横浜マタタビバージョンのFUNI WORLD

おバカショート劇場 

FUNI WORLD (3)


第、89話  あなたと私とど鳩とテレホ  (2001.03.15)


「ど鳩のホームページ、世界に先駆けて完成です」

「裕作くん、よく完成まで辿りつけたわね」

「美樹子先輩、なんと言ってもこのサイトの売りは、男と女の出会いの場"ど鳩チャット"なんです」

「すばらしいわ☆ど鳩と言う共通の趣味を持つ男女がこのサイトが縁で結ばれて行くのね」

「そうです。ど鳩以外の話題はもちろん禁止なんです」

「油分の多い麻の実の格安販売も忘れずにね☆」

「美樹子先輩、そう言えばど鳩についての新しい発見が・・」

「なに、それって・・」

「ど鳩が駅の階段を一つずつぴょこんと下りて行く所に出くわしてしまったんです」

「な・なぜ?飛び立てばいいものを・・」

「なぜでしょう・・ど鳩は飛ばずにぴょこぴょこ下りていました」

「裕作くん!それって、大発見よ、鳩ヶ谷市の人々も大喜びだわ、きっと」

「日本、いえ、世界を揺るがす大事件ですね」

「私も元ど鳩部の部長として現部長のあなたがここまで活躍してくれて鼻が高いわ」

「ライバルのレース鳩部を大きく引き離しましたね」

「山鳩部もきっとくやしがるわよ☆裕作くん」

「灰色と紺色の素敵なハーモニー君こと、ど鳩を信じてこそ、ここまでやってこれたんです」

「裕作くん、私も"ど鳩のホームページ"に毎晩テレホにでも遊びに行かせてもらうわ」


それからと言うもの"ど鳩のホームページ"は毎晩2つずつカウンターが上がっていったそうな。。。

そして、ど鳩と言う共通の趣味を持つ男女が一組、このサイトが縁で結ばれましたとさ☆

めでたしめでたし。。。


第、88話  7日めの朝   (2001.03.09)


3月5日 〔月〕朝

「もう、ママが寝坊するなんて!朝ごはん、なんか買ってかなくちゃ。

あっ、そう言えばここのパン屋さんって、いつも前を素通りするだけで中に入ったことなかったな・・・」

「いらっしゃい」

「な〜に、おじさん、このはげパンって・・」

「おいしいよ、お嬢さん☆どうぞ買って行ってぇ」

「う〜ん、歌丸師匠に見える・・・」

「おっ、お嬢さん!それを言ったらあきまへん・・」

「ふ〜ん、今や、ドラマをやれば視聴率連続30%以上の歌丸師匠に便乗している訳だ」

「おっ、お嬢さんたら・・・」

「おやじ、一個おまけね」

「へいへい、お〜い新米、お会計しろ!」

「は・・はい、いらっしゃいませ」

「あら、すっすてき・・・、、、あっ、どうも・・・」


彼とはその日、始めて会った。

もちろん次の日から私としては、そのパン屋の常連客と化した。


「いらっしゃい、おい新米、来てるぞ!」

「はい、いらっしゃいませ」

「おはよう、今日も歌丸パンふたつ」


もう、ひと月ほど通っていただろうか・・

いや、一年・・そうだ、一年ぐらい・・

今、3月だし・・

私は、ある土曜日、学校の帰りにそのパン屋に立ち寄ってみた。

平日の帰りには彼はもう帰ってしまっているのだけれど、土曜日はまだ時間が早い。

なぜ、もっと前に気づかなかったのかな・・私って・・


「こんにちは、、今、帰るの・・?」

「やぁ、はげパンのお嬢さん。今、バイト終わったんです」


始めてふたりで街をあるいた。

彼を駅まで送るたった5分間ほどの接近・・


「あ・・明日・・あの・・ここの映画館の前で・・」


言ってみるものだ。

彼は笑顔でうなずいてくれた。


「すいません、待ちましたか・・早かったんですね」

「いいえ、あなたが待ちきれなくて・・昨日の約束からすぐ・・」


言ってしまった・・・

告白したも同然だ・・・

でも、本当に、昨日の約束からすぐ・・


映画の内容なんて、なにもおぼえてはいない・・・

ただ、帰り道、彼は私にこう言った。


「信じられないとは思うけれど・・

ぼくはこの時代のはげの研究をしに来た

はげ学者2018号なんだ。

これ以上きみに会っていたらつらくなる・・

ぼくは明日には、ぼくの時間へと帰らなければいけない・・

この一週間分のぼくの乱した時間を消去して・・」


3月11日 〔日〕夜

あ〜ぁ、結局また女ともだちとの寄り合い映画鑑賞だった。

でも、目がすっかり真っ赤に腫れ上がっちゃって・・・

そんな泣ける映画だったかな・・・

ぜんぜん内容をおもいだせないや・・・

いけない!とっとと寝ないと明日こんな顔で学校行けやしない!


