横浜マタタビバージョンのFUNI WORLD

おバカショート劇場。

FUNI WORLD (7)


第、210話  あなたが振り向く日まで (2003.07.13)


休日、用務員のおっさん特製のシュミレーションゲームでひとり遊んでみた。

それは、ある日、用務員のおっさんの部屋に花を持って行ってあげた日に、お礼にとくれた物。

題して、"用務員のおっさんメモリアル" ・・だそうだ。

このタイトルのイメージの悪さから机の引き出しの中に封印していたけれど。

実はわたし、不覚にも好きなひとが出来てしまった。

用務員のおっさん曰く、

『これは、世界最強の恋愛シュミレーションゲームなのだ!』 ・・そうだから。

しかしこのゲーム、なかなか高度で緻密で繊細で、

ゲームの美男子君は一向にこちらを振り向いてはくれない。

(1)思わせ振りに振る舞ってみても・・

(2)ヤキモチを妬かせようと作戦を繰り出してみても・・

(3)風邪を引いた事にして、学校を一週間休んでみても・・

美男子君がこちらを振り向くことは、けしてなかったのである。

わたしと言う女は、シュミレーションにしてこんなものなのか。

好きなひとの顔が浮かんでは涙が零れて来た。

現実の学校に行けば、わたしの好きなひとは目の前を通り過ぎようと、

手の触れ合う距離に近づいて来ることもないまま。

なんとかわたしに振り向いて欲しくて、

(1)思わせ振りに振る舞ってみた。

(2)ヤキモチを妬かせようと作戦を繰り出してみた。

(3)風邪を引いた事にして、学校を一週間休んでみた。

けれど・・

シュミレーションゲームは、現実を物語っていた。

こうなったら、用務員のおっさんに攻略や裏技を聞き出しすしかない。

「ねぇ、おっさん、あのシュミレーションゲーム難しいよ」

「たとえば、ジグゾーパズルはな、ピースを一ピース変えてしまっただけで、

そのジグゾーパズルは、永遠に完成されんのじゃな」

(1)思わせ振りに振る舞ってみる。

(2)ヤキモチを妬かせようと作戦を繰り出してみる。

(3)風邪を引いた事にして、学校を一週間休んでみる。

全部、間違ったピースだったんだ。

「おっさん、ありがとう!」

わたしは、早速、好きなひとを呼び出して、一言だけ告げてみた。

「あなたが好きです」


第、209話  忘れちゃった (2003.07.06)


恋が終わりを告げてからしばらくは立ち直れなかったけれど、

人間って辛い事から自分を護るために忘れる事の出来る動物だったんだね。

忘れられるまでには確かにいろいろと、あったけれど・・

元カレの姿を見付け縛り付け、ビルの解体現場に担いで連れて行き、

元カレを舗道に仰向けに寝かせて曇り空を見上げていたあの日・・

でも、そんな事もう、忘れちゃった。

後ろ姿が元カレに似ていた人を、警報ベルがけたたましく鳴り響く銀行に、

ジャイアントスイング30回転から手を放し投げ入れ、

銃声の中、

ちょっとはにかんで「バイバイ」って・・

でも、そんな事もう、忘れちゃった。

明らかに元カレではない見ず知らずの人の延髄に・・

忘れちゃった。

もう、すべて遠い昔の事なんだ。

よしよし、自分 (*^^)ヾ(▽^ )

しかし、事件が起こった!!

事も有ろうに元カレから今更、携帯にメールが・・

"やり直さないか"

てやんでぇ〜ばかやろうぅ〜イボ痔やろうぅ〜、、

こんな携帯ブッ壊してやる!

ピンポ〜ン♪

「は〜い」

「宅配です」

ありゃ、こりゃまた、元カレ似のあんちゃん。

エルボー!o(”>_<)っ★(#’3’)

「あの〜、エルボーではなく、ハンコを・・」

「どうも、ごくろうさ〜ん♪」

あれ、私の携帯が壊れてるよ、なんで (~--)??

でも、忘れちゃった〜(。^。)

そう言えば、さっきからヒジが痛いんだけれども・・(~--)??


第、208話  サボテンの花 (2003.06.27)


女子寮のルームメートである彩華がサボテンを買って帰って来た。

そして「サボテン初心者なのに買っちゃった」と、悩んでいる。

「じゃぁ、何故、買って来たのよ」と、言わせてもらうと、

「琴美、終わりがあれば始まりもあるものよ」と、有り難いお言葉を仰しゃられた。

まあ、もっともな御意見ではあるのだけれど。

でも、どんな感じでこの女、このサボテンを衝動買いしたのだろうか。

「ふむ・・・」

ある日、彩華と言う、うら若き娘が街を歩いていると、

一人のしょぼくれた老人に突然後ろから声を掛けられた。

『ちょいとそこのお嬢さん、このキュートなサボテンはいらんかね』

『いえ、わたくしは、このようなトゲトゲ植物は、どのように扱えばよろしいのかと』

『それほど手間はかからんよ』

『いえいえ、わたくしは面倒をじっくりと見てしまわぬと済まない性分なもので』

『水は毎日やったらあかんよ』

『そ、それは、余りにも寂し過ぎます・・』

『男でも、少しほったらかしていたほうが好む奴もおるじゃろうに』

『そ、そんな、、』

『甘えたがると、煙たがれるだけじゃ』

『あれぇ〜 何を〜』

『ハシラサボテン浣腸じゃぁ』

『ぜ、ぜひ、買わせて頂きまするぅ〜、、あぁ、いたいぃい〜』

「ふむ・・・」

ま、まさかね。

「逢いたいだけだったのに、毎日のように・・」

「え、彩華、痛いの好き?」

「琴美、サボテンってね、毎日、水あげたりしたらいけないんだって」

彩華はサボテンと一緒に買って来た"サボテンの育て方"と言う本を片手にそう言った。

「このサボテンは、きっと、ちゃんと、花を咲かせてあげるんだ、わたし」

彩華はそう言いながら、テーブルの上のサボテンを見つめていた。


第、207話  夢占い (2003.06.21)


