないのです。
だからこそ、雨の日は家の中で和太鼓を打て!!!
和太鼓格闘術、総裁、雨音どんつくです。
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お向かいの家からまた、和太鼓の音が騒がしく聞こえてくる。
向こう三軒両隣からも、和太鼓の音が騒がしく聞こえてくる。
遠い街のどこかでも、和太鼓の音は騒がしく鳴り響くこの頃。
郵便受けには今日もピザ屋のチラシと和太鼓格闘術のチラシ。
最近、メタボ母が購入した、和太鼓格闘術エクササイズDVD。
最近、弟が学習塾から強く薦められた
和太鼓らくらく勉強術。
6月の休日。今週も雨。晴れた日限定のイベント会場のピエロ。
梅雨明けまでのお預けかな。子供たちに混じって風船貰うのも。
先輩のこっそりアルバイト。私は雨の日は雨音を聞いて過ごす。
6月の休日。今日もどこかで和太鼓の音が雨音を掻き消してゆく。
第、622話 風信子
(2011.05.28)
高三郎は老人ホームで働きながら介護福祉士を取得した。
好きで選んだ仕事ではない。仕事が選べる時代でもない。
目立たない人生。雑草のような毎日。
いい加減、高三郎はこの仕事に嫌気が差し始めていた。
『風信子』という高齢で認知症の婆さん。
施設の命令でベッドに手足を縛られている。
『風信子』という高齢で認知症の婆さんは何時も高三郎に、
「昨日もこの天井ばかり見てた。一昨日もこの天井ばかり見てた。」
その言葉ばかりをくどくどと何度もなんども繰り返していた。
戦時中に負傷したらしく左腕に醜い火傷の後がある。
高三郎は、『風信子』という高齢で認知症の婆さんの全てが嫌いになった。
「そうだ。看護士が寝たきり患者に体重掛けて肋骨折る事件があったよな」
ある日の夜勤、高三郎は、『風信子』という高齢で認知症の婆さんの口に
タオルで猿ぐつわを噛ませ、胸に手を押し当て、じわじわと体重を掛けてみた。
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高三郎は、とある小さな稲荷神社に佇んでいた。
暫くすると向こうから巫女さんが歩いてきた。
高三郎が訪ねる。「あの〜、此処はどこですか」
巫女さんは、「何でしょうか」と、微笑む。
可愛らしいい少女だった。
・・この巫女さん、コスプレイヤーだろうか。頭に耳を付けている。
高三郎が、「み、巫女さんが、ねこみみですか、それ」と訪ねると。
「いいえ、稲荷神の使いの意味ですよ」と屈託のない笑顔。
たまらなく可愛らしい少女だった。
・・・・・・突然、サイレンの音が鳴り響いた。
「早く、防空壕への避難してください」
「え、なんだって」
高三郎と巫女の少女は爆撃に襲われる。
焼けた木々が二人に倒れてきた。
左腕に酷い火傷を負った巫女の少女。
井戸に連れて行き巫女の少女の腕を冷やし始める高三郎。
「ありがとうございます」と、巫女の少女が礼を述べる。
高三郎はその時、己の左腕も火傷を負っていた事に気付く。
稲荷神社の母屋から叫び声が聞こえてくる。
「信子ぉ、大丈夫かい、信子ぉ」
その時、去ったと思われた爆撃機から再び襲われる。
巫女の少女は高三郎を庇い高三郎に体を被せる。
高三郎はそのまま気を失った。
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高三郎が目を覚ますとそこはベットの中だった。
何もかも夢だったのか・・・・・・。
医師が呼ばれ病室に入ってきた。
警察官も呼ばれ病室に入ってきた。
高三郎は全てを思いだした。
・・・・・・そうだった。
俺は、『風信子』という高齢で認知症の婆さんを殺したんだ。
殺すつもりはなかったんだ。
俺は、拘置所の単独室でシャツで首を吊ったんだ。
医師と看護師が何やら話しているのが聞こえる。
「いったいこの腕、どこで火傷を負ったのだ」
高三郎の左腕には醜く火傷の跡があった。
何もかも夢ではなかったのか・・・・・・。
その時、いきなり、高三郎は暴れ始めた。
「俺を今すぐ死刑にしてくれ。殺してくれ。死んでしまいたい。」
高三郎は即座に医師や警察官に力強く体を押さえ付けられた。
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高三郎は、手足を縛られて、ベットの中。
口には猿ぐつわを噛まされている。
「嗚呼、既に、幾日が過ぎたのだろう」
高三郎はこうも心の中で呟いている。
「昨日もこの天井ばかり見てた。一昨日もこの天井ばかり見てた。」
第、621話 土地に伝わる物語 (2011.05.21)
ー
「ねえ、ママ、『石碑』って言うんだよね、この古い石」
「そうよ、むかしむかしの、ほんとうにあったお話らしいのよ」
ー
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むかしむかし、あるところに、うさみみ娘という時代錯誤のロリータ娘がいました。
うさみみ娘が川で乙女心に浸っていると、ドンブラコ、スッコッコと、大きな桃が流れてきました。
「ちょいと、あったしぃ、おばあさんじゃないよ!何よ、この大きな桃!!?
空気読んでよ」
うさみみ娘は、桃をひろい上げながら言いました。「スッコッコって何よ!!?」
うさみみ娘が家に持ち帰った桃を切ろうとすると、中から負傷した忍者が現れ、真剣白羽取り。
それを見ていた、うさみみ娘のおじいさんとおばあさんから一斉に湧き上がる歓声と指笛。
それから数週間、うさみみ娘の家では、狙われているという負傷した忍者を納屋で匿ってあげました。
ある日、うさみみ娘は傷が癒えた忍者をネコ耳カチューシャ付きメイド服コスプレで変装させて、
汚い土地の買収により村に新しく作られた道路のため今は誰も使わなくなった山道に案内して、
道が分岐する箇所の路傍の立て札を指差し、「あの立て札の指し示す通りに進まないと、
崖から落ちて底無し沼に一直線だから注意して、この道を使い、追っ手から逃げて!!!」と、
瞳を潤ませ、時折唇を噛み締め、傷がすっかり癒えちゃった忍者に丁寧に説明してあげたのでした。
その時、傷がこりゃまた癒えちゃった忍者は、一輪の野の花を摘み、うさみみ娘に差し出しました。
ある晩、うさみみ娘一家が寝静まった夜に、メイド服姿のネコ耳忍者は静かに納屋を出ました。
実は、眠っているおじいさんとおばあさんを気遣い、こっそり忍び泣いていた、うさみみ娘。
その時です。木々が騒めき出し、パッションピンクカラーのカーテンのすき間から、
最新ホームセキュリティの中間膜を挟んだ防犯ガラス窓の向こうで月明かりに照らされ
怪しく蠢く、幾人かの人影に、うさみみ娘は不幸にも気付いてしまったのです・・・・・・。
「あったしぃ、行かなくっちゃ!!!」
数日前、おじいさんとおばあさんは『忍者と家を出たい』と願ううさみみ娘を引き留めました。
『追われたら、おまえも殺されてしまうじゃ!!!
