横浜マタタビバージョンのFUNI WORLD
★おバカショート劇場。★
FUNI WORLD (24)
第、770話 始まりは知らない
(2014.04.06)
1903年、ライト兄弟は、飛行機による有人動力飛行に世界で初めて成功。
その頃、わたしのご先祖さまは、木村屋のジャムパンに対抗し、ジャム饅頭を売り出すも失敗。
1919年、レフ・テルミンが、世界初の電子楽器、テルミンを発明。
その頃、わたしのご先祖さまは、チャップリン映画に対抗し、
『チャップソリと旅芸人一座』を名乗り全国を地方巡業するも見向きもされず。
1947年、クリスチャン・ディオールが発表し評された『ニュールック』が世界中で流行。
その頃、わたしのご先祖さまは、太宰治の『人間失格』に捩られ、家族から、
『オマエこそ失格』との烙印を押されるが、本人は褒め言葉として受け取る。
そんなご先祖さまの遺伝子を受け継ぐわたしは、この恋の始まりを記憶していない。
何時の間に彼のことが大好きだったし、知らぬ間に彼の彼女になっていた。
何れ、彼と結婚出来る気がしていたし、彼との結婚生活を妄想していたりした。
だが、彼にジャムおはぎを食べさせてから、彼はわたしの手料理を受け付けなくなった。
『エド・はろみ』を名乗り、公園の子供らにネタを披露するも恐れられ、その有り様が彼にバレ、
それ以来、彼はわたしの些細なジョークにさえも一々震えが止まらない体質に変わってしまった。
一時期、そんな彼に気付かず一発芸を連打したわたしは、彼から『人間性欠落者』と罵られた。
わたしは、この恋の始まりを記憶していない。・・・・・・・・・・・・けれど、
今、確かに彼の口から「もう終わりにしよう」と言う『過激発言』が飛び出した事実は、
袋小路に迷い込んでいたわたしの脳裏にこれでもかと激しく食い込んでしまった。
2014年、世界のどこかで恋人たちが幸せに暮らし、ある恋人たちは結婚生活を実現。
『オマエこそ失格』のご先祖さまの遺伝子を受け継ぐわたしは、遂に『恋人失格』となる。
第、769話 奇跡
(2014.03.30)
「愛し合う人々の出会いを我らが再現致します。
わたくし、ボディビルで鍛え上げた筋肉男が男性役、
隣にいる、アマレスで鍛え上げられた首太男が女性役、
その横の、力士でもないのにぽっちゃりあんこ型の男は、
エキストラ&効果音などをすこぶる担当致します。
5分間で千円と格安!自分たちの奇跡の出会いを私たちの
演技を通して客観的に見詰めてみては如何でしょうか?!」
「大学出ても職に在り付けず、だからといって、この仕事、
半日経っても、お客さんなんて、全く寄りつきませんよ」
「こうしたらどうだ?愛する人に対して抱えてきた不満を
代理で罵倒する・される演技で5分間で千円ってのは?!!」
「それ良いかも!!!」
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「途端にお客さんが並んで締めて6千円の儲け」
「でも『殴れ』のリクエストに応えなくたって・・」
「『投げろ』のリクエストにも応えなくたって・・」
「『極めろ』のリクエストに腕挫十字固で応えなくたって・・」
「もうからだがボロボロですよ」
「今日はもう帰るか・・・・・・・・・・」
「おにいちゃんたち、『出会いを再現』してくれるの?」
「君たちふたりは幼稚園児?お金持ってるの?」
「10円あるよ」
「さっきおかしかってたべたから、10円」
「止めましょうよ、帰りましょう」
「そうですよ、からだがボロボロですよ」
「おまえら、今日一番の『価値のある仕事』が舞い込んできたんだぞ」
「・・・・・・・・・・そうですね。」
「・・・・・・・・・・やりますか。」
「で、君たちは、どこでどう出会ったのかな?」
「『幼稚園』」
「『席替え』で『離れ離れ』にされちゃうの」
「では、おにいちゃんたちが、君らが出会った奇跡を今から再現してあげる」
第、768話 的を射た 完結編 (2014.03.23)
ー
前回767話のあらすじ。
消費税引き上げにより、群集による暴動が発生。
店舗での略奪、車への放火、警官への投石、機動隊が出動する騒ぎ。
街中を我が物顔で走り抜ける戦車隊。テロ嫌疑で無条件逮捕される人々。
そんな最中、一人の男が彼女にプロポーズしようとするも、
思いの外緊張してしまいまともな会話すら出来なくなる始末。
察した女が「『お嫁さんになって』かな?!!」と男に尋ねた。ー
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女「『お嫁さんになって』かな?!!」
男「はい。」
女「焼きそばの味付けは、ソース派?塩派?」
男「鮭の皮派」
女「焼きそばの隠し味は、マヨネーズ?ケチャップ?」
男「作り笑い」
女「ご当地焼きそばについてどう思われますか」
男「連帯責任」
女「円周率は?」
男「3.14159・・」
女「今、まともな会話が出来ているのね」
男「俺のお嫁さんになってください」
女「的を射た」
男「俺のお嫁さんになってくれるの」
女「それにはね、一つ条件があるの」
男「あ、あれは何だ!あの上空を浮遊する3つの赤い光は???」
第、767話 的を射た
(2014.03.16)
男「おまえは俺の実の子ではないんだ」
女「でしょうね。あたしの彼氏だし。同い年だし」
男「俺は極度の寒がりで・・・・・・・・・・」
女「3月にTシャツ一枚で汗書いている人間の言うこと?」
男「俺、突然、激しい回転性めまいが起こり・・・」
女「床運動の技、『リ・ジョンソン』を披露しながら言われてもさ」
男「当然と言えば当然でしょう」
女「的を射ているお言葉」
男「近所の家の、犬の無駄吠えで悩んでいます」
女「あたしはあなたの無駄吠えに悩んでいます」
男「あとはデンジャラス・レディーさんの判断一つです」
女「コラ!誰が『デンジャラス・レディー』じゃ!!!」
男「巷で噂の、ダ、ダイナマイト・レディーなのかぁー」
女「おのれ、誰が『ダイナマイト・レディー』じゃ!!!」
察「ちょっと君たち、その手荷物の中身を見せてくれないか」
男「こ、こら、察ぅ、お、お、おまえは俺の実の子ではない」
女「緊張するとまともな会話が出来なくなる小心者。
(・・・・・・此奴、冤罪で死刑にされるタイプだわ)
はい、どうぞ、何一つやましい物はありませんから」
察「ご協力いただき、ありがとうございました;;」
女「でさ、今日はあたしを呼び出しておいて、何にそんなに緊張しているのかな」
男「お、おまえは俺の実の子ではないんだぞー」
女「『お嫁さんになって』かな?!!」
男「はい。」
第、766話 恋をするなら
(2014.03.09)
「こちら、コミュニティ放送、エフエム囲炉裏端、
『日々人生消化不良』のパーソナリティ、『漬物石おしんこ』です。
早速ですがメールの紹介!ラジオネーム・『猿の首輪』さん。
ー
おしんこさん、こんばんは。またもや、刑務所の看守が逮捕される事件が発生しました。
何でも、受刑者に無断で、ポンプを押すとはねる、ウキウキ楽しいぴょんぴょんカエルを
差し入れしたとか。そして繰り返される、『二度とこのようなことが起こらないように・・』の
再発防止発言。でも、先月だって、刑務所の看守が受刑者に折り紙の輪飾り作りを強制、それを
刑務所に飾り付けさせ、己の誕生日会を刑務所でひらき、受刑者に夜通しバースデーソングを
歌わせる事件が発生しましたね。その時も、『二度とこのようなことが起こらないように・・』の
再発防止発言がありました。数ヶ月前も、刑務所の看守がムラムラしてしまった挙げ句に、
受刑者の目の前でポケットから取り出したハムスターに頬ずりをするという行為に及んだ事件があり、
『二度とこのようなことが起こらないように・・』の再発防止発言があったと記憶しています。
おしんこさん、この国はいったいどうなってしまっているのでしょうか???