最近、めでたく付き合うことになったカレが私に「長い髪が好きじゃ」と言うので、

今日、すっきりと短く髪を切ってみました。

公園のベンチで昼寝していた見知らぬバーコードおやじのバーコード毛をすっきりと。

だって、自分の切る訳ないじゃない! ・・ん、短く、すっきり。 ・・ん。

そんな訳で、自分の髪も切っちゃいました! (^o^)//""パチパチパチ

だって、すっきりしたかったんだもん。

カレ、逢って私見て、なんて言うだろう。

たとえば、「なんで切っちまったんだよ〜 ほげぇ」とか。

で、なければ、「おまえなんか、別れてやるぅ〜 ふぎゅ」とか。

もしかして、「公園のベンチで昼寝しているバーコードおやじが好き!」とか。

えっ!バーコード切っちゃったし・・

実は、明日は初デートなんだ。 早めに寝とこ☆

もちろん、カレは夢の中で私にこう言うの。

「短い髪のきみも好きじゃ」 _(^^;)ゞいやぁ

だって、「長い髪が好きじゃ」って言われた時からずっとモヤモヤしてたんだもの。

カレには私を好きでいてほしい。 ずっと・・ ずっと・・ ずっと・・

そして眠りに就くと、夢の中のカレは・・

「公園のベンチで昼寝していたバーコードおやじはオレのおやじじゃ!」

あらま、以外な結末 w(゜o゜)w まさか正夢なんかじゃ (°O°;)

朝起きたら、なんだかデートが恐くなってきた。

逢う前に、恐る恐る電話・・ 「長い髪、切っちまっただよ・・」

するとカレは「短い髪のきみも早く観たい」だなんて (o⌒.⌒o)

めでたくラブラブ初デート♪゜゜手を繋ぎ歩く公園〜♪゜゜もう、とっても幸せ〜〜♪゜゜

すると、背後から「もしや貴様らか、わしのバーコード切った奴らは!!!」

な、何を根拠に、こいつ <( ´ ⌒`)ゞ と言いながらも、
<br>手を繋ぎながら、逃げろ、逃げろε=ε=ε=( ゜゜)ρ( ^^)ノきゃは


第、206話  ホタルを見に行った日 (2003.06.13)


「ホタル祭りがあるんだよ」

なんと、憧れの年下新入社員Babyから誘いを受けた。

「ホ、ホタルって、"光る血便うんこ" ・・で有名なホタルのこと?」

「そうそう、一緒に見に行かないかい」

こ、これって、デートのお誘い・・☆

な、わけで・・

まさに、夏の風物詩だった。

私とBabyの目の前には、ゆらゆらと無数の血便うんこが舞っていた。

カエルの大合唱の中、Babyは私にこう言った。

「来年も、一緒に来ようね!」

やった、一年契約ゲット!! 自動更新の可能性あり(*^ー゜)v

なんだったら、正社員として永久就職の道も・・(*゜ー゜*)ポッ

再就職にして、この待遇! ・・あ、こりゃ知られているんかな_(^^;)ゞ

でも、我が部屋に帰るなり、一人ぼっち・・

あれほどの数のホタルだったのに、

アパートの窓の外に見える、物干し場スペースほどの雑草広場では、

一匹たりとも見ることは出来ないんだね。

なんか、さっきまでBabyと一緒だったことまでが、夢だったような気がして来る。

やっと、ばついち女、一人暮らしに慣れ始めて来たと思ってた所なのに・・

こんな時には、再び窓に目を向けると、そこには・・

「あっ!一匹だけ、光る血便うんこ☆」

ヽ(´)ノ〜♪ あなたの描いた絵だったんです〜♪

オー ヘンリーかよ!(°o゜)\バキッ

教えたての携帯のメアドに、Babyからのメールが届いた時、やっと、現実の出来事に戻れた。

なんだか、現代人よね〜 、、

"来年、再来年と、もっともっとホタルが増えていてくれたらいいね" って。

二年契約ゲットか・・v(^o^")v

Babyも、会社の寮で一人部屋。 ふたり、今、とっても同じ気持ち_(v_v)oO゜てへ

あっ、再就職の件は・・

"この履歴書は、有印私文書偽造の罪により"・・ って・・

げっ (;゜〇゜) 早めに白状しとこ・・


第、205話  手を洗う (2003.06.07)


如何なものでしょう・・ SARS。

「うがいをする。 手を洗う。は、常識です」

保健教師N子が、校長先生よりデカい態度で朝礼での説教。

そりゃ、そうでしょう。

日本には仮にもまだ感染者が出ていないとは言え、予防は大切。

でも、私には、今はこの右手が大切。

なんたって、あのジャニイボ痔務所の爛れ皺穴丸とサイン会で握手した黄金の手ですもの☆

ここ3日は、お風呂でもビニ手袋でガードしてたんだから!

しかし、 予想だにしていなかった事件が・・

「おまえ、爛れ皺穴丸と握手したから手洗ってないんだってなぁ」

と、木村"落第人間"道彦が、事も有ろうに私のゴールドハンドを握りしめ、

「うわぁ、ばっちぃ、ばっちぃ、早く手洗わなくては!!」って・・

きさまの知能は幼稚園児か!!!