おまえも殺されてしまうじゃ!!!』、と。
「ごめんね、おじいさん。おばあさん。」
汚い土地の買収により村に新しく作られた道路のため今は誰も使わなくなった山道。
道が分岐する箇所の路傍の立て札の向きを変え、うさみみ娘は後を追い掛けました。
・・・・・・既に追っ手どもに無惨にも切り裂かれていた、メイド服姿のネコ耳忍者。
うさみみ娘に気付いた追っ手は、うさみみ娘からうさみみカチューシャを取り上げようと
したけれど、そんな卑劣な辱めを受ける前に、うさみみ娘は自ら舌をかみ切りました。
追っ手の一人が苦しむうさみみ娘の心臓を刀で一突きすると、皆、その場を立ち去りました。
やはり、追っ手どもは、この間、うさみみ娘とネコ耳忍者が念のために立て掛けておいた、
『ここから先は凶暴な巨大カンガルーが出るぞーー!!!』の立て看板にまんまと騙されて、
来た道を引き返して、やがて、道が分岐する箇所の路傍の、向きが変えられた立て札。
追っ手どもは、皆、崖から落ちて底無し沼に一直線。底無し沼に沈んで消えていきました。
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ー
「ねえ、ママ、『石碑』って言うんだよね、この古い石」
「そうよ、むかしむかしの、ほんとうにあったお話。この土地に伝わる、悲しい恋の物語」 ー
第、620話 あんな顔を初めて見た (2011.05.16)
小学校の頃はあたしの子分だったくせしやがって、
中学生になってからはあたしよりもグングン背が伸びやがって、
可愛気が無くなってきた、幼なじみのスベスベマンジュウガニ
(仮名)。
そんな、毒々しい男臭が漂い始めたスベスベマンジュウガニ (仮名)
が、
事もあろうに突然、あたしを見下ろしながら真顔で告ってきやがった。
あたし、キモイので速効却下。
カニ、見る見るへたる。
あたし、同情心からか、返事延期に変更。
カニ、見る見る頭上に蝶が舞う。
あたし、からかいがいがあるので頬に軽くキスしてみる。
カニ、見る見る頭上に天使が舞う。
あたし、貴様の目の前にいるのは実はあたしにくりそつな女装した弟だと言ってみる。
カニ、頭上の天使がばさばさと落下。
あたし、冗談に決まっているじゃないと成長過程のおっぱいを精一杯揺さぶってみせる。
カニ、にやけながら鼻出血。
あたし、キモイので思いっ切り平手打ち!!!
カニ、すがりつくための見えない何かを求めるような遠い眼差し。
・・スベスベマンジュウガニ
(仮名)
の、あんなオモロ顔を初めて見た。
嗚呼、ちきしょうめ!オモロ顔の瞬間の写メを撮っておけば良かった。
そしたら、オモロ顔写メをちらつかせ今後もあたしの子分として従わせてあげたのに。
そして、若しや迂闊にも結婚した暁には、永遠にあたしの尻に敷いてあげられるのに。
へたり込んだスベスベマンジュウガニ
(仮名) の頭を撫で撫でしてあげると、
スベスベマンジュウガニ (仮名)
は、あたしの子分だった小学校の頃の顔に逆戻り。
・・・・・・ん、よく見るとひげが生えてきているではないか、この男臭!!!
あたし、キモイので思いっ切り往復ビンタ!!!
カニ、すがりつくための見えない何かに手を差し出しながら遠い眼差し。
あたし、そのオモロ顔を写メ!!!パチッ☆
/■\o・*)
しめしめ!これでスベスベマンジュウガニ (仮名)
は一生あたしの奴隷じゃ!!!
まずは折角の日曜日、その薄いヒゲ剃って、これからあたしとデイトしやがれってんだぃ!!!
第、619話 人生相談のカンガルーおばさん (2011.05.08)
今日もまた、人生相談のカンガルーおばさんのところにひとりの迷える相談者がやって来た。。
「人生相談のカンガルーおばさん、あたしの相談を聞いて下さい」
「何なりと話してごらんなさい、お嬢さん」
「うんと年上の男性に愛されたいのですが、どのように接したらいいですか?」
「ならば、この超ハイヒールを履きなさい」
「履きました!」
「木彫りの熊を頭に乗せなさい」
「乗せました!」
「右の手の平に生まれたての子羊、左の手の平に出来立ての安土城のプラモデルを乗せなさい」
「乗せました!」
「では、歩いて見せてごらんなさい」
「お、お、おっっっかなくて歩けません!!!」
「一歩でもいいから、歩いて見せてごらんなさい」
「転んで怪我をしてしまいそうです」
「ほら、どうしました!頑張ってごらんなさい」
「何故普通に歩かせてくれないのですか?!!」
「ではお嬢さんはどのように歩きたいのかい???」
「普通がいいんです!何時もと同じで、普通がいいんです!」
「ならば、お嬢さんの好きなうんと年上の男性にも、普通に接しなさいな」
「人生相談のカンガルーおばさん、あたしったら、間違っていました」
「では、また何かあったら何時でもおいでなさいな」
「本当に、今日は、ありがとうございました」
「あら、お嬢さん、木彫りの熊を頭に乗せたままですよ」
「あ!いけない。。木彫りの熊を頭に乗せたまま帰ってしまうところだったわ」
「・・・・・・と言うか、木彫りの熊は頭に乗せて普通に歩けるのかい???」
「はい!割かし普通です!!!」
今日もまた、人生相談のカンガルーおばさんのところから相談者が道を導かれ帰って行く。。
第、618話 想い出したこと
(2011.05.01)
想い出したことは、、
はじめて作ったらしい、ニニギノミコトのキャラ弁が、
上手に出来たと喜んでいた君の笑顔がとても可愛かったこと。。
想い出したことは、、
破れたジーンズに、イザナギノミコトを継ぎ当てて修理してくれた、
そんな然りげなく優しげな君の横顔がとても可愛かったこと。。
想い出したことは、、
僕の誕生日の日、僕のアパートに、天照大神のコスプレで現れ、
奇跡としか思えぬ手品を披露した君のどや顔がとても可愛かったこと。。
・・3年前に喧嘩別れした彼女なのに、記憶に現れるのは愛おしい君ばかり。。
閉じた手作りフォトアルバムは、表紙がスサノオノミコトの、君が僕に残した想い出。。
第、617話 ソラに雨が降る (2011.04.23)
曇っていたんだ。
目覚めた後、カーテンを少し開けて、窓から空を眺める迄もなく・・
玄関のドアを開けた後、傘を両手で握り締めて、首を後ろに反らす迄もなく・・
判っていたんだ。
待ち合わせの場所ではあなたは既に他人の顔をしてた。
ソラに雨が降る。
知らぬ間にあなたに心を開かぬまま黙り続けてきた私。
すぐに雨は握り締めた傘も開けぬまま佇む私に降り注ぐ。
人混みに消えてゆくあなたの背中はもう永遠に私を拒んでいる。
・・・・・・「ごめんね」って、その言葉さえも言えなかった。
第、616話 春らんまん (2011.04.17)
日本の植物学の父、牧野富太郎が命名、『イヌノフグリ』。
実の形が犬の陰嚢に似ていることから名付けられたという無茶苦茶。
田舎女子中学校植物研究部、学校周辺で野外観察。
部員A子が「私だったら『園児のおしり』って命名したのに」
・・ロリなA子さんらしい意見よね。(美人の顧問先生F子)
部員B子が「私だったら『浣腸待ち』って命名するよ」
・・と、とりあえず、おしり派が2名。(美人の顧問先生F子)
部員C子が「私だったら『お風呂上がりのお父さん』」
・・C子さんのお父さん、娘に気を使わないタイプ?(美人の顧問先生F子)
部員D子が「私だったら『お母さんのフグリ』」
・・D子さん、あなたのお母さんって??!フグリ派2名。(美人の顧問先生F子)
そんな時、部員E子が新風を吹き込んできた。
部員E子「私だったら『のどちんこ』」
・・E子さん、お口をあ〜ん!あ、あなた、Wのどちんこ;;
(美人の顧問先生F子)
部員A子が「F子先生だったらなんて命名するの?!!」って訪ねる。
美人の顧問先生F子「私だったら『切るべきか切らざるべきか』」
植物研究部部員一同「え゛〜〜〜!、F子先生って、ニューハーフだったのぉ?!!」
美人の顧問先生F子「私はイボ痔よ〜〜〜!!!」
美人の顧問先生F子の叫び声は校庭の陸上部のイケメン顧問先生の耳にまで届いたらしく;;
そこで、美人の顧問先生F子の一句。
春らんまん
イヌノフグリで 地獄絵図
Y(>_<、*)Y
我が女子中学校植物研究部では『イヌノフグリ』改め『F子先生のイボ痔』と命名されました。
・・・・・・という無茶苦茶 Y(>_<、*)Y
第、615話 Twitterガセネタパラダイスなう (2011.04.09)
Twitterを覗いていたら、原宿竹下通りでイリオモテヤマネコが産気づいているとの情報をゲット。
イリオモテヤマネコ研究自称第一人者の先生が竹下通りまで出向くもその日は発見されず。
またある日、Twitterを覗いていたら、原宿表参道で老いぼれた鍼灸師とリモコンマウスで遊ぶ
イリオモテヤマネコを目撃したとの情報を頼りに探し回ったが、イリオモテヤマネコとは出会えず。
そして本日、Twitterを覗いていたら、原宿キャットストリートにて地元のおばちゃん集団と
避妊矯正について語り合うイリオモテヤマネコを目撃との情報を何時にも増して大量にゲット。
・・Twitter、それはガセネタ情報のパラダイス。しかし、意外な真実がひょっこり顔を出す世界。
イリオモテヤマネコ研究自称第一人者の先生は、『イリオモテヤマネコ原宿で増殖説』を唱える。
颯爽と明治神宮前駅に降り立ち歩き出す、イリオモテヤマネコ研究自称第一人者の先生。
誰もが彼を、『ガセネタで日々踊らされる、野良猫まみれの傷だらけ惨敗ファイター』と呼ぶ。
第、614話 花見の自粛 (2011.04.02)
桜は歩きながら静かに眺めたい。
夜は夜で、夜桜らしい桜を眺めたい。
ライトアップという有り様な加工処理の夜桜は嫌いだ。
桜の木の下で酔っぱらいが騒いで踊っているのはゴキブリよりキモイ。
散り落ちた桜の花びらに酔っぱらいが痰を吐いている様は、
ゴキブリを素足で三日続けて踏んづけてしまう事よりキモイ。
花見の自粛。
もちろん、ゴキブリ以下の宴会に対しての自粛。
桜を歩きながら静かに眺める事が出来る。
夜は夜で、夜桜らしい桜を眺める事が出来る。
そんな桜の木の下を彼女と一緒に歩きたかった。
なのに今年の冬の終わり頃になって・・・・・・
数年続いてきた恋が桜よりも儚く散ってしまった。
桜を歩きながら静かに眺める事が出来る。
夜は夜で、夜桜らしい桜を眺める事が出来る。
こんな季節に桜を一緒に眺めたかった彼女はもういない。
第、613話 電動自転車と擦れ違う午後 (2011.03.27)
デート、すっぽかされた。
失望しつつ、デートをすっぽかしたダメ男からのメールを見る。
車のガソリン残量が残り少なく、ガソリンスタンドでの給油もままならず?!!
