横浜マタタビバージョンのFUNI WORLD

おバカショート劇場。

FUNI WORLD (4)


第、120話  卵の中の涙  (2001.10.17)


私の心の中には卵が転がっている。

少し気を抜くと、割れてしまうかも知れない。

どこまで育っているのかさえ、わからない・・

出来れば、抱きしめて暖め続けていたいのだけれど、

この卵の父親も母親もワガママだから、この子はとても迷惑をしている・・


裕一と出逢ってから、三年目の秋。

只今、何度目かの別れ話の真っ最中。

私は、けしてこんな時に泣いたりなんて出来ない。

そんな大きな揺れを起こして、悲しみの詰まったままの卵を割ってしまいたくない。

だから・・

割ってしまうのではなく、裕一と私の愛情で孵してあげたいと・・


裕一が、今、部屋から出て行った・・

私は、軋む卵をギリギリまで力を込めて抱きしめた・・


「割れないで・・ 割れないで・・」


目から、大粒の涙がこぼれ落ちた時、

私は、心に刺さった卵の殻の痛みに、我が身を縮めた・・



しかし、卵の中の生物は、すでに成長を遂げていて・・

「もしもし、こちらマタタビ警備隊!なに、怪獣 "破局、顔泣き腫らしブサイク女"が暴れているだと!!」


第、11話  空に映るわたし  (2001.10.10)


いつも、うれしいことを探している。

わたしの心によく効く薬探し。

幼い頃から20数年は生きていて、その辺に転がっているような薬ではすでに効果が期待出きない。

へたな薬では、副作用が怖い。


わたしには、誠一と言う彼がいる。

奴こそ、悪質な副作用を起こすとんでもない薬だった。

だから、今は少し会わないことにしている。


「おいしい食べ物でごまかしていると、後で体重、気になるしなぁ・・」

親友の和美はよくそう言って、ケーキを5〜6、7、8、9、10、11、12個はかならず毎日平らげる女だ。

この女と行動を共にするのは、副作用を通り越して、命があぶない。


"狂牛病"と言う名の犬を飼っている。

こいつは、仔犬の頃、捨てられていたのをわたしが大喜びで拾ってきたバカ犬だ。

わたしには懐かないで、たまに来る誠一にはよく懐く・・


ある日、和美がお汁粉を30杯食らった後、ケーキ屋に向かう道で、ぽつりとわたしに言った。

「景子んとこのバカ犬、なんだか最近、買い主によく似てきたわね」

ん、、なんだ、そうか。。

わたしって、自分に懐けない女だし・・


ん、、携帯にまた誠一がメールを入れてきやがった。


「景子、午後から雨降り出すかと思っていたら、なんだか晴れてきたわね」

わたしは、ぼんやりと空を見上げながら、和美に言った。

「ケーキ、おごろうか! ・・6個まで。」


「景子のケチ!!」


第、118話  ざわめき  (2001.10.04)


季節は、"過ぎて行く"と言う言葉がよく当てはまるかのように、気がつくと枯れ葉が舞う、秋。

たのしい思い出ばかりが、そこら中、いっぱいに放置されている。


あなたと出逢った、編みタイツ頬っ被りマスターのいる喫茶店 "鬼薬局"。

あなたと歩いた、毛むくじゃらサーフボードが立て掛けてあるレストランのある海岸通り。しかも毛はまだ伸び続けていて・・・

あなたと出掛けた、地図にない幻の沼と、そこで知り合った沼カッパとの奇跡。


心の中のざわめきは、このまま、どんどん大きくなるばかりで・・・

あなたかわたしが発する"さよなら"の言葉を聞き入れるための生物と化して行く・・・

あなたのその微笑みも、わたしのあなたへの切なさも、すべて飲み込まれて行く・・・


明日など、けして来ないまま、時間だけが淋しがりやの二人の横を通過している。


今は、枯れ葉が舞う、秋。


第、117話  あまえたい  (2001.09.26)