ん、もう、、くやしいぃくやしいぃくやしいぃくやしいぃくやしいぃくやしいぃ・・

ん、なんか、べつにくやしくないや・・

私もこの手、とっとと洗っちゃおう、と。

如何なものでしょう・・ SARS。

『うがいをする。 手を洗う。は、常識です』

いつでも握って貰える手がそばにあるならば・・

「道彦、土曜日どこかに連れてけよ!でなきゃ、また腐れ皺穴丸のサイン会行くぞ」

・・な、具合に。


第、204話  石けん (2003.05.30)


我が家のお風呂場には、ボディーソープとはべつに石けんが置かれている。

ママは勝手に私のボディーソープを使うのが当然になってしまっているけれど、

パパは石けんが好きらしく、おばあちゃんと一緒に仲良く石けんを使っていた。

しかも、これ、無添加石けんと言う、昔ながらの、ネズミもかじる高純度物!

ママも実は昔はお気にで使っていたらしいんだけれど、若振るの好きな女だからね。

昔だったらどこでも買えたらしいが、今ではわざわざ通販を利用して手に入れている。

おばあちゃんは、お風呂上がりの私に向かって、

「おなごは石けんの匂いば付けとかんと男にもてんぞ」

と、お色気ババアっぷりを発揮していたけれど・・

そんな、おばあちゃんも、こないだ突然亡くなった。

家族で、おばあちゃんの部屋を整理していた時、

おばあちゃんの大切にしていた小箱から何通もの"恋文"が出て来た。

達筆で古い字で、パパが国語の先生してて、助かった。

おばあちゃん、ごめんね。m(._.)m

"銭湯帰りの君の石けんの匂いが今日も麗しく" ・・何やらかんやら。

おじいちゃんから、おばあちゃんに宛てたラブレター☆。

ん、おじいちゃんって、ストーカーの元祖!?

私の記憶にはいない、おじいちゃん・・

そんな訳で、只今、我が家では、遺伝子により石けんの匂いがこよなく好きなパパと、

パパのプロポーズの言葉、『君の石けんの匂いが』 ・・何やらかんやら。

に、今さら酔い痴れたママの二人が、仲良く、ネズミもかじる高純度物を使っている。

そして、私は・・

「ねぇ、おじいちゃんってば、

おばあちゃん、石けんの匂いさせながら、そっち行ったよ!

ちゃんと、おばあちゃんを捕まえられた!?」

・・まぁ、たまに、使ったり、飽きちゃったりと・・。


第、203話  星の万華鏡 (2003.05.24)


星を見るようになったのは、流れ星を探し始めた頃。

晴れ渡った夜空を、眠い目をこすりながら眺めていた。

壊れそうな私の心に星が反射して、宇宙の闇の中に心を描いていた。

春の星 あなたへの想いではち切れそうだった、西の空の木星の輝き。

夏の星 あなたに話し掛けられた日、真っ赤な一等星アンタレス。

秋の星 この想いを打ち明けた、魚座の口元で光るフォーマルハウト。

冬の星 願いは砕けようとも輝きは失いたくない、散開星団プレアデス。

流れ星は一瞬すぎて、もう、涙目では捕まえられない・・

星の万華鏡 一年間の私のHISTORY


第、202話  泣き顔 (2003.05.16)


ちょっとブルーな時はいつも、彼に泣き真似の31万画素を携帯で飛ばした。

ケンカして帰って来た日も、抗議文添えて泣き真似の31万画素を送付した。

小遣い貯めて買った服が、翌日バーゲンで売られていた日も、

「うさぎちゃんを買って来て」と、おじいちゃんに頼んだのに、

"うなぎちゃん"を買って来られてしまった幼子のように、

顔をクシャクシャにしながら、彼に泣き真似の31万画素を携帯で飛ばした。

学校帰り、友だち数人とラーメン屋さんで味噌ラーメンを頼んだのに、

私だけ味噌おやじが出て来て、味噌の匂いに包まれながら、

いろいろと思い当たらない説教を延々と、された時も、

悔しさを顔に落書きしながら、彼に泣き真似の31万画素を携帯で飛ばした。

泣き顔

結局、一度も見せたことはなかった。

泣き顔

数時間前のサヨナラのシーンでも・・

今夜の31万画素は彼の住所録と共に、私の目の前からボタンひとつで解除された。


第、201話  恋をするには恋が必要 (2003.05.09)


わたし最近、片想いに妄想しすぎかも知れないなぁ。

でも、マイ・ダーリン候補もわたしのこと好きだと信じていたいもの。

目が合ったら「今、告白してぇ〜、今よ〜」と願ってしまったり・・

マイ・ダーリン候補がわたしのほうに向かって歩いて来たら、

目が合ったら「今、わたし、抱き締め時よ〜」って叫んでみたりしちゃったり・・

つらい・・

いや〜ん・・

きらきら☆ (*゜ー゜*)ポッ

「やぁ、麗しの君、ぼくは前から・・」

「きゃ!皆まで言わないでぇ、わたしに片想いから先の恋を教えてぇ」

そして、むぎゅっと抱き締められて・・ いやぁ、妄想、妄想 _(^^;)ゞ

そして現実は、マイ・ダーリン候補はわたしの横を通り過ぎ・・

わたしは振り向けど、決して、マイ・ダーリン候補は後ろを振り向く事はなく・・

その背中は、どんどん、どんどん、小さくなって・・

つらい・・

いや〜ん・・

インディアン仕込みの投げ縄 ( --)//〜〜〜○

獲物、捕えたり♪ ・・いやぁ、妄想、妄想 (~ヘ~;)

今度、擦れ違ったら、投げ縄でも落としてみるか・・

そしたら、「やぁ、麗しの君、投げ縄を落とされましたよ」

「きゃ!なんとお礼を申し上げたら良いのでしょう」

「いや、それなら口付けの一つでも」

妄想、妄想 o(〃^▽^〃)o

わたしの恋は、なんだか拾われないんだよなぁ・・


第、200話  うひゃひゃ娘の恋物語 (2003.05.03)


センチメンタルな気持ちになったこと、ありますか?