3月5日 〔月〕朝

「もう、ママが寝坊するなんて!朝ごはん、なんか買ってかなくちゃ。

あっ、そう言えばここのパン屋さんって、いつも前を素通りするだけで中に入ったことなかったな・・・

・・・だったかな?」

「いらっしゃい」

「な〜に、おじさん、このはげパンって・・」

「おいしいよ、お嬢さん☆どうぞ買って行ってぇ」

「う〜ん、歌丸師匠に見える・・・」

「おっ、お嬢さん!それを言ったらあきまへん・・」

「おじさん、この近くに大きな老人ホームがあるからって、笑点人気に便乗してぇ!」

「おっ、お嬢さんたら・・・」

「おやじ、一個おまけね」


店をでた時、なにか忘れ物をしているようなそんな思いで、なんだか急に淋しくなった。


第、87話  雨が見ている  (2001.03.01)


雨の午後。もう、陽も暮れ始めている。

それでも、街の中は賑やかで、ちりばめられた幾千の人々のドラマが飛び交って行く。

「たけしくん、おもちゃはこないだ買ってあげたばかりでしょ!」

「ねえ、みゆき、竹下先生ってやっぱ変わっているわよね」

「今回かぎり、このワゴンの品、5割引で販売させていただいています」

「だから、タツノオトシゴにはなれないんですよ、お母さまは!」

「こちらにおわすは天下の副将軍、水戸光圀公なるぞ」

「さよならぁ」

えっ・・・さ・よ・な・ら・

「さよならぁ、和子ぉ、またね」

・・・なんだ

雨の午後。もう、陽も暮れ始めている。

華子は自分の回りを降り注ぐ雨の一粒一滴に自分を見つめる自分を感じてちょっと体を縮めた。

『さよなら』

あの人はたしかにそう言った・・・

震える華子をいつまでも雨が見ている。


第、86話  春うらら   (2001.02.22)


「そろそろ鍋物も時期的に暑いんじゃないか」

「だって、冷蔵庫の中、少し片付けたかったんだもの・・」

「どうりで野菜ばかりがたっぷりと・・」

「野菜だって今、高いんだから」


「だからってスッポンをまるごと?」

「なにげなく、ガメラよ」

「カメレオンをまるごと?」

「さりげなくゴジラよ」

「ロケット?」

「マグマ大使」

「・・?」

「煉瓦」

「この家の冷蔵庫って・・」


「ねえ、ありがとね」

「ん、、なんだ」

「知り合えてよかったと思って・・」


「・・やっぱり鍋物暑いよ、少し」

「うん、だってもう春だから」


第、85話  シャンプー  (2001.02.15)


どうも、シャンプーしている時って、後ろが気になるのよねぇ・・・

後ろを振り向いたら、人間ポンプがいて金魚出してたら怖い・・・とか、

後ろを振り向いたら、豆腐屋がいてお鍋にお豆腐入れてくれてたら怖い・・・とか、

後ろを振り向いたら、おぼんこぼんがいて漫才始めたら怖い・・・とか、


やれやれ、お風呂から出てひと安心。。

「育代、剛史くんが遊びに来たわよ〜」

あっ、またおかん、勝手に剛史を私の部屋に連れて来て!!


「よっ、あ、育代、シャンプー変えたな。さては好きな男が出来たな」

「大きなお世話よ!!剛史のために頭洗ってんじゃないぞ!!」

「小学一年の時、男の子のような坊主頭で石鹸で洗ってた奴が、クラスに転校生が来た日から髪を伸ばし始めて

親のシャンプーを黙って使い出した頃からの育代の癖なんだよな・・・」

「もう、そんなことばっかり憶えてるんじゃないわよ!!」

「ほらよ、誕生日のプレゼント☆んじゃ、帰る」

「・・・・・・」


あのバカ、親からも忘れられている私の誕生日を毎年記憶していやがって・・・

随分、高そうなシャンプーとリンス・・・

「・・・・・・」


第、84話  魔法使いのラヴ・ソング  (2001.02.09)


「ねえ、久美子、新治先輩っていいわよね☆ 」

「あぁ、あの豚を100頭ペットにしている・・・」

「ペットじゃないわよ!!家が農家なの!!彼女いるのよね・・新治先輩にさ・・ 魔法とか使えたらなぁ」

「加代子、魔法使いのお婆さんに弟子入りしたら?」

「あの、公園に住んでいるババア・・ほんとに魔法使いの訳ないじゃん」


「ババア、出たどん」

「ねぇ、私、3日間修業したけれど、魔法は使えるの?」

「久美子くん、バカ言うでない!100年は修業せねば」

「魔法使わせてくれるって言ったじゃないのよ」

「ふむ、1回だけじゃぞ」

「ケチ!修業だって、壊されたババアの段ボールの家の新築させられただけじゃないの・・」

「まぁまぁ、ババアのケツの穴でも拝んで行け☆」


たった、1回だけ・・

失敗はゆるされない・・

よし、シュミレーションしよう。。

新治先輩が、素敵なラヴ・ソングを口遊みながらやってくる・・

♪〜豚のケツ毛は抜きにくいぃ〜どこまでケツ毛かわからないぃ〜♪

そして、新治先輩が豚小屋に入り込む・・

深夜に豚に変装して豚小屋に忍び込んでいた私が突然、魔法でバニーガールに・・

よし、完璧♪ 出かけよう♪


「どうしよう・・・」

だ・だれだ・・こんな夜道で・・あれは、新治先輩の彼女の・・何しているのよ、こいつ、こんなとこで・・

「指輪、どこに落としちゃったんだろう・・・新治さんにもらったばかりの指輪なのに・・・」

・・・・・・

「こんなんじゃ、ふられちゃうかな、わたし・・・」

・・・・・・

「ごめんね、新治さん・・・探したけれど見つからないの・・・」

・・・・・・

「ごめんね・・・」

・・・・・・


「ねぇ、久美子、あの公園に住んでいるババアって、ほんとに魔法使いだったらさぁ・・・」

「ほんとの魔法使いだって」

「わたし、弟子入りして恋かなえようかな・・・」

「加代子、恋ってね、出会いってね、運命なのよ!きっと選ばれた2人なんだわ」

そう言うと、久美子は素敵なラヴ・ソングを口遊みながら、少し、空を見上げた。


第、83話  姉妹  (2001.02.01)


あなたより泣き虫なわたしに、そんな弱いところを見せて、

感じてた幸せの鼓動に、二度と耳を傾けはしないの?