そして・・・・・・・・・・、、
若者の多くは貧しく、家もなく、恋愛をする余裕も、それ以前に出会いの機会すら訪れないのが実情。
おしんこさん、この国はいったい何処へ向かっているのでしょうか???
この国で満足に恋をするなら、野良猫に生まれ変わったほうが近道かも知れませんね。ー
『猿の首輪』さん、メール、ありがとう!!!実は、『このようなメールは二度と読むな』と、
社内の偉いさんからお達しがあったけれど言論弾圧を無視してまたまた読んじゃいました!!!
エフエム囲炉裏端のピーターバ○カンこと『漬物石おしんこ』です。それでは本日の一曲目・・」
第、765話 究極のスイーツ
(2014.03.02)
「思わず笑顔がこぼれる、今、君にとって究極のスイーツと言えば?」
「甘食!!!」
「そこで、鞄の中などで、甘食の押しつぶれを防ぐ甘食専用ガードケース!
『携帯甘食ケース山型くん』の試作品を作ってみたけれど、如何だろうか?」
「うわぁ!赤、白、ピンクのスケルトンカラーで、どれも可愛いですね」
「美しい木目調もあるし、装飾彫刻『見ざる聞かざるシマリス』も作ってみた」
「うわぁ!シマリスが前足で甘食を口のところへもっていって食べているのね」
「だが、『携帯甘食ケース山型くん』を売り出すには甘食人気を一躍全国区にせねばならない」
「そこで、雑貨屋の我が社が製パン業界に名乗りを上げるわけですね」
「我が社が甘食を大ヒットさせることが出来たなら、他社も甘食を大々的に売り出す」
「そこで『携帯甘食ケース山型くん』、堂々発売開始ですね!」
「お、思わず笑顔がこぼれる!」
「思わず笑顔がこぼれるって幸せなことですね、社長」
「そして、『携帯甘食ケース山型くん』が大ヒットした暁には、
秘書の君を我が妻にと考えているのだけれど、こりゃまた、如何だろうか?」
「お、思わず笑顔がこぼれる!」
「これぞ、妻獲得大作戦『携帯甘食ケース山型くん』プロジェクト!!!」
「思わず笑顔がこぼれるって幸せなことですね、社長」
「お、思わず笑顔がこぼれる!」
「社長?よもや『携帯甘食ケース山型くん』プロジェクトがぽしゃったら、倒産?(涙目)・・」
「見ざる聞かざるシマリス」
第、764話 未だアイドル戦国時代
(2014.02.23)
「密室の鍵は人間の心理。不可能と可能は背中合わせ。
見聞きする世界は嘘だらけ。世間はごり押しされた詐りの闇!
あなたの真実を、操って、あ・げ・る!
人呼んでトリック・ジョーこと、中島やよいです」
「良い!とっても良い!新ニックネームと新キャッチフレーズで再出発だ!」
「あの~、社長、あたしの新キャッチフレーズと新ニックネームが変です」
「そうか?ではみんなで最初からやってみろ」
「あなたの心にハート模様の流れ星!ゆうたんこと、南優奈です」
「萌えちゃってください!萌えちゃいます!萌えにゃんこと、谷口萌です」
「密室の鍵は人間の心理。不可能と可能は背中合わせ。
見聞きする世界は嘘だらけ。世間はごり押しされた詐りの闇!
あなたの真実を、操って、あ・げ・る!
人呼んでトリック・ジョーこと、中島やよいです。変です!!!」
「いや、良いよ!とっても良い!この新ニックネームと新キャッチフレーズで再出発だ!」
「あたし、女の子なのに『トリック・ジョー』なんて新ニックネームは嫌です!!!」
「激動のアイドル戦国時代を生き抜くには今後のお前のキャラ作りが必要なんだよ」
「でも、嫌なんです!!!」
「お前やらないの?じゃあ、社長のオレがやるよ」
「じゃあ、優奈がやる!」
「じゃあ、萌がやる!」
「あのぉ~、このビルで清掃員をしているおばさんですがやっても良いですか?」
一同「どうぞどうぞ!」
「あなたの心にハート模様の流れ星!ゆうたんこと、南優奈です」
「萌えちゃってください!萌えちゃいます!萌えにゃんこと、谷口萌です」
「何れ、貴様等のその仮面を剥ぎ取ってやる!やいやいこと、中島やよいです」
「密室の鍵は人間の心理。不可能と可能は背中合わせ。
見聞きする世界は嘘だらけ。世間はごり押しされた詐りの闇!
あなたの真実を、操って、あ・げ・る!
元清掃員のおばさんこと、トリック・ジョーです」
「社長、あたしの新キャッチフレーズまだ少し変です!」
◆
後日、ローカル芸能記事の隅っこ ◆
ー『きゃぴきゃぴレシピ』が、新メンバー、トリック・ジョーを加え、4人編成で再出発
ー
未だアイドル戦国時代。数多くのアイドルスターが鎬を削り合っている。
第、763話 追悼ダイオウグソクムシNo.1、かく語りき
(2014.02.16)
鳥羽水族館で飼育・展示されてきた、絶食5年以上の猛者、
1号たんこと、ダイオウグソクムシNo.1が、2014年2月14日に死亡した。
不況下の日本で長々と飢餓に苦しむ多くの弱者が、
『もう人間なんて厭だ、どうしても生まれ変わらなければ
いけないのなら、私はダイオウグソクムシになりたい』と願った、
不況下の日本で長々と飢餓に苦しむ多くの弱者のアイドル!!!
鳥羽水族館で飼育・展示されてきた、絶食5年以上の猛者、
1号たんこと、ダイオウグソクムシNo.1が、2014年2月14日に死亡した。
時に、生体展示されたダイオウグソクムシNo.1の水槽の前で、
ダイオウグソクムシの特大ぬいぐるみを彼氏からプレゼントされた女。
「ダイオウグソクムシの特大ぬいぐるみの足に紐で縛られぶら下がっているのは?」
「ジュエリーショップでテクノポップ詩吟を披露し強引に値切って購入した婚約指輪だよ」
と、一大イベントをやらかし喜び合う恋人同士にも、その生態は完全には解明される事はなく、
長年絶食を続けながらも生き続けてきた、1号たんこと、ダイオウグソクムシNo.1。
時に、生体展示されたダイオウグソクムシNo.1の水槽の前で、
「あたしより、あなたは1号たんの事を本気で愛しているんだわ」
「ダイオウグソクムシとテクノポップ詩吟アーチストは俺様の心の師匠だ!」
と、修羅場をやらかし怒り合う恋人同士にも、その生態は完全には解明される事はなく、
長年絶食を続けながらも生き続けてきた、1号たんこと、ダイオウグソクムシNo.1。
時に、生体展示されたダイオウグソクムシNo.1の水槽の前で、
「あの人と二人で訪れた数々の想い出、テクノポップ詩吟ライブやダイオウグソクムシNo.1。」
と、感傷に浸り涙する哀しみの少女にも、その生態は完全には解明される事はなく、
長年絶食を続けながらも生き続けてきた、1号たんこと、ダイオウグソクムシNo.1。
時に、生体展示されたダイオウグソクムシNo.1の水槽の前で、
「人生生きてきてこんな愉快な奴に出会うとはおもわんかったなぁ、婆さんや」
「この気持ちをテクノポップ詩吟に吟じて全世界に発信したいなぁ、爺さんや」
と、御満悦な、なんだか楽しい老夫婦にも、その生態は完全には解明される事はなく、
長年絶食を続けながらも生き続けてきた、1号たんこと、ダイオウグソクムシNo.1。
不況下の日本で長々と飢餓に苦しむ多くの弱者が、
『もう人間なんて厭だ、どうしても生まれ変わらなければ
いけないのなら、私はダイオウグソクムシになりたい』と願った、
不況下の日本で長々と飢餓に苦しむ多くの弱者のアイドル!!!