自分の心が行方知れずになったこと、ありますか?

絶対に欠かせなかったのに、握り締める手を失ったこと、ありますか?

恋愛に傷ついたひとを、少し羨ましく思えてた時期、ありますか?

"誰にも邪魔されたくない"って思ってたのに、自分が邪魔者だったこと、ありますか?

少し、落ちついたら、ひとり、どこへ行こう。

始まりも終わりも知らずにいたみんなへは、笑顔が要求されるから、

こっそり抜け出して、ひとり、どこへ行こう。

みんながいたら、絶対、うひゃひゃのドタバタ小旅行になるからなぁ・・

・・なんて、ことで悩んだこと、ありますか?


第、199話  ふとした時 (2003.04.26)


昨日ね、私・・

「"すき"って気持ちに確信できるまで、ちょっと待っててほしいんだけれど」

と、まあ、告白されたからって、何とも想ってなかった奴に答えるセリフじゃなかったな。

でも、焦った弾みで口から出ちまったんだから、しょーがないか。

なんか小悪魔みたいで、やなんだけれどな。

ん、気にしちゃってんのかな? 私?

一年の頃からバカし合って来た、やから相手に・・ いまさら・・

そして今日、授業中、奴をちらっと伺ってみたり・・

わ!!奴もこっち視てやがった。

くそ、意識しちまったじゃないか、告白なんかして来やがって!!

ん、奴と安心して仲良くしていたいんかな? 私?私?

一年の頃から戦い続けて来た、やから相手に・・ いまさら・・

あ、よそ見を先生に注意されてやんの。あ、廊下に立たされた。

・・もう!バケツに私を入れて廊下に立ってぇ。

ん、奴を愛してたんか? 私?私?私?

一年の頃から・・ やから相手に・・

ふとした時、奴とクラス一緒でよかったな、なんて・・

そして、授業終了のチャイムが晴れやかに高らかに鳴り響いた。

「や〜い、立たされんぼぉ!私、気持ちに確信出来ちまったんだけれど、

・・どうする気よ、バカたれ!きゃはは☆」


第、198話  泳ぐ (2003.04.18)


"落ちない口紅を引いて水の中に滑り込む

それは泳ぐより飛ぶ感じに近く ペンギンのように羽を広げて"

そんなことを夢見ていた私は、今よりずっと子供だった頃・・

あふれるほど恋しかったひとと、やっとわたしは同い年。

ふたりで並んで歩きたかった。

わがままを言って甘えたかった。

わたしの心の中にだけ、仕舞い込んでたひとりごと。

今なら素顔のまま、水の中に滑り込む。

それは、泳ぐ術も無く、増えるわかめちゃんの如く・・

今日、わたし、90歳になりました。かしこ


第、197話  雨天決行 (2003.04.12)


「えっ!天気予報で『明日は激☆土砂降りじゃ』と言ってたぐらいで中止にしたいですって」

と、うら若き女がやっとのことで始めてのデートの約束に漕ぎ着けた、

まだ恋人以前の男の電話に対して怒鳴るのもなんなんだけれど・・

「雨天決行って言葉を知らないとでも言う気!」

・・さて、この恋も終わったな。・・って、冗談じゃない!!

奴が雨の中のシチュエーションの中、私に会うのはおいしいと思うような

口から出任せを至急考えて、電話仕直さなければ・・

「あっ、もしもし、私が雨の中で三味線を狂ったように弾く姿、見たくない?」

てな訳で、今日はデート当日、まんまと奴は来た。

問題なのは、私の手に三味線が見当たらないことだろう。

「カッパ姿にびしょ濡れすっぴん顔、こんな初デートで三味線を弾くだなんて、おろおろ」

奴はどうにか女の涙に負けて許してくれた。泣いてないけど。

やっさしいんだ。

人の姿が限りなくまばらな今日の日曜の午後の繁華街。

雨天決行でしめしめじゃない!デートコース貸し切りだもん。


あ〜あ、やっぱり我が家が一番。お風呂、極楽ごくらく!

で、結局、奴は今日何しに来たんだろう・・

まぁ、誘ったのは私だけれど、テストのカンニングをたまたま見つけて揺すっただけだし・・

三味線の約束も、女の涙で放棄してたし・・

考えてみたら、私も慌てて発作的に出た口から出任せだったから、

あんなこと信じて楽しみに来たわけないんだよな・・

て、ことは、・・きゃ!愛されてんじゃないの、ちょっとぉ。

部屋に戻ると、携帯に奴からのメール・・

−明日、一緒に帰ろうよ−

やったぁ!本物じゃない、この恋!!

