横浜マタタビバージョンのFUNI WORLD

おバカショート劇場。

FUNI WORLD (25)


第、801話 マジックキャンドルライトディスク (2014.11.09)
ビデオを購入しようとすると最近よく目にする、
DVDやBDとは違う新規格、MCLD (Magic Candle Light Disc)。
箱形の専用再生機にディスクを挿入し、
箱の側面のハンドルを手で回すと、箱の上部の液晶画面に、
ハンドルを回すスビードに合わせ、回転のぞき絵のような
コマ送り動画が再生され、それを楽しむことが出来る。
ハンドルを回すスビードに合わせ、ソノシートで再生されるような
サウンドを、スピーカーやヘッドフォンから聴くことも出来る。
液晶のバックライトには、独自のLEDキャンドルライト技術を
応用した、『ぴそみLEDキャンドルライト方式』が用いられ、
結果、液晶画面に映し出される動画は影灯籠の如く揺らめき動く。
話題のアイドルユニット、『珍面人』の日本武道館公演も、
話題のアイドルユニット、『さび抜きパフェ』の横浜アリーナ公演も、
話題のアイドルユニット、『タバスコ水鉄砲』の5大ドームツアーも、
高画質・高音質による規格争いに疲れ果てそれに背を向けた人々が、
アナログを感じさせる暖かさに引かれ、今や、DVDやBDの売り上げを
遙かに上回る、既に押しも押されもせぬ国際規格、MCLDで観ることが
出来る。正に逆転の発想から生まれた新時代の光ディスク規格なのだ。
本日はこのMCLD規格を提案し誕生させた『ぴそみLEDライティング工房』の
青空ぴそみさんを迎えて開発時の苦労話やエピソードを伺いたいと思います。
「身長138センチ。体重40キロ。二十歳。青空ぴそみ。だ!ぴそみ」


第、800話 LEDキャンドルライト付き除湿器 (2014.11.02)
ぼくがこの不可思議な電化製品に出会ったのは一週間前の事だった。
『ぴそみLEDライティング工房』の『LEDキャンドルライト付き除湿器』。
理解不能だったこの製品。在庫切れであったので売れてはいるらしく、
ネットで調べてみると、お値段.comのレビューでは、満足度が高く、
『水を溜めるタンクが引き出しやすく、キャンドルの揺らぎ感がとてもリアル』
『低騒音設計で十分な除湿性能、ゆらぎ速度も落ち着いていて目がチカチカしない』
などという書き込みが多く見受けられた。
ぼくがこの不可思議な電化製品を手に入れたのは二日前の事だった。
ぴそみLEDライティング工房公式通販サイトで在庫待ちをしたら届いた。
理解不能ではあったが、除湿器は買うつもりだったので、どうせならと思いこれを購入。
昨夜は雨だった。朝から降り止まぬ雨に室内湿度上昇。静音に設定しタイマーを掛け、布団に潜った。
折角なので除湿器の操作パネルにある『キャンドル』ボタンでキャンドルも点灯させておいた。
除湿器の吹出口から出る静かな風音。部屋の中まで忍び込む雨音。薄暗い部屋で揺らぐキャンドル。
あれはぼくが小学生の頃、幼馴染みの女の子が転校していった日。確かにあの日は雨が降っていた。
あれはぼくが高校生だった頃、彼女に突然の別れを告げられた日。確かにあの日も雨が降っていた。
あれはぼくが二十歳の頃、片想いの相手が親友の彼女と知った日、確かにあの日も雨が降っていた。
除湿器の吹出口から出る静かな風音。部屋の中まで忍び込む雨音。薄暗い部屋で揺らぐキャンドル。
晴れた朝の輝きに目が覚めた。窓を開け大きく背伸びをしたら、吸い込まれそうな青空に出会った。


第、799話 黄昏の消臭剤売り (2014.10.26)
「あれ、消臭剤売りの屋台なんてこりゃまた珍しい。
ちょうど良かった!別れた彼女が突然、久々におれっちが暮らす
ボロアパートにやって来るって言うから、やり直すチャンス到来って事で、
慌てて薬局まで芳香剤を買いに行く途中だったんだよ」
「だったらこれなんていかがでしょう。『消臭霊』」
「『消臭霊』???『○臭元』や『消○力』は知っているけど;;」
「『朝靄のお墓の香り』『やすらぎそよぐ古井戸の香り』
『ふんわりと貞子の香り』さあ、どれにいたしましょう」
「いらん。そんなのいらん。他の消臭剤はないの???」
「トイレ用もありますよ。『朝靄のお墓の香り』『やすらぎそよぐ古井戸の香り』
『呼びかけると花子さんの香り』さあ、どれにいたしましょう」
「いらん。そんなのいらん。他の消臭剤はないの???」
「消臭・芳香効果を調節できますよ」
「いらん。ほんとにいらん。他の消臭剤はないの???」
「だったらこれなんていかがでしょう。『消臭姉』」
「『消臭姉』???そそられるなぁ。どんな香りがあるんだい」
「『大御所、カルー○ル麻紀の香り』『元祖ニューハーフ、松○留美子の香り』
『どうにでもなれ、マツコ・デラ○クスの香り』さあ、どれにいたしましょう」
「いらん。そんなのいらん。不覚にも松原留○子にそそられてしまったが、いらん」
「香りがしっかり広がりますよ」
「いらん。いらんったらいらん。他の消臭剤はないの???」
「だったらこれなんていかがでしょう。『消臭裸』」
「『消臭裸』???そそられるぞぉ。どんな香りがあるんだい」
「『心はじけるふりちん爺さんの香り』
「いらんって。断じていらん」
「では、『清潔感溢れるせっけんの・・・・・・・・・・』
「それ!それを買う!!!」
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ピンポ〜ン!
「おぉ、帰って来るなり別れた彼女到着かい。
早いとこ、消臭剤開封。〜〜〜〜なんだこの臭い;;;」
ピンポ〜ン!ピンポ〜ン!ピンポ〜ン!
「・・・・・・・・・・おぉ、来たのか」
「『おぉ、来たのか』じゃないでしょ!すぐに出てよ。
ん?なによこの臭い?臭ぁぁぁ〜い!!!わたし帰る」
「なんてこった。どこが、清潔感溢れるせっけんの・・???
ん???『清潔感溢れるせっけんの香りには程遠い、
肥溜めで一風呂浴びているふりちん爺さんの香り』だとぉ?!!」
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今日もどこかで、あなたの町にも、黄昏の消臭剤売り


第、798話 証言 (2014.10.19)
僕は、過去に大和村と言う集落で発生した大量殺人事件について
調べていた。二時間足らずで三十名が殺され、三名が重軽傷を負った、
日本の犯罪史上前代未聞の殺戮事件。子供の頃から神童と呼ばれた青年が、
徴兵検査を受けた際、結核を理由に丙種合格(入営不適、民兵としてのみ
徴用可能。実質上の不合格)とされ、村人から『お国のために戦争にも
行けない役立たず』と罵られ、村八分にされ、決行された殺戮事件。
だが、多くの村人が殺害され犯人も自殺。生存者は被害者遺族ばかり。
犯人の遺書に書かれた内容と食い違う証言、不透明な事実関係ばかりで、
70年以上が経った現在、何が正しく、何が真実なのかが実に判りづらい。
・・僕は何時しか眠りについていたのだろう。きっと夢を見ていたに違いない。
木々に覆われた古めかしい家々。此処はどこなのだろう。
「大丈夫か、どこから来た?無理はいけんよ。うちでゆっくり休んでいきんしゃい」
そう言うと、その青年は、家の中に案内してくれた。
青年は、○○と名乗った。
大和村で発生した大量殺人事件の犯人の名だ。
○○は、この村では伝統扱いされている村の掟について、意見が
対立していることを話した。それは、何時しか村に紛れ込んだ、村に
溶け込めないよそ者は、村人によって殺害され、山に埋められてしまうと
言う因習。○○は、大人になり、その事実を知り、村人を少しずつ説得してきた。
そして、その悪しき因習を断ち切るために、反対運動のリーダーをしているらしい。
だから、村では見掛けない僕のことを心配して、匿うつもりで家に入れたという。
その頃、二分された村人達は一触即発の緊張状態で、リーダーである○○は、
身を守るために、猟銃を手に村を徘徊するようになったが、村の伝統保持派に
危険と訴えられ、保持派側に付いた警察から家宅捜索を受け、猟銃を押収されたらしい。
だが、○○は新たに猟銃一式の他、日本刀、匕首(つばのない短剣)などを入手。
伝統保持派は、反対運動の村人を殺害する計画を進めているとの情報もあるらしく、
それは、保持派の家族・親族でさえ、村のために殺すべきと言う考えであるらしい。
その時、側にいた○○の祖母がこう言った。
「この村では、右と言われたら右にしたがったほうが利口だと思うがの」
○○の祖母は、孫の○○のことをひたすら心配しているようだった。
突然、伝統保持派の村人達が、○○の家の戸を破壊し、押し入ってきた。
伝統保持派のリーダーらしき男が、○○の祖母の首を薪割り用の斧で切断した。
○○の用意していた猟銃一式の他、日本刀、匕首を探し出し、それを奪い取り、
○○の心臓にその猟銃を突きつけて発砲した。そして、伝統保持派の村人の一人が、
己の懐から取り出した匕首を僕の喉元に突きつけた。僕はその時、大和村の大量
殺人事件についての資料に、『自殺した犯人の遺体の側に、匕首は二口あったが、
一口の匕首は入手先や日時は不明』と明記されていたことを呑気に思い出した。
そして、『・・調べ上げた記録と違う。大きく異なっている』ことも察していた。
・・僕は何時しか眠りについていたのだろう。きっと夢を見ていたに違いない。
喉元が痛いと手を当ててみると、切り傷から滲んでいた血で掌が赤く染まった。
僕は、過去に大和村と言う集落で発生した大量殺人事件について調べていた。
だが、多くの村人が殺害され犯人も自殺。生存者は被害者遺族ばかり。
犯人の遺書に書かれた内容と食い違う証言、不透明な事実関係ばかりで、
70年以上が経った現在、何が正しく、何が真実なのかが実に判りづらい事件。
〔過去に実際起きた事件を題材にしていますが、飽く迄もフィクションです〕