子供の頃、夢見てた大人になった自分を、

取り返せない現実の今、いつまで涙で曇らせているの・・・

妹よ・・・

失恋の後、巡って来るのはきっと"出逢い"なのだから、

微笑んで一番美しい顔をして、あなたらしさをいつも振りまいていてね。。

妹よ・・・


「ほらほら、寛吉、寅夫、また姉妹ごっこして!!あなたたち男兄弟なんだから、

いい加減にしないと、かあちゃん怒るからね、、、もう、、、40過ぎて、結婚もしないで、おまえら・・・」


第、82話  アルバム  (2001.01.26)


アルバムなんて、もう、かれこれ何年も整理していなかった。

一部、パソコンに取り入れた後は、開かれることはけしてなかった。

あっ、ぼくは『平山かぼす』と言います。もちろん本名ではありませんが・・・

こんな、芸人のようなニックネームを付けられたのも、ぼくがあまりにも陽気な・・悪く言うとあほ人間だからでしょう。

友だちが集まれば、フリスピー犬に成りきることで、その日のお茶目度をアピール☆

マンホールの蓋をフリスピーよろしく投げられればそれをみごとに空中でキャッチ!!

重さとともに落下してアゴを骨折・・・

病院に入院すれば看護婦さんを集め、これでもかこれでもかとアゴをはずしたり付けたりで大爆笑。

アゴの蝶番が緩みもとに戻らなくなり医者からは『この特賞野郎☆』とお誉めのお言葉を頂き、

ご褒美にと、得たいの知れない病原菌を点滴にまぜられ、未だその後遺症に苦しみ・・・

常にエンターティメントな人生を向かうところ敵なしとして歩みつづけてきたキュートな営業サラリーマン☆


・・・こんなぼくも、高校生の頃はおとなしくて目立たない存在だった。

高校の卒業アルバムだって、ぼくだけみんなと距離をおき、空中に顔がある・・

けして、この撮影の日、欠席していた訳ではなく・・・

この同じクラスにいた前原泉美ちゃんって、ぼくといっしょの大学にはいったんだ。

泉美ちゃんにしては、けっこうおバカなレベル落ち大学に・・・

ぼくは、てっきりうぬぼれてしまったんだけれども、ぼくではなく、この大学に来てた高校の頃からの先輩目当てだった。

泉美ちゃんは、大学まで追いかけて来て想いが届いたようで・・・

ぼくは、大学生活で常にふたりの寄り添う姿を有り難く拝見してきた訳だ。

卒業する頃には、ぼくの脳味噌はほどよく発酵され、高校の頃の自分とは打って変わって超人気者☆

そして、泉美ちゃんの結婚式では司会者に抜擢。


アルバムなんて、もう、かれこれ何年も整理していなかった。

一部、パソコンに取り入れた後は、開かれることはけしてなかった。


一枚だけ、アルバムに貼らずに挟んだままの写真がある。

唯一、ぼくと泉美ちゃんがツーショットで収まっている写真・・・

明るくなった大学生の頃のぼくだからこその信頼関係の結晶☆


荷物がなんとか片付いた。

明日は引っ越しやさんに連れられてぼくは帰郷する。


第、81話  きみを好きになったことで・・・・・・ (2001.01.18)


きみを好きになったことで・・・・・・

逢えるまでの幾日のさみしい時間が、やがて、ぼくの心の中でやさしさに変わる。。。

逢えた時のときめきと切ない気持ちが、いつも、ぼくの心の中で宝物になる。。。

きみを好きになったことで・・・・・・


なまえは?と尋ねると 『"キムチ鍋せせらぎ"と言います』

どこの町から来たの?と尋ねると 『物心ついた頃から、近所に"縄文人仮面おやじ"がいる所です』

黒豆の艶を出すには?と尋ねると『いっしょに錆びた釘を煮込め!!』


きみの全てが愛おしい・・・・・・


きみを好きになったことで・・・・・・


第、80話  ラストシーン (2001.01.11)


「小笠原くん・・・」

呼び止めようとしたけれども、すぐに許されぬことだと気づかされた。

「祐二、行こ☆」

小笠原祐二のもとへ駆け寄って来たその少女はすぐに腕を絡ませて、身を寄せ合い二人歩いて行く・・・

"兄妹"とか"いとこ"とか、そんなゆるい答えなどあたえてもらえる隙すら、そのシチュエーションからは奪えなかった。

"美由貴"(かすみ)は、舞台から客席のほうに向かってセリフを一言。

「それでも、あなたが好きなんです・・・」


一瞬だったけれども、かすみの目の中にS高校の”竹下秀明”の姿が飛び込んでいた。

客席の少し端のほう・・・片思いだったけれども、彼女がいたことを始めて知った・・・

"兄妹"とか"いとこ"とか、そんなゆるい答えなどあたえてもらえる隙すら、そのシチュエーションからは奪えなかった。

「それでも、あなたが好きなんです・・・」

そのセリフとともに、かすみの目から止まらないほどの涙がこぼれおちてきた・・・


幕が下ろされていく。

客席からは鳴りやまない拍手。


「かすみ、大成功だったじゃない☆めちゃくちゃ良かったよ、美由貴役、、最後のシーンはこっちまで泣けてきちゃったよ」

「紀代美、ありがとう」

「女優はちゃんと涙を流せるものなのね・・・」

「ううん、ちょっと、うちのジジイがペットのポチに毎日張り手を見舞われている姿を思い出したら自然に泣けたんだ」

そう言って、かすみは親友の紀代美に向かってかるく微笑んだ。


第、79話  すてき  (2001.01.04.)