えぇっと、明日の天気予報は・・

−明日の天気、明日も激☆土砂降りじゃ−

ま、まさか、奴、三味線・三味線・三味線・・・・・・

ジタバタo(゜▽゜@)o o(@゜▽゜)oジタバタ


第、196話  ドーナツは欠かせない (2003.04.04)


すべては、ドーナツから始まった。

「まったく、ドーナツなんて計算外よ」

「奥手の貴子が最初にゴールインするなんてさ」

「大きなドーナツは枕になるわよ」

「小さなドーナツは指輪になるわ」

「そうそう、やっぱり婚約指輪ってドーナツの3ヶ月分だったの?」

「新婚旅行はハワイを狙っているとか・・」

「ねぇ、ハワイに行くとドーナツ首からかけられるんでしょ」

「役所にドーナツ届けれは正式な夫婦じゃん」

「ウエディングドレス着る時はメガネはやめてドーナツにするって?、貴子」

「式、終わったら、ドーナツは私に投げてよね。次の花嫁さんになりたいもん」

「・・・ねぇ貴子、そろそろドーナツ言うのやめていいかしら。飽きちゃった・・」

「みんなダメよ、なんたって私と彼、ドーナツ屋さんのバイトで知り合ったんだから☆」

「あ〜ぁ、ごちそうさんです」「あ〜ぁ、ごちそうさんです」「あ〜ぁ、ごちそうさんです」


第、195話  手作りな想い (2003.03.29)


わたし、ちょっとわがままだったりする。

「寂しいよ」なんて電話を入れると、無理しても必ず来てくれるあなた。

いつだってわがままなわたしと、いつだって笑顔のあなた。

バランスぶち壊し職人のわたしと、バランス補修職人のあなた。

我が身の心の中を引っ掻き回すわたしと、その傷に薬を擦り込んでくれるあなた。

あなた特製のデラックスな想いに、めまいのように傾れ込むわたし。

たとえるなら、花柄パンティーを履いているわたしと、花柄パンティーを被っているあなた。

そんな健気なバランス感覚に、なんだか、ほっとするひととき。

たとえるなら、毎晩パンティーを盗まれるわたしと、毎晩パンティーを盗んでいるあなた。

そんな健気なバランス感覚に、なんだか、ほっとするひととき。

たとえるなら、寝る時ノーブラなわたしと、寝る時ブラをするあなた。

そんな健気なバランス感覚に、なんだか、ほっとするひととき。


第、194話  忘れないうちに (2003.03.22)


約束していた映画デートの日に風邪ひくなよ、内蔵助のばか!!

まあ、点滴打っているヘロヘロ病人を、引きずり出すわけにもいかず・・

仕方が無いから奴は病院にほっといて、約束の映画はひとりで観て、

街をぶらぶら歩きつつ大道芸眺めて一日暇潰したわよ。

でも、大道芸で人気のある人って、割かし儲かっているんじゃない!?

内蔵助の点滴姿をパフォーマンスと偽って入院費稼がせればよかったかなぁ・・

まぁ、無理か。

フリーマーケットもやってたな。

すこぶる商売にしている人もいたもんだ。

内蔵助の点滴姿の写真でも売れるかなぁ・・

まぁ、無理か。

今日、人形店で、かわいい人形見つけたんだ。

内蔵助の点滴姿着せ替え人形作って売ってみたりして金儲け・・

まぁ、無理か。

もしかして、病院が内蔵助のポップな点滴姿を無断でパンフレットに使う恐れは・・

んなことないか。

バイト休んで明日また見舞いにでも行って内蔵助の点滴姿を油絵写生しておくか。

数年後には鑑定団で1.000万円〜☆

ないな。

そうだ、明日忘れないうちに今日のデートで言うつもりだった「さよなら」言っておこう。

内蔵助は新しく好きな娘が出来たからって、

わたしに「別れて」なんて言う度胸がない奴だもんね。

彼女は見舞いに来てたんだろうな・・ 看病をしに・・

わたしが病院いなくなってから・・ たぶん・・ 呼んだよね・・

内蔵助の顔にそう書いてあったもん。


第、193話  わたしは泣かなくたっていいんだと思う。 (2003.03.15)


「やだ、大雨じゃない」

「もうすぐ卒業なんだから、お休み入ってから降ってほしいよね」

「昨日、見つけた猫ちゃんのために餌持って来てたのに・・」

「朝は天気予報で晴だって、思いっきり言ってたもんね」

「桜も散っちゃうんだ・・」

傘を差していても、千絵の顔は降り懸る雨粒で濡れていた。

「あ、千絵、猫ちゃんいたよ」

「ほんと、本屋さんの軽ワゴン車の下で雨宿りしてる」

「会えてよかったね」

「会えてよかった」

真也くんは、千絵とはべつの高校を選んでいたんだ。

3年間の交際って、なんだったんだろうってくらいに冷めているんだよね。

「ねえ、千絵、高校は一緒じゃなくなっちゃうけれど、たまに会って遊ぼうね」

「うん、またカラオケ屋で"だるまさんがころんだ"やろうね、ふたりで」

「カラオケ屋でまた赤虫の唾液腺染色体の観察もやろうね。千絵、酢酸カーミン液を作らせたら日本一だもんね」

真也くん、サヨナラを理由に遠い町を選び過ぎだよ。

・・会えるだけで、幸せだったのに。

傘を差していても、千絵の顔は降り懸る雨粒で濡れていた。

「じゃあね、千絵」

「また、明日ね」

帰り道。

わたしは泣かなくたっていいんだと思う。

ひとり、傘の中、降り懸る雨粒に濡れて・・


第、192話  聴きたい歌 (2003.03.09)


「わたしは成長するんだ。」

口に出して言ってみたりする。

誰も聞いていなくても、約束は約束だ。

無くしていたCD、出て来ないから新しく今日買い直した。

一人だったけれど寂しくなかった頃の懐かしい曲。

よし、ここから再スタートするぞ、わたし!