こ、コイツ、小学坊主だった頃は毎朝必ず寝坊して学校へ行くための準備を全て
当日慌ててした挙げ句、学校には遅刻して忘れ物もしたタイプだったことを此処に誓う。
仕方がないので春物の服狙いでお店を覗くも計画停電の予定の為、早めに営業終了。
・・・・・・何なのよ、それって。
肩を落とし、デートをすっぽかしたダメ男からのメールを見る。
何だって?!!
のど乾いたのにどのコンビニにも水が売ってねーーー?!!
こ、コイツ、小学坊主だった頃の修学旅行で己の水筒の水を盛んにがぶ飲みし、
原子力発電所が素知らぬ顔でそびえ立つ海沿いの道であたしの水筒の水を
半分以上奪い取り更にがぶ飲みし誰よりも先にバテていたことを此処に誓う?!!
・・・・・・仕方ない、帰るか。
朝出掛ける時には寒かったはずなのにお昼には思わず上着を一枚脱いだ。
思いの外、気温が上がった午後に駅に向かう急な坂道で電動自転車と擦れ違う。
上り坂で汗を掻く電動自転車の人物が「いっけねー、充電し忘れていた」とポツリ。
デート、すっぽかされた。
いろいろムカつきながら、デートをすっぽかしたダメ男からのメールを見る。
駅の混み合うホームで佇んでいたら激しい揺れに見舞われる。
・・・・・・何よ、突然。
『愛しているから』なんて調子の良いメールの一言で全て帳消しにしてしまう、あたし。
こ、コイツ、小学坊主だった頃は男の子同士で遊んでばかりだったけれど、
一人っ子だったあたしの小学校への送り迎えは必ずあたしの横にいてくれた。
6年生の頃には、『送り迎えは冷やかされるから止めて』と言うあたしに、
『大切だからダメ』って、突然似合わぬ事を口にした前歴がある。
だけど、朝は相変わらず寝坊したコイツを待っていたのは、あたし。
帰りは、先生に下校を催促されるコイツを待っていたのは、あたし。
・・・・・・だったことを此処に誓う、就職内定を取り消され取り敢えずバイトで
食いつないでいるダメ男の彼女の、計画停電で会社が休業で、退屈な、あたし。
・・・・・・明日は何が待ち受けているのだろう。
第、612話 生醤油ちょいと垂らし (2011.03.20)
あたいはアマゾン先住民族で日本に嫁いできました。
旦那様は日本人なので和風の料理を拵えます。
今夜の料理は、ピラルク一匹塩焼き、ワニとカメの活き作り、
ピラニアのお吸い物、生醤油ちょいと垂らし、和風〜♪。゜゛
日本にはとっても便利な洗濯機というロボットがいます。
旦那様は日本人なので、汚れたパンツ、靴下、ハンカチ、
洗剤と、柔軟剤と、生醤油ちょいと垂らし、拡散〜♪。゜゛
日本には、膝枕で耳掃除という、すばらしい文化がある事を知りました。
旦那様に「耳掃除してあげる」というと大喜びで、早速膝枕。
槍で穿り、穿り、突き、生醤油ちょいと垂らし、フィニッシュ〜♪。゜゛
・・・・・・それは日本女性の清らかさなのです。雅びやか〜♪。゜゛
動物園のカピパラ、ヨダレが出ます。生醤油ちょいと垂らし σ(・○、・*)
第、611話 好きなのに (2011.03.13)
好きなのに 胸掻きむしる 天邪鬼
好きだから 開かぬ心の
パスワード
好きすぎて はじけた笑顔の 歪み顔
第、610話 即席ラーメン妄想曲 作品610 (2011.03.05)
「あたし、出前ハジメ君のことが好きなの」
「・・それホントなの、チャルメ」
「そうよ、サッポロいち、あたし今から出前ハジメ君に会って告白しちゃう」
「あ〜らよしなさいってば、チャルメ、出前ハジメ君はアイドルのごまラーに夢中なのよ」
「だって、アイドルと彼女とメンマは別でしょ!サッポロいち」
「キャベツ頭とか、白菜頭とか、もやし頭とか言われている出前ハジメ君のどこがいいのよ」
「まあ、確かに出前ハジメ君はちぢれ天パだけどあたし達だって同じじゃないのよ」
「でも、出前ハジメ君には仲の良い幼なじみのレンゲちゃんって娘もいるしさ」
「・・ねえ、もしかして、サッポロいちも出前ハジメ君のことが好きなんじゃないの?」
「・・どうしたらいいの。でも、チャルメとの友情は壊したくないわ」
「ふたりで告白しちゃおうよ。どちらが選ばれても両方振られてもあたしたちずっと親友よ」
「おーい、出前ハジメ君、あ!カルボナーラ女史を見詰めるあの味付け卵のような色目!!!」
「おーい、出前ハジメ君、お!カルボナーラ女史を見詰めるあの味付け卵のような色目!!!」
「サッポロいち、心が煮えたぎっちゃったわね!」
「チャルメ、想いが伸びきっちゃった感じよね!」
「サッポロいち、出前ハジメ君なんか見限って、もっとボンな彼を作りましょうよ!」
「そうね、チャルメ、出前ハジメ君なんか見限って、ククレな彼を作りましょうね!」
第、609話 ー
新郎新婦入場 ー
(2011.02.26)
「まさか、うちのオヤジとナムプラーのお袋が結婚するとは・・」
「あら、やっぱり、ヌックマムは何一つ気付いていなかったのね」
ー
ただいまより新郎新婦が入場いたします。盛大な祝福でお迎えいたしましょう。ー
「だって、ナムプラーのお袋はうちのオヤジの姿を見付けると・・・・・・
『ほ〜ら、また、しょっつるさんたら、ステテコ姿でだらしなく町内彷徨いて!』
・・・・・・って、毎日のように血管浮かび上がらせて激怒してたじゃないかよ」
「そうよ、ヌックマムのお父さんだって、うちのお母さんに・・・・・・
『いしるさんよ〜、毎日目くじら立てて怒ってたらシワも増えるってなぁ』
・・・・・・な〜んて、懲りずにやり返していたわよね」
ー
私本日司会を仰せつかりました、新郎の友人の、苦うるかと申します。ー
「だろー、あのふたりは何処を嗅いでも相性の悪いデータ満載コンビだろー」
「データとデータの間の一つひとつに、高密度なデータが鼻腔空間のように広がっているのよ」
「あの、脳みそ真っ平ら人間なふたりに、高密度なデータなんて考えられない」
「ヌックマム、だったら今この会場で行われているこの結婚式は何なのよ」
「・・・・・・恐らくはこれは間違いなく夢だな」
「ねえ、ヌックマム。恋心で感じて受け止めなさいよ」
「恋心だってかぁ、オモンネー!オモンネー!オモンネー!」
ー
只今よりウエディング鮒寿司の入刀でございます。ー
「何時も鈍感で、バカで間抜けでデリカシーに欠けている、イボ痔なヌックマムには理解不能なのね」
「おいおい、ナムプラー、鈍感でバカで間抜けでデリカシーに欠けている、は余計だろー」
ー
それではここでお二人の前途を祝して声高らかにいかなご醤油乾杯いたしたいと存じます。ー
「ホント、鈍感で、バカで間抜けでデリカシーに欠けている、イボ痔なヌックマム」
「ナムプラー、鈍感でバカで間抜けでデリカシーに欠けている、は余計だよー」
ー 新郎新婦のお二人は明日より世界の魚醤を求めて70日間のハネムーンに参ります。ー
第、608話 正しい花粉症対策
(2011.02.20)
・・・・・・花粉症対策かぁ。。
なになに、当社の花粉症対策網戸で花粉をシャットアウト!!?