見栄えのよいあいつが転校してきて、先生に連れられ最初のあいさつの時、

『好きな女の子のタイプはクールな強い感じの女の子』 なんて、かっこつけて言ったりしたから・・・

男子は引きまくり・・ 女子はざわめきあい・・

やがて、あいつが本性のバカ児童っぷりを発揮しだしてからは、見事逆転。

男子はいつもあいつとバカ騒ぎ・・ 女子からはケダモノ扱い・・

まぁ、スカートめくりの常習犯だったってことだけれど。 小学生だったし・・


「もしもし、日曜日のデートどこって?また私が決めるの!たまには、デートコースぐらい考えて、わたしを誘ってみなさいよ、バカ!!」

もう、高校生にもなって、わたしに怒鳴られるたびに電話先でイジイジする?普通ぅ・・


そうなんだ。

小学二年生だったあの日、わたしのスカートをめくってきたあいつをわたしが引っ叩いて・・

おお泣きされて・・ あいつがわたしの子分になっちゃって・・

小学三年生だったあの日、あいつから公園で拾って来た"プレーリードックに成り切りおやじ"を学校でこっそり飼う相談を持ちかけられ

『そんな物、捨ててきなさい!』と説教して、あいつを更生させてあげたのは、わたしと、学校で飼われているうさぎちゃんだった。

中学三年生だったあの日、あいつから『宝物がある』と言われついて行くと突然あなたは空き地の土を掘り返し、

とんでもない数の"はずれ"とプレスされたプラスチックのアイス棒を見せられた時、『うちのポチより劣っているわよ』と言って

迷えるあいつの目を冷ましてあげたのは、わたしとポチだった。


「あっ、もしもし、今度の日曜日、わたしは一人で遊びに行くから」 ガチャ!ツーツー ツー


いつものことなんだけれど。。


あいつは、いつになったら抱きしめてくれるのだろうか・・・

こんなにも"あなた"に、あまえたいわたしを・・・


第、116話  秒読み  (2001.09.20)


静かな夕暮れの並木路で・・


「あなたに打ち明けられることが出きて、ほんと、よかった」

「素直にうれしいけれど・・」

「わたしがとても好きなひとだから、わたしなんかがタイプじゃない娘(こ)だってこと、わかってるもの」

「・・・・・・」

「好きでもないくせに、あなたから"好き"なんて言われたくなんかないよ」

「想われているきみに、何かしらの感謝の気持ちを込めてあげられないかなって・・」

「秒読み、開始!」

「何、、?」

「だったら、今すぐここから立ち去って・・」

「え・・、何で・・」

「でなければね、あなた、傘なんて持ってないでしょ・・」

「うん。。」

「雨を降らせて・・ 感謝の気持ちを込めて・・」


そして、ペンキの禿げたベンチの横でバイオリンを奏でている、たまたま通りすがりの豆腐屋のおやじと、

たまたま豆腐を買いに来た、むらさき頭のおばちゃんコーラス隊♪゜゜

ありがたいことに、鍋を叩くパーカッション担当者が一名。。

「雨はやだなぁ」と、ぼやく、スキンヘッドでエプロンおやじが一名。。

気がつくと、カーテンコールを求める通行人の大拍手♪゜゜


普段は人通りの少ない並木路で・・


第、115話  夕方あたり  (2001.09.12)



夕方あたり・・

家から近くの小さな公園も、近所の園児どもが母親と去った後は、じわじわと明日のほうへ向きを変える。

気を緩めてると、オレンジ色の時間も、すぐ闇の中。

取り残されたようにブランコを漕いでいるには忍びないじゃない。


「想われていることって、麻痺したくないよね」

進学塾帰りの道草小学低学年坊主数人が、眉間に皺を寄せ、まだ見ぬ愛について深く語りあっている。


「泣きたくなるほど君を好きだったんだ・・」

ダンボールおじさんが、停止状態のセミの体に囁いている・・


「帰ってきておくれよ!ベイビーぃ!!」

勝手に公園の隅っこに死んだ飼い犬の墓を拵えていたお向かいのアパートに住むおばちゃんが・・

・・って、おまえら、さっきからうるさいよ!


ほら、もう真っ暗になっているじゃない・・

切れた外灯ぐらい、さっさと取り替えなさいよ!

取り替えがすぐ利くくせに、、私とちがって・・


第、114話  ひとりぼっちの夢中  (2001.09.06)



「裕美、遠藤直樹がどうも最近あなたのことを気にしているみたいなのよねぇ、、」

「何言っているのよ、真梨子、、そうやっていつもランダムに男女のうわさを作ろうとしているんだから!」

「あはは、ばれてる☆ばれてる☆ どう、ちょっとはドキっとした?」

「しないわよ!それより真梨子こそ高橋君とは、あれからどうなっちゃっているのよ?」

「うぅ・・ 裕美、それは言わないで・・ せっかく始めての両想いだったのに・・」

「ふ〜ん。。 そう言うこと。。 御愁傷様。。」


秋の放課後・・ 生徒会を終えた遠藤直樹が薄茜色の廊下を歩いて来る。

それを真似して、裕美はいつのまにか、こっそり、その後ろを歩く。


「あっ!何やってんだよ、裕美。 そうか!おれのこと、待っててくれたんだ」

「あんたのこと、待っている訳ないでしょ!待っててほしかったの?ぼうや」

「う、うん。 まぁ・・。」


えっ!・・何・・


「あのさぁ、裕美・・」


何なのよ・・ らしくないよ!こらっ・・


「おれなぁ・・」

「・・・・・・」


あのね・・ おねがい・・ 待って・・

今は、わたしの場所には来ないで・・

まだ、わたし、両想いなんて知らないもの・・


「おれなぁ、脇毛少ないから冬に向けて脇でエノキダケ育ててみようかと考えているんだけれど、裕美はそんなおれをどう思う?」

「遠藤直樹のバカぁあああああ!!冬は厚着なんだから気にしなくたっていいでしょぉお!!!」

「あっ、、そうか。。 なんだ。。」


忘れられて、少し開いたままだった廊下の窓からは秋の匂いが心の中に、

滲み込んだり・・ 弾けたり・・ 優しかったり・・悲しかったり・・ 辛かったり・・求めたり・・

だけど、ひとりぼっちの夢中を、あと少しだけ・・


第、113話  かなしいこと  (2001.08.28)



「もしもし、祐一、結局、好きだって娘(こ)にまだ告白してなかったの?