「妖怪ぬりかべは、じんべいざめのいとこじゃないんだってば!!」

「高橋由妃さん、廊下に立ってなさい」

「は、、はい・・・」


「ねえ、どうしたのよ、由妃ぃい、、すべての授業で突然叫んで怒られてたりして?」

「えっ、う・うん、、気のせいよ☆ はは、、瑶子の気のせい・・」

「もう、なんでわたしよぉ」


「とろろ汁漬け込まれ爺さんは、キムチ鍋のことを、あまりよく思ってないんだってばぁ!!」

「高橋由妃さん、廊下に立ってなさい」

「は、、はい・・・」


「由妃ぃい、、二日めよ、どうしたの?」

「あはは、瑶子ったら、幻覚、幻覚だって☆」

「そ、そう・・」


「琥珀の中から、こんにちは婆さんはラベンダーのにおいで、ついつい、、、」

「高橋由妃さん」

「は、、はい・・・」


「わたしの脳みそ、お祭り騒ぎなんでしょ!!」

「瑶子・・・お気の毒に・・・」

「・・・・・・」


やがて、入院していたすてきな栗原一輝がクラスに戻って来たのでした。


「由妃、、どうやらわたし、幻覚なくなったみたいね☆」

「よかったわね、瑶子☆」

「・・・・・・」


第、78話 願い事  (2000.12.28)


ぼくは、空を見上げていた。

夜のまっくらな景色から舞い落ちて来る雪を・・・

「割と、積もるかもしれない・・・」

きみは、しゃがみこんで花火を・・花火、、花火ぃいい??

「透もいっしょにやろうよ!夏の残り物だけれど」

夏の残り物・・・そう言えば、ずっと、きみに別れを言いそびれたままだった。


ぼくは、線香花火の光を見つめていた。

きみは、電ノコで公園の木を・・電ノコ、、電ノコぉおお??

「透、こののら犬に犬小屋作ってあげようよ」


ぼくは、鉋(かんな)の頭をトンカチでトンテンカン!

きみは、どこからか除雪車を・・除雪車、、除雪車ぁああ??

「透、犬といっしょに初詣に行くよ!」


あの夏、ぼくが気軽にきみに声をかけたとき、すでにぼくはきみに夢中だったのかもしれない。

神社の鈴をならしながら、そんなことを考えていた。

きみは・・・ん、、きみは・・・??

「透、ほら、テレビ番組のドンケツ大会でハワイ旅行もらってきた☆」


第、77話  冬だというのにあたたかな昼下がり  (2000.12.21)


「わりと、あたたかいのね」

「さくらが咲くかもな・・・」

「そう、この道、さくらが満開だときれいなのよね」

「さくらの花びらが舞う12月か・・・」

「子供の頃、真二んちの両親と私んちの両親に毎年、花見に連れられていたよね」

「春だったけどな・・・」

「真二が子供の頃、よく私に出していた問題・・・」

「みかんを3個買いました。千円札を一枚出しました。すると『いいよいいよ、坊主』と八百屋のおやじ・・・

『ははぁ〜ん・・さてはママに下心があるな、このスカトロおやじ』と僕・・

『バカ言っちゃぁ、いけねーよ』とスカトロおやじ・・・さて、いくら?」

「真二、そう言えば受験なのにぶらぶらしてていいの?」

「美奈子が『クリスマスだから』って呼び出したんだろ!!」

「そう、だっけかな・・・☆ 受かる前に舞ってしまったらダメよね、、さくら・・・」

「受ける前に咲かれてもこまる」

「今年、あんまり逢えなかった分、来年、いっぱい逢おうよね」

「逢うもあわないも、家、隣同士だろ」

「そう、だっけかな・・・☆」


第、76話 ロールキャペツとロマンティック  (2000.12.15)


「たとえるなら、溶接作業していてロールキャペツができてしまうほど私って、料理おんちなんです」

なんて言っちゃったものの・・・

『浩子さんの鉄骨ロールキャペツがたべたい』なんて言い返すとは思わなかったし・・・

まさか「ロールキャペツを作ろうとして、小型砂利採取船ができちゃった」なんて言えないし・・・

そろそろ来るなぁ・・・どうしよう・・・

ぴんぽ〜ん

・・・とりあえず、ドアは溶接しておいた。よしよし。。。


・・・そうか、窓をわすれてたよ。ピーターパンくん。


あれから二年・・・パパは日夜、ロールキャペツ作りに没頭。

長男と長女は、ママ手作りのベビーカーを自ら改造・・・ん、・・・血筋かしら。。。


第、75話 12月のカレンダー  (2000.12.07)


「薫子くん、君の発注どおりのタイムマシンが完成したぞ」

「わたしがいつ象のおしりの穴の中にタイムマシンを作ってくれといいました・・?」

「なにはともあれ、去年の君の部屋にでも出かけてみるぞ!!」

「べつにわたしの部屋の中でなくても・・・」

「若い女の子の部屋へ、レッツゴー♪」


「博士、たしかに去年のわたしの部屋です。でも、象で占領されて苦しいような・・・」

「ふむ・・2号機はそこのところ、改善せねば・・」

「あっ、12月のカレンダー、、わたしの落書きまでちゃんと・・」

「ほほう、なになに『来年のわたしはひとりぼっち。でも、もっと素敵なカレをかならず・・』」

「博士、勝手に読まないでください!!」


「薫子くん、どのあたりまで過去にさかのぼれば元彼との別れを食い止められるのじゃ」

「博士、もう過去はいいんです。未来をしっかりと見据えていた去年のわたしに負けたくないんです」

「ほほう、では、どのへんまで未来へ行って来られますかな」

「いいえ、ゆっくり待ちましょう。もっと成長したわたしを素敵なカレに出会わすために・・・」


第、74話  あなただけが聞こえる   (2000.11.30)