鳥羽水族館で飼育・展示されてきた、絶食5年以上の猛者、
1号たんこと、ダイオウグソクムシNo.1が、2014年2月14日に死亡した。
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1号たんこと、ダイオウグソクムシNo.1に捧ぐ
第、762話 問診票の記載をお願いします
(2014.02.09)
「初診の方は、問診票の記載をお願いします」
わたしは、歯科受付を職業にする女、『X』である。
今、わたしの目の前にいるのは、以前、当院に治療で通っていた、
イケメン男
(一見学生風・これから登山に向かおうとする姿には見えず)。
告白するか、しまいかを悩んでいる最中に治療を終えられ、
わたしの前からその姿を消してしまった、あの伝説のイケメン男。
わたしは、何時しか訪れるかも知れないこの日のために用意しておいた、
通常の問診票とは別の、わたし、歯科受付を職業にする女、『X』オリジナル問診票を、
イケメン男
(中肉中背・治療後すぐに鳩レースに参加するための準備は確認されず)
に、
手渡すか手渡さずべきかを、僅か数秒の間にひたすら考えてみた。
《オリジナル問診票》
・歯科治療に訪れた先で告白されてみたいですか? はい
いいえ
・今回、歯科治療に訪れたのは、ふと得体の知れない物寂しさに襲われたから? はい いいえ
・今現在、身を焦がすような恋愛に餓えている? はい
いいえ
・・・・・・・・・・etc.
だが、だが、だが、だが、だがしかし、、、
このオリジナル問診票を手渡して、イケメン男
(突然、戦争に巻き込まれてしまう不安に
脅えている様子は一見感じることは出来ず)
に、思いっきり引かれてしまったらどうしよう。
若しや、このオリジナル問診票は、当院の、マスクから飛び出るほどの極太剛毛ヒゲを蓄えた、
ヒグマ体型&巨大ハンドの歯科医による問診票と勘違いし、引かれてしまったらどうしよう。
い、いや、場合によっては、当院の、マスクから飛び出るほどの極太剛毛ヒゲを蓄えた、
ヒグマ体型&巨大ハンドの歯科医による問診票と勘違いし、そこはかとない笑みを漂わせて、
わたしのことなど眼中にない表情をこれでもかと浮かべたりされたらどうしよう。
「初診の方は、問診票の記載をお願いします」
とりあえず、通常の問診票を渡そうとすると、それを受け取ったのは、
イケメン男
(決して、今し方、海釣りを楽しんできたばかりの釣道楽には見えず)
の
背後にいた、それはそれは、美しい、美しい女性だった。
「今回は僕の治療ではなく彼女の方なんです」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・えっ。」
わたしは、通常の問診票の後に、通常の問診票とは別のオリジナル問診票の最後に、
当院の、マスクから飛び出るほどの極太剛毛ヒゲを蓄えた、ヒグマ体型&巨大ハンドの、
歯科医のフルネームとハートマークを加えて、イケメン男
(決して、今し方、巨大な鮫と
素手で格闘してきた強者には見えず)
の背後にいた、それはそれは、美しい、美しい女性に、
満面の笑みで手渡してやろうかと、内心ちょっと思ったりしてみたが、すぐに正気を取り戻し、
何の変哲もない、ただ事務的な、感情の揺らぎを感じさせない、そんな歯科受付の女を演じた。
第、761話 おらが村午後テレビ
(2014.02.02)
「本日の『おらが村午後テレビ』のゲストは、
おらが村に原子力発電所が建設され、
その時の土地買収により大金を得た、
おらが村出身の資産家タレント、富裕財子さんです。
今日は、初恋の人を探しに番組に来ていただきました」
「そうなんです。わたしが幼い頃、ダンゴムシと遊んでいた時に、
ダンゴムシを踏み殺す悪い大人が出没したのです。そんな時、
初恋の人がわたしの前に現れたのです。その人は悪い大人に向かって、
『ダンゴムシを踏み殺すのは止めなさい』と叫びました。悪い大人は、
『法律で制定されてるのかよ~』と言い返しました。初恋の人は、
『人の心の中に備わっている規律だ』と叫び、悪い大人を追い払ってくれたのです。
「その初恋の人の特徴は?」
「髪の毛を虹色に染めたモヒカン刈りです」
「富裕財子さんは、その初恋の人と結婚したいそうです。
番組では、富裕財子さんの初恋の人を緊急捜索致します」
「わたしの初恋の人、名乗り出て下さい」
---------------------------------
「本日の『おらが村午後テレビ』初イベントのゲストは、
おらが村に原子力発電所が建設され、
その時の土地買収により大金を得た、
おらが村出身の資産家タレント、富裕財子さんです。
本日、『おらが村アリーナ』に、1万人以上の、
『我こそが富裕財子さんの初恋の人』を名乗る人々が全国から集結しています。
原発交付金で建設された、『おらが村アリーナ』が、役場の催し意外に利用されるのは
初めての事で、『おらが村アリーナ』の観客席が埋まるのも当然、初めての事です。
富裕財子さん、『おらが村アリーナ』が虹色に染められたモヒカン刈りで埋め尽くされてますよ」
「でも、初恋の人はこの世に1人だけなんです」
「実は、富裕財子さんが初恋の人と出逢った場所を正しく言えた方はいませんでした」
「わたしが初恋の人と出逢った場所は、夢の中です」
「富裕財子さん、でも、初恋の人のモデルになった人がいる訳ですね」
「そうなんです。わたしが幼い頃、タマヤスデと遊んでいた時に、
タマヤスデを踏み殺す悪い大人が出没したのです。そんな時、
本当の初恋の人がわたしの前に現れたのです。初恋の人は、悪い大人を
追い払ってくれたのです。その時の人、正直に名乗り出て下さい」
「その人の特徴は?」
「玉虫色のカイゼル髭!」
---------------------------------
「本日、第二回『おらが村午後テレビ』イベントのゲストは、
おらが村に原子力発電所が建設され、
その時の土地買収により大金を得た、
おらが村出身の資産家タレント、富裕財子さんです。
本日、『おらが村ドーム』が、4万人以上の、
『我こそが玉虫色のカイゼル髭』で埋め尽くされてます。
原発交付金で建設された、『おらが村ドーム』が、役場野球部や、
おらが村草野球チーム意外に利用されるのは初めての事で、
『おらが村ドーム』の観客席が埋まるのも当然、初めての事です。
富裕財子さん、でも、初恋の人はこの世に1人だけですよねぇ」
「いいえ、玉虫色のカイゼル髭は、タマヤスデを踏み殺した悪い大人です」
「ええぇ???」
「このぉー、タマヤスデ殺しの玉虫色カイゼル髭どもめがー!!!」
「ほ、本日の『おらが村午後テレビ』イベント、これにて終了です」
第、760話 うちのママはジャンガリアンハムスターではありません。
(2014.01.26)
わたしは子供の頃から『ジャガ子』と呼ばれている。
子供の頃、ジャンガリアンハムスターを飼っていて、
ジャンガリアンハムスターを略称され、『ジャガ子』。
当然、わたしはジャンガリアンハムスターではないし、
うちのママだってジャンガリアンハムスターではない。
『ジャガ子』は言い伝えられ、高校生になった今でも、
所構わず友人達は、わたしに対し『ジャガ子』と叫ぶ。
『ジャガ子』。知らない人が聞いたらどうだろう?!!