おやおや、当社の花粉対策カーテンを是非?!!
ほうほう、当社の空気清浄機なら確実に花粉を除去??!
いやいや、ヨーグルトをどんどん喰らえ!by.全国ヨーグルトを喰らえ協会。。
へぇへぇ、花粉症にはバナナが効くぞぉ!by.日本バナナが効くぞぉ協会。。
ふむふむ、レンコンで花粉症対策だっちゃ!by.全日本レンコンだっちゃ協会。。
あれあれ、花粉症対策マンションに、花粉症対策建売住宅、需要が高まる!!?
霊験あらたかな花粉症対策神社?花粉症対策募金にご協力ください!チャリティー活動?
花粉症のお困りの方のための、CD?DVD?3D映画?コンサート?世界選手権試合?
花粉症対策にダム建設?花粉症対策に高速道路整備計画?新しく花粉症対策庁発足?
花粉症対策ビジネスに花粉症対策税導入???
・・うわ!夢?朝?目覚まし鳴った?休日か;;
・・・・・・花粉症対策かぁ。。
あれれ、雨が降っている!雨の日は比較的楽なんだなぁ。。
・・・・・・彼に、今日、逢えないか?メールしてみよう。。
第、607話 デビューしましょ (2011.02.12)
「桜咲夢子くん、そちのデビューが決まった」
「本当ですか、社長」
「芸名も考えた」
「あたしの本名は使わないのですか?」
「『アノマロカリス奇蝦子』でどうだ」
「『アノマロカリス奇蝦子』ですか?」
「デビュー曲は『アノマロカリス音頭』だ」
「お、音頭ですか?」
「これが曲のサンプルだ」
「・・・・・・い、意外にR&B」
「デビューシングルの初回盤は、AからZまで発売される」
「26パターン?カップリングが26曲あるのですか?」
「シングルジャケット写真が26種類でな、わし、わしの父、わしの母、
わしんちの愛犬のジュメリバ、そして幼なじみで初恋のお華ちゃんは
これから捜索して写真を撮らせて頂き、後は商店街の八百屋のオヤジや…」
「あ・た・し・の写真とかは…」
「特典でトレーディングカードが一枚ずつ封入される」
「あ・た・し・のトレーディングカード???」
「古代生物アノマロカリスのトレーディングカードだよ!
そんな訳でネットの巨大掲示板に『アノマロカリス奇蝦子』の名で殺害予告しておいた」
「なんですとーーー!!!」
「先ずは話題で名を売り資金も稼ぐぞ」
「え゛っ?『ねずみ駆除ならアノマロカリス奇蝦子にお任せ!殺害しちゃうわよん』???」
「さあ、ねずみ駆除業務でみんなで衣装代を稼ぐのだ!!!」
「衣装代ってそんなに掛かるのですか?」
「特注のアノマロカリスの着ぐるみだからねぇ」
「・・・・・・あたし、山越えて田舎に帰りてぇーー」
「さあ、桜咲夢子くん、曲のサンプル聴いてレッスンレッスン!!!」
「・・・・・・い、意外にR&B」
「あ、そうそう、この曲がカップリングの『アノマロカリス小唄』だ」
「・・・・・・い、意外にヒップホップ」
第、606話 春めいて心浮かれて (2011.02.06)
てんとう虫出撃
いつも通る道にてんとう虫ゾロゾロ
ショップの中にてんとう虫ゾロゾロ
砂浜の砂を掬うようにてんとう虫山盛り
てんとう虫登れ登れ
空を埋め尽くすてんとう虫うじゃうじゃ
てんとう虫が家の中にガンガンやってくる
せっせとせっせとてんとう虫
春めいて心浮かれててんとう虫ブギウギ
てんとう虫と踊るように・・・・・・
てんとう虫のレターセットで貴方宛にラブレター
引き出しの中に今日もまた私の想いは溜まってゆく
第、605話 言葉は無くても (2011.01.30)
茶店の席に、今、あたしと向かい合わせで座っている、奴。
あたしを呼びつけておいて黙りを決め込んでいる。
奴の気の弱さは交際して3年目、今更ではないけれどあたしは熟知しているつもり。
奴の隣にカンガルーがいるとしよう。
奴の気持ちを察したカンガルーがあたしに奴の気持ちを伝えたいが為に、
ジェスチャーであたしの隣に座っているカンガルーに伝達を試みる。
でも、あたしの隣に座っているカンガルーはそれに気付かないふり。
奴の隣のカンガルーはジェスチャーで必至にあたしの隣のカンガルーに伝達を試みる。
でも、あたしの隣に座っているカンガルーはそれに気付かないふり。
そんな時、テーブルの上のコロポックルまでも自慢の素早い動きでジェスチャーをする。
奴の気の弱さは交際して3年目、今更ではないけれどあたしは熟知しているつもり。
まさか、『キミは昨日、スカートのファスナーが全開だったよ』なんて言う訳でも無し。
まさか、『キミは昨日、スカートの裾がパンツの中に入ったままだった』なんて言う訳でも無し。
まさか、『キミは昨日、肩にコロポックルを乗せてたね』って、言われなくても分かっているし。
あたしの気の弱さだって交際して3年目、今更ではないけれど奴は熟知しているはず。
あたしの隣に座っているカンガルーが潤んだ瞳であたしを見ている。
奴の隣のカンガルーも潤んだ瞳であたしを見ている。
テーブルの上のコロポックルも、潤んだ瞳であたしを見ている。
言葉は無くても、伝わる想いはある。
言葉で言えないから、伝わる想いもある。
「さよなら」の言葉では、伝えきれないもどかしさがある。
第、604話 五匹の招き猫 (2011.01.23)
何時ものように、特に代わり映えもしない一日。
繰り返されるように仕事帰り、同じ道で帰る。
以前から気になっているイケメンの奴は、今日、一瞬あたしと目が合って、
網膜が、確かに受け止めたはずの『あたし』という光の情報を脳に送ることを拒むかのように、
今日も、あたしと目が合ったことを記憶に残さないかの如く情報を処理をされ時間は過ぎていった。
何時ものように、特に代わり映えもしない一日。
繰り返されるように仕事帰り、同じ道で帰る。
ある頃から新規の雑貨屋さんが一軒、街並みの景色を変え始めた。
その雑貨屋さんで、左手を上げ小首を傾げた小さな可愛い招き猫を見付け衝動買いして帰った。
その左手を上げ小首を傾げた小さな招き猫は、無事、あたしの部屋に飾られた。
次の日、一匹ではその左手を上げ小首を傾げた小さな招き猫が可愛そうなので、
もう一匹、左手を上げ小首を傾げた小さな招き猫を買って帰り、そいつもあたしの部屋に飾られた。
あたしは、そんな小さな事で代わり映えをする毎日が何となく嬉しくて、
左手を上げ小首を傾げた小さな招き猫を次の日もまたその次の日も買って帰った。
四匹の可愛い、左手を上げ小首を傾げた小さな招き猫はあたしの部屋で澄ました顔で並んでいる。
また次の日にも、左手を上げ小首を傾げた小さな招き猫を買おうと雑貨屋さんに入ると、
その日、新入荷されたという、両手を挙げにっこり笑うとってもお茶目な招き猫を発見。
その日、あたしは、両手を挙げにっこり笑うとってもお茶目な招き猫を買って帰り、