「まいど、ありがとうございました」

未知子は、店を出て行くその背中に向かって今日も一言「わたしも好きです」と心の中でつぶやいた。

レジに向かってくる時、お金を手渡してくる時、彼と目が合うことが出きる可能性があるわずかな瞬間・・・

『 ―――ぼくは君が好きだから、いつもこうしてこの店にに訪れるんだよ』

未知子には自分の勝手な都合で、彼の瞳の中からいつも聞こえてくる。


「えぇ、と、次のハガキはМ市の○○さんから・・ 『ぼくは、とあるコンビニの店員の女の子が・・ 告白する勇気が・・』」

未知子はラジオに耳を傾けた。

М市よ、そうそう、М市よ。 きっと、あの彼からのおハガキなんだわ。

「とにかく、思い切って告白するべきですね・・・ 星占いでは、ネクタイを頭に巻いて、下半身は網タイツ姿で告白をと・・・」

ラジオのパーソナリティーの回答。

そのラジオを聴いた次の日、未知子はいつも以上にドキドキしながら彼が訪れるのを待った。


「まいど、ありがとうございました」

未知子は、店を出て行くその背中に向かって今日も一言「わたしも好きです」と心の中でつぶやいた。

また、彼は勇気を持てずに帰ってしまった・・・・・・

『 ―――ぼくは君が好きだから、いつもこうしてこの店にに訪れるんだよ』

彼の熱いわたしへの想いは、こうして今日も感じとっているのに・・・・・・


アパートに帰った未知子は、この間聴いたラジオの番組にハガキを書いてみた。

『わたしは、とあるコンビニに訪れるお客さんが・・ 自分から告白する勇気が・・』


第、73話   雨のバラード  (2000.11.23)


この公園の噴水広場には、雨の思い出しかない。

出会いの日も別れの日も、傘の下であなたを見ていた。

「雨男って知ってる・・?」

一度だけ、あなたに聞いたことがある。

「鼻の穴からカエルの足ぶらぶら男とか、耳の穴からフナの尾びれピチピチ男なら知ってるよ」

「・・・・・・」

けして、あなたのその言葉が別れの原因ではなかったのだけれど・・・

なんとなく遠い昔、わたしとあなたの待ち合わせ場所だったこの公園は、もうすぐ公園ではなくなってしまいます。

傘に落ちる雨音を聞きながら、記憶の片隅に眠っていたバラードを口遊んでいる夕暮れ時・・・

毛穴という毛穴からアメンボニョキニョキ男が出没しそうな雨の夕暮れ時・・・


第、72話   ロマンス   (2000.11.17)


傾いている。

わたしが首を傾げるたびに、あなたとわたしのロマンスが・・・

あなたのことで知っていることは、全部正しいと決めてはみたけど、

知らないことは無限に広がり、信じあえる自信もない。

ほんの些細な躓きが、幼かった恋を今、こんなにもぐらつかせている。

「ふたりが知り合えてもう1年になるのね」

「・・・えっ、何?」

「・・・・・・」

「ちなみに金魚鉢ヘルニアの職業は?」

「新種の相撲取り」

「・・・・・・」

あなたが次のベージをめくろうとしているのをわたしは慌てて両手でとめた。


第、71話   おやすみ  (2000.11.09)


話すら、あまりしたことないもんな・・

 突然、君の家に電話を掛けて、

『君、なんで今日はあんなに淋しそうにしていたの、いつもはあんなに明るい笑顔をしているのに』

・・って、へんだしな。


AM1時

「おやすみ。最近、元気がない君へ・・」

AM3時

「おやすみ。最近、元気がない君へ・・」

AM5時

「おやすみ。最近、元気がない君へ・・」


・・今日は、以前のように担任教師の襟首を鷲掴みにして、座禅をする畳キリンの生態について尋ねる元気な君にもどっているかなぁ、、

太陽の下、道をてくてくと歩きながらぼくはまた一つ、大きなあくびで涙目になる。


第、70話   ハムちゃんのウエディングベル   (2000.11.03)


『それでは、新郎と新婦とハムちゃんのご入場です』

「・・・ってのが、夢なのよ、、理香子っ」

「真沙美の夢はわかったけど、ハムちゃんに着せるウエディングドレスのために貯金しているってのが・・・」

「ハムちゃんに恥をかかせられないじゃない!」

「でもさ、まだ中学生なんだから・・・」

「とりあえずさ、私の企画と脚本が認められて演劇部で夢のリハーサルなんだから」

「和明部長が新郎で真沙美が新婦・・」

「あと、ハムちゃんね♪」

「喜劇なの?」

「理香子ったら!!」


「あっ、もしもし・・ 真沙美、帰ってませんか・・ あっ、いえ・・」

・・・企画と脚本が真沙美か。。 新婦役が新入部員のかわいくて評判の1年生。。 稽古の初日から変更されて落ち込んでたもんね。

『ーーー理香子、ハムちゃんまであの娘のハムスターなの・・』

・・・そこが、問題だったのか?