『ジャガイモを武器にする女の子』の略称だと思うかも知れない。
または・・・・・・・・・・、、、
『ジャガーのように強靭な顎で亀や小型のワニを捕食する女の子』。
或いは・・・・・・・・・・、、、
『ジャーンジャーン稼いで来いってガーンガーン言いやがって!よ~く分かったわ!
結局あなたってわたしのことを金蔓としか思っていない唐変木のすちゃらかちゃんちゃんなのよ!
あー、ホント、腹が立つ!こんなろくでなしを一度は本気で愛してしまったなんて、
自分自身が居た堪れないわ!こんちきしょう!と嘆く女の子』の略称だと思うかも知れない。
誰も、子供の頃にジャンガリアンハムスターを飼っていたから『ジャガ子』だなんて思わないだろう。
とある書店のレジのおにいさん。これがなかなかのイケメンである。
時々、目の保養に訪れるのだが・・・・・・・・・・・
「あれ、ジャガ子?都心の大きな本屋さんでジャガ子とばったり会うなんて奇遇ね!」
やってくれたなぁ・・;;友よ・・;;
レジのおにいさんをちらりと見る。・・・笑ってやがるぞ、おいおい。
どう思ったんだ?レジのおにいさん、わたしのこと、どう思ったんだ?
『ジャガイモを武器にする女の子』?
『ジャガーのように強靭な顎で亀や小型のワニを捕食する女の子』?
『ジャーンジャーン~省略~こんちきしょう!と嘆く女の子』???
すると友が、レジのおにいさんに、「この子はね、子供の頃に、
ジャンガリアンハムスターを飼っていた、ただそれだけで未だに、
ジャンガリアンハムスターを略称され、『ジャガ子』って
みんなから呼ばれているんですよ~~!変なニックネームでしょ」
・・・・・・・・となると、わたしのすることはただ一つ。
「てへへへへへ;;」と照れ笑い;;
レジのおにいさん「あ、オレ、ジャンガリアンハムスター飼ってるよ」
やってくれたなぁ・・!友よ・・!
あこがれのレジのおにいさんと、はじめての会話。
その日は、パフェだろうが、クレープだろうが、ごちそうしてやったわ。
わたしは子供の頃から『ジャガ子』と呼ばれている。
子供の頃、ジャンガリアンハムスターを飼っていて、
ジャンガリアンハムスターを略称され、『ジャガ子』。
当然、わたしはジャンガリアンハムスターではないし、
うちのママだってジャンガリアンハムスターではない。
第、759話 おからと呼ばれた男
(2014.01.19)
女「『絞りかす』ってバカにされたぐらいでいじけてるんじゃないわよ」
男「いや、『絞りかす』って言われたことはないし、いじけてもないし」
女「『残渣物』なら『残渣物』なりの意地を見せてごらんよ」
男「『残渣物』なんて言われたことはないし、『残渣物』の気持ちになれないし」
女「何時までもぐずぐずと部屋の隅っこで膝を抱えて泣いて
ばかりいると、そのうち、『産業廃棄物』として処理されてしまうわよ」
男「それって、スポーツセンターで筋トレ中の人間に向かって
インストラクターが発する言葉としては支離滅裂この上ないと思うけれど」
女「『おから』は栄養的に優れているのよ」
男「プロテインはサプリメントでいいですよ」
女「あなたが『おから』なの!」
男「それって、スポーツセンターで筋トレ中の人間に向かって
インストラクターが発する言葉としては支離滅裂この上ないと思うけれど」
女「あなたに『家畜の飼料』は似合わない。乾燥されて『猫砂』になっちまえ」
男「う~~~~ん!『猫砂』なんていやだ!えいっ!3セット終了」
女「どう?筋トレが全く苦にならず回数をこなせるでしょ。
初めての『言葉責め筋トレインストラクターコース』は、如何ですか?」
男「凄い!言葉締め万歳!!!」
第、758話 青汁を売る女
(2014.01.11)
私は、青汁を売る女。
私の青汁屋台にお客さんがやってきました。
「おや、こんな場所に青汁屋台が・・」
「どうぞ一杯召し上がってみて下さい」
「お、お美しい女(ひと)だ」
「ありがとうございます」
「でも青汁なんて普段呑まないけれどなぁ」
「当店の青汁は美味しく品質改良してあります」
「この店の青汁は、ケール主体?大麦若葉主体?」
「そのどちらでもありません」
「では何の緑葉野菜?」
「緑葉野菜と決めつけるのは如何かと・・」
「え?え?まさか、ミドリムシ?」
「残念ながら、ミドリムシではありません」
「いや、いや、残念ではないけれど・・」
「呑んでも直ちに健康には影響はありません」
「え?どちらの意味?ジワジワ健康に効くって事?」
「即座に健康には効きますよ!」
「や、止めておきます」
「貴方が今一杯の青汁をお買い求めになると、若しや、
その事が切っ掛けで青汁売りの美女と交際、そして・・」
「に、二年後には二人に可愛い赤ちゃんも?なんて・・」
「二年後の妄想は、こちらとしてはお奨め致しかねます」
「え?どちらの意味?『結婚なんて有り得ない』って意味?」
「『あたいを子連れの未亡人にするつもり?』って意味です」
「や、止めておきます」
「や、止めておきます?」
「あ、その青汁をです!」
「貴方が本日から毎日青汁をお買い求めになると、若しや、
その事が切っ掛けで青汁売りの美女と交際、結婚、そして・・」
「え~い!一杯下さい!!!」
街で一目惚れ、ただ顔色がイマイチだった彼のアパートの近くに、
私が、青汁屋台を出して早一ヶ月が過ぎようとしています。
最近の彼は見違えるほど顔色が良くなりました。
それもこれも、特製有機野菜青汁のおかげです。
先ほど彼が青汁を一杯呑んで帰られたので、
私の青汁屋台は、本日も無事店じまいです。
私は、青汁を売る女。
ただ顔色がイマイチだった彼のためにだけ・・。
第、757話 おいしい水
(2014.01.05)
ある日、半人前な僕にもお嫁さんがやって来た。
そのお嫁さんとセットで、浄水器もやって来た。
今まで湯冷ましで納得していた自分が情け無くなるほど、
浄水器でろ過された水道水は、湯冷ましの水道水に比べ、
比べものにならないほど、まろやかでおいしいのである。
浄水器でろ過された水道水を湧かして飲むお茶は、
本来の旨みが引き出され、美味しいお茶を楽しむことが出来る。
浄水器でろ過された水道水で拵える料理は、
こりゃまた、料理の味もぐぐぐぐぐんと変わってくる。
年末の大掃除。
お嫁さんが畳や廊下を固く絞った雑巾で水拭きしていた。
お嫁さん曰く、「水拭きの水は、もちろん、おいしい水!」
お嫁さんがせっせとトイレ掃除も、
お嫁さん曰く、「もちろん、おいしい水で!」
お嫁さんがせっせとお洗濯も、
お嫁さん曰く、「当然、おいしい水で!」
日曜大工ではじめてのコンクリート作り。
「おーい、水を持ってきてくれないか」
「コンクリート作りにおいしい水!」
新年明けましておめでとうございます。
お嫁さんが着物を着て書き初め。
「そうよ、もちろん、おいしい水!