第、797話 心が和みます (2014.10.12)
男(A)「俺たちは、人材派遣会社(G)にボロ雑巾のように
扱き使われ使い捨てられ無職。だから、人材派遣会社(G)の
社長の娘を誘拐し、俺たちが受け取る権利があるだけの正当な
金額を、人材派遣会社(G)の社長から身代金として請求してやるんだ」
男(B)「でも、超弩級のドケチな人材派遣会社(G)の社長は、
おいそれと、我々の給料未払い額を全額用意しますかい???」
男(A)「だから、誘拐してきた人材派遣会社(G)のドケチ社長の、
堅いものを食べなくなった平成生まれの顎未発達な9歳の娘に、
腹を空かせた頃合いに岩おこしをガシガシ喰わせる動画を、娘の携帯
からメールに添付し、人材派遣会社(G)の社長に送りつけてやるんだ」
男(B)「うぅぅ、、そんな酷たらしい;;;」
男(A)「更に、食べ慣れてない堅いもので傷付けられた娘の口の中に、
厚堅焼きの激辛一味唐辛子煎餅をガシガシ喰わせる動画を、娘の携帯
からメールに添付し、人材派遣会社(G)の社長に送りつけてやるんだ」
男(B)「うぅぅ、、そんな残酷すぎる;;;」
男(A)「いいからとっとと人材派遣会社(G)の社長の娘を誘拐してくるんだ」
男(B)「うぅぅ、、わかったよ」
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男(B)「人材派遣会社(G)の社長の娘を誘拐してきたぞ」
男(A)「おい、おまえ、ひょっとして間違えてないか???」
ぴそみ「身長138センチ。体重40キロ。二十歳。青空ぴそみ。だ!ぴそみ。
暇を持て余している人は、おバカショート内を『ぴそみ』で検索だ!ぴそみ」
男(B)「誰だ、この娘???」
男(A)「おまえが連れてきたんだろ!!!」
ぴそみ「事情は男(B)から全て聞いたんだ!ぴそみ」
男(A)「おまえ、説明して連れてきたんか!!!」
男(B)「一応、同意を求めるために・・・・・・」
男(A)「スペクタクルバカか、てめえ!!!」
ぴそみ「焼き芋屋でLEDキャンドルライト販売事業を経て、
LEDキャンドルライトの数々の特許を取得し、今や、全世界で
圧倒的なシェアを誇るLEDキャンドルライト製品のトップブランド、
『ぴそみLEDライティング工房』の、青空ぴそみ。だ!ぴそみ。
おじさん達を下請け工場で雇って貰えるように手配してあげる!ぴそみ」
男(A)「て、天使だ!!!」
男(B)「め、女神だ!!!」
ぴそみ「お祝いに、虎顔リュックに入っている、ぴそみが買っておいた、
ぴそみの大好物、岩おこしをガシガシガシ、二人で喰うと良いんだ!ぴそみ」
男(A)(B)「旨めー、堅てー、痛てー」
ぴそみ「そして、虎顔リュックに入っている、ぴそみが買っておいた、
ぴそみの大好物、厚堅焼きの激辛一味唐辛子煎餅も、喰らうと良いんだ!ぴそみ」
男(A)(B)「堅てー、ひりひり、痛てー」
ぴそみ「これにて一件落着だぁ!」
男(A)(B)「あの、改めてあなた様のお名前は???」
「身長138センチ。体重40キロ。二十歳。青空ぴそみ。だ!ぴそみ」


第、796話 女系怪奇伝 (2014.10.05)
十代の頃。
★郎は言った。
「僕と付き合ってくれるんだね」
☆美は言った。
「私以外の女性に色目を使わないって指切りげんまんして」
★郎は言った。
「ロープに繋がれた大型バスを引っ張ることが出来る僕の小指で指切りげんまんだ」
☆美は言った。
「私以外の女性に色目を使ったら、舌で、バックギアに入れサイドブレーキを
掛けた大型バスを引っ張ることが出来る我が家の婆さんに、小指で大型バスを
引っ張ることが出来ると豪語する★郎のその小指をしゃぶらせる!指切った」
二十代の頃。
★郎は言った。
「僕と結婚してくれるんだね」
☆美は言った。
「婿養子ならいいわ。絶対、私以外の女性に色目を使わないって指切りげんまんして」
★郎は言った。
「舌で、バックギアに入れサイドブレーキを掛けた大型バスを引っ張る
ことが出来る☆美の婆さんにしゃぶられた僕の小指だけど指切りげんまんだ」
☆美は言った。
「今度、私以外の女性に色目を使ったら、昔、爺さんのこめかみに
アイアンクローを見舞い大流血させたことがある、我が家の婆さんの
アイアンクローを貴様のそのこめかみに一ヶ月見舞う!指切った」
還暦過ぎて。
★郎は言った。
「過去に、☆美の婆さんのアイアンクローを度々一ヶ月見舞われ、
その都度、こめかみから大流血した僕と指切りげんまんしたいと?」
☆美は言った。
「還暦過ぎても尚、私以外の女性に色目を使うようなら、ミイラ化し、
コーティングさせ保存してある我が家の婆さんをコーナー最上段から、
てめえに、ダイビング・ボディ・アタックを数ヶ月浴びせる!指切った」
☆美の隣で、娘と孫娘が、指をポキポキ鳴らしながらにっこり笑った。
★郎は言った。
「・・最早、約束破ってほしくて指切りげんまん求めているんじゃね???」
☆美と娘と孫娘の後ろで、娘婿が震えながら、こっそり、『うんうん』と首肯いた。


第、795話 日本における占い文化かな (2014.09.28)
女「これ、買ったばかりの、ポータブルヘッドホンなの」
男「で、なんで、プラグを何処にも差し込まずに、
コードをぶらぶら垂れ下げたまま歩いているんだよ」
女「今、某新興宗教系芸能人から良く当たると絶賛されている、
某新興宗教系占い師、『パワー生命』先生の12星座占いで、
ラッキーアイテムは、ポータブルヘッドホンだったの。でもね、
NGアイテムが、音の出る機器だったの。で、こうなっちゃった」
男「そうか。某新興宗教系芸能人から良く当たると絶賛されている、
某新興宗教系系占い師、『パワー生命』先生の12星座占いだったら、
そりゃ間違いないな。TVや雑誌などで頻繁に取り上げられているしな」
女「あなたはどうしたの?耳折れうさみみヘアバンドに、ウェットスーツ姿、
インラインスケート履いて、右手にプラスチック製の日本刀を振りかざして」
男「某新興宗教系芸能人から良く当たると絶賛されている、
某新興宗教系占い師、『パワー生命』先生の12星座占いで、
ラッキーアイテムが・・・、で、こうなっちまったってわけさ」
女「そうだったの。某新興宗教系芸能人から良く当たると絶賛されている、
某新興宗教系占い師、『パワー生命』先生の12星座占いだったら、
そりゃ間違いないわね。TVや雑誌などで頻繁に取り上げられているしね」
男「そう、TVや雑誌などで頻繁に取り上げられているから間違いないよ。
某新興宗教系占い師、『パワー生命』先生が改名した、某新興宗教系芸能人は、
みんな、改名後に売れまくっているし、『パワー生命』先生、間違いないよ」