まずは、携帯の着メロを変えなければ。

あなたとよく口遊んだ歌のメロディー。

「〜〜〜♪゜゜」

く、口遊んでしまった。

そして、携帯のMP3に入ったままだった、あなたとよく口遊んだ歌の・・

「ヽ( ´)ノ〜♪゜゜イェーィ」

ねっ、熱唱してしまった。

そして、夕暮れの町から今日もあの歌が・・

「いしや〜きいも〜♪゜゜おいも♪゜゜」

デュ、デュエットしてしまった。

あなたとよく口遊んだ歌・・

ごめんね、わたし・・

成長の約束は、後少しだけ延期。

やがて、かならず、春が来るから・・

「いしや〜きいも〜♪゜゜おいも♪゜゜焼っきたてのほっかほか(ノ_<。)」


第、191話  抱えきれない想い (2003.03.01)


「ハートの形って、世界共通なんだよね」

「ハートの形って、人間共通なんだよね」

「好きなひと、いたよ」

「ハートの形の外側は、ひとそれぞれだけど、」

「純粋に好きな気持ちだけを維持するために、両手、両腕の中はいつも不純物だらけだった」

「みんな、自分のそれぞれの形で同じような傷を覆っているだけ」

「いつもふたり、嘘つきだった」

「捨てられたことを憶えているの?」

「いつまでも掛替えのないひと・・」

「捨てたことを憶えているの?」

「時秒(とき)の雨に、差せない傘・・」

「記憶は常にあなたを束縛している」

「記憶がわたしのストレスを産み続けている」

「あなたはどこから来たの」

「扉」


第、190話 泣く夢 (2003.02.21)


「さちえ、強がってたけれど失恋したばかりでしょ。大丈夫かな」

「大丈夫でしょ、こないだも『平気、平気』って言いながら般若の能面、楽しそうに彫ってたから」

「で、でも、きっと夢の中では泣いてるよ。起きたらまくらがぐしゅぐしゅだったり」

「そう言えば、般若の能面彫っているのは夢のお告げとか言ってたなぁ・・」

「な、・・なんか、さちえ、最近カウンセリング受けてる?」

「辛い時には彼と逢うことで紛らかしてたのに、その彼すら横恋慕されて・・」

「でしょ、今から励ましに行こうよ!さちえの喜ぶ顔が見たいよ」


「さちえ、あそびましょ♪」「さちえ、あそびましょ♪」

「あ!般若の能面にモイスチャーミルクを擦り込んでいる・・」

「あ!般若の能面にモイスチャーミルクを擦り込んでいる・・」


「さちえの目、けっこう腫れてたね」

「ニコニコしてたけれど、ありゃたっぷり泣いてるね」

「夢の中では膝抱えているね」

「なぜ、表の世界では素直になれないんだろう・・」

「あなただって、さちえだったから許せていたんじゃないの、今まで・・」

「あなただって、さちえの彼であるならばって・・」

「あなた、最近、目が腫れているわよ」

「あなただって」

「・・・・・・」「・・・・・・」

「心にモイスチャーミルク、擦り込みたいね」

「心にモイスチャーミルク、擦り込みたいね」


第、189話 冷し中華はじめました (2003.02.16)


「えっ!!冷し中華にマヨネーズかけるよね?かけない?」

その他一同 「なんだってぇ!」

「マヨネーズかけたらケーキぐちゃぐちゃに混ぜるよね? ・・しない?」

ま、取り返しの付かなくなった片想いは、すでに仕方がないとしてだ。

それ以来、私のニックネームは"グロ中華"かよ!!

しかしながら先日、隣りの課に転勤してきた美男子が

「よっ!ゲテ和食」と呼ばれていたのに親近感を覚えて

思い切って声を掛けたら、なんだかふたり、いい感じ〜♪゜゜

ありがとう、私の人生。

ありがとう、森の人オランウータン。

ありがとう、平賀源内。

ありがとう、謎のエジプト学者X。

ありがとう、尻子玉伯爵。

ただ、どうやら彼、和食オンリーみたいなんだ。

私の誕生日に、冷し中華ケーキ混ぜデラックス、一緒にたべてくれるかなぁ・・

訊いてみるかなぁ、、

背中合わせの答えが二つ。

それが後々、"晴れて結婚"か"憎しみ合うグロ対ゲテ"

訊けないよ〜

さようなら、私の人生。

さようなら、森の人オランウータン。

さようなら、平賀源内。

さようなら、謎のエジプト学者X。

さようなら、尻子玉伯爵。

・・なんて、いやだ!!

そんなこんなのマル秘交際。

このままでは私の誕生日は、デコレーション寿司、いなご佃煮トッピング。

中華がいいなぁ・・

"晴れて結婚"<"憎しみ合う変則中華対日本の心"

・・なんて、いやだ!!

恨むぞ、私の人生。

恨むぞ、森の人オランウータン。

恨むぞ、平賀源内。

恨むぞ、謎のエジプト学者X。

恨むぞ、尻子玉伯爵。


「よっぉ!グロ中華娘」

こ、こら、うちの課の課長・・ しぃー しぃー


第、188話 セシル色のワンピース (2003.02.07)


あのこは、「セシルと言う名の女の子が彼を愛しているから」と言う。

「あなたは、どうなの?」と訊ねると、「わたしはいいの」と答える。

セシル色のワンピースは、あのこをあのこではなくしてしまう。

「彼はセシルを愛しているの?」

「今、彼はセシルをいやがっているの」

「もう、逢えなくなるの?」

「彼は、セシルに気付いてしまったから・・」

「あなたを愛していたのね」

「・・・・・・」

「さよならでいいの?」

「だって、セシルが愛されるべき女の子だから・・」

そう言って、あのこは涙を流した。

「セシルに気兼ねしているのね」

「・・・・・・」

あのこは彼の好みの女性像に憧れた。

セシル色のワンピースは、彼があのこに無意識に着せてしまった人格だ。

「今、彼はセシルをいやがっているの」

「だって、彼は最初からあなたと出逢って、あなたのことを愛しているからじゃないの」

洗い晒しのシャツにジーンズ姿のあのこは、セシルの中に取り込まれたまま、途切れとぎれに震えを起す。


第、187話  遺書 (2003.01.31)


ずっと伸ばし続けてきた髪が美容院の床に切り落とされた。

掃き集められてゆく年月と思い出と悲しみに、心の中でさよならを言った。

言ってほしかった言葉は、もう永遠にカレからは聞けない。

描いていた未来には、ひとり、歩き続けても行けない。

カレが見続けてきた見慣れていた顔は、晴れて鏡の中から消えた。

『女の子は失恋すると髪を切るって本当かな』

いつかカレが何と無く聞いて来た、どうでもいいくらいの疑問への、これがたぶん私からの答え。

違う女の子なんだと自分で思ってたけれど、思い出と、消えた未来からの遺書がわりに・・

モヒカンにしてみました。しかも、横モヒカン!!