昨日、電話でさんざん私を相手に練習したでしょ。。

『度胸がついた』って言ってたくせに・・

えっ、『なんだか元気がなさそうだったから』って、それで延期にしてるの?

なんか、かなしいことでもあったんじゃないの・・

『たとえば』って!?

ん、、と、たとえば、各女子プロレスの団体にスカウトされまくりの毎日・・

街を歩いているとキムチ屋のおやじに『ちょいと、そこ行くおねーちゃん、これ担いでおくんなせい』

と、言われキムチ入りのデカい壷をひょいと担いだもんだからキムチ屋のカクテキ似おやじ、

『やるじゃねーか、おねーちゃん☆さっそくうちの息子に嫁入りしておくんなせい』

出てきた息子が、これまたカクテキに瓜二つ

カクテキ好きにはたまらない!!

けれど、結婚なんて早すぎる・・

学校と親からは、ただでさえ進学を勧められていると言うのに・・

『みんな、この筋肉がいけないのよ・・』と、すすりなく夜もまたバーベルを・・

あっ、おこった?

え!、なに?『思ったより元気そうで安心した』って・・

私は元気よ・・いつもといっしょでしょ・・?

いつもといっしょだよ・・いっしょだって・・

じゃぁ、切るよ

うん、じゃ、明日学校でね・・祐一」


第、112話  ゆびきり  (2001.08.23)



小さかった頃、ゆびきりがとても好きだっだ。

遠い明日までの約束も、無色透明な時空(とき)を越えて見えた気がした。

大人になって振り返ると、向こうからこちらを見ていたはずの、あの頃の自分の姿を探してばかり・・


そして、今、三年越しの恋・・

「きみのことが好きなんだ」

あなたが私にくれた、やがて過去の思い出に変わることを知らずにいた夢。

『ずっと、いつまでも好き?』と、聞いて、照れるあなたと交わしたゆびきり・・


遠い明日まで見渡すことが出きた日々・・。

ふたりなら、きっと出逢いを振り返って、子供のようだった自分達の姿を感じてくれるんだって・・


まさか、あなたが隣り街で有名な"嘘ついたら鼻の両穴に牛ガエル詰め込み爺さん"の弟子だったとは・・

ちっちゃい嘘ついてたこと、ばれちゃったからなぁ・・ エライ目にあった。。

まだ、牛ガエルのほうが・・


第、111話  オレンジ色の夜空  (2001.08.15)



彼にも私にも時間と言う、現段階、必要な物ベスト1に輝く素材が不足していた。

まぁ、彼に必要であるのかは、ともかく・・


夏祭り、ひぐらしも鳴き疲れ、数々の提灯の灯りが映え始める頃。


大人から見たら、子供に分類される年齢だ。

きちんと門限は標準装備。


「やばっ、今、何時頃かなぁ・・」


携帯電話を家に置いたまま、ちょっと近所のコンビニに出た彼を、ふ菓子の匂いを嗅がせて、ここまで引きずり出してきたんだ。


「えっ、たぶん、まだ、ぜんぜん、6時前ぐらい・・」

「少し、陽が短くなってきているんだね」


しめしめ。時間おんちと言う噂は本当だ☆


「でも、『陽が落ちたらすぐ帰れ』って言われているから」


おまえは小学生か!!


「それに、大昔、我が家が申し込んだマイラインどうなっているんだ」


私が知るかぁ!


「あと、おまえんちの爺さん、イボ時!」


うるさい!!


「ねえ、あのね・・」

「えっ、あ、、今度、、さよなら」

「・・・・・・私、、」


出店で、なつかしい砂絵を見つけた。

色のついた砂を、のりをつけた紙に張り付けていきながら絵を作る。


「おじさん、そのオレンジ色の砂だけ売ってくれたりはしないわよね?」

「どのくらいだね?お嬢ちゃん」


むかぁ!