「あっ、理香子です。 たびたび・・ あっ、真沙美帰ってきましたか。 よかった。 いえ、また掛けなおしますから」

心配かけさせやがって。。 そんな弱い真沙美になんて、私、和明部長をあきらめてやんないぞ・・・


第、69話   青空   (2000.10.26)


青空は今日も私に遠慮なく襲いかかる。

あのひとに嫌われたってしかたがないこと。

私自信が、自分を大切になんてしたことなかったもの。


―――「ねえ、哲治、最近いそがしいの?」

―――「いっ、いや、なんだか最近オレ洗顔に凝っていてさ、、 猫からも愛される洗顔ニストとして、

または、天気もずばりと当てる洗顔森田さんとして、技に磨きをかけるのにさ・・」


いい訳にしか聞えなかった・・・・・・

 

―――「ねえ、ちひろ、最近あのひととうまくいってないんだって?」

―――「う、うん、、」

―――「そのまま、ほったらかしにしていていいの?」

―――「あら、金属たわしは送っておいたんだけど・・」


さよならと受け取られていたみたい・・・・・・


―――「ポチ、また眉毛描かれたの・・?」

―――「ワンワン」

―――「黒マジックだからベタなのよね。」

―――「ワンワン」

―――「ほら右が赤で左がピンク」

―――「ワンワン」


これはこの話には関係はない・・・・・・


青空は今日も私に遠慮なく襲いかかる。

未来を見つめて育っていた子供の頃のように、

期待と喜びで胸を一杯にしていた子供の頃のように、

幸せの予感で傷を増やしている私なんかより、

あの頃のわたしでいたいのに・・・・・・


と、感じているのは、

私がわたしを愛していない証拠・・・・・・

あのひとが私を愛せなかった証拠・・・・・・


青空は今日も私に遠慮なく襲いかかる。


第、68話   透明人間   (2000.10.19)


「よ〜い、ドン!」

俊くんは運動会になると、ヒーローだった。

小学生だった、あの頃・・・ 中学生だった、あの頃・・・ 

わたしは、給食をたべるときだって遅くって、5時間目に悔い込みそうになっていたり・・

クラスが水槽で飼っていた"ちょび髭おばさんレトロ風虫もどき"の飼育委員にされた時も、

あまりもののわたしが、あまりものの委員にされただけのことだった。

俊くんは、いつもわたしと競って給食を5時間目までたべていたし・・

"ちょび髭おばさんレトロ風虫もどき"の飼育委員として、休みの日は交替で、学校に行き餌をやった仲?だったし・・

机の中には、カビの生えたパンがかならず入っていたし・・

でも、わたしはいつも俊くんの遠い背中ばかりを見つめていた。

俊くんって、わたしのこと記憶しているのかしら・・・・・・

すきだったことなんて、気づいていたりしたのかしら・・・・・・

初恋だったんだよ。

眠れない夜、なぜだかそんなことを思い出したりしていた。

俊くんって、もう結婚とかしたんだろうな・・・・・・

わたしは、ゴールの見えてこない、気づかれてもいけない片想い中なんです。


第、67話   晴れた日   (2000.10.12)


よく晴れたじゃない。

ついに、直樹と初デート☆ 膝十字固めをみっちり学んでおいたおかげで直樹もついにデートをOKしてくれた。

喜びの悲鳴をあげてたもん。

でも今時、駅前の人間ポンプととろけ金魚像の前で待ち合わせはなかったかな・・・


休日だけあって、だんだんゴミゴミしてきたな・・・

あれ、さゆりじゃない、、 いつのまにか男つくってて、、、 街の中を隣で畳を担いで歩く彼氏か・・・

かっこいい〜☆ 直樹にもそれだけのことさせなくちゃね! 女が教育しなきゃ。


午後3時にもなると、おなか空いてきたな・・・ 

あれ、みちるの奴、、 今日は1日試験勉強とか言っておいて、、、 

街の中を隣で深胴鍋でカレーを煮こみながら歩く彼氏か・・・

料理人ぅう〜☆ 直樹にもお料理させなくちゃね! 女が教育しなきゃ。


やっぱり、晴れた日の夕暮れはきれいだよね。

さてと、帰るか。

あっ !ママが帰りになんとか・・って雑誌買ってきてとか言ってたけど・・・ 電話して聞くか。

「・・・・・・」

まっ、いいか。

今の私、なんだか、

・・・・・・それどころじゃないもん。


第、66話   おまじない   (2000.10.06)


どれもこれも、ためしてみた。

あのひとと、わたしの髪の毛を"後頭部だけ長髪、ハゲ爺"の後ろ髪に縛り付ける。

あのひとと、わたしの名前を書いた紙を"後頭部だけ長髪、ハゲ爺"の後ろ髪のリボンに。

あのひとだけを"後頭部だけ長髪、ハゲ爺"の弟子に。

・・・だって、たかが迷信じゃない

・・・叶う訳ないじゃん

・・・釣り合う訳ないじゃん

今日も、あのひとの微笑みは、わたしに向けられることはない。

そして最近、あのひとと腕を組んで歩いている、後頭部だけ長髪、ハゲ爺・・・・・・


第、65話 またたこの蛸壺 〜たここ日記完結編おバカショートバージョン〜 (2000.09.28)


☆出会い編☆

*月*日

お月さまたここ〜SS^◎^SS 向こうからもたここを見ているたここ?なんか、落ちてきたここーー@@
見たこともない蛸たここ〜QQ 宇宙蛸よもぎさん・・ 宇宙の蛸たここ〜SSQ◎QSS

*月*日

砂浜に出たら人間のおばあちゃんに捕まったここ・・ 首輪つけられたここ・・ 餌はうまいたここ〜SS^◎^SS
でも、隙みて逃げたここ、、 おばあちゃん、さびしそうにたここを見てたここ・・ でも、手を振ってくれたここ。。