第、794話 箱の中身はアレですよ (2014.09.21)
MC「さあ、本日から始まる新番組、『クイズ、箱の中身は?』
ゲストは、吹けば即飛んで消えるであろう若手野郎芸人2人と、
今もっとも勢いに乗っている3人組、女性アイドルグループ、
『さび抜きパフェ』に来て頂きました。
芸人A・B「ちょいとちょいとちょいと、これってデジャヴか???
以前出演した番組 (おバカショート、第、789話) の、デジャヴ???」
MC「さあ、本日から始まる新番組、『クイズ、箱の中身は?』ですよ!
若手芸人A・Bチームとさび抜きパフェチームに分かれての対決。
優勝チームには、ゴールデンタイム2時間枠冠特番。
そして、最下位のチームには、罰ゲームが用意されています。
それでは、最初の対決!『箱の中身は代々木公園から採取してきた蚊』ゲーム。
どんどんぱふ〜ぱふ〜。・。・゜♪・。・。★・゜・。♪♪
樹脂製の仕切り部屋にある箱の中に入っている写真の動物は???」
芸人A・B「おいおい、デング熱大丈夫かよ」
MC「まあまあ、反原発集会阻止目的の政府による捏造かも知れないって事で」
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MC「はい、今、殺虫剤が大量放出された仕切りから出て来た芸人A・Bチーム」
芸人A・B「げほげほげほ;;なんだよ、こんな動物知らねーよ」
MC「判ってますよ!そもそも芸人A・Bさんとも動物嫌いだそうですからね。
では、さび抜きパフェチーム、芸人A・Bさんが箱の中から取ってきたこの写真の動物は?
その通り!正解は『ハニーポッサム』です。さび抜きパフェチームが見事10点ゲット!!!
さび抜きパフェの3人は『ハニーポッサム』が大好きなんですよね。プロフィールに書かれてました」
芸人A・B「おいおい、蚊に刺されながら箱の中から写真取った俺たちの立場はよぉ」
MC「次は、動画を観てね対決!それぞれ別室に用意されたパソコンに動画が用意されています。
30分ほど、特大お灸に耐える上半身裸でフンドシ姿のデブおやじの動画がひたすら流れます。
その動画の最後に出て来る芸能人の名前をいち早くこのスタジオに戻ってきてお答え下さい。
・・・・・・・・・・え?たった今ニュースで???・・・・・・・・・・」
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芸人A・B「はあはあぜいぜい、答えは、ジョリーズ事務所の○○○」
MC「・・ですが、ジョリーズ事務所の○○○が危険笊法ドラッグで
激突事故を起こして逮捕されたらしく、数日後には、ジョリーズ事務所のバックに
付いている宗教団体の力で、無罪放免で釈放されて何事もなかったかのように
芸能復帰してくるでしょうが、一応、この対決はお蔵入り。それを言おうとしたら、
早々と芸人A・Bさんは別室に行ってしまったのでA・Bさんにだけ言えませんでした」
芸人A・B「特大お灸を耐える裸デブおやじの動画を30分ひたすら観た俺たちの立場はよぉ」
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MC「最後の対決は『尻相撲』。得点100点!芸人A・Bチームにも優勝のチャンスが?!!」
芸人A・B「なんだ!なんだ!アイドルと尻相撲か!願ったり叶ったりじゃねーかよぉ〜!!!」
MC「先ほどの動画で特大お灸に耐えて頂いた上半身裸でフンドシ姿のデブおやじと尻相撲です。
さび抜きパフェチームは仲良くメンバー同士で尻相撲して勝ち残ったメンバーには得点100点!」
芸人A・B「なんだ?なんだ?いったいどうなってんだよぉ〜!!!出来レースかぁ!!!」
MC「では、まだまだ芸歴が浅く、バラエティー番組のお約束すら理解していない、
吹けば飛ぶような糞若手芸人A・Bさんの負け決定で、罰ゲーム、先ほどの動画で
特大お灸に耐えて頂いた上半身裸でフンドシ姿のデブおやじと仲良く特大お灸に耐えて頂きます」


第、793話 なう (2014.09.14)
小学上級生3人組が、とある町で1人の男と出会う。
「そこのおにいさん、なんでタコのブラジャーして、海藻を腰に巻いているの?」
「未来を育てるのは平和への祈り。戦争は時代を汚す行為。
おにいさんはね、武装なんて決してしたくないからなんだよ」
翌日、小学上級生3人組が、とある町で1人の男と出会う。
「そこのおにいさん、なんで海藻を体に貼り付けて、ダイオウグソクムシを肩に乗せているの?」
「未来を育てるのは平和への祈り。戦争は時代を汚す行為。
おにいさんはね、武器や防具なんて大嫌いだからだよ」
更に翌日、小学上級生3人組が、とある町で1人の男と出会う。
「そこのおにいさん、なんでタカアシガニを股間に這わせ、空を見上げているの?」
「未来を育てるのは平和への祈り。戦争は時代を汚す行為。
おにいさんはね、軍事支援で利益を得ているこの国の政権が息苦しいんだよ」
「いいからこないだの2人のようにやっちまえ」
小学上級生3人組が一斉にそう叫ぶと、ランドセルからリコーダーを引き抜き、
3人でおにいさんを滅多打ちにすると、「早くうちに帰って有名進学塾に行かないと・・」
と言い残し、早々とその場所から走り去っていった。


第、792話 夏も終わりだ!怪談だ!マタタビの、『ただ通り過ぎる』 (2014.09.07)
私は元鬼刑事、T郎。
とある町一家強盗殺人事件の死刑囚、S山S夫の死刑が執行された。
捜査線上に浮かんだ男、S山S夫は、私の厳しい取り調べに、
一旦は全面的に犯行を認めたにも拘らず、裁判では無罪を主張。
弁護人さえも情状酌量を求める方針にその悪足掻きもそこまで。
・・・・・・・・・・あの日、被告、S山S夫の死刑が確定。
S山S夫の一人娘は結婚を破談にされ首吊り自殺。S山S夫の妻も娘の後を追うように他界。
とある町一家強盗殺人事件の死刑囚、S山S夫の死刑が執行された。
E三郎という凶悪犯が裁判で突然、『とある町一家強盗殺人事件も俺様の犯行』と告白。
E三郎の供述通りの場所から凶器とみられるナイフを発見。被害者の傷口と形状が一致。
私は刑事という職を追われた、元鬼刑事、T郎。
私は永遠にこの冤罪を忘れることは出来ないだろう。
それからの私は毎日のように、S山S夫の一人娘が首吊り自殺をした
大木のある神社の前を、ただその場所に訪れては、ただ通り過ぎる。
私の右隣は、首に索条痕があるS山S夫。私の左隣は、痩せ衰えた、S山S夫の妻。
それぞれ、私は両脇を抱えられ、私は毎日のように、S山S夫の一人娘が首吊り自殺をした
大木のある神社の前を、ただその場所に訪れては、ただ通り過ぎる。
その神社の大木には、S山S夫の一人娘が首を吊ってぶら下がっている。
だから、私は永遠にこの冤罪を忘れることは出来ないだろう。