「西の空、一面に張り付けられるぐらい!」


第、110話 エピローグ  (2001.08.09)


あなたの左手を両手で握りしめて、

肩先にオデコを乗せて、瞳だけで泣いた・・


もっと、強いわたしなのに・・


思い出の景色は、一秒の時の確かさを証明するかのように、

「あと少しだけ・・」と、願うわたしの手から、あなたを振りほどいていった。


エピローグ・・


「愛されていたことが嬉しかった」と、

去り行くあなたに囁きかけた。


陽が落ち始めた並木路で・・


エピローグ・・


『愛されていたことが嬉しかった』と、

もう一度、あなたの後ろ姿につぶやいた。


私ではなく、世界珍品ビックリおっぱいおじさんが・・


第、109話 らくがき  (2001.08.01)


夏休み。

駅につづく舗道。

額から流れ出る汗と白いハンカチーフ。

自販機で缶コーラを買い、一気に飲み干す椎名克広と偶然・・

「私服の椎名くんって、いいほうにイメージ違っちゃったかな・・」と、私。

微笑みあう、ふたり・・


街の風景と風の匂いが、いつしか美紀の心の中にらくがきをしていた。


そして・・


「私服の椎名くんって、いいほうにイメージ違っちゃったかな・・」と、私ではなく、島田希美恵が・・


目の前の暑さでゆらぐ現実が心の中のらくがきをすべて消し去っていった・・


そして・・


街の風景と風の匂いが、いつしか畳屋弥次郎兵衛の心の中にらくがきをしていた。


「あの畳で出来た高層ビルは、おらが建てただぁ!」


暑さでゆらぐ現実が心の中のらくがきを・・  さらに、弥次郎兵衛の脳みそまで、あおるあおる。。


第、108話 見つめられたい  (2001.07.26)


蝉がいっせいに鳴き出した。


「佐々原君、曜子先生を探してるんでしょ!?」

晴香は、教室の窓を開けてベランダの手すりから身を乗り出している佐々原大輔に言った。

すると、佐々原大輔。

「あっ!曜子先生ぇ」


気がつけば、ベランダは男子生徒でいっぱい・・

隣のクラスも・・その隣のクラスも・・

そして空にはアドバルーン括り付けられ快感生きがい炎天下ハゲおやじがいっぱい。

下からバスト93CMの曜子先生が見上げて手を振ると、ベランダでは盛んにウェーブが・・

いつしか、校庭に現われ出る各種スカウトマンの方々・・

空からゆっくり地上に着陸しようとして、墜落していく炎天下ハゲおやじがいっぱい。


夏休みの登校日。

教室にチャイムが鳴り響く・・


晴香は、前の席に座る佐々原大輔の頭に、担任の目を盗んでイキのいい蛸を一匹乗せる。

佐々原大輔はちょっとだけ振り向き『また悪戯しやがって』って顔をして、蛸を晴香の頭に乗せる。


「佐々原大輔のバカ・・」

声にならないほどの晴香のつぶやき・・


「海に帰して・・」

蛸さんのつぶやき・・


蝉がいっせいに鳴き出した。


第、107話 震えているから  (2001.07.19)


今だって、遠くから見ている。


あなたの笑みが途絶えてしまってから、3週間ほどが経った。

ふたり、別れたんだもの・・理由(わけ)なんて聞けないじゃない・・

あなたが、あの娘(こ)を愛したんだもの・・心配してくれる恋人(ひと)がいるんだもの・・


去年の今頃だったはず・・

あなたが期待していた夢、ちょっとだけあなたは足を踏み外して・・

その時のあなたの寂しさを、あの時の私は一人占め・・


ただ、今は・・

くやしくて・・ くやしくて・・


わたしは今の自分の醜さを客観的に、あなたが私から離れていった気持ちと同化していく・・


けれど今だって・・

愛しているから・・ 震えているから・・


まぁ、震えは、まぐろの目ん玉のかき氷練乳がけのせいかも知れないけれども。。


第、106話 あかり  (2001.07.12)