*月*日

人間のテーマパークでペンギンと漫才のバイトしているたここ〜SS・◎・SS ファンの女の子がたここにオルゴールくれたここ〜SS^◎^SS
でも、海にはもっていけないたここ・・ あっ、おばあちゃんに預かってもらうたここ〜SS^◎^SS

☆ママ蛸をもとめて編☆

*月*日

おばあちゃんちでよもぎさんとオルゴール聞いているたここ〜SS^◎^SS ゴキゴキ出たたここ〜SS+◎+SS
おばあちゃんにしがみついて甘えるたここ〜SS^◎^SS ・・たここのママはどこにいるたここ、、 なんだか逢いたいたここ。。
よもぎさん、たここはママ蛸を探す旅に行くたここ!ん、よもぎさんも来るたここ、、

*月*日

よもぎさん、どこへ行けばいいか見当つかないたここ・・ 宇宙超能力で行き先をおねがいたここ・・
おみごと!!シルクハットの中から海うさぎさん出たここ〜SS^◎^SS

*月*日

さすが、都会海たここSS・◎・SS 海パフィーのコンサートたここ〜SS^◎^SS 拍手たここ〜SS^◎^SS
ん、次はよもぎさんの宇宙超能力ショー??おみごと!!折りたたんだ新聞紙に入れた水が消えたここ〜SSQ◎QSS
・・・よもぎさん、警備員にステージから下ろされたここ・・ 捕まったここ・・

*月*日

ここは、暴力ぼったくりケーキ屋たここ〜SS+◎+SS よもぎさん、逃げるたここーー@@
あっ!向こうからは、座礁した船から重油が流れてきたたここ〜SS+◎+SS よもぎさん、たすけてたここ〜++
・・・ん、重油が消えていくたここ・・ よもぎさんが倒れて沈んで行くたここ・・ 大きな宇宙超能力はエレルギー消耗するたここね、、
目を覚ましたここ〜SS^◎^SS よもぎさん、いいこいいこしてあげるたここ〜SS^◎^SS

*月*日

おばあちゃんが死んだ・・・ たここがママ蛸探している間、危篤状態だったここ・・ たここは何を探していたここ・・
たここの心のママは、おばあちゃんだったここ・・ たここは何を探していたここ・・

☆たここの初恋編☆

*月*日

さすが、蛸画伯の描いた蛸モンローの絵たここ〜SS^◎^SS 美しいたここ〜SS^◎^SS
キュンキュンたここ〜SS^◎^SS でも、蛸ミルキーちゃんもかわいいたここ〜SS^◎^SS

*月*日

たここにCM依頼が来たここ・・ エステのCMでペニキュア塗れ言うたここ〜SS+◎+SS
蛸CMじゃないたここ・・ 人間のCMたここ・・ 蛸モンローにも蛸ミルキーちゃんにも笑われたここ〜SS-◎-SS

*月*日

海藻花束たここ〜SS^◎^SS 蛸モンロ―にプレゼントたここ〜SS^◎^SS 蛸ミルキーちゃんにもプレゼントたここ〜SS^◎^SS
・・・蛸モンローに恋蛸発覚! ・・・蛸ミルキーちゃんに恋蛸発覚!・・・一気に失恋たここ〜SS+◎+SS

20**年*月*日

たここ、蛸壺の中でお昼寝中、沈没してきた船の下敷きになり死亡・・・

☆天国編☆

*月*日

おばあちゃんがいたたここ〜SS^◎^SS ・・たここと擦れ違いで生まれ変わるたここ〜++ 人間の女の子にたここ・・
たここはいつ生まれ変われるたここ〜++ 神様、たここはおばあちゃんのほんとの子供に生まれ変わりたいたここ〜SS・◎・SS
おねがいたここ〜SS・◎・SS

☆完結編☆

20**年*月*日のある日・・・

「ねえ、ママ、へんな見たこともない蛸がいるよ、こっち見て手振ってるね」

「ほんと、でも、どこかで見た気もするわ」

「あっ、行っちゃう・・ でもまた逢えるね、ママ」

「ママもそんな気がする・・ 蛸がそう言っているみたい」

「なまえを付けてあげよう。 さよなら、またね、よもぎさん」

「よもぎさんね、ぴったしね」

「うん、なんだか、自然になまえが出てきたんだ」

おしまい〜SS^◎^SS


第、64話   水色の恋    (2000.09.21)


幼かった頃、大事にしていたオモチャをこわしてしまった時、ママがわたしに言ったことがある。

「留美ちゃん、かたちのあるものはいつかこわれてしまうものなの・・」

おじいちゃんの大正琴をおじいちゃんと合体させようとおじいちゃんが昼寝している隙に子供なりに工夫をこらし、
どうにもならない状態にしてしまった時も・・・

「留美ちゃん、かたちのあるものはいつかこわれてしまうものなの・・」

琴おじいちゃんが庭で花に水撒きをしている時にどうしてもテレビに出ている琴おじいちゃんが観てみたくて・・・・・・

「留美ちゃん、かたちのあるものはいつかこわれてしまうものなの・・」

琴テレビジジイが・・・・・・・・・・

「留美ちゃん、かたちのあるものは・・・・・・・・・・」

あのひとは『さよなら』の言葉のかわりに、ふたりの恋がかたちのあった出来事だったことをわたしにのこしていった。

いつ、付き合いだしたのかさえ覚えてないような出来事だったのに・・・ 

最後になって、涙がこぼれてくるなんて思ってもみなかった・・・


第、63話   9月のカレンダー   (2000.09.14)


小雨まじりの土曜の午後・・・

PM2:50 そろそろ靖子は帰ってくる頃だろう・・・


『もう、男のくせにケーキ作るのうまいんだから』

しかたがない・・ 家がケーキ屋だったんだ・・ 休日は強制的に手伝いをさせられてた・・

『やだ、雨降ってきたね、、 洗濯物しまっちゃってよ、 あっ!また下の階のベランダに落としたぁ!