左手を上げ小首を傾げた小さな招き猫の、五匹目の仲間にしてあげた。
両手を挙げにっこり笑うとってもお茶目な招き猫は、己のその個性をただ強く主張するばかりでなく、
左手を上げて澄ました顔で並んでいる四匹の小首を傾げた小さな招き猫の可愛さを何倍も引き立てた。
その御陰なのか、次の日からのあたしはもう、招き猫を買って帰る事は必要としなくなっていた。
あたしの昨今は、知らず知らず、以前よりずっと笑顔でいる時間が増えたような気がする。
何時しか周りの友人からもそう言われるようになっていたし、それはごく自然な日々だった。
何時ものように、特に代わり映えもしない一日。
繰り返されるように仕事帰り、同じ道で帰る。
でも、何かが何処かしら、移り変わっている毎日。
以前から気になっているイケメンの奴は、今日、一瞬あたしと目が合った時に、
網膜が、受け止めた『あたし』という光の情報を気紛れにちょっとだけ脳に送りつけたかのように、
何時もよりそれは僅かだけれど、あたしと目が合っていた時間が長かったような気がした。
第、603話 我が校のドキュメンタリー動画祭 (2011.01.16)
我が中学校恒例、現2年生が制作し競わされるドキュメンタリー動画祭。
審査員はPTAの方々で、この動画祭で受賞した作品とPTAの方々推薦の幾つかの作品は、
卒業生を送る会と新入生を迎える会に再び上映される名誉を勝ち取る事が出来る。
要するに、どうでも良い生徒にはどうでも良い恒例行事だけど強制的に参加させられる祭り。
2011年も御多分に漏れず新年明けの三学期早々、講堂でどうでも良い恒例行事が開催された。
・・そんな訳でグランプリ受賞クラスは流石!仕切り屋御坊ちゃま生徒会長がいる2年A組。
奴らは老人ホームに出向き、高齢者の方々から昔の話を聞き出し編集してのどや顔ドキュメンタリー。
特に戦前から戦後への昭和史の語りのクライマックスでPTAの方々の涙目御満悦感はMaximum!!!
・・また今年はPTAの方々を大爆笑させた2年F組のハプニング映像集が特別にユーモア賞を頂いた。
どうにもF組生徒身内のハプニングだらけで虚構臭が漂っている事などは我々にはどうでも良い。
・・・・・・我々2年C組動画は総スカンを食らったようで、担任のジジイは見事なまでに縮まった。
それでも、担任のジジイはC組のドキュメンタリー動画が一番素晴らしかったと褒めてくれた。
2年C組の生徒、一人ひとりの生活の一部分をただ切り抜いただけのドキュメンタリー動画。
ある女子生徒は、公園で檄愛する飼い犬の肉球を嗅いだ後からのー、うさちゃんピース!!!
あるブタ生徒は、行付けのたい焼き屋の前でたい焼き喰らってただただ幸福顔丸出し!!!
我がクラス唯一の優等生殿は、両手一杯に萌え系美少女フィギュアを抱えてのカミングアウト!!!
2年C組生徒、全力のドキュメンタリーが収められたお宝動画集。
そして、あたしは、味も素っ気もない奴とずっと勘繰ってきた一人の地味な男子が、
『クラス替え前の2年C組生徒一人ひとりの残された今の記録だけを撮ろうよ』と案を出して、
カメラマンも自ら買って出て爛々と目を輝かせこのドキュメンタリー動画を作り上げる姿を見て・・
・・ある女子生徒ことあたしは、この2年C組ドキュメンタリー動画の中で、
「そこのビデオカメラで撮っている貴様、輝いてるぞ!」って叫び、ただひたすら笑っている。
第、602話 3時間後の未来 (2011.01.08)
「おーい!ダンボールハウスで寝ている魔法使いのババア!!!」
「ババア、出たどん」
「うわぁ!おまえが『第、84話』で久美子おばさんを弟子にした魔法使いのババアなのか?!!」
「これ、まだガキの分際でおなごがババアにそんな乱暴な口を利くんじゃねーぞびゃ」
「本当に魔法使いだったらあたいを3時間後の未来に連れて行けよ」
「ほーう、ババアはとっても特上天とじそばが喰いたいぞびゃ」
「・・・・・・」
「旨かったぞびゃ」
「貴様、大盛りで3人前喰らいやがって」
「どうせ、糞ガキは今の時期、お年玉で懐あったかいじゃろぞびゃ」
「喰ったならとっととあたいを3時間後の未来に連れて行けよぉ!!!」
「では、そこの道を右に曲がれぞびゃ」
「・・・・・・;」
「今度は、左に曲がって真っ直ぐだぞびゃ」
「・・・・・・;;」
「あっちぞびゃ」
「・・・・・・;;;」
「こっちぞびゃ」
「・・・・・・;;;;」
「そこの公園に入るぞびゃ」
「・・・・・・;;;;;」
「到着だぞびゃ」
「・・・・・・はあ、はあ、はあ、ここは元居たババアのダンボールハウスだろーが!!!」
「糞ガキが『3時間後の未来に連れて行けよ』とここで叫んでから既に3時間が経っているぞびゃ」
「・・こ、このインチキババア;;
こりゃ久美子おばさんに担がれたかなぁ」
「糞ガキは、ひょっとして惚れた男と会う約束をしていただろぞびゃ」
「うわー、やべー、肝心な事が抜けていたじゃねーかよ」
「おーい、そんなに慌てて未来へ向かうなぞびゃ!今その時を一歩いっぽ進むぞびゃ!
そうでないと、何時しか未来への道に迷って後戻りも効かなくなるからぞびゃったぞびゃった」
「・・・・・・引っ込め、インチキババア!!!
次会う時は特上天とじそばの金返せ!!!」
「ババア、引っ込むどん」
「・・・・・・はあ、はあ、はあ、先輩、帰っちまったんじゃねーのか?!!」
ーーー
キンココカンココポン ーーー ♪。゜゛
「あれ、夕方5時に街に流れるチャイムの音?先輩と会う約束の時間よりまだ30分早い?」
ーーー
ポンココキンココカン ーーー
♪。゜゛
「ババアに未来に連れてって貰って先輩への告白が受け入れられたのか知りたかったけどなぁ。
そう言えば、ババアといた時にこのチャイムの音を耳にした覚えがない。ババアに担がれたかなぁ」
「ーーー
キンココカンココぞびゃ ーーー ♪。゜゛」
「未来を知らないままコクる勇気が持てないよぉ〜。振られるのならコクりたくないし、どうしよう」
「ーーー
ポンココキンココぞびゃ ーーー ♪。゜゛」
「・・・・・・こぉーのぉおお、インチキババア!!!
ここで何やってるんだこのぉー」
「いいか、そんなに慌てて未来へ向かうなぞびゃ!今その時を一歩いっぽ確認しつつ進むぞびゃ!
そうでないと、何時しか未来への道に迷って後戻りも効かなくなるからぞびゃったぞびゃった」
「ババア、引っ込め!!!」
「ババア、引っ込んだ!!!」
「・・あっ、先輩が来た。約束通りに来てくれた。告白どうしよう?告白どうしよう?」
「よぉ、相談って何なんだい??!」
・・『いいか、そんなに慌てて未来へ向かうなぞびゃ!今その時を一歩いっぽ進むぞびゃ!