「あの部屋のあかりから明日に変わる瞬きのための一瞬の闇を照らす希望をもたらそう」

綺子は立ち止まると回りをきょろきょろと見舞わし小首を傾げた。

・・・空耳かも知れない

家の玄関を開け「ただいま」と一言、自分の部屋に入っていった綺子は鞄の中からノートを出し、

授業中にこっそり悪戯描きしていた妖精のイラストをちゃんとした一枚の絵にしてみた。

「これ、コンテストに出せるな」

綺子はコンテストの募集要項の載っていた雑誌をちょっと散らかった部屋の中から掘り起こし「ふむふむ」とうなずいた。


数ヶ月後、コンビニで買ってきた例の雑誌から"川村沙也香"の名前を最優秀作の文字の下に見つけた綺子は

その名前の住所(○○県○○市までの掲載だが)まで何度も見つめなおした。

・・・こともあろうに、恋敵、川村沙也香が最優秀作。彼女はなんていったって美術部の部長。間違いない。

綺子は、自分の名前が佳作3名の名前の最後にあることすらまだ目に届かず、部屋のベットにへたりと座り込んでしまった。

携帯の着メロに気付いた時は、部屋の中がだいぶ薄暗くなりはじめた頃だった。


うれしくない・・・

始めて雑誌の募集とかで佳作なんてもらったのに・・・

私の上にはいつも川村沙也香がなぜかきまって出現する。

何人かの友だちが"おめでとう"と電話を掛けて来てくれたりメールをくれたりはしたのだが・・・

川村沙也香の彼氏、宮本徹也は幼なじみでありながらなにも言ってはこない。

当然だ!自分の彼女が最優秀作に選ばれたのだから・・・


「この部屋のあかりから明日に変わる瞬きのための一瞬の闇を照らす希望をもたらそう」

綺子ははっとして回りをきょろきょろと見舞わし小首を傾げた。

・・・空耳かも知れない

その時、携帯に一通のメールがはいった。


あらためて佳作3名の名前の最後にある自分の名前をまじまじと見た綺子は、

佳作にも一行ほど審査員の評が添えられてあることに気付いた。

"小さな部屋の小さなあかりの下にいる妖精の大きな瞳の中に

あかるい陽を浴びた庭が描かれているところにテーマを感じた。"


綺子は宮本徹也に、メールのお礼の返事を送った。


そして、また数ヶ月後・・・・・・

「この部屋のあかりから明日に変わる瞬きの・・・」ばしっ!

「つっかまえた☆ 妖精一匹みっけ☆」


妖精は、はたしてこの女の応援をしてきたことが正しかったことなのかを、

ハムスターが飼われるための籠の中で、ハムちゃんと一緒に考えていた。


第、105話 ねがいごと  (2001.07.05)


「よっ!織ちゃん、短冊に願い事書いたか☆」

「それがね、彦ちゃん、星占い見たらとんでもないことになっているのよ "ねがいごとは叶うことはありません"ですって」

「星占い、当たったためしないからなぁ。」

「でもね、ここ当たっているのよ!"身内に災い" 今朝、うちの爺ちゃんね、カブト虫にひっくり返されてやんの」

「おまえんちの爺さん、クワガタか!」

「彦ちゃんの見せてよ」

「いや、まだ書いてなかったんだけど・・・」

「ん、なんて書いているんだ」

「覗くなよぉ」

「けち」


彦ちゃんの短冊『織ちゃんのねがいごとが叶いますように。』

織ちゃんの短冊『いつまでも彦ちゃんとふたり、幸せでいられますように。』

爺ちゃんの短冊『カブト虫に負けない体をください。』


「それで、さっきの星占いってどれ?」

「この本の・・ほらここ、ここんとこ」


★☆★星占い★☆★

ねがいごとは叶うことはありません。

(しかし、あなたにお爺さんがいたら、お爺さんが身代わりになってしまうかも知れません)

★☆★★☆★★☆★


第、104話 ひとくだりのノート  (2001.06.28)


「ただいまぁ」

「浩子、お父さんったらまた転勤なんだって・・」

「お母さん、うそ!ここへ来てまだ1か月もたってないのよ」

「ごめんなぁ、浩子、お父さんの仕事が幻のフジツボ"竹林久美子ちゃん"を追いかけ隊、

書記係補佐の補欠の篠山さんの助手候補なばっかりに・・」

「お父さん、会社でほされてるものね」

「浩子ぉ、約してくれなくたってもいいんだよぉ・・」

「でも、そのために学校での友だちや思い出のひとつも、出きやしないわ」


「あぁ〜、せっかく今度の借家では自分の部屋がもてたのになぁ〜」

しばらく勉強机に頬杖をついていた浩子は、今日買って来たばかりのノートを開き、その真っ新な1ページに・・・


『まだ、あなたに恋をしたばかりなのに・・・』

小さな文字でこう書くと、閉じたノートを胸に抱き寄せ、ため息をついた。


第、103話 真実  (2001.06.21)


あなたが好みそうな女性像は、限りなくわたしなんかじゃない。

わたしは、あなたの中にはいないし・・・

あなたは、わたしではない・・・


あなたは、わたしの部屋にかわいい動物のぬいぐるみが飾られていると思っているのかも知れない。

けれど、わたしの部屋にはかわいいリストラ地獄絵図表情のサラリーマンちゃんのぬいぐるみが飾られている。


あなたは、わたしの好きな花は春に咲く野の花の清らかさだと思っているのかも知れない。

けれど、わたしの好きな花はリストラ地獄絵図表情のサラリーマンちゃんを

丸呑みしているウツボカズラの隣で健気に咲く奥床しい花だ。


たったひとつ、あなたが本当に知らない、わたしの天邪鬼な性格。

わたしは、あなたの中にはいないし・・・

あなたは、わたしではない・・・


第、102話 彩り  (2001.06.15)