第、791話 私立探偵・元大工の能八 (2014.08.31)
A子は○○に言った。
「ねえ、貴女のこと、『おねえさん』って呼んでいい?」
○○は少し戸惑うように「・・別にいいわよ」と答えた。
A子は○○に言った。
「わたし、貴女と今後暮らすことになって、生きたいって気持ちが湧いてきたの」
○○はとても戸惑うように「何を今更言い出すのよ」ときつく言うとそれに驚いたA子は、
「ごめんなさい。わたし、そんなつもりじゃ・・・・・」と、弱々しく言葉を返す。
そんなA子の頭部に○○は何かに取り憑かれたように鈍器を何度も振り落とした。
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A子のアパート。
行政から全国民に支給された、本人の氏名がでかでかと書かれた、
国民氏名入りプラカードを強制的に掲げさせられた私立探偵がやって来た。
『冤罪雑吉』と、でかでかと書かれたプラカードを掲げさせられた、
冤罪警部は言った。「やあ、私立探偵・元大工の能八さんじゃないか」
『棟梁能八』と、でかでかと書かれたプラカードを掲げさせられた男は言った。
「やあ、冤罪警部。そうです。あっしが、
鋸(のこぎり)で木材を切断加工するように、
鉋(かんな)で木材の表面を平らに削るように、
金槌(かなづち)で釘などを打ち込むように、
探索をこなす私立探偵・元大工の能八です」
冤罪警部「今日は何しに此処へ」
私立探偵・元大工の能八「あっしはその彼女に訊ねたいことがあるのです。
あれ、貴女は、○○さん?うちの事務所を訪れた時と髪型が変わって、いや?若しや・・」
「A子です」
「いやー、さすが、姉妹だ。うん、間違いない。ホント、良く似てらっしゃる」
「え?」
冤罪警部「いや、この女性は、保険金詐欺の容疑者でな、今、任意同行を求めておったんじゃ。
実は、○○と氏名がでかでかと書かれたプラカードを手にした遺体が発見されてな。
その仏さんには、最近、このA子を受取人にした保険金が掛けられておったんじゃな。
私立探偵・元大工の能八「○○ですって?その女性は、あっしに妹を捜して欲しいと
仕事を依頼してきた女性で、彼女は、あっしがやっと捜し出したその○○の妹です」
「ど、どういうことなの?!!」と、私立探偵・元大工の能八の話を聞いた、A子の名を
でかでかと書かれたプラカードを掲げていた女性は思わずその場で泣き崩れてしまった。
私立探偵・元大工の能八「冤罪警部、この、A子の名がでかでかと書かれた
プラカードを見て下さい。少し塗装がはげ落ちた箇所がありますぜ。見ていて下さい」
私立探偵・元大工の能八は、そのプラカードの表面を、鉋(かんな)で絶妙に薄く削った。
「やはりそうだ。このプラカードにはそもそも、B子と言う名前がでかでかと書かれてあったんだ。
数日前、とある山で沢にプラカードごと転落されたと思われる白骨化した遺体が発見された。
それがA子さんだ。貴女、いや、若しや、泣き崩れた貴女は○○さんか。なるほど、余りにも
似ていて当然だ。貴女は妹さんではなく、○○さん本人なのだから。貴女の妹、B子さんは、
A子さんに成り済まして生きてきた。A子さんは事故死だったのかも知れない。サラ金からの
請求に追われて苦しんでいたB子さんにとっては、苦肉の策だったのだろう。だから、あっしは、
貴女の妹、B子さんを捜し出すのに大変手間取った。もっと早く見付けてあげられていたら・・」
○○は泣き叫びながら「わたしは幼い頃生き別れた妹を捜し出してもらい、その妹とその後、
幸せに暮らしていくために、自殺系サイトでわたしと体型が似た自殺願望者を見付け出し、
保険金詐欺のため殺した。だって『死にたい』ってあれほど掲示板に書き込んでいた娘(こ)なの。
『妹がサラ金で困っていたようだ』と探偵さんから聞いていたものだから・・
探偵さんにはその都度捜査結果をこちらから電話を入れて連絡して頂いていたのに・・
まさか妹を訪ね此処に来てしまうなんて。何故?何故その娘(こ)がわたしの妹、B子だったの!」
私立探偵・元大工の能八は言った。
「B子さんは、貴女が自分のお姉さんだって気付いていたと思います。
B子さん、いや、A子さんのアルバイト仲間だった女性から聞いた話です。
A子さん、いや、B子さんはこう言っていたようです。
『今度、わたしはお姉さんと一緒に暮らすことになったの。神様はいるのね。
わたしたちを再会させて下さった。これからはふたりで力強く生きていくわ。
まだお姉さんはわたしのことを妹だと気付いてはいないようだけど・・・』」
泣き叫ぶ○○に冤罪警部は手錠を掛け、そして、連行していった。
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『冤罪雑吉』と、でかでかと書かれたプラカードを掲げさせられた男は言った。
「あの事件ではまたまた私立探偵・元大工の能八さんにお世話になってしまった。
もう、貴方の活躍のおかげですっかり自分は名前負けしてしまって、これからは、
『冤罪無縁』と改名したいほどですな。プラカードを書き直したりはせんですが」
『棟梁能八』と、でかでかと書かれたプラカードを掲げさせられた男は言った。
「いやあ、警部にプラカードを書き直されたら、警部を捜して欲しいと
依頼された探偵さんが、あっしのように大変困ることになるでしょうな。
『隣は何をする人ぞ』な、御時世ですから・・・・・・・・・・」


第、790話 このクソ暑いのにおでこにチューするな (2014.08.24)
このクソ暑い初デートの帰り道、汝が吾のおでこにチューしやがった。
せめて、冷却ジェルシートをおでこに貼り付けたその上にチューしやがれ。
ドラッグストアで『熱取れクール』を少ない小遣いから購入し家に辿り着く。
茹だった変態タラコ唇に汚染された箇所を消毒後、『熱取れクール』を貼る。
これぞ、気化熱パラダイス!!輝ける冷却の誉れ!!脱オーバーヒート!!
しかし、喜びも束の間・・ 表示されている冷却時間が持続されないではないか。
冷却ジェルが早くも乾燥して、熱を吸収・発散する義務を放棄して知らん振りだ。
そんな時、汝からハートマーク付き(ごめんね)メール。これぞ、モテ期パラダイス!?
しかし、喜びも束の間・・ 汝からの(ごめんね)メールに返信する気分にはなれない。
仲直りのチャンスに目を背けたい。ウキウキしていた時間が恥ずかしくて仕方ない。
どういう事?確か、いつまでも仲睦まじく、ずっと一緒だよ!って思ってたよね。
信じていた永遠のドキドキ惚れ時間が全く以てこりゃまた持続されてないではないか。
タラコ唇ジェルの倦怠パワーが、熱々ムードを吸収・発散する義務を全うしやがった。
このクソ暑い初デートの帰り道、汝が吾のおでこにチューしやがった。
夏休みも終盤な貴重すぎる一日を汝との初デートが台無しにしてしまった???
クーラー効かせて宿題していたほうが有意義な人生を送れたのではないか???
夕飯後、机の引き出しから日記帳を取り出し、小首傾げて、今日の出来事を振り返る。
母上に「節電しろ」と冷房を弱められる。仕方なくまた『熱取れクール』をおでこに張る。
・・・・・・・・・・汝に、(宿題の日記に今日の出来事を書くよ)と、返信してみる。
数分後、汝からの再返信にクスっと笑ってみる。・・更に数分後、足をばたつかせて笑う。
そして、次のデートの約束。
本日の日記には、『ジェルのパワーに翻弄される』と、書き込んでみる。
国民生活センターに、国民生活に関する情報の提供を、面白可笑しく考えてみる、12歳の夏。


第、789話 箱の中身はなんだろな (2014.08.17)
MC「本日のゲストは、若手野郎芸人2人と、
今もっとも勢いに乗っている3人組、女性アイドルグループ、
『さび抜きパフェ』に来て頂きました。
若手芸人Aチームと若手芸人Bチームとさび抜きパフェチームに分かれて対決。
優勝チームには、秋から始まるゴールデンタイムのバラエティー番組でレギュラー。
そして、最下位のチームは、罰ゲームが用意されています。
それでは、最初の対決!『箱の中身はカミツキガメだけどね』ゲーム。
どんどんぱふ〜ぱふ〜。・。・゜♪・。・。★・゜・。♪♪
箱の中に入っているカミツキガメ以外の何かを当てて下さい」
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MC「最初の対決は、さび抜きパフェチームが、箱の中に手を入れることなく、
『空気』と答えて10点をゲット!!!芸人の2チームはそれぞれ−10点です」
芸人A・B「なんだ?なんだ?なぞなぞなのに、箱に手突っ込んじゃったじゃねーかよ」
MC「次の対決は、じゃんけん対決!芸人A・Bチームとさび抜きパフェチームの代表1人で、
じゃんけんをして下さい。どんどんぱふ〜ぱふ〜。・。・゜♪・。・。★・゜・。♪♪」
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MC「手が包帯でぐるぐる巻きの芸人A・Bチームは、じゃんけん対決であっさり敗者。
さび抜きパフェチームは再び10点ゲット!!!芸人の2チームはそれぞれ−10点加算」
芸人A・B「なんだ?なんだ?負傷した手でじゃんけんに勝てる訳ねーじゃんか!!!」
MC「最後の対決は、ジェスチャーゲーム!!!どんぱふ〜♪・。・。★・゜・。♪♪
出されたお題をチームの1人が身振り手振りでチームの仲間に当てさせるゲームです。
最後の対決は得点50点!現在−20点の芸人2チームにも優勝のチャンスがあります。
・・はい?何でしょう?何か文句でしょうか?吹けば飛ぶような若手芸人の方々」
芸人A・B「俺たち、チームとは名ばかりな1人チームが1人でジェスチャーしても、
当てる仲間なんて最初っからいないだろうよ!いったいどうなってんだよぉ〜!!!」
MC「では、吹けば飛ぶような若手芸人チームは、AチームBチーム合体でどうでしょう?
・・2人ともこれなら異論なしとのことで、チーム合体で、それぞれ−20点だった得点も、
合計−40点になってしまった芸人合体チームは優勝のチャンスが消滅。此にてコールドゲーム」
芸人A・B「なんだ?なんだ?いったいどうなってんだよぉ〜!!!出来レースかぁ!!!」
MC「では、まだまだ芸歴が浅く、バラエティー番組のお約束すら理解していない、
吹けば飛ぶような糞若手芸人A・Bさんには罰ゲームで、今、このスタジオにいるアイドルに、
否応なく、たっぷりと、濃厚な、熱い熱い接吻をして頂きます!!!」
糞若手芸人A・B「なんだ!なんだ!願ったり叶ったりじゃねーかよぉ〜!!!」
MC「それでは、糞芸人A・Bさんには、今、このスタジオにいる、爬虫類プロダクションの
トップアイドル、カミツキガメちゃんに、たっぷりと、熱い熱い接吻をして頂きます!!!」