そうでないと、何時しか未来への道に迷って後戻りも効かなくなるからぞびゃったぞびゃった』・・
「せ、先輩、あのぉ〜、取り敢えず、あたしとここで思いっ切り深呼吸して頂けませんか??!」
第、601話 明けましてダンボール
(2011.01.02)
初夢。その年の最初に見る夢。一富士二鷹三ダンボール。
例えば・・・・・・
富士をバックに鷹を引き連れ大空をダンボールに乗って飛んでいる夢。
遠くに富士を眺めながら鷹を引き連れ大海をダンボールに乗ってセイリングしている夢。
富士から飛び立ち、太陽系の惑星を鷹を引き連れダンボールに乗って旅している夢。
そして・・・・・・
片想いの貴方から頂いた、ダンボール箱のラブ・レター。
学校の下駄箱には入らないからこっそり下駄箱に立て掛けてあった、
冷蔵庫のダンボール箱に極太マジックで書かれた、BIGな文字のラブ・レター。
嬉しい!!!
嬉しい!!!嬉しい!!!嬉しい!!!嬉しい!!!
・・・・・・ふと目が覚める。
こたつの上にはまだ書きかけの貴方へのラブ・レター。
三学期には貴方の下駄箱の前にこっそり立て掛けておきたくて。
でも、まだ一行足らずな、ダンボール箱のラブ・レター。
ダンボールを薫いてその香りを鑑賞する、ダンボール香道部第21代キャプテン、な、、貴方へ。
明けましてダンボール。今年の目標は卒業までに貴方に一歩近付きたい。
第、600話 ダンボール
(2010.12.25)
雨宿りの店を出て雨上がりの街を歩くふたり。
唯でさえ寒い冬の街、、
雨の御陰でより一層彼にしがみつく。
なんやかんやと2年ほど付き合っている、彼。
雨の御陰でより一層彼にしがみつく。
そんな時、あたしの目に飛び込んできた、ダンボール。
歩道の隅っこでたっぷり雨に濡れた、ダンボール。
ダンボールオタクのあたしの心を彼から引き離そうとする、ダンボール。
世界で唯一かも知れないダンボール写真ブログ管理人こと、あたし。
それは、決して加工された工作ダンボールではなく、全く味付けされていない、
街で見掛けた素のままのダンボールの写真ブログの管理人こと、・・あたし。
なんやかんやと3年ほど続いている、あたしのダンボール写真ブログ。
雨に濡れたダンボールだよ!!!
ネ申だよ!!! 出会いだよ!!!
それも、誰かが踏んづけたのだろう。
奇跡の良い塩梅な足跡付き!!!
今、写真に収めなければ、次に何時出会えるかなど保証されていない代物だ。
でも、そこには難題が・・・・・・
《
彼はあたしがダンボールオタクでダンボール写真ブログの管理人なんて知る由もない
》
唯でさえ寒い冬の街、、
雨の御陰でより一層自分ににしがみついている女が突然雨に濡れたダンボールの写真を撮る。
・・・・・・きびしいだろーーー。
しかも良い塩梅な足跡付き!!!
・・・・・・きびしいだろーーー。
でも、でもでも、雨に濡れたダンボールの横を通り過ぎてしまう前に・・・・・・。
・・・・・・パシャ
/■\;´▽`*)
ひゅひゅひゅ♪〜
(゜ε゜*)
「・・・・・・・・・・・・?」
「・・・・・・・・・・・・!」
・・・・・・セーーーーーーーーフ。
大好きな大好きな彼だけどぉ、あたしの全てを知られるなんてまだまだ勿体ないじゃない。
唯でさえ寒い冬の街、、
雨の御陰でより一層彼にしがみつく。
あっ!先程よりももっと大きな、雨に濡れダンボールが!!!
・・・・・・パシャ
/■\;。▽゜*)
ひゅひゅひゅ♪〜
(゜ε゜*)
「・・・・・・・・・・・・?」
「・・・・・・・・・・・・!」
・・・・・・セーーーーーーーーフ。
第、599話 ザッツ・パラレルワールド (2010.12.19)
サイエンス・フィクションでは未来と過去の縦に対して、
横の世界がこんにちは〜って、無数に存在するらしいのです。。
今、学校の廊下で、密かに愛しの○○君が私の横を擦れ違う。。
・・今日に限った事ではないですよ、ちょいとちょいと。。
だがしかし、その一つ横の世界では、密かに愛しの○○君が私の横顔をちらっと見ていたり??!
そしてそして、更に一つ横の世界では、密かに愛しの○○君が私の横顔をちらっと!!?
密かに愛しの○○君の横顔をちらっと見た私と、目と目が合ってたりして??!
ひょっとして、反対側の横の世界では、密かに愛しの○○君が私の横顔をちらっと見るなり、
「このどブス女!」なんて?更に一つ反対側の横の世界では、私、殴られていたり???
・・・・・・いけない、良い方の横の世界だけ妄想するとしよう。。
で、良い横の世界の一つ横の更に一つ横の更に横の横の横のもっと横の世界では・・
今、学校の廊下で、密かに愛しの○○君が私の横を擦れ違う。。
言葉を交わした事なんてなかったのに、愛しの○○君が突然私に、「メアド交換してくれる?」
戸惑う私が握り締めるケータイに、情報交換の定番、生臭悪臭線を放つ、我が愛しの○○君。。
身体に害はないが、その匂いには十分注意が必要な、生臭悪臭線でのケータイ情報交換。。
生臭い悪臭の微妙な違いからケータイの数々の情報が読み取れるなんて、科学って凄い!!!
きっと未来では、この生臭い悪臭も少しは改善されて、くさやの干物程度に軽減される事だろう。。
未来ではくさやの干物程度の生臭悪臭線での情報交換な、私の子供と愛しの○○君の子供???
その、未来の横の世界の一つ横の更に一つ横の更に横の横の横のもっと横の世界の未来では・・
今、学校の無重力移動廊下で、密かに愛しの○○君の子供が私の子供の横を無重力で擦れ違う。。
その一つ横の世界では、密かに愛しの○○君の子供が私の子供の横顔をちらっと見ていたり?
そして、更に一つ横の世界では、密かに愛しの○○君の子供が私の子供の横顔をちらっと!!?
密かに愛しの○○君の子供の横顔をちらっと見た私の子供と、目と目が合ってたりして??!
・・・・・・我に返った私の後方、密かに愛しの○○君がこれでもかって私から離れてゆく。。
どうやら、この世界での私は、どう転んでも臆病な片想いしか出来ないようなのです。。
それは、今まで私が過ごしてきた過去からも十分すぎるほど判断出来るのです。。
あれ、密かに愛しの○○君ったら、なにやら遠くで擦れ違い様、学園で一番の美人の△△さんに、
「メアド交換してくれる?」って、ケータイとケータイを向け合って、微風が私のほうに・・
臭ぁーーー!生臭ぁーーー!臭ぁーーー!・・あれ、ちょいと、そこの密かに愛しの○○君、
あーたったら、横の世界の一つ横の更に一つ横の更に横の横の横のもっと横の世界から、
ひょっとして、此処の世界に紛れてしまっていないかい?ちょいとちょいとちょいと。。
・・・・・・なーんて、己の妄想の欠片に苦しめられる、そんな私の毎日だったり。。
サイエンス・フィクションでは未来と過去の縦に対して、
横の世界がこんにちは〜って、無数に存在するらしいのです。。
今日もまた、学校の廊下で、密かに愛しの○○君が私の横を擦れ違う。。
突然、一年坊主の洟垂れ小僧が私に、「あの〜、メアド交換して下さい」って。。
びっくらたまげた私は一呼吸置いて、洟垂れ小僧の一年坊主に精一杯な優しげな笑顔で、
「坊やの機種はくさやの干物程度の悪臭でメアド交換出来る最新型かなぁ??!」
・・と言いたいのをぐっと堪えて、「あ、彼に怒られちゃうからゴメンね!」って、
密かに愛しの○○君に駆け寄り小声で、「あの〜、一年坊主に言い寄られていて・・」
すると察しが良い我が密かに愛しの○○君ったら、私の肩を軽く抱き寄せて・・・・・・
「あぁ、悪りーなぁ!これ、オレの女」
どうして臆病な片想いしか出来ない私がこんな大それた恐れ多い行動がとれたのだろうか??!