♪あなたの星座に"いいこともあるから"って・・

メールへのコピーに小さな嘘を添えて・・

微笑みを絶やしてほしくなくって

哀しさで笑顔をなくさないで、と・・

言葉の彩りわたしが描いたあなた♪


ぼくは、彼女がこの路で歌うこの唄を随分と聴き流していた。

無精でためたメールをひさびさに覗いてみるまでは・・

常連の、ホルスタインを帽子がわりじいさんの踊りの誘いもことわり、

常連の、ピエロ顔メイクのハモ100匹抱きしめばあさんの踊りの誘いもことわり、

今日はぼくは踊らずに、じっと彼女と向き合って聴いていた。


♪瞳を合わせて想いをつたえることも・・

その胸に涙を染み込ませてゆくことも・・

身勝手にあなたを好きでいること

あなたから否定を受けたくなくて・・

言葉の彩り唄うことが精一杯・・♪


おかげさまで、2周年にゅんですo(=^-^=o)(o=^-^=)o

第、101話 6月の絵日記  (2001.06.08)


あなたがバイトしていると訊いた店、喫茶店"跨がり金魚"の閉店時間。

ドアが開き、あなたともうひとり・・親しげな少女・・

店の前の紫陽花の様な柄の傘にふたり。

「告白をしに来たのよ、わたし・・」

限りなく自分の耳にしか捕らえられないほどのつぶやき。

店のマスターがふたりを見送る。

「婚約、おめでとう」

マスターを乗せた金魚が店の中に戻る。

「告白をしに来たのよ、わたし・・」

紫陽花に身を隠すように小さくうずくまりながら・・


おかげさまで、100話突破にゅんですm(=._.=)m

第、100話  歩きはじめよう   (2001.06.01)


"さよなら"って今、言えたこと・・・

この数秒に満たない出来事が、あなたと私の人生にどんな波紋を広げて行くのだろうか・・・

愛してくれているからこそ、あなたは私を抱きしめた・・・

けれど・・・

わたしは、あなたの後ろ姿の向こうに、あなたの探していた未来を信じることが出来るから・・・

"すき"と始めて言えた日の感情を託すことが出来るから・・・


・・・と、駄菓子屋のおばあちゃんが『おらの若い時の恋』と言ってきかないにょです。。ヾ@_@=


第、99話  脇役   (2001.05.23)


「あのひと、校庭の・・あそこいる・・」

「ああ、村山くんね!この学校では霊長類手品化と呼ばれているのよ」

「あの〜」

「村山くんが学帽をとると、誰もが中からうさぎを出すと思い・・」

「はぁ・・」

「村山くんが公園で鳩にえさをあげてたりすると、たまたまそこに居合わせた人達も"きっと彼が手品で鳩を出したんだわ"と思い・・」

「・・・」

「村山くんがなにか食べていると、"碁石の黒を二つ出せ!"とリクエストが飛び交い・・」

「それって、人間ポンプ・・」

「手品体質なのねぇ・・」

「あっ、違うんです。。その彼のとなりでいっしょにふざけ合っている・・」

「えっ!あ・・ごめん・・転校生殿、、でも、私もあのひとはよく知らないなぁ・・」

「幼稚園の頃、森下さとしくんっておとこのこがいてね、、私のことすきって言ってくれた最初の男性なのよ」

「で?」

「なんとなく、その森下さとしくんに似てたもんだから☆ その村山さんって手品師のとなりにいる・・」


「お〜い、森下、そろそろ帰るか」


「ねぇ、今・・森下って・・」

「言ったわね♪」


「さ・と・し・くん?」

「えっ、、あれ、、もしかして浩子か?幼稚園でいっしょだった・・」


その時、ミスター手品師こと村山は制服の小さなポケットから大きな薔薇の花束を出したかと思うと、

それを森下にさっと手渡し、浩子のほうへ駆け出さんとしている森下の背中をかるくそっとポンと手で押した。。


第、98話  シンデレラ  (2001.05.17)


「幸司、シンデレラの話、しっているでしょ」

「おう、お城に行ったシンデレラが、12時の時報とともに王子さまの前から消えたかと思ったら、

お城の庭で野グソをたれてて、翌日、王子さまの使いにお尻の穴を嗅がれて野グソの犯人だとバレて、

王子さまと結ばれたと言うあれだな」

「そう、それ!」

「で、シンデレラがどうした?久美子・・」

「幸司が誕生日に買ってくれたこの靴・・幸司は魔法使いじゃないし、

靴はガラスの靴じゃないけれど、この靴はきっと、私のこの足にしか合わないの・・」

「うん、それ、オークションで競り落したジャイアント馬場(故人)のリングシューズ」

「あら、大きな22.5CMだこと♪」


第、97話 花便り  (2001.05.10)