第、788話 とってもリアルなLEDキャンドルライト (2014.08.10)
「冷やし石や〜きいもぉ 冷やしたてのお芋だよ!キャンドルぅ〜ライトッ!LED」
・・・・・・・・・・何だ??? ・・・・・・・・・・何だ???
驚いて、焼き芋屋の軽トラを追い掛けていくと、LEDで演出された焼き窯の上に
クーラーボックスが置かれていて、中には、真空パックされた石焼き芋が入っていた。
「おじさん、焼き芋と一緒にLEDのキャンドルライトも売っているの?」と訊ねると、
「時代はLEDなんだよ!クソ坊主」と返された。
・・・・・・・・・・20代OL捉まえて何を言うか、このぉ〜ノ彡==== ┻━━┻
おじさんは更に、、
「LEDのキャンドルは消し忘れや転倒による火事の心配がないんだよ。
火傷の心配もなく、その炎はリアルに揺らぎまくるって寸法さ!クソ坊主」
・・・・・・・・・・そ、その光を放つLEDキャンドルが本物の蝋燭なら、
貴様の口の中に溶けた蝋を垂らしてやるところだが、くそぉ〜ノ彡==== ┻━━┻
おじさんは更にノリノリで、、
「こうして息を吹きかけると、ちゃんと炎が消えるんだよ!面白いだろ!クソ坊主」
・・・・・・・・・・か、買っちまったじゃねーか、(;  )ノ彡ノ彡☆
「おじさん、ところで何でこの商売始めたの?」
「いやいや、おじさんは歩合給で雇われているんだよ、クソ坊主。
会社の社長さんは小さな女の子で弱冠二十歳の青空ぴそみと言う・・・・・・・」
わたしは、家に戻ると、照明を消した部屋でLEDキャンドルライトを点灯させた。
もぐもぐ ( 〜 )
「・・・・・・・・・わたしの心の中で燃える炎もLEDだったら良かったのにね」
もぐもぐ ( 〜 ) もぐもぐ ( 〜 )
わたしは、未だ焦がされる胸を両手で押さえながら、『切ない恋』に溜め息を吐いた。
もぐもぐ ( 〜 ) もぐもぐ ( 〜 ) もぐもぐ ( 〜 )
・・・・・・・・・・ん??? も、もしかして、この冷やし石焼き芋のせい???


第、787話 想い出の映画 (2014.08.03)
今日、彼女・ひとみの祖父母に呼び出された。
「今から君に鑑賞して貰う『ブイエイチエッス』は、わしと妻の想い出の映画だ」
◆ エレキの若旦那 ◆
飲酒運転する、親友・青旦那の車に同乗している若旦那。
その結果、青旦那は、ヒロインが運転するライトバンと激突事故。
青旦那に泣き付かれ身代わりになる、犯罪者レベルな若旦那。
そして、ヒロインを強姦しようとする、紛れもなく犯罪者な青旦那。
また、ギター初心者の、パスタ屋の出前のあんちゃんが、
若旦那に、ギター超初心者向けアドバイスを多少受けた数秒後、
まるで、寺内○ケシ並みのギター熟練者と化してしまう、
突っ込みどころ満載な映画だが、更なる突っ込みどころは、
若旦那がヒロインのために作った曲、『君といつにもまして』を、
若旦那とヒロインがデュエットするシーンで、
ふたりが歌い出すと、ふたりは、だだっ広い湿原に瞬間移動。
そして、セリフからの『今宵も日がくれちゃって〜』と歌い出すと、
二度目の瞬間移動ばかりか、今までは明るい時間だったにもかかわらず、
突然、辺りは日が暮れているという、要するにタイムワープまでやらかしている。
ならば、若旦那がヘリコプターに乗り、大急ぎで競技場に向かうシーンでは、
その時、ヒロインとふたり、『君といつにもまして』をデュエットしていたら、
ヘリコプターなど必要なかっただろうに。と、疑問を抱いてしまう映画だった。
しかし、観させて頂いたVHS、画質劣化もそれなりに・・・・・・・;;;。
「君、わしらが君に伝えたかった気持ちに気付かれたかな」
「な、何でしょう???」
「『ブイエイチエッス』が擦り切れそうじゃから、『でぇーぶいでぇー』をプレゼントしておくれ」
僕は何気に隣に座る、彼女・ひとみを見た。相変わらず、ひとみは星のようにかがやいていた。
・・・・・・・・・・いや、そうじゃなくて;;;
「買ってあげて」
ひとみにそう言われて、相変わらず、僕は、『はい』と返事をした。


第、786話 小学校のトイレに花子さんがいた頃 (2014.07.27)
僕が小学5年生だった頃、仲の良いクラスメイト数人で、
「トイレの花子さんを呼びに行こう」という話になり、
午後6時頃、僕を含めクラスメイト数人が小学校にこっそり集合。
その頃、都市伝説には然程興味が無かった僕が参加した理由は、
クラスメイト数人の中に、『青空ぴそみ』が含まれていたからだった。
通っていた小学校は通学カバンの指定は無く、青空ぴそみは、児童養護施設から、
体がすっぽり隠れるほどのリアルな虎顔リュックを背負って日々登校してきた。
午後6時頃、大人の目を盗み、クラスメイト数人、小学校校舎3階の女子トイレ。
1番目の個室に向かって扉を3回ノックし、『花子さん、お取り込み中?』と尋ねる。
次に、2番目の個室に向かって、『花子さん、ほら、立ち退き通知書やで〜』。
そして、閉じられた3番目の個室に向かって、『花子さん、出てこいやーっ!』。
その時、閉じられた3番目の扉の向こうから、何やら、コトッと音が聞こえた。
その音に瞬時に固まる、我々、クラスメイト数人。
突然、青空ぴそみが大声で、「日夜、女子トイレにカメラを仕込む用務員の・・」
閉じられた3番目の扉の向こうから、ガタゴトと激しい音が聞こえた。
僕も、みんなも、大慌てでそこから逃げ出した。
気が付くと、そこに、青空ぴそみだけがいなかった。
僕は、花子さんから青空ぴそみを救出すべく、校舎3階の女子トイレに戻るべきだった。
でも、余りに怖かったし、失禁してしまっていて、恥ずかしくて戻るに戻れなかった。
翌日、無事、青空ぴそみは用務員さんに一礼されながら、虎顔リュックを背負って登校。
でも、僕はもう、後ろめたくて、青空ぴそみに気さくに話し掛けるなんて出来なかった。
僕が小学5年生だった頃、仲の良いクラスメイト数人で、
「トイレの花子さんを呼びに行こう」という話になった事がある。
小学校のトイレに花子さんがいた頃、そう、あの頃、僕には大好きな女の子がいた。


第、785話 実に驚きました選手権 (2014.07.20)
「全国の予選を勝ち抜いてきた47組のカップルが、堂々と胸を張って入場です。
わたくし、本日の司会進行を努めさせて頂きます。猛玉下駄音です。
今大会優勝カップルには優勝賞品としてハワイ行きペアチケットが贈呈されます。
実に驚きましたスタジアムにて行われる全日本実に驚きました選手権大会、開幕です」
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「全日本実に驚きました選手権大会、準決勝進出カップルの入場です。
箱の中から1から10までの数字が書かれたカードを両カップルに引いて頂きましょう。
こちらのカップルは (3) ですから、3歳児が相手になります。
そちらのカップルは (2) ですね。牛が相手です。
もちろん、3歳児も、牛も、実に驚きました選手権のルールを把握しておりません。
そんな相手にいち早く、『実に驚きました』と言わせたカップルが決勝戦進出です」
「すいません、俺ら、いくら何でも牛では勝ち目ないですよぉ」
「・・・・・いやいや、あーた、希望は捨ててはいけませんよ」
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「さあ、全日本実に驚きました選手権大会、遂に決勝戦です。
先ほど、3歳児に見事、『実に驚きました』と言わせたこちらのカップルは、
箱の中から (9) のカードを引きましたから、九官鳥が相手になります。
そちらのカップルは (2) ですね。牛が相手です。
もちろん、九官鳥も、牛も、実に驚きました選手権のルールを把握しておりません。
そんな相手にいち早く、『実に驚きました』と言わせたカップルが見事優勝です」
「すいません、俺ら、いくら何でも牛では勝ち目ないですって」
「・・・・・いやいや、あーた、諦めたらそこで終わりですよ」
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「九官鳥に『実に驚きました』と言わせたこちらのカップルが見事優勝でーす!
優勝賞品としてこちらのカップルにはハワイ行きペアチケットが贈呈されまーす!
わたくし、本日の司会進行を努めさせて頂きました。猛玉下駄音でした」