で、墨汁が無かったから黒の絵の具」
「そこは拘りはないんだ。で、どんな言葉を書くつもり?」
「そりゃもちろん、『おいしい水』」
ある日、半人前な僕にもお嫁さんがやって来た。
そのお嫁さんとセットで、浄水器もやって来た。
第、756話 年末だ!怪談だ!マタタビの、『午前三時頃』
(2013.12.29)
午前三時頃。
ひっそりと静まりかえった街。
向こうから歩いてきた、赤ちゃんを抱いた女性。
瞳は真っ直ぐ視線を変えることもなく瞬きもせず。
まるで何者かにコントロールされ、二本の足だけが動いている蝋人形の如く。
僕と擦れ違い様、その女性が抱いた赤ちゃんが突然、僕の方を向いてこう言った。
「キミ、見慣れない顔だね」
僕はこう答えた。
「今し方、幽霊になったばかりの新参者です」
赤ちゃん。
「そうでしたか。幽霊なりに良いお年を」
僕。
「それでは良いお年を」
今年も残すところ後僅かになりました。
第、755話 今もアイドル戦国時代
(2013.12.22)
「それでは、『キャリーカート』メンバー紹介です!
イメージキャリーカートはバンパーキャリー、姫ロリ・キヨです」
「イメージキャリーカートはRSキャリー、ゴスロリ・ハナです」
「イメージキャリーカートはジョイントキャリー、ロリパン・チヨです」
「イメージキャリーカートはリスキャリー、甘ロリ・フミです」
「イメージキャリーカートはアングルキャリー、和ロリ・ヨシです」
「イメージキャリーカートはRBキャリー、ナチュロリ・マサです」
「イメージキャリーカートはかご車、エレガントロリータ・ヤジマです」
「応援して下さっているファンの皆さまのおかげで、
インディーズデビューシングル『アメリカンへちま』は、
インディーズ総合チャートで首位を獲得いたしました。
アメリカンなのにサンバのリズム。歌詞にはロシア語満載。
衣装は、邪馬台国イメージをさり気なくアクセントに取り入れ、
ミュージック・ビデオでは、メンバーみんなでマーボー豆腐を
ひたすら喰らい尽くすという、非常にノリの良い曲でした。
そして、インディーズシングル第二弾が発売決定いたしました。
総合格闘家を目指しつつも貧しくて筋肉をつけるにも苦労が絶えない、
未来のチャンピオンへの応援ソングで、『タンパク質はゆずれない』」
・・・・・・・・・・今もまた、アイドル戦国時代。
新しいアイドルグループがまたどこかで誕生している。
今後、さらに激化していくことは間違いないだろう。
第、754話 大切なこと
(2013.12.15)
生きてゆく世界が別々になるから
幼い頃から側にいたのに会えなくなるから
淋しさに気付いたって
取り戻せないけれど
今日は喧嘩せずに最後まで
2人だけでデート
『未来は予期せぬ万華鏡の世界
美しい明日が待ってくれていたらいいね』
キミの言葉は何時だって微笑んでいた
想い出の中に刻まれていた
大切なこと
わたしよりふたつも おにいさんのキミが
幼い頃から私のことをかばっていたんだ
わがままで困らせてた
ダメな妹のこと
今日は揉め事もなく最後まで
2人だけのデート
未来は当たらぬ天気予報みたいに
暖かな日差しを保証してくれないけれど
キミの言葉は何時だって優しさだった
わたしの心を照らし続ける
大切なこと
キミの言葉は何時だって微笑みだった
わたしの心に描かれていた 大切なこと
第、753話 恋の売り込み大作戦
(2013.12.08)
A子「こないだは、散らかしがちなあたしの部屋を、
B代がお泊まりに来た時に片付けてくれたんだ」
B代「部屋が散らかってくると透かさず私に、
『お泊まりに来ない?』って、メールしてくるくせに」
C郎「へえ、B代って、きっと良い・・・・・・・・・・」
B代
(おっ!『きっと良いお嫁さんになれるね』かな?)
C郎「へえ、B代って、きっと良い家政婦さんになれるね」
・。・゜。・。・゜・。・。。・。・゜・。・゜。・。・゜・。・。。・。・゜
B代「A子、作戦失敗だよ。もう失敗は許されないぞ」
A子「合点承知之助だ」
・。・゜。・。・゜・。・。。・。・゜・。・゜。・。・゜・。・。。・。・゜
A子「こないだは、幼い甥っ子と遊んでくれてありがとう。
近所の公園でB代にジャイアントスイングしてもらって、
甥っ子は、そりゃ大はしゃぎだったわね」
B代「あら、子供の面倒ならお安い御用よ」
C郎「へえ、B代って、きっと良い・・・・・・・・・・」
B代
(おっ!『きっと良いお母さんになれるね』かな?)
C郎「へえ、B代って、良いプロレスラーになれるね」
・。・゜。・。・゜・。・。。・。・゜・。・゜。・。・゜・。・。。・。・゜
B代「A子、歯車が狂っているぞ。もう後がないからな」
A子「合点承知之助だ」
・。・゜。・。・゜・。・。。・。・゜・。・゜。・。・゜・。・。。・。・゜
A子「こないだは、あたしが風邪を拗らした時に、
B代が看病してくれたんだ。御陰ですっかり回復したよ」
B代「まだまだ、油断せず、睡眠と安静を心掛けてよ」
C郎「へえ、B代って、将来・・・・・・・・・・」
B代
(おっ!将来、良いお嫁さん???将来、良いお母さん???)
C郎「へえ、B代って、将来、素敵な白衣の天使かな?」
B代
(あたし、あなたが望むなら、素敵な白衣の天使になります!)