「今、女子高生の間で一本締めが大ブームなんだって?」

「つい、こないだまで三三七拍子だったんじゃないの・・?」

「女子高生の学園内での一本締めを禁止するところも出てきているとか・・」

昼食時、喫茶店にて、このような会話を耳にした和久は家に帰るなり娘の好美に向かって、、

「お、おまえ、親に内緒で一本締めなんか仕出かしてないだろうな!!」

などと、いきなり怒鳴りつけたりするものだから・・・

「なによ!おとななんて、何にもわかってないんだから!!」

と、好美は父親に怒鳴り返して家を出て行ってしまった。。と、


・・・そんな話はさておき、、


「ねえ、おばあちゃん、その、子供の頃、紫陽花の咲く季節に『また、かならず逢おうね』って男の子と約束をした女の子の話・・」

「なんじゃ」

「大人になっても紫陽花の咲く頃、その約束を信じて雨の降り注ぐ庭の紫陽花を見つめてたって・・」

「大和撫子じゃのう☆」

「さすがに男の子のほうが約束を果たして再会なんて、現実にはないよね」

「そのとおりじゃ!男と言う生き物は!!!」

「しかし、偶然再会ってことも時としてあったりなかったりじゃな。。」・・と、

縁側で、庭の紫陽花を眺めていたおじいちゃんがぽつりと会話に加わった。。。


「それより好美や、愛しいパパが雨の中、お出迎えじゃぞ」


第、96話  ロマンチック・ブギ  (2001.05.04)


「ねえ、もし、私の記憶が戻っちゃったら、あなたはそれでいいの?」

「えっ!」

「たとえばの話よ!」

「な、、、なに?なに?なに?」

「もし、私があなたと出会った三か月前のあの時すでに、記憶喪失だったとしたら・・」

「なんだ?なんだ?なんだ?」

「たとえばの話よ!」

「なんだ・・」

「前の恋人がいまごろ私のことを必死こいて探しているかもしれないのよ!」

「・・・・・・」

「もしかしたら、すでに結婚しているかも☆」

「けっこん!!」

「たとえばの話よ!」

「なんで・・」

「ロマンチックだと思わない?」

「なんでぇ??」

「もしかしたら、私は深沢恭子かもしれない」

「そりゃ、ない」

「田中麗奈かもしれないのよ☆」

「な、訳ない」

「なによ!私のこと『愛してる』って言ったのは全部ウソだったのねぇ!!」

「なんだぁ?」

「私は、ただ、あなたとのこの三か月間を失いたくないのよ!!」

「よっ!藤原紀香!!」

「あら、そう☆」


「ねえ、あなた、隣の部屋の若いカップルって、このアパートに来てから毎日、同じこと言いあっててよく飽きないわよねぇ・・」

「一か月が二か月になって三か月になったぞ」

「ねえ、若い頃、私のこと『愛してる』って言ってくれた一つでもホントだった?」

「よっ!アブドーラ・ザ・ブッチャ―!!」

「記憶失ってもらおうじゃないの!!」

「よ・・よっ!藤原紀香ぁ!!」

「あら、そう☆」


第、95話  ビーちゃん  (2001.04.26)


あなたは、いつだって私の気持ちを一番に理解してくれる。

幼い頃から、あなたはいた。

名前はわたしが付けてあげたんだ。

"油漬けビー玉掴み箸ゑ門・約してビーちゃん"

やっかいな私の性格を無理なく掴み取ってくれる。


和樹とは大違いだわ!

いつも、私の勘にさわることばかり・・

今日のことだって・・


私の心の中のビーちゃん・・

わたしは、あなたになりたい。

和樹のためのビーちゃんに・・


第、94話  プリズム  (2001.04.19)


我が家に物心ついた頃からある額に入ったクラゲの写真。

お婆ちゃんだったのね・・・

最近、お母さんがだんだんクラゲに近づいて来ているのでわかった。


ある晴れた日曜日・・・

押し入れの奥のほうから桐の箱に入った古い着物とかんざしを大発掘!

そして、数枚の写真・・・

その着物を着た私だ!

お母さん曰く「お婆ちゃんよ」

そうか・・私も年をとったらクラゲになるんだ。

結婚式の写真とかも出て来た。若いお爺ちゃんをはじめて見た。

「未来ちゃん、ちょっと着てみたら☆」

髪も、簡単におだんごにしてかんざしつけて、、庭に出て記念撮影。


私は急いでその着物と一緒に入っていた写真を見直してみた。

いない・・

目映い太陽の下、カメラのレンズに吸い込まれていった光と化した私の脳裏に一瞬だけ現われたひと・・・

お婆ちゃんの一番近くにいたひとだと確信できていたのに・・・

私はいつしか無意識に髪にさしていたかんざしを手に取り見つめていた。

そして気がつくと自分ではどうにもならないほど目から涙がこぼれ落ちていった・・・


第、93話  愛が足りないあなたへ・・  (2001.04.12)


「おじいちゃん、家族を集めてどうなさったのですか・・」

「お・おじいちゃんはな、、看護学校を受験して赤毛でロングヘアーの看護婦になる!!」

このような、昭和の初期までは、どこの家庭でも見られた光景が、

すっかり、お目にかかることがなくなってしまった現代日本ですが・・・・・・


ぷちっ


あ〜ぁ、テレビ番組もろくなものやってないなぁ・・

いくつもテレビ局あるくせに、どこかひとつぐらいおもしろいのやっててほしいわよ!