若しや、ずっとずっと横の世界の私とこの世界の私が何時の間にやら入れ替わっていたり??!
そんな疑問が0.01秒程、頭を過ぎりながらも密かに愛しの○○君にもたれ掛かる私。。
涙と鼻水で去ってゆく、私と違って勇敢だった洟垂れ小僧くん、ホント、ゴメンね〜!!!
そして何より有り難う!!!臆病な片想いしか出来ないと思っていたこの世界の私の未来は、
思いも寄らない突発的な軌道修正が行われたようなのですよ、ホント、ゴメンね〜!!!
推測するに未来からやって来た未来人の仕出かしたタイムパラドックスの矛盾から・・
・・そんな訳で、未来で、密かに愛しの○○君の子供と横を無重力で擦れ違う私の子供、
若しや、横の世界の一つ横の更に一つ横の更に横の横の横のもっと横の世界の未来で、
くさやの干物程度の生臭悪臭線でのケータイ情報交換がラブラブに出来るはずだった、
私の子供と愛しの○○君の子供、他人としてラブラブに存在出来なくなりそうで、ゴメンね〜!!!
・・更には、その一つひとつ横の密かに愛しの○○君の子供と私の子供にも、ゴメンね〜!!!
あの大それた恐れ多い行動から幾年月、密かに愛しの・・だった○○君と、私、結婚いたします。。
第、598話 「好き」ってちゃんと言ってない (2010.12.13)
この1年ほど偶に連れ歩いている女と街をぶらぶら歩いていたら突然、
「・・何だか、貴殿から『好き』ってちゃんと言われてない気がする」
そもそもコイツったら、会話の流れ変だろ。
「昨日ママと立ち寄った新装開店の総菜屋さんで全総菜が50%OFFで、
もう、総菜屋さん命なあたしとママは新装開店の総菜屋さんの前で半狂乱。
しこたまいろいろ買って帰って晩ご飯にこれでもかって食べたんだけど、
パパが真顔で、『こりゃ親子でしっかりダイエットして貰わなければ』なんて。
うちのパパったら、ママがちょっと太るだけで目くじらを立てるのよねぇ。
あっ、あたしが太ったりしちゃったら貴殿はやっぱり目くじらを立てる?
そう言えば、何だか、貴殿から『好き』ってちゃんと言われてない気がする」
・・・・・・まあ、俺も一応、この1年を振り返って考えてみたりする。
1年前、俺には好きな女の子がいて、映画に誘ったらOKもらって舞い上がり、
約束の日にチケット持って映画館の前で待ってたら軽くドタキャンメールが来て、
映画館の前で黄昏れていたら、コイツが俺の目の前を偶々ひょこひょこ歩いていて、
「ドタキャンでダチ公のチケット余っちまってなぁ;;」
「あたいがそのチケットを成仏させてあげようじゃないか」
次の日に、好きな女の子に既に男がいる事が判明して黄昏れていたら、コイツが、
「あっ、あたしパパからイベントのタダ券ペアでもらっちゃってさ、昨日のお返しに・・」
「・・・・・・そうか、おまえのパパって、イベント会社に努めているのかぁ」
そして、何だかんだと、コイツのパパが事実上のスポンサーになってしまって、
この1年間、イベントのタダ券を成仏させてあげるために俺はコイツを連れ歩いて・・・・・・
おぉ?そりゃ、「好き」ってちゃんと言ってない訳だ!!!そもそも恋人じゃねーし!!!
端から「好き」じゃねーし!!!単なるタダ券成仏共同体だし!!!成り行きだし!!!
危ね、危ね、うっかりコイツと付き合っている錯覚に陥りかけてたじゃねーかよ。
そもそもコイツったら、会話の流れ変だろ。
「昨日ママと不意に立ち寄った総菜屋さんで・・・・・・
・・・・・・何だか、貴殿から『好き』ってちゃんと言われてない気がする。
昔むかしのあるところに、肉じゃがさんの事が好きなおから娘がいました」
・・・・・・な、なんだ???なんだ???なんだ???
「でも、肉じゃがさんは美しい白和え姫を好きな事はおから娘は薄々感づいておりました。
ある日、肉じゃがさんが白和え姫を映画に誘っていたのを、偶然耳にして、あたし・・」
・・・・・・突然かよ、おいおいおい。
・・・・・・まあ、俺も一応、この1年を振り返って考えてみたりする。
映画館の前の肉じゃがさんは、白和え姫から、ドタキャンメール。
黄昏れていた肉じゃがさんの目の前を、おから娘が偶々ひょこひょこ歩いていて・・
おから娘が偶々ひょこひょこ歩いていて・・
偶々、ひょこひょこ歩いていて・・
「・・・・・・おから娘は貴殿から愛されてない事ぐらい分かっております」
・・・・・・突然、涙目かよ、おいおいおい。
・・・・・・まあ、俺も一応、この1年を振り返って考えてみたりする。
ポケットに手を突っ込んで歩く肉じゃがさんの後ろを何時だってひょこひょこ歩いていた、
・・・・・・今だって、コイツ。
その日、肉じゃがさんは始めておから娘の手を握り締めて街をぶらぶら歩きましたとさ。
めでたしめでたし 〆(´・ ◇ ・`=) ほへ
第、597話 二人きりになりたい (2010.12.05)
学生たる者、学業に勤しむべし!
それが清き精神の若人の、使命に燃える『学びの美学』であり、
落ちこぼれないためにも、「るろうにテニスのカンタービレ」は、
毎週欠かさず読んでいるのよ!!!
きゃ!主人公の殿方ったら素敵!!!
一千年の未来から時の流れをこえてやってきた鼻唄テニス選手、「スーパー彦兵衛」!!!
学生たる者、学業に勤しむべし!
それが熱き精神の若人の、使命に燃える『学びの美学』であり、
今、この教室で共に授業を受けている奴らを、巣から敵の卵を排除するカッコウの雛の如く、
邪魔だー!貴様ら、邪魔だー!この教室に、あたしと、二次元空間のスーパー彦兵衛と、
二人きりになりたいんだよーーー!!!貴様ら、本気で邪魔だー!!!どっか行けーーー!!!
二次元しか愛せないのじゃーーー!!!貴様ら、本気で邪魔だー!!!どっか行けーーー!!!
そうだ!!!保健室に行こう!!!「先生、頭が痛いのですが」
許可申請下りる!!!
保健室のベットに寝ころんでいれば、夢でスーパー彦兵衛と二人きりになれるかも!!?
保健室の前まで行くと、保健室から出て来た、確か、同じクラスに此奴いたような、
いなかったでもいいよ的な、記憶から滑り落ちているねキミ的な、男子と鉢合わせ。
記憶から滑り落ちているキミが携帯を取り出し、「ママ、早退するから帰るよ」って、
あ〜ら、ぼくちゃんったら、大ちゅきなママにお電話でちゅかぁ!!?的な。
おぉおおおおおおおお!!!、携帯にぶら下がっているそのストラップは・・・・・・
「スーパー彦兵衛のストラップですけど、僕、スーパー彦兵衛に憧れているので」
はい、たった今、あたいの記憶にキミの焼印が押されましたけれど、何か・・・・・・
「待ってよ、あたいも早退して帰るから途中まで一緒に帰ろうよ、ねっ!!?」
・・・・・・駅までの道を、記憶に焼印で押されたキミと、二人きりで歩いた。
「へぇ〜、体が弱くて、『るろうにテニスのカンタービレ』のスーパー彦兵衛に憧れたんだ」
「上中里を活動拠点とする、『KNZ48』の、アニオタで有名な『こぶたん』が
『るろうにテニスのカンタービレ』のことを以前、ブログで紹介していたんだよ」
「もしかして、こぶたん推し?じゃあ、『口移しのカンガルー』って曲知ってるぅ??!」
「鯨猟を非難しておいてカンガルーは食す、オーストラリア人を厳しく挑発した曲だよね!