・。・゜。・。・゜・。・。。・。・゜・。・゜。・。・゜・。・。。・。・゜
B代「で、あたし、看護士さんになったんだけどさ、
看護専門学校をあたしの付き合いで通って、
あたしと共に看護士さんになったA子が
C郎さんにプロポーズされたってどういう事よ」
A子「C郎さん曰く、私って正に、『(素敵な)白衣の天使』らしいのよ」
B代「で、あたしはどうなのよ・・・・・・・・・・???」
A子「C郎さん曰く、B代って、『白衣を纏った将軍』だって。
白衣を身に纏い、頭に兜を被り、握り締めたチェーンを振り回し、四角いジャングルで大暴れ」
B代「あたしゃ、新しいタイプの女子プロレスラーかい?!!」
第、752話 それはお断り
(2013.12.01)
男「結婚式で出される料理だけど、芝エビやアワビ・・」
女「ちょっと待って!芝エビなのにバナメイエビ、アワビなのにロコガイは御法度よ!」
男「あのぉ、君と僕でツマグロアカバハネカクシの着ぐるみで結婚式を行う約束は?」
女「あ、それはOKよ!全身全霊でツマグロアカバハネカクシに成切るわ」
男「では、結婚式で出されるドリンクメニューは・・」
女「ちょっと待って!フレッシュジュースとほざいて容器詰めのジュースは御法度よ!」
男「あのぉ、君がコハナグモ、僕がヤミイロカニグモの着ぐるみでお色直しを行う約束は?」
女「あ、それは大丈夫!全身全霊で私、コハナグモに成切ってみせるわ」
男「スープは、フカヒレスープ・・」
女「実は人工フカヒレ、嫌ぁー!!!」
男「ウエディングケーキは・・」
女「生クリームをホイップクリーム、嫌ぁー!!!」
男「あのぉ、エジプトで、フンコロガシの着ぐるみ着ての新婚旅行は?」
女「全然問題ない!寧ろ楽しみ」
男「冷凍で送られてくる料理の材料は新鮮なうちに冷凍処理され宅配で・・」
女「保冷宅配は、実は常温配達」
男「第1候補の結婚式場の警備は、皆、元刑事警察官という・・」
女「それって、痴漢・盗撮・ストーカーなど、不祥事起こして依願退職した連中の吹き溜まりだろ」
男「あのぉ、エジプトで、フンコロガシの着ぐるみ着ての新婚旅行は?」
女「フンコロガシ、そりゃもう、今から、ウキウキわくわく」
第、751話 今やアイドル戦国時代
(2013.11.24)
「今やアイドル戦国時代。本日はこの番組に二組のアイドルグループが来て下さいました。
先ずは、『彫刻刀』のみなさんです」
「はい、『彫刻刀』、『平刀』担当、平川絵美です」
「はい、『彫刻刀』、『小刀』担当、小島なつみです」
「はい、『彫刻刀』、『剣先』担当、剣崎歩美です」
「はい、『彫刻刀』、『丸刀』担当、丸山エリカです」
「はい、『彫刻刀』、『三角刀』担当、三原薫子です」
「そして、『HAKABA』のみなさんです」
「はい、『HAKABA』の、『大入道』担当、MIHOです」
「はい、『HAKABA』の、『がしゃどくろ』担当、KAORIです」
「はい、『HAKABA』の、『ろくろ首』担当、EMIRIです」
「はい、『HAKABA』の、『のっぺらぼう』担当、YUUKAです」
「はい、『HAKABA』の、『ぬらりひょん』担当、KUMIKOです」
「では、抜き打ち私物チェックです!あれ、『平刀』担当の、平川絵美さん、
カバンの中に、爪楊枝が大量に入ったケースがあるのですが?」
「あ、これ、あたしが爪楊枝を彫って作った、トーテムポールです」
「あの、『ろくろ首』担当、EMIRIさん、これって???」
「骨壺です。弟は甘えん坊で寂しがりやだったのでこうして何時も一緒なんです」
「そして、メンバーがこっそり持ってきた、両グループの女性マネージャーの、
カバンの中身も見て見ましょう。どちらのカバンにもチェーンソーが・・・・・」
「そうよ、中学卒業の日、あなたに貰ったチェーンソーよ!私のこと、すっかり忘れてしまったのね」
「私は中学転校の日に、あなたに貰ったチェーンソーよ!片時もあなたのことを忘れたことはないわ」
「正に今やアイドル戦国時代。知り合いがふたりもアイドルグループのマネージャーをしていました」
「あら、二年前、エリカがまだキャバクラで働いていた時、あなたってキャバ嬢全員に
ポケットチェーンソー配っていたじゃない。ほら、忘れたの?あたし、源氏名、ざくろよ!」
「あたしはあなたがあたしのママに生ませたあなたの娘よ!ほら!チェーンソーペンダント」
「正に今やアイドル戦国時代。番組プロデューサー、これ、お蔵入りでしょうか???」
第、750話 笑顔をアシスト
(2013.11.17)
「わたくし、そんなあなたに笑顔をアシストする、
『そんなあなたに笑顔をアシストするボーイ』です」
「だ、誰???」
「笑顔を作るには、笑筋に口角を外方・側方に引いて頂かなければなりませぬ」
「え、え???」
「笑筋ワンダフルですなぁ」
「な、何???」
「ところで、そんなあなたが幼馴染みで未だ恋心をまともに打ち明けられないでいる、
えくぼさんは、たった今、『鼻フックされながらも笑顔オーディション』に合格したぞな」
「そうなのか?やった!」
「そして、たった今、そんなあなたが幼馴染みで未だ恋心をまともに打ち明けられないでいる、
えくぼさんから『鼻フックされながらも笑顔オーディション』に合格した喜びの電話が入る」
「あ、もしもし、俺、そうか、『鼻フックされながらも笑顔オーディション』に合格したか。
違うよ。泣いてなんかいないよ。今、俺、きっと、えくぼに一番見せてあげたい笑顔をしているよ。
あ、そうだ。こないだはハエトリグモの生態のことでケンカしてしまってゴメンな。
心配だったんだ。ケンカが原因で、えくぼが『鼻フックされながらも笑顔オーディション』に
満足な笑顔が出来ず合格出来なかったら、俺、どうしようかって・・・・・・・」
「・・わたくし、そんなあなたに笑顔をアシストする、
『そんなあなたに笑顔をアシストするボーイ』です。
笑顔を作るには、笑筋に口角を外方・側方に引いて頂くよりも、
時として、大切に想える人の幸せが己の心に満ちあふれることで、
大切に想える人へ己のたっぷりの笑顔を伝えることが出来ます」
第、749話 図書館ロックンロール
(2013.11.11)
こんにちは、デス子です。今、とある図書館にいるのですが、
あたしのすぐ側で、調べによると、大学受験のために
この図書館を利用しているイケメンのイケ太様が、
日々の猛勉強による睡眠不足に襲われてなのか、
うとうととし始めていて、このままでは、イケ太様の大学受験が
危ぶまれてしまいます。なんとか、このあたくしこと、デス子が
イケ太様の力になって差し上げなくてはいけません。
では早速、クラッカー、パーン!!!
「なんですか!??図書館ではお静かに!!!」
「すみません、手違いです」
あたしはひたすらぺこぺこ頭を下げて謝罪。
イケ太様は目をぱちくりさせて周りをきょろきょろ。大成功である。
・・と思いきや、早くもイケメンのイケ太様がうとうとうとうと。
イケ太様の大学受験が危ぶまれてしまいます。
なんとか、このあたくしこと、デス子が
イケ太様の力になって差し上げなくてはいけません。
では今度は、防犯ブザー、始動!!!
「またあなた!!!図書館ではお静かに!!!」
「すみません、手違いです」
あたしはひたすらぺこぺこ頭を下げて謝罪。
イケ太様は目をぱちくりさせて周りをきょろきょろ。大成功である。
・・と思いきや、早くもイケメンのイケ太様がうとうとうとうと。
では、布団を叩きながら「引越し!引越し!さっさと引越し!」
・・流石にあたしは図書館から追い出されてしまった。
図書館の窓から室内を覗いていると、イケ太様がうとうとうとうと。
では、メガホン片手に、「毎度お騒がせ致します。お馴染みのちり紙
交換です。ご不要となりました古新聞、古雑誌などございましたら・・」
イケ太様は目をぱちくりさせて周りをきょろきょろ。
・・・・・・・・・・イケ太様がうとうとうとうと。
こうなれば、最終手段だ。
イケ太様の頭目掛けて金タライ投下!!!!!!
頭を押さえ天井を見上げたイケ太様が、「あっ!忍者だ!」
その後続けてイケ太様が、「木の葉が舞い落ちてきた!」
更に続けてイケ太様が、「忍者の姿が消えた!」
その後、突然、大学進学を断念したイケ太様は、
とある忍者修行道場で、外国人や子供達に混じり、
日々、忍者の訓練に明け暮れているらしい。
第、748話 幻の自販機
(2013.11.03)
「白味噌子、分かった?あれが、意中の人と上手いこと二人っきりで訪れ、
意中の人にドリンクを買っていただく際に、意中の人が偶々当たりを出し、
その当たりのドリンクを頂いた際に告白すれば意中の人の恋人になれると
されている。あれが、あれが、幻の自販機なのよ」
「分かったわ、赤味噌子。でも、意中の人と上手いこと二人っきりで訪れ、
ドリンクを買っていただける時点で意中の人って自分に脈あるんじゃない?」
「白味噌子、あたしは意中の人を簀巻きにして拉致し、此処まで担いできて、
意中の人のお財布からコインを出して、意中の人にそのコインを口に咥えさせて、
ドリンクを買っていただいたけれど、当たりが出なかったせいで無惨に振られたわ」
「赤味噌子、それって、当たりが出る出ないの問題じゃない気がする」
「白味噌子、兎にも角にも試してみて!ほら、これ、白味噌子の意中の人」
「赤味噌子、なんで私の意中の人が簀巻き&猿轡され此処にいるの???