第、784話 『青空ぴそみ』の、LED照明講座 (2014.07.13)
某家電販売店に老夫婦がやって来た。
「店員さん、わしらは蛍光灯器具を買いに来たんじゃが・・」
「蛍光灯器具のような照明器具は当店では既に扱っておりませんし、
国内大手メーカーでは生産を終えようとしております」
「わしらには二度と明かりが照らされることはないと仰有るのですかい」
「大丈夫ですよ!時代はLED照明なんです。みなさん、LED照明に変えられています。
そして、LED照明の寿命はなんと約4万時間。エコで電気代もお得なんです。
1日10時間の使用を前提にすると、LED照明は、おおむね10年間は持つのです」
「なるほど、このように、政府が何れすべての照明をLED製品にするという、
国民に選ぶ権利を無くし、LED照明に流れ込ませるための国が掲げた
切り替え目標を受けて、大手メーカーは挙って白熱電球の製造を中止。
蛍光灯器具の製造も間もなく終了。このように、蛍光灯器具を買いに来た
老夫婦にも、良く判らぬままにLED照明を買わせてしまう現象が全国至る所で発生。
因みに、LED照明の寿命の約4万時間だって、光束が70%まで低下するまでの
時間であって、購入時の100%の光束は約4万時間も保ちはしないんだ。ぴそみ」
「虎耳カチューシャを付けてリアルな虎顔のリュックを背負うそこの小娘、
き、貴様はいったい何者なんだ!事と場合によっては営業妨害で訴えるぞ!」
「身長138センチ。体重40キロ。二十歳。青空ぴそみ。だ!ぴそみ」
「娘さん、わしらはお国のためにLED照明とやらを買っていきますよ」
「そうですよ、お爺ちゃんとお婆ちゃんの年齢ならもう死ぬまで照明器具を
買い換えなくて済むかもしれないし、当然、死ぬまで交換の手間からも開放されますよ」
「わ、わしらにとって人生最後の照明器具?!! ガ〜〜〜ン」
「ところで小娘、貴様は何しに当店を訪れた」
「己のために、LED照明を買いに来たんだ!ぴそみ。
好みの光色に変えられるお祭り騒ぎなのを一つ頼むぴそみ」


第、783話 ゆでたまごライター、板東英次郎 (2014.07.06)
板東英次郎は苦悩の日々を送っていた。
「半熟ゆでたまごを生まれて初めて口にした日、
こんなゆでたまごがこの世の中にはあったんだと感動した。
その日から、半熟ゆでたまごにのめり込み、その道のプロに。
ゆでたまごライターの俺が理想の半熟ゆでたまごを熱く語った、
理想の半熟ゆでたまご専門書を発表してから、それは異常なまでの
半熟ゆでたまごブーム。街のあちらこちらに半熟ゆでたまご専門店。
どの店もとても繁盛している。だが、だがしかし、俺が納得出来る
ゆでたまごを提供してくれる、ゆでたまご専門店には巡り会えない。
自分が求めている『それ』とは、何時だって『何か』が違うんだ」
板東英次郎は、街外れにある小さなゆでたまご専門店を見付けて、
少し迷ったが、然程期待せず入った。
「英次郎?」
「茹子か?理想の半熟ゆでたまごを毎回上手に作れなくて、
何時も黄身が真っ黒で、何時も黄身が偏っていた、茹子か?」
「そうよ、数年前、理想の半熟ゆでたまごを毎回上手に作れなくて、
呆れられ、あなたに見捨てられた、あの茹子よ」
「理想の半熟ゆでたまごを毎回上手に作れなかった、あの茹子が、
ゆでたまご専門店を開いているなんて、あれから上達したのかい?」
「未だ、理想の半熟ゆでたまごを毎回上手に作れない、あの茹子のままよ。
この店は、固ゆでたまご好きな人達のオアシスとして成り立っているの」
「そんなバカな・・。一つ喰わせてくれよ」
そう言うと、英次郎は、理想の半熟ゆでたまごとは程遠い、
黄身が真っ黒で、黄身が偏っている、固ゆでたまごを一口。
そしてまた一口。そしてまた一口。噛み締めるように食べた。
それは、英次郎が幼い頃から母親が作って食べさせてくれた味。
茹子と出会って、茹子が最初に作って食べさせてくれた、あの味。
「俺はいったい今まで何を捜し求めていたんだ・・」
「どうしたの?やっぱり口に合わない?」
「茹子、俺が捜していた店はこの店だよ。ずっと食べたかったゆでたまごだ」
茹子はちょっと首をかしげて、そしてすぐに、英次郎に向かってこう言った。
「おかえりなさい」


第、782話 つぶあん&ホイップドウナッテンダ (2014.06.29)
「杏ちゃん、ぼくが日本一のつぶあん&ホイップドーナッツ職人になったら、
ぼくと結婚してくれないかい」
泡立くんはわたしにそう言い残すと、つぶあん&ホイップドーナッツ職人修行に旅立った。
そして、泡立くんからプロポーズされた日から1年の歳月が過ぎた。
わたしはその一年、日本一のつぶあん&ホイップドーナッツ職人の泡立くんに
相応しい妻になれるように、自ら、つぶあん&ホイップドーナッツを作ってみた。
これが、親族から友人に至まで大好評で、薦められるままに、
つぶあん&ホイップドーナッツのお店『杏』の経営者。
あれよあれよとそのおいしさは口コミで広がり、
わたしは日本一のつぶあん&ホイップドーナッツ職人になっていた。
・・・・・・・・・・泡立くんとの一年ぶりの再会。
泡立くんはわたしに言った。
「ぼくが完成させたつぶあん&ホイップドーナッツが日本一なんだ!!!」
そして、泡立くんは、つぶあん&ホイップドーナッツのお店『泡立』を開いた。
しかし、つぶあん&ホイップドーナッツのお店『泡立』は早くも経営危機。
そこで、泡立くんは、新製品、『羊羹&ホイップシベリア』を発売。
あれよあれよとそのおいしさは口コミで広がり、
泡立くんは日本一の羊羹&ホイップシベリア職人になった。
泡立くんはわたしにこう言った。
「日本一のつぶあん&ホイップドーナッツ職人改め、
日本一の羊羹&ホイップシベリア職人のぼくと結婚してくれないかい」
日本一のつぶあん&ホイップドーナッツのお店『杏』と、
日本一の羊羹&ホイップシベリアのお店『泡立』は、寿経営統合。
わたしは、日々、首を傾げている主人を尻目に、
日本一のつぶあん&ホイップドーナッツと日本一の羊羹&ホイップシベリアのお店、
『泡立杏』の女主人として、とても幸せな毎日を送っているのでした。


第、781話 困惑する歯磨き粉 (2014.06.22)
「若子、歯磨き粉がそろそろ無くなりそうだよ」
「歯磨き粉?昭和臭がするから練り歯磨きと言ってよ!爺夫」
「どっちだって良いじゃないか。あっ、若子、衣紋掛け取って」
「ハンガーよ!両親が年の離れたあなたとの結婚に反対していた意味がやっと理解出来てきたわ」
「今更何を言っているんだ。若子、そろそろ出掛けないと給仕さんのパートに遅れるぞ」
「ウエイトレスよ!ウエイトレス!あたし、平成生まれなの!!!」
「一膳飯屋での仕事でそんなに気取ってどうするんだい」
「江戸の人間か?江戸時代の人間なのか?貴様!!!」
「ナウい言葉を使えば良いでござるか!!?」
「キーッ!!!あたしと離婚したいの?!!」
・・と、妻とそんな遣り取りをしながら今年で5年目の結婚記念日。
おやおや、洗面所を見てみると歯磨き粉がそろそろ無くなりそうだ。
「若子、歯磨き粉がそろそろ無くなりそうだよ」