理沙は、テレビのリモコンを床に転がすと近くのかならず手に届くところに置かれている雑誌を取り、拾い読みをし始めた。


俊夫は、駅前の本屋でなにげなく手に取った本をかるく立ち読みしていた。


『愛が足りないあなたへ・・』


一瞬、恋人紹介の企業かなんかの広告と思い、ページをめくっていったが、再び、ページを探っているときに、また目に止まっていた。


『愛が足りないあなたへ・・』


俊夫は、その本を手にレジに行き、会計を済ませるとその店を出ていった。


その本はインターネットの情報誌だった。

『愛が足りないあなたへ・・』は、ある人気サイトのタイトルで、その個人サイトを特集したページだった。

そこのサイトでは、掲示板かフォームを使ったメールで指定日とホームページやメールのアドレスを書き込んでおけば、

かならず"いちじく仙人"と名乗るそのサイトの管理者が指定されたアドレスに、指定された日に、無料で愛の言葉を書き込んでくれると言うこと。


☆☆☆いちじく仙人様、こないだは開設してまもないぼくのホームページの掲示板なんかにお祝いの書き込みをありがとう。俊夫☆☆☆


☆☆☆ほんとに誕生日にメール届きました。東京に来て1年目でパソコン買ったばかりだったから、なんかとってもうれしかった。理沙☆☆☆


いちじく仙人と名乗る男は、今日も仕事から帰り、すっかり人気サイトになってしまった自分のホームページのその日の約束事をこなし、

掲示板へのお礼の書き込みやメールを見ては微笑み、深夜おそく、ふとんにもぐりこんだ。

「今日もいっぱい愛を配達したな」と小声でつぶやき、ひとり小さく、ふとんの中まるまって・・・


第、92話  もう一度・・   (2001.04.05)


まだ、あった・・5年前、ふたりが知り合いよく訪れたピザハウス。

ドアを開けると相変わらず食器洗浄器の中で楽しそうに滴りながらマスターが

「いらっしゃい」と、辛うじて口の動きとドングリまなこで言っているのがわかる。

5年前・・

あの頃、ヒットしていたあの曲が、またリバイバルされて、店の中に流れている。

ふたりでよく口遊んでいたあの曲。。。


♪あなたとよく訪れたこの町のピザハウス 見つめあった 微笑みあった 恋の記憶が滲む

さよなら急かしてた理由はもうない 幼すぎた恋は過去の物語

もう一度・・ここから出逢いたしかめさせて  もう一度・・ふたりの恋をたしかめさせて

もう一度・・叶うのなら・・♪


あなたといつもこのテーブルに座っていた。

あなたといつもオレンジジュースを注文していた。

そして、あなたはいつもマスターと一緒になって、

食器洗浄器の中で楽しそうに滴りあっていた。

あの頃をやり直せたならば・・

そう、さよならを急かしてた理由は、ふたりにはもうない・・


もう一度・・ここから出逢いたしかめさせて。 もう一度・・ふたりの恋をたしかめさせて。

もう一度・・叶うのなら・・


第、91話  決心  (2001.03.29)


「あなたを、あきらめることにしました」

やっちゃった・・・

留守電に記録された私の衝動・・・

あのひとは、これを聞いた時、たぶん無表情に音声解除しちゃうんだろうなぁ・・・

「・・・・・・」

今から、あのひとの家に忍び込んで、わたしが先に音声解除しちゃおうかしら。。。

ピポピポピポピッポッポ〜♪

ん、ありさんとありさんがごっつんこぉ〜♪ ・・って、で、電話が鳴ってる・・・

あのひとからだったらどうしよう・・・・・・

ピポポンピポポンピッポッポ〜♪

ん、ばななんばななんばっなぁな〜♪・・って、携帯が鳴ってる・・・

あのひとからだったらどうしよう・・・・・・

ピンポンピポピポピポポンポォ〜ン〜♪

ん、畳にのの字の半魚人〜♪・・って、玄関のインターホン・・・

あのひとからだったらどうしよう・・・・・・

「・・・・・・」

「・・・・・・」

「・・・・・・」

いたずら・まちがい・新聞屋・・・

来るわけないじゃん・・最初からきらわれているのに・・


第、90話  月の夜  (2001.03.22)


クレヨンで描かれた太陽。

目映かった幼き恋・・

スケッチブックの中のきみとぼくが、並んで歩いていた春夏秋冬。


・・・月の夜

天体望遠鏡で覗いたのは、うさぎもいないなにもない場所。


苗字が変わる、きみからの招待状・・・


・・・星の夜

一瞬、遠い夜空に流れたのは、燃えつきぬまま落下するかけら。


・・・と、思いきや、風に飛ばされている、アドバルーン括り付けられ快感生きがい月明かりハゲおやじ。


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