そして、今まで私に気付かせず何処に隠し続けていたの???」
「ほら、これ、白味噌子の意中の人のお財布」
「破れかぶれで試してみる」
「猿轡を外しコインを口に咥えさせる際は咬まれないように気を付けて」
「赤味噌子、意中の人にコインを口に咥えさせたわ!いざ!コイン投入」
「白味噌子、見事当たったじゃない!!!さあ告白しなさい!!!」
「赤味噌子、無惨に振られたわ・・・・・・・・・・」
「白味噌子、この自販機、幻の自販機じゃなかったみたいね」
「赤味噌子、私、気付いたことがある。今此処に赤味噌子いるし、
だから私、意中の人と二人っきりで此処に訪れてないじゃん!!!」
「白味噌子、ゴメン!うっかりしてた。意中の人と二人っきりじゃ
なかったから、そのせいで白味噌子は無惨に振られてしまったのね」
「赤味噌子、だからといって、そのせいじゃない気がする」
「白味噌子、では何故あなたは意中の人に振られてしまったのかしら」
「赤味噌子、結局、幻の自販機なんて、都市伝説の一つに過ぎなかったのよ」
「白味噌子、ゴメン!あたしはもっと早くにその事に気付くべきだったわ」
「赤味噌子、一番の原因は、恐らくそこじゃない気がする」
第、747話 おでんと会話する女
(2013.10.27)
「ボクと結婚して下さい」
憧れの彼女にそうプロポーズすると、
「あたし、おでんと会話する女ですけれど・・」
という、意外な言葉が返ってきた。
「な・な・な・なんで・・・・・・・・・・」
「あたし、一人っ子だから」
「た・た・た・例えば・・・・・・・・・・」
「大根は、『俺は、無施肥無農薬栽培で育てられたかったなぁ』とか、
ごぼう天は、『ちょいとそこの姉さん、わて、フュージョンでっせ!』とか、
はんぺんは、『手を抜いて四角いまま鍋にぶっ込むの止めてくれない』とか、
そんなこと言われたあたしは、『もう、みんな元気いっぱいで楽しい』とか」
「で、ボクはどうすれば???」
「おでんを超える男性でなければ、あたしは愛せない!!!」
ボクは、おでんを超えるために山籠りを始めた。
人里恋しい誘惑から逃れるために片方の眉毛を剃り落とし、
大木に正拳や蹴りを何発も打ち込み、そして、ある答えに辿り着いた。
「ボクと結婚して下さい」
下山したボクが憧れの彼女にそうプロポーズすると、
「あたし、おでんを超える男性でなければ・・」
「ボク、おでん屋を開業します!!!」
ねじり鉢巻きをして、おでん屋のおやじになる事で、
晴れて、おでんを超える男性になった、ボクと、
おでん屋の女将さんになった、割烹着姿の彼女。
最近ではボクにも、おでんの声が聞こえるようになってきた。
例えば・・・・・・・・・・、
大根、『俺様、無施肥無農薬栽培なんだぜ!セニョール』
ダチョウのゆでたまご、『おやじ、やっと味が染み込んできたぜ』
クラーケン、『拙者、北欧の海で暴れてました』
そんなこと言われたあボクは、「そうか、みんな元気いっぱいで何より」。
第、746話 斜め上の空
(2013.10.21)
僕が描いた油絵『焼きとうもろこしを持った少女』が、
新日本学生油絵コンクールに入選し、奨励賞を頂いた。
バターと醤油の香ばしい香りが漂ってきそうな作品と
絶賛され、驚くほど多くの皆様に喜んで貰えた。
焼きとうもろこしを持ったハーフアップツインテールの少女が
斜め上の空を睨み付けながら今まさに何かを呟こうとしている瞬間の画。
肩から手首にかけて、養成ギブスと思われるスプリングが装着され、
赤い鼻緒の下駄を履いたスラリとした美脚は、バレリーナを連想させる。
景色は廃墟の造船所。草に埋もれるコンクリート。海辺に放置された錆びだらけの船。
太陽が雲のすき間から顔を覗かせている。もう少し・・
きっと、もう少しなんだ。
僕が描いた油絵『焼きとうもろこしを持った少女』が、
新日本学生油絵コンクールに入選し、奨励賞を頂いた。
おかえりなさい、僕の心。おかえりなさい、君の心と、焼きとうもろこしの香り。
第、745話 ものまねオーディション
(2013.10.13)
少女「はい!あたし、ギザの大スフィンクスのものまねが出来ます。
ギザの大スフィンクスが飛んできたスカラベと遊ぼうと後ろ足で立ち、
ノリノリで御満悦に暴れる様子」
審査員「おお!デカいねこじゃらしで、ギザの大スフィンクスと
遊びたくなる感慨深い珠玉のモノマネだ」
少女「次に、ギザの大スフィンクスがクフ王のピラミッドに登ってはみたが、
自力で降りられなくなる失態を犯し、困った顔で助けを求める様子」
審査員「おお!助けてあげたいのだが、抱き抱えることが出来そうにない」
少女「最後に、ナイル川の水面から顔を出したギザの大スフィンクスが、
正体は河童だった事に気付かれ、何はともあれ、頭の皿を前足で隠す様子」
審査員「し、尻子玉を抜かれてしまうぞぉ!肛門を手で押さえろ!」
少女「以上です」
審査員「君は何故、ギザの大スフィンクスのものまねをするようになったのかね?」
少女「はい!好きなひとがエジプト考古学者を真剣に目指しているからです」
審査員「だから君も真剣なのだね」
少女「はい!それはもう真剣です」
審査員「第一次審査合格!!!」
第、744話 記憶力
(2013.10.05)
「・・・・・・・・ねえ、あたしたち、幼馴染みでしょ。
子供の頃、隣の家に住んでいたおばあちゃん、覚えてる?」
「おお、縁側でお手玉していて、『おばあちゃん、
お手玉上手だね』って言ったら、『おい!これはお手玉じゃねーぞ。
ジャグリングと言っておくれ』って激怒して、『レベルMAXを
見せてやるわい』って、突然、10個の玉を中に投げ上げ、
見事に、1つ以上の玉を浮かせながらそれぞれの玉をキャッチ。
更には、近所を頻繁に徘徊している野良猫トラをも投げ上げ、
投げたり取ったりの繰り返し。終いには、野良猫トラが、
10個の玉やおばあちゃんを中に投げ上げ、秘技空中大回転」
「なるほど、記憶力はとっても正確みたいね。
お向かいの家に住んでいたおじいいちゃんも覚えてる?」
「そうそう、おじいいちゃんが庭で竹馬をしてて、『おじいいちゃん、
竹馬上手だね』って言ったら、『こら!これは竹馬じゃねーぞ。
スティルツと言っておくれ』って激怒して、突然ダッシュ!!!