第、780話 『青空ぴそみ』の大切なもの (2014.06.15)
■ 証人A、親友
(プライバシー保護の為、磨りガラスの衝立越し)
「そうなんです。彼女は外出する時には常に、
タイガーフェイスリュックを背負っていますよ。
ホント、大きくて、彼女の後ろ姿がほぼ隠れてしまう、
リアルな虎顔のリュックなんですよ」
■ 証人B、バイト仲間
(プライバシー保護の為、音声を変えています)
「近くで見るとあちこちボロボロなんです。
彼女が児童養護施設時代に、クリスマスの日、
彼女が慕っていたボランティアのお兄さんに
プレゼントされたリュックらしいんですけど」
■ 証人C、児童養護施設のベテラン保育士
(プライバシー保護の為、高速にヘッドバンギング)
「わたしは彼女の中学卒業を祝って、アノマロカリスリュックを
プレゼントしたんですね。でも彼女はそのアノマロカリスリュックは
部屋に飾って、今でもボロボロな虎リュックを背負っているようですね」
「・・あのぉ、リポーターの、鶏冠亭こけこっこです。
青空ぴそみさんですよね。今、巷で話題の、虎リュックを
背負った女の子の代表として、何か一言お願いします」
「身長138センチ。体重40キロ。二十歳。青空ぴそみ。だ!ぴそみ」


第、779話 蠢く真実 (2014.06.08)
・・女子校生A。
「遂にこの日が来た。『エア・子牛の焼印押し大会』。
四角いジャングルでいざ競い合う、熱き女子校生の輝ける瞬間。
・・・・・・・・・・なはず。
何より、毎年この大会で優勝した女子校生は皆、その年の
生徒会運営を実質的に握ると噂されている。詰まりは、
裏ボスの称号が与えられる可能性を秘めた大会なのである。
このトーナメント、最初にあたしが闘うのは、3連覇へ挑む前年度覇者、
前校長の右腕として黒歴史を作り上げてきたPTA会長の、愛娘。女子校生X。
これは、実質上の決勝戦に他ならない。
今年こそ、あたしは負けられない。負ける訳にはいかない。
破壊しなければならない理由を見て見ぬ振りをして破壊を阻止しようとする人々の思想と闘うため。
守らなければいけない意味に気付いていながらもその意味を握り潰そうとする人々の思想と闘うため。
・・女子校生B。
「二回戦目にあたしが闘うのは、恐らく、3連覇へ挑む前年度覇者、
前校長の右腕として黒歴史を作り上げてきたPTA会長の、愛娘。女子校生X。
これは、実質上の決勝戦に他ならない」
・・女子校生C。
「三回戦目にあたしが闘うのは、恐らく、3連覇へ挑む前年度覇者、
前校長の右腕として黒歴史を作り上げてきたPTA会長の、愛娘。女子校生X。
これは、実質上の決勝戦に他ならない」
だが、女子校生Aと、更には、女子校生Xが、謎の腹痛によりリタイヤを余儀なくされた。
このトーナメント、この時点で『実質上の決勝戦』は、実質上無くなってしまった。
結局、今大会、相手のリタイヤ続きで謎の優勝を果たしたのは、弱冠高校一年生、
新校長の右腕として既に噂されている生活指導の先生の、愛娘、女子校生Dである。


第、778話 鳥は泣いていた (2014.06.01)
遠い昔、小学校学年別絵画コンクール。
わたしがずっとずっと憧れ続けていた
愛しのYくんがその年も入選に選ばれた。
小学校低学年だった頃、Yくんとは同じクラスで、
Yくんはその頃から絵を描くことが好きで、頭も良かった。
小学校6年生の絵画コンクール。授業で出された課題は、『鳥』だった。
「みなさん、自由に羽ばたく鳥の絵を、自由に力強く思い通りに描いて下さい」
・・・・・・・・・・先生は確かにそう言った。
絵が得意な人も、絵が不得意な人も、同じ土俵で評価される学校の授業。
わたしが描き上げた『鳥』の絵は泣いていた。
だから、わたしは、鳥に一滴の涙を描き足した。
先生からは、「あなたは授業をバカにしているのですか」
と、散々罵倒され、クラスの皆からは貶された。
ある日の放課後、廊下で擦れ違った、わたしが憧れ続けてきた
愛しのYくんに、その隣にいたYくんの友人が、
「今年も入選か。おめでとう」と言っていた。でも、
Yくんは、「絵画コンクールに入選しても、然して、
両親は喜ばないよ。さあ、進学塾に急がなければ」と、
何かに追われるように、わたしの前から姿を消した。
小学校6年生の絵画コンクールで入選したYくんの『鳥』の絵。
Yくんの描いた『鳥』の絵だって、あれは、泣いていたんだ。
わたしは、小学校低学年だった頃の、絵を描くことに
目を輝かしていたYくんになりたくて、絵を描くことに
夢中になってずっとずっと今まで人生を過ごしてきた。
・・・・・・・・・・そして、これからも。
風の便りでは、一流大学の受験に失敗して心が病んだYくん。
わたしは、今更、Yくんの代わりではないのだけれど、
イラストレーターの仕事に追われている日々を過ごしている。


第、777話 青空ぴそみ参上 (2014.05.25)
「恋愛花咲姉さんの教室、『恋愛成就蒸気機関車』にようこそ。
本日の授業は、にんにく料理を鱈腹喰らったタイミングでの、
予てから想いを寄せている『あの御方』からの不意な呼び出しに対処する方法です。
それではそこの見慣れない生徒くん、次の中から正しいものを選びなさい。
《1》リンゴを何かに取り憑かれたかのように貪り喰らう。
《2》お茶葉を常軌を逸した振舞いと周りの人々から後ろ指を指されながらも貪り喰らう。
《3》『あの御方』の顔面に大量のおろしにんにくをぶちまける。」
「消去法を試みたら、《3》が正しいぴそみ」
「どんな消去法を試みたんだ;; あの、キミのお名前は???」
「身長138センチ。体重40キロ。二十歳。青空ぴそみ」
「ぴそみくん、この質問では、にんにく料理を鱈腹喰らった後の
ケアのみに焦点が当たっている訳ではないことは判ってますよね?!!
此処は、恋愛カウンセラー、恋愛花咲姉さんの教室、『恋愛成就蒸気機関車』ですよ。
『あの御方』に嫌われてしまったら、こりゃまた元も子もないのですよ」
「《1》リンゴを喰らったところでにんにく料理のニオイ対策としては不十分だぴそみ。
《2》お茶葉を喰らったところでにんにく料理のニオイ対策としては不十分だぴそみ。
消去法を試みたら、やはり《3》が極めて効果的だぴそみ」
「ぴそみくん、『あの御方』の顔面に大量のおろしにんにくをぶちまけて、
『あの御方』から嫌われてしまったらそれこそ元も子もないのですよ!!!」
「ぴそみが良しとして選んだ方法で嫌われるような相手ならこちらから願い下げだぴそみ」
「もう、恋愛カウンセラーをそんなに困らせて心配掛けさせて。あなたはとてもダメな子ね。
あっ、不覚にも、四十過ぎても独り身で子供がいないわたしの母性本能が擽られてしまった。
・・・・・・・・・・あの、改めてキミのお名前は???」
「身長138センチ。体重40キロ。二十歳。青空ぴそみ。此処に参上だ!ぴそみ」


第、776話 14インチモニターでDVDソフトを観る (2014.05.18)
アイドルユニット、『珍面人』の、珍面人なりの可愛さを、
ビデオから十分に堪能するために、友人からブルーレイを薦められた。
だが、大金持ちの息子で、友人曰く、自分専用の小部屋にでさえ、
46インチのモニターが備え付けられている友人の意見では、
14インチのモニターな我がビデオ鑑賞環境では余りにナンセンスな話だ。
そもそもフルハイビジョンなんて、大型モニター使用のホームシアター環境で
最大限に活かされる、そんじょそこらの中流家庭以下では度が過ぎた世界。
某ビデオ販売サイトの口コミ・レビューでは、そのビデオの感想では決してない、
『ブルーレイで観ることをお薦めします』『やっぱりブルーレイは綺麗です』な、
まるで、ブルーレイ推進委員会からの売り込み口コミ・レビューで埋められている昨今。
それに洗脳された、『画質調整』に無縁で、『店頭効果』の意味も知らぬような輩が、
小型モニターの口コミ・レビューでは、『ブルーレイディスクプレーヤーも一緒に購入したので、
綺麗に観るため所有するDVDソフトをブルーレイソフトに買い換えたいと思います』とか、
ポータブルに対し、『この機種の液晶は何故かピクセルがフルハイビジョンに満たないので、
性能が劣っている』など、なんだかとんちんかんな意見を口コミ・レビューに書き込んでいる。
それでも、アイドルユニット、『珍面人』の、珍面人なりの可愛さを、所有する
DVDソフトから十分に堪能するために、僕は、ブルーレイに頼らない方法を思いついた。
まず、母を呼ぶ。未だ、ピンク・○ディーの振り付けを完璧に踊れると豪語する母を煽てると、
余りに味のない無機質顔の母が、ピ○ク・レディーのヒット曲をノリノリで踊り出す。
その有り様に耐えて耐えて耐え抜いた後、己の部屋に籠もり、『珍面人』のDVDソフトを鑑賞。
『珍面人』の、珍面人なりの可愛さが14インチのモニターから溢れ出し、一瞬に僕を取り巻いて、
仮想フルハイ珍面人の世界に、僕は難無く引きずり込まれていった。