こりゃまた、家に帰ってパパやママに怒られたんだって!!

幼い妹は泣き出すし・・ 幼い弟は痙攣地獄・・


第、186話  冬の妖精 (2003.01.24)


放課後、窓から見た校庭には薄らと雪が積っていた。

「冬の妖精って、もし、いるんだったらどんな感じだと思う?」

突発的な質問を懲りずにしたもんだと、我ながら思う・・

ましてや、ファンタジーの香りなど振掛けても弾き飛ばさんかとゆう男に対して。

「子供の頃、逢ったよ」

こいつ、今、何、言った・・? って、本当、自分で聞いておいてだけれど。

こないだは、『宇宙人っていると思う?』って聞いた時、鼻で笑った奴が・・

なんでも・・

『一本だけ長く延びてる乳毛をピンクに染めている宇宙人など想像出来るか!』

・・だ、そうだ。

おそろしく、強引な否定の仕方があったものだ。・・な、男がだ!

妖精に逢った・・

「ど、どんな妖精だったのよ・・」

「一本だけ長く延びてる乳毛をピンクに染めていた妖精」

「・・・・・・」

結局、最新の強引な否定の仕方だったのね・・ と、言うより強引に嫌われている・・?

「妖精も宇宙人も、いてもいなくてもいいんだ、君がいるから」

・・ん、これって告白かい!?

「超!異次元娘の、君がいるから」

なんだ、バカにされているのか。

「冬の妖精って、もし、いるんだったらどんな感じだと思う?」

ためしに発作でもう一度聞いてみた。

窓から外を見ると、また少しずつ、雪が降り始めている。

「いっしょに帰ろうか」

やったやった、チャンス到来!!

いままで、友だち面して、いろいろ話し掛けてみたからなぁ、

つちのこから、スカイフィッシュまで。進歩、進歩!!

「傘忘れたし、ダチ、部活だし」

なんだ。そう言うこと・・

ふと、もう一度、窓の外を見ると、

一本だけ長く延びてる乳毛をピンクに染めている妖精が、今、微笑んでいた気がした。

「ねぇ、冬の妖精って、もし、いるんだったら・・」

そんな訳で、、、

わたしのドキドキが、聞こえてしまうんじゃないかってほど、高鳴っている。

チュパキャブラ柄の傘の中で、帰り道、微妙にこいつに寄り添いつつ・・


第、185話  なりきりデート (2003.01.18)


ねぇ、これって、デートだよね、デートだよね。

「ねぇ、これって・・」

「まるで、デートみたいになっちゃったね」

「・・・・・・」

そう言われて我に帰った。

やっぱり、たまたま街でばったり。駅までいっしょ。うまいこと映画への誘いに成功。

ここまでが限界の、なりきりデート・・

あれ、『まるで、デートみたい・・』なんて言われているのは、脈ありってこと!?

あら、あたしったら無意識に、『只今、デート中』って書いた幟を持って歩いてたわ!

きゃ、好きだってこと、バレバレ。

か・・、彼女にして・・

「か・・、彼女に・・」

「彼女に怒られちまうな、ハハハ」

「・・・・・・」

そう言われて我に帰った。

こいつ、こないだ、彼女出来たばっかじゃん・・。

きゃ、もしかして、二股かけられてる???

・・いいわけないじゃん。

向こう側のホームで、手を振ってやがる。

うれしくて、振り返してしまっているあたし。

電車が見えなくなるまで、手を振ってしまっているあたし。

きゃ、好きだってこと、バレバレ。幟まだ持っているし・・

あっ、この際『只今、デートからのお帰りです』って書き換えておくか。

今日だけだもの・・。今日かぎりだもの・・。

拾い物のような、幸せな一日にさよなら。


第、184話  幸せの瞬間  (2003.01.10)


☆わたしはきっと、学習能力が乏しい。

これをある意味よく言わせてもらえば、"恋多き女"。

一般的な共通語を使うとしたら、"ばか女"。

乙女心を尊重するならば、"さみしがりやさん"。

世間の荒波が運んで来る言葉は、"男狂い"。

弁護させてもらえるならば、"恋の病をこじらせている、か弱い女の子"。

ウゴウゴ●ーガ節では、"おきらくごくらく"。☆

新カレから言われた一言は、「こんな僕でよかったら」

あはははは、、終わりよければすべてよし!

ただ気に掛るは、何気な恵子の爆弾おしゃべり・・

わたしが、たった三日前に前カレにふられたばかりだなんて、言うなよな!!

その二週間前に前々カレにふられてたなんて、言うなよな!!