そして、おじいいちゃん言う所の『スティルツ』の片足の一本を、
突然現れた、近所を頻繁に徘徊している野良猫トラの差し出された
両前足の平を踏み台にして、大きく上にジャンプ、後方伸身宙返り」
「なるほど、記憶力はすこぶる正確みたいね。
それから、牛乳屋さんのおじちゃんとおばちゃん、覚えてる?」
「牛乳屋さんのおじちゃんとおばちゃんが、『BMXと言っておくれ』
って、近所を頻繁に徘徊している野良猫トラの手招きがスタートの合図。
業務用自転車に跨り、リアルストリートで競り合う、宙を舞う牛乳配達」
「ホント、記憶力は抜群に正確みたいね。
最後に、子供の頃、あたしをお嫁さんにしてくれるって約束、覚えてる?」
第、743話 電波時計観覧写真部
(2013.09.29)
「我が部は、壁掛けのアナログ電波時計が
時間を合わせる際の針の回転に心動かされる人物の表情を
写真に捉え記録していく、電波時計観覧写真部である」
「部長さん、素敵な部ですね」
「この写真は、今年98歳の曾婆さんに初めてアナログ電波時計の
時間を合わせる際の針の回転を見せた時の、曾婆さんの驚愕の表情。
そしてこの写真は、園児達を集めアナログ電波時計の時間を合わせる際の
針の回転を見せた時の、園児一人ひとりのダイアモンドのような瞳の輝き。
そしてこの写真は、とある山奥の集落から東京見物にやってきた
村人達にアナログ電波時計の時間を合わせる際の針の回転を見せた時の、
アナログ電波時計に平伏し拝む村人達の、新たな神との出会いの瞬間」
「部長さん、本当に素敵です」
「新入部員の君には、新入部員歓迎特典として、部長であるこの僕が、
アナログ電波時計の時間を合わせる際の針の回転を見た時の君の表情を
激写して進ぜよう」
---------------------------------------------------------------
「そんな訳で、お婆ちゃん、これが今日あたしが入部した、
電波時計観覧写真部の部長さんが撮ってくれた、アナログ電波時計の
時間を合わせる際の針の回転を見た時のあたしの表情よ」
「そうかい、そうかい、大好きな部長さん撮って頂いたのかい」
「お婆ちゃん、あたし、部長さんを大好きなんて言ってないじゃん」
「では、お婆ちゃんが学生だった頃の写真を見てみるがよい」
「え?これ、お婆ちゃん???
改めて、あたしと瓜二つ!!!」
「お婆ちゃんが学生だった頃、鳩時計観覧写真部に入部してな、
そこの部長さんが、新入部員歓迎特典として、部長さん自ら、
鳩時計から小鳥が顔を出し時刻の数だけ鳴き時報を教えくれた時の、
その頃学生だったお婆ちゃんの激写された表情がこの写真なんだよ」
「電波時計観覧写真部の部長さんが撮ってくれた、アナログ電波時計の
時間を合わせる際の針の回転を見た時のあたしの表情にまるで瓜二つ」
「実の所、お婆ちゃんも部長さんに憧れて入部したんだよ」
「技術の発展に伴い、時刻を示す道具が移り変わったとしても、
恋をしている乙女の表情って、今も昔も、何も変わらないのね」
「そうそう、お婆ちゃんのお婆ちゃんが寺子屋で最新の和時計を
目撃した時の表情を寺子屋の師匠が和紙に手描きで描いくれた
絵が我が家にはあるけれど、こりゃまた、見てみるがよい」
「こ、こ、こ、こりゃまた、瓜三つ!!!」
第、742話 ホタテのロッ○ンロール
(2013.09.22)
「今回、社運を賭けたこの製品開発でのポイントは、SEXYです。
そこで、我々は、帆立貝殻のデザインマスクを試作してみました」
「おお、これなら、『帆立貝殻の水着は抵抗あるけれど、
帆立貝殻のデザインマスクなら七里帰っても装着したいわ』
と思う平成の娘っ子達で世の中溢れかえるに違いないぞ」
「更には、この帆立貝殻のデザインマスクを口から外す時、
通常のマスクを口から外す際には決して得られはしない、
アダルティーな空気を漂わすことが出来るのです」
「だとすると、街中で外すことを考えると、刑法第174条、
公然わいせつ罪に問われる可能性も出て来るのだが・・」
「いえ、最も心配なのは、この、帆立貝殻のデザインマスクを、
男性、特に、オヤジ共に気に入られ使用され、街中で外された
時の、製品のイメージダウンなのです」
「そこで政治家の私がこの席に呼ばれた訳だね」
「そうです。帆立貝殻のデザインマスクの男性使用を
禁ずる法律案を最優先で提出して欲しいのです」
「うむ。だがこの法律案、『外出中限定』ではいかんかね」
「まさか、先生、帆立貝殻のデザインマスクを自ら装着したいのでは・・」
「け、決して、孫娘の前では装着も、況してやそれを外したりはせんぞ」
「・・売れる!間違いなくヒットする!『外出中限定』OKです!先生」
・・・・翌年、日本のマスクメーカーが一社、人知れず倒産した。
第、741話 ときどき降る雨
(2013.09.15)
幼い頃からそうだった。例えば・・・・・・・・・・
誰かが『あの道の角を曲がって・・』と道案内をする。
僕には、あの道の角を曲がった場所の景色が見えた。
幼い頃からそうだった。例えば・・・・・・・・・・
知らない街の写真。その写真に写っている
コンビニの角を左に曲がると、そこに公園が見えた。
だから、キミとのデートの日取りを決めると、
ときどき、雨に降られてしまった街の景色が見えた。
太陽の下、傘を手に歩いてくるボクを不思議そうに見ていたキミ。
でも、(あの)道の角を曲がった場所から、傘の中のボクに寄り添うキミがいた。
だから、キミとのデートの日取りを決めたとき、
その日も、雨に降られてしまった街の景色が見えた。
ポツポツと降り始めた雨の中、キミからの「サヨナラ」の言葉を聞いた。
ボクは、ボクの心の中に降る雨の景色を、リアルタイムで感じていた。
幼い頃からそうだった。例えば・・・・・・・・・・
母に連れられて歩いた道。(あの)道の角を曲がった先には、児童養護施設が見えた。
でも、ボクには、その児童養護施設で泣きながら母を呼び止めようとする
自分の姿は、母の手を握り締めていた時には決して気付くことは出来なかった。
ときどき降る雨。心の中に降る雨。びしょ濡れになるまで気付けない景色。
・・・・・・・・・・幼い頃からそうだった。
第、740話 拙い善人と巧妙な悪人
(2013.09.08)
悪人の皮を知らず知らず被せられる、拙い善人。
善人の皮を自ら被って登場してくる、巧妙な悪人。
子供の頃、焼肉をペットにしたかった、拙い善人。
現在、違法に焼肉チェーン店の乗っ取りを謀る、巧妙な悪人。
子供の頃、『エラ呼吸が出来ない』と、水泳の授業を拒み続けた、拙い善人。
現在、違法に大手スイミングスクールの乗っ取りを謀る、巧妙な悪人。
サイレンに吠える犬の声を耳にすると、つい反射的に『待ったなし』と叫んでしまう、拙い善人。
『もう少し待って下さい』に、『待ったなし』と言い返し、最後は計画通り乗っ取る、巧妙な悪人。
逃げる目覚ましに追い掛けられたことがある、拙い善人。
バケツの水を気を失った相手の頭にブッ掛け、更に拷問を加える、巧妙な悪人。
何もしていないのに警官に追い掛けられ、たっぷり汗を掻く事の爽やかさを覚えた、拙い善人。
「良き仕事仲間が惨い殺され方をした」と涙を流しテレビ出演する、巧妙な悪人。
「子供の頃からイカれた奴だった」と、テレビ出演する巧妙な悪人に言われる、拙い善人。
恋人の祈り虚しく有罪判決を受けた、拙い善人と、愛のない結婚生活を送る、真犯人の、巧妙な悪人。
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