第、775話 むっちりほっぺ (2014.05.11)
A太郎「おまえ、俺の彼女知ってるだろ。紹介した時あったよな。
スレンダー体型だったのに一月前からぽっちゃりし始めてきたんだよ」
B之介「俺なんかぽっちゃり好きなんで『いいんじゃね』って思うけどな」
A太郎「『ダイエットしろ』って言っても『健康的でしょ』って返されてなぁ。
健康的どころか、ほっぺたがむっちりしてきていて、いい加減やばいんだよ」
B之介「『ほっぺたがむっちりすると、ほっぺたの栄養を調整しようと、
ほっぺたの栄養使って、ほっぺた毛がわんさと生えてくるぞ』って脅してみたらどうだ」
A太郎「何処の世界にほっぺた毛がわんさと生えたぽっちゃり女がいるんだよ」
B之介「『ぽっちゃり女はみんな剃っているんだ』って言っておけばいい」
A太郎「だったら『ほっぺたの栄養使って、ほっぺた爪が生えるぞ』って脅してみるさ」
B之介「何処の世界にほっぺたにほっぺた爪を伸ばした女がいるんだよ」
A太郎「『ぽっちゃり女はみんなほっぺた爪をこまめに切っている』って言えばいい」
B之介「だったら『ほっぺた虫がほっぺたに卵を産み付けるぞ』って脅せよ」
A太郎「卵から孵ったほっぺた虫の幼虫群にほっぺた喰い漁られている女がいるかよ」
B之介「俺なんかぽっちゃり好きなんで『いいんじゃね』って思うけどな」
A太郎「・・そう言えば、おまえ、そのセリフ、俺の彼女に言ってなかったけ」
B之介「一月前、おまえから『コイツ、俺の彼女!スレンダーでいいだろ』って
自慢げに紹介された時、『俺、ぽっちゃり好きだからよ』って、確かに言ったなぁ」
A太郎「・・・・・・・・・・おやおやおや??!」
B之介「どした???」
A太郎「・・・・・・・・・・あれあれあれ??!」


第、774話 今時アイドル同好会 (2014.05.04)
「君が我がアイドル同好会参加希望者だね」
「よろしくお願いします」
「では、君が応援しているアイドルは?」
「実はみんなから、『今時ちょっと変わっているね』って
言われるんですけれど、両親の影響で、キャ○ディーズが大好きなんです」
「うん、確かに今時変わっているかも知れないけれど、間違っちゃいないさ」
「はい、胸を張って、キャン○ィーズが大好きなんです」
「僕も、胸を張って、ピクトさんが大好きだよ」
「えっ???」
「僕にとって、ピクトさんはアイドルなんだ」
「は、はぁ・・」
「彼なんかは、ロープウェイが大好きなんだよ」
「えっ???」
「彼にとって、ロープウェイはアイドルなんだ」
「は、はぁ・・」
「そこの彼は、鮭の皮が大好きなんだよ」
「こ、好物???」
「彼にとって、鮭の皮はアイドルなんだ」
「は、はぁ・・」
「君は、キャンデ○ーズが大好きなのか。
そうか。ふむ。確かに今時変わっているね」
「はい、でも胸を張って、○ャンディーズが大好きなんです」
「そこの彼なんかは、静電気で逆立った髪がアイドルなんだよ」
「僕は、胸を張って、キャ○ディーズが大好きです!!!」
「ふむ。確かに今時変わっているね。でも、間違っちゃいないさ」


第、773話 清く正しくカンガルー (2014.04.27)
「ほら、お見合い写真持ってきたよ」
「またですか、お見合いお節介おばさん」
「こないだ、理想の女性は『清く正しくカンガルー』って言ってただろ」
「『清く正しく美しい女性』って言っただろ」
「なかなか、『清く正しくカンガルー』な、三拍子揃った女性って見当たらないんだよ」
「だから、『清く正しく美しい女性』だって」
「そこで、『清い』『正しい』『カンガルー』な、お奨めの3枚」
「いいから、お見合い写真なんて持って帰って」
「おや、そんなにお見合いに興味がないとは、若しや、おばさんのことを密かに好きかい?」
「お母んの姉さんを好きになるか!もうとっとと帰ってくれよ」
「おや、そうでなければ、若しや、ファザコン?」
「俺は、どう捻れて育ってきたって言うんだ」
「とりあえず、『清い』娘と『正しい』娘は見ておかないかい?」
「・・・・・・・・・・まあ、見るだけなら」
「ほら、『清いカンガルー』と、『正しいカンガルー』。序でに『美しいカンガルー』」
「ひょっとして、フリーターの俺を動物園にでも就職させようとしてる???」
「求む、カンガルーの飼育員!」
「本日は、就職お節介おばさんかい」
「お見合いのためには是非就職を!」


第、772話 かまぼこ型ヘアー (2014.04.20)
彼が我が家にやってくる。だが白髪頭の父は威厳を感じさせない小心者。
鏡を見ながらぼさぼさ頭に手ぐしを通す父。『散髪に行こうかな』と父。
『いっそ髪型変えたら』とのわたしからのアドバイスに素直にしたがった父。
一体どこの理容店が対応して下さったのか想像が付かないかまぼこ型ヘアー。
もしかして、これはとんでもない悪夢か或いは一般市民を巻き込んでのドッキリ企画か。
それが真実ならどんなに精神的に救われただろうか。だが、それが真実でないことが
真実であることに疑いの余地はなかった。父はかまぼこ型ヘアーにすっかり御満悦。
『最早貴様とは並んで街を歩けない』とクレームをぶつけても、父はすこぶる御満悦。
更に、かまぼこは母ににこう言い放った。『おまえもかまぼこ型ヘアーにして表面を
赤く染めて目出度い紅白かまぼことして我が家に娘の彼を向かい入れようよ』とほざく。
とりあえず重要、且つ緊急なのは、数時間後には彼が我が家を訪れると言うことだ。
父に今すぐそのかまぼこ型ヘアーを一般家庭の父親として不具合を感じさせない
髪型に変えるべく理容店に連れて行こうと説得するも断じて応じない。気付くと表面を
赤く染めたかまぼこ型ヘアーと化した母がわたしの目の前に座っていた。時間切れだ。
彼が我が家にやってきた。何故かまさかの巻かまぼこヘアー。すっかり両親と意気投合。
『娘さんを僕に下さい』と彼。『どうぞご自由に』と両親。それはちょっとした地獄絵図。
もしかして、これはとんでもない悪夢か或いは一般市民を巻き込んでのドッキリ企画か。
それが真実ならどんなに精神的に救われただろうか。だが、それが真実でないことが
真実であることに疑いの余地はなかった。せめて、わたしと何れ生まれてくるだろう我が子には
かまぼこ型ヘアーを求めないとの誓約書を書いて貰いたいところだが、かまぼこヘアー談義に
花を咲かす両親と彼。最早、これが神による人類の終結を告げる予告でないことを祈るのみ。


第、771話 釈然としない (2014.04.13)
女「ねえ、ネットで中古品ビデオ、『コンディション~非常に良好でゲスよ』を
購入したんだけど、届いてみたら紙パッケージに小さな傷が無数にあるのよ。
それこそ百歩譲って、『コンディション~良好でゲスよ』ならまだしも、
『コンディション~非常に良好でゲスよ』なら見て呉れ新品同様と思うわよね。
『当社の判断基準では中古にしては非常に良好でゲスとなります』と言われれば
それまでだけど、何だかすこぶる釈然としないわぁ」
男「なるほど、確かに以前の持ち主による虐待の痕跡が明らかに見られる。
だからこそ、体の傷は兎も角、心の傷は君が時間をかけて根気よく優しく接する
必要があると思うんだ。紙パッケージに小さな傷が無数にあると言って、決して新品で
購入した他の子と差別してはいけない。君が愛情と責任を持って接してあげなければ」
女「・・・・・うわぁ、愚痴る相手を間違えたか;;;
まあたぶん、うっかり一緒に暮らしているあなたに対してへの愛情より、そもそも欲しかった
ビデオだし、無償の愛情を注げるとは思うわ。しかし、何だかすこぶる釈然としないわぁ」



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