その一月前に・・・・・・ そのまた一月前に・・・・・・

転校して来たばかりの新カレは、知らなくていい事なんだからさ。

ちゃんと、一回、一回、ふられた度に大泣きしたんだぞ。

ちゃんと、新しくカレが出来た度に神に感謝したんだぞ。by 無宗教なわたし、。

で、もって、☆から☆をくりかえし。

あはははは、、「・・・・・・」

恵子のおしゃべり・・(ノ_<。)。oO 恋なんてうんざり・・ヾ(>_<。)。oO

あっ、○○中学の"三角木馬でバドミントン"部キャプテンの、

松尾慎治くんってさぁ〜、、いいんじゃない! 年下だけど・・

で、なんだったらもう一回、☆から☆をくりかえし。


第、183話  使用上の注意  (2003.01.02)


告白されて、ちょうど一週間。

今日には回答を提出してあげなければならない。

でも、まだ、準備が不十分なんだ。

普通、女の子はこんなとき、答えは“YES”と端から決っていても、

更に延期に延期を重ねつつ、男を焦らしに焦らし、

何気にほかの男の子と仲良く会話などを仕組んでみたり、

そして、「愛想尽きた」と男が別の女の子に乗り換え・・ って、私の負けじゃん!

・・よし、ちゃんと素直に回答を提出して来るか。

約束の場所、体育館の裏、あまりにべた。

しかも、誰も世話をしなくなったウサギ小屋の中の元校長先生が、

私の知るかぎりでも、2年間は生き続けている不思議な場所。

あら、待ってるじゃないの!ちゃんと約束どおりに。 よし、放置プレイ。

・・いけない、いけない、何とかしよう、この私の天の邪鬼な性格。

あっ・・ 見つかっちまった。

私は、此畜生こと、私を好きになってくれたこの男に、

「これ、どうぞ」って、一枚の紙切れを渡して、間、髪入れず、逃げた!逃げた!

あぁ、どきどきしたぁ、、、。。あの時、、、。。あの頃、、、。。

そんな訳で、今から20年も昔の紙切れを、男は未だに持っている。

そして、私と夫婦ゲンカなどをしようものなら、かならず例の紙切れを持ち出し、

「うんうん、なるほどなるほど、この、☆★私と言う女の使用上の注意★☆に書かれている通りの女だ」

・・などと、大きくなった子供の前でも、平然とほざく。

わかってるんだったら、なぜ、ケンカに発展するほど我を通すのか、こいつ。

実は、この男の頑固な性格、20年前に告白された日にもらった紙切れ、

★☆こんな俺でよかったら使用上の注意☆★にちゃんと書かれているのを、

私もこうしてちらつかせ、大きくなった子供の前でも、平然と・・ 反撃を・・


あっ、そうそう、ウサギ小屋の中の元校長先生にエサあげてたの、

うちの旦那なんだって〜☆


第、182話  一日中パジャマだったら  (2002.12.27)


陽が暮れ始めた頃、気がついた。

なんか、今日一日中パジャマだった。

妹のちこは小学生にもかかわらず、デートとかなんとかで・・

ママはちこのために朝からサンドイッチを作ってたけれど、私は寝てた。

陽が暮れ始めた頃、気がついた。

なんか、先週までと逆転しているじゃん!

急遽、彼氏をこしらえてたちこと、急遽、男に捨てられた私・・

本当はママと一緒になって、ちこの恋の物語を応援してあげたいのだけれど、

パパと一緒になって、さり気なくムっとしているって感じ・・

ちこがデートから帰って来た。

遊園地で買って来たおみやげを手に、私の部屋に。

私は、「男って、結局自分の都合で女を捨てたりするわよ」・・なんて、

言いたいのをなんとかこらえて、ちこのおでこにかるくデコぴんしてやった。

そして、「久々にいっしょにお風呂に入ろうか」と言うと、

ちこは、とてもちこらしい笑顔で「うん!」と答えた。

なぜか、突然そこにいたパパも「うん!」と答えたが、姉妹団結でパパに却下を言い渡した。

お風呂から上がったら、ママ特製のカレーライスが待っているよ。


第、181話  生まれ変わっている  (2002.12.20)


目をひらくと、子供たちの笑顔が飛び込んできた。

飛び跳ねる女の子と、汗をかき白い息をはく男の子。

「ありがとう、おにいちゃん」

雪景色の中、ぼくはまた生まれてきた。

今日は、クリスマスなんだね。

子供たちのママが出て来た家の玄関先には、リーフが飾られている。

実は前はぼく、雪だるまではなく人間だったんだ。

今度の命は短いのだろうけれども、

雪のぼくに抱き付いてはしゃぐ、目の前の女の子のよろこびと、

ぼくの頭に毛糸の帽子をのせてくれた、目の前の男の子のやさしさと、

ママが子供たちへ焼いたケーキの香りと子供たちへの愛情と、

ぼくは家族のやさしさと幸福を感じながら、溶けていくことが出来そうだ。

"今度、生まれ変わるなら、再び人間になりたい"と、

人間の時には考えたことはなかったのに、今、本当にそう思う。

あの頃は動けたのに、

動こうとしなかった・・ 探そうとしなかった・・ 自分すら愛せなかった・・

今度、生まれ変わるなら、再び人間になりたい

メリークリスマス、人間のみなさん。


第、180話  壊したかった  (2002.12.14)


邦彦がね、"さよなら" すら言わずに、ほったらかしたままだったから、

今日、私のほうから「さよなら」を言わせてもらった。

ちょっと指で突いた程度で、すべてが、ガタガタと崩れていったって感じ・・

瓦礫の中から聞こえてくる、私だけの悲鳴。

これで本当に、お別れ。

邦彦がね、"さよなら" すら言わずに、ほったらかしたままだったから、

今日、私のほうから「さよなら」を言わせてもらった。

ちょっと指で突いた程度で、すべてが、ガタガタと崩れていったって感じ・・

心が裂けそうだった、二人の日々の後始末。

これで本当に、終わった。

壊したかった。

なぜなら、邦彦が望んでいたことだから・・

壊したかった。

邦彦を、まだまだ愛している今のうちに・・


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