下の部屋の男の人、私より私のブラジャー持っているわよ! きっと・・』

しかたがない・・ 家がケーキ屋だったんだ・・ 休日は1度でいいから"ブラジャー魔人"を名乗り・・・・・・


壁のカレンダーの日付を埋めていく×印・・・

引き出しの中の1度くしゃくしゃにされた"さよなら"の文字の書かれた紙切れ・・・

ぼくは、靖子のために作っておいたモンブランを今日もポリバケツにひとつ捨てると、

目と目が合ったゴキブリになんとなく気まずさを覚える秋の夕暮れであった。。。


第、62話   カフェ・金魚仰向け水   (2000.09.08)


「ここ、ビルになっちゃうんだ。 1年前までこの町に住んでいた頃は、ここにあった『カフェ・金魚仰向け水』によく来てたんだけどな・・・
藻で覆われた大きな水槽の中で辛うじて中でなんかがうごめいてたので有名だったお洒落な店・・・ 天井からは・・・・・・・・・・」

そう、3ヶ月前まではここに存在していた『カフェ・金魚仰向け水』

紀子の話を耳にするまでもなく、美砂子の脳裏にはデジタル処理されているかのごとく繊細な映像がよみがえってくる。 


ーーー「マスター今の話ってほんと・・・」

「あ、あぁ、良太くん、きれいなねぇちゃん連れてここに現れて・・・ ぁああ!!美砂子ちゃぁあああああん」

バキバキメキメキガタガタガタぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ、、、 

「あ・・・あのぅ・・・ "TV地獄のお節介"のディレクターなんですけれど・・・ 今日は良太くんからお葉書もらいまして・・・ そのう・・・」

「りょ・・・良太くん・・・なぜ、そこにいるの・・・」

「美砂子さんがこんな強暴な女性だったなんて・・・・・・」

メキメキぃいい、、、

「あぁ、おれの店が崩れて行くぅううーーー@@@」

ここで長さんの『ダメだこりゃ』とともに舞台が回転♪ キャンデ(=^^=)ズが現れ・・・


「ねぇ、美砂子、どうしたのよ、ボーっとして・・・」

「えっ、う、うん、、、紀子、、、失ったものは時間(とき)とともに消えていってしまうものなんだなって・・・」

美砂子は、工事現場の『ご迷惑かけてすいません』の看板のぺコリとおじぎしている絵が、なんだか良太くんに似ていて、

突然、頭めがけて落ちてきた鉄材に正拳を叩き込んだのでありました。

その頃、地底では、水槽に生息していた奴の卵が次々と孵化を始め・・・・・・・・


第、61話  一触即発    (2000.08.31)


『Apple』

「・・・うぅ〜ん、教材の音声聴いたってへんはへんよ、、」

『Apple』

「あぁぽぅぽぅぽぅぽぅう〜?」

『Apple』

「あぁぽぅぽぅボムぅう〜?ちっともアップルじゃないじゃない・・・」

『Apple』

「もう、英会話スクールなんて行かない!だいたい、椎('〜`;)林檎だっておこるわよ!アメリカいったら "あぽうボム"だなんて・・・
日本にもどったら"椎('〜`;)どか〜ん"じゃない!」

『Apple』

「・・・でもジョニ―先生、わたしのためにわざわざテープに吹き込んでくれたのよね」

『エテコサン、ドウデスカ "リンギョロ"ノコトEnglishデハ"Apple"イイマンネン。OKデスカァ?』

永津子は突然ラジカセに生テープをセットし、こう録音しはじめた。

「ジョニ―先生、"あぽうボム"のことを日本では"林檎"って言うの。。 今日から私があなたの日本語の先生だからね」

そして、永津子は慌てて家を出て、CMでも有名な英会話スクール"ポリープ地獄"へ向かった。。


第、60話   チャイム   (2000.08.24)


めぐみが言ってた。

「高橋くんに始めて会った時?なんかね、、心の中でチャイムが鳴ったのよ、、」

ふぅ〜ん、、 お熱いこと。

私はまだ好きになったひとすらいないんだもの・・・

素敵な男性だとか、 ・・・キャラクターだけ、、 などなど、 なら解るんだけど。

例えば街を歩けば、あっ、あんな感じのひと、、 いい男と思うんだけど・・・ カラカラカラ♪

えっ、チャイム?

「あぁ、ごめん、、コーラ飲み干した缶カラ落しちゃって、、」

なんだよ、陽平かよ、なんでこんなとこにいるんだ・・・

例えば電車の中で、ああ言う男性、なんかモテそうな感じ。。。 どべどべどべ♪

えっ、チャイム?

「あぁ、ごめん、担いでた関取落しちゃって、、」

陽平ぃいーーー、、

例えば本屋なんかで、週刊誌を手に取り、あっ、男優の・・・ ぺたぁあ〜〜ん♪

えっ、チャイム?

「あぁぁああ、ごめん、つきたてのお餅が・・・ あちちち、、、」

クソ陽平!!

・・・でも、陽平って、なんでよく私のそばにいたりするんだ〜?

「・・・・・・ふむ、、」

あれ、、なんか聞えたような、、、


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