じゃあ、今度発売されるシングル、『マグロの順番』は、もう聴いた事あるかい??!」
「否決こそされたけれど、『クロマグロ国際取引禁止案』への怒りと憎しみを込めた曲だよね」
・・・・・・駅までの道を、記憶に焼印で押されたキミと、二人きりで歩いた。
第、596話 朝からいい天気 (2010.11.28)
朝から盛んに鳥のさえずりが聞こえている。
今、夢の中でいい所なのだよ!近所の美人さんと・・
そうなのです!現実に最近我が校に転校してきた美人さん!!!
何とまあ、お引っ越ししてきた住む家も僕の家の近所という、
アニメでもベタ過ぎて滅多にはやらかさないほど?の好待遇!!!
夢の中で僕は美人さんにこう語りかけている・・・・・・
『鳥さんたちのさえずりのバックグラウンドミュージックがふたりの恋を・・』
「・・鳥さんをバックリ喰らったらどうだろうだぁ???」
「・・おぉお!美人さんが醜いババアに化けたかぁ!!!」
「何、寝ぼけてるんだぁ、とっとと起きて学校行け、この、とんちき」
無惨にも、おかんに起こされ、奇跡の夢待遇はこれにて終了・・・・・・。
朝食をかっ込み、大急ぎで支度を整え、おかんに追い出されるように登校なう。
・・・・・・朝からいい天気だ。盛んに鳥のさえずりが聞こえてくる。
なんと、駅に向かう道、近所の美人さんが、僕の少し前を歩いている。
我が校に転校してきたとはいえ、学年は二つ上だし、口を聞いた事なんてない。
妄想開始!僕は美人さんにこう語りかけている・・・・・・
『何時も学校でお目に掛けていますよ!貴女が余りにも美人過ぎて・・』
すると、美人さんはぼくにこう語り返してくれる・・・・・・
『あら、私も同じ気持ちでしたわ、貴方が余りにもハンサムなのだもの・・』
そして、僕は美人さんにこう語りかけている・・・・・・
『爽やかな朝ですねぇ』
美人さんはぼくにこう語り返す・・・・・・
『爽やかな鳥のさえずりねぇ』
僕は美人さんにこう語りかける・・・・・・
『・・鳥さんをバックリ喰らったらどうだろう・・・・・・』
ああああああああ!!!、醜いババアの怨念かぁ!!!!!!
でも、本当に今日はいい天気。
朝から盛んに鳥のさえずりが聞こえている。
駅に向かう道、近所の美人さんが、僕の少し前を歩いている。
第、595話 周りは静かな空間だった (2010.11.21)
この会話の流れ?
危険を察知する人間の動物としての本能があたいの目を発光させた!
周りは静かな空間だった。
そう、あたいは騙されない!騙される訳には行かない!!!
・・言葉。
それは、保障が効かない、信頼関係で繋げる、コミュニケーション・ツールである。
・・敵。
それは、・・・・・・「え、フルーツパフェも食べていいのぉ!わーい」
・・敵。
それは、時として、己にとって掛け替えのない強い味方になる可能性を秘めている。
この会話の流れ?
刺激に餓えていた人間の野性を目覚め起こす高鳴りがあたいの魂を揺さぶり続けている!
周りは静かな空間だった。
気をつけろ!巧妙な駆け引きは少しずつ冷静さを破壊していくものだから。
・・笑顔。
それは、戦術の一つ。心の防壁が崩れる、インベイジョン・ツールである。
・・敵。
それは、・・・・・・「え、黒豚の角煮丼も奢ってくれるぉ!わーい」
・・敵。
それは、時として、己にとって目的のため手と手を取り合える可能性を秘めている。
この会話の流れ?
予感を打ち消して心の動揺を押さえつつも食欲が此奴の魂を受け入れ始めている!
周りは静かな空間だった。
でも、あたいは騙されない!騙される訳には行かない!!!
気をつけろ!巧妙な駆け引きは少しずつ冷静さを破壊していくものだから。
・・告白。
それは、最終兵器。何時しか土壇場に追い込まれる、チェックメイト・ツールである。
・・敵。
それは、・・・・・・「それと、ちゃんちゃん焼きと抹茶もみじ饅頭12個追加!」
・・敵。
「それと、カルボナーラとボルシチとチーズクリームもみじ饅頭12個追加!」
・・敵。
「それとさ、取り敢えず、告白の答えはまだ保留でいいよね!」
それは、最終段階。ふたりの表と裏のファンタジー、リバーシブル・ツールである。
インド料理店を出ると既に夕暮れ時。街はふたりの窮屈な擬似恋愛の三次元テーブル。
それは、真実へのコンタクト。現実に手を伸ばした、シミュレーション・ツールである。
「良し!次はあのベトナム料理店で、釜揚げシラスの炊き込みごはんを奢れ!」
第、594話
どうにかしてバカ直して下さい (2010.11.13)
「バカ直して下さい」と、職場で密かに片想いしている女の子から哀願されている。
そして僕はこの数年間考えに考え抜いた結果が残念ながらまだ出て来ずにいる。
なので、「どうにかしてバカ直して下さい」と、職場の女の子から毎日哀願されている。
世間では片想いに悩む若人が、告白すんべか?しないべか?と、そこを基準に考える。
僕は告白以前にこの数年間、そして恐らく当分の間は、バカを直す事を基準に考える。
でも、「バカ直して下さい」と哀願されるようになった理由が僕には全く以て掴めていない。
「バカ直して下さい」と哀願してくる片想いの女の子に「僕のバカの理由って何」って訊けるかい?
「貴様、バカ直す以前じゃん」って、片想いの女の子がデスク横のゴミ箱から馬糞を拾い上げ、
黙々と僕に向かって投げつけてくるに決まっていると判断出来るのだから僕は決してバカではない。
僕はこの数年間、僕のどの辺りがバカでどの辺りを意識してバカを直すべきなのかが判らない。
それでも僕は片想いの女の子を目の前に優しさ込めて口角を上げようとするが表情は強ばり、
それでも片想いの女の子に僕がバカでない事に気付いて欲しいと、キリッとした目元を意識。
社交ダンサーのような凛々しい姿勢を保ちつつ斜に構え、僕の右手には分厚い怪獣大図鑑。
左手には、スポーツマンであることを感じてもらうために赤い紙で工作した聖火を高々と持ち、
優れたビジネスマンの証として僕の胸ポケットにはさり気なく電子手帳が顔を覗かせている。
そして、今日も僕は職場で片想いの女の子にとどめとばかりにこう大きな声で発言するのです。
「僕はご飯もお味噌汁も毎日キチンと残さず食べる極めてとっても良い子です」
そして、今日も僕は職場で片想いの女の子から何故か涙目でこのように発言されるのです。
「頼みますから、どうにかしてバカ直して、出来れば部署替えして下さい。会長のお孫さま」
第、593話 空を駆け抜ける (2010.11.07)
超高層ビルを見上げている。
今さっきまで、このビルの屋上展望台から見下ろしていた場所から、
僕は今、首を後ろに大きく反らして、超高層ビルを見上げている。
程なくして僕は、超高層ビルの屋上展望台から見えた街並みを歩く。
どの場所からも、その超高層ビルは表情も変えずに僕を見下ろしている。
休日の御陰で人混みが酷く、僕はそこから抜け出るように幾つかの路地を歩き、
小さな公園がある、比較的に落ち着いた場所に緊急避難を求めていた。
この場所からも、あの超高層ビルは表情も変えずに僕を見下ろしている。
公園のベンチに腰掛けていると、携帯から、恐怖の”警告メロディ”が流れてきた。
僕を連れ出した幼なじみの娘からのお買い物荷物持ちプリーズのお呼び出しテレフォン。
「・・・・・・逃亡者1名(本人)身柄確保しました!!!大至急戻ります」
そして僕はまた、不幸にもあのざわざわとした人混みの中に呆気なく連れ戻されてゆく。
幼なじみの娘は、僕に奢らせたパフェを喰らいつつも、ずっと膨れっ面なまま。
この喫茶店の窓からも、あの超高層ビルは表情も変えずこっそり僕を見下ろしている。
膨れっ面なままの幼なじみの娘の瞳の中には、困り顔の僕が何時までも居座っている。
空を駆け抜ける。
些細な1日と、刻まれた想い出と、訪れる